1 無名さん

怪談キムチたん

わろたw
2 無名さん

そう
3 無名さん
麻生太郎「あ、そう」
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友人の体験談です。
当時彼は地元の商社に勤めるサラリーマンだったのですが、これはある夜、彼が一人会社に残り遅くまで仕事をしていた時の話。

その日彼は珍しく時間も忘れ仕事に没頭していました。

時刻は既に深夜に差し掛かろうとしていた。
流石に遅いしもう帰るか、と彼はデスク周りを整理し、退社をする身支度を整えていたんですが。

ふと気付くと、部屋の外の廊下から何やら足音が聞こえてきたんです。

コツコツ…コツ…コツ…

足フェチの彼はとっさにそれがハイヒールの踵を踏み鳴らす音だと感じたそうです。
それはゆっくりと、足音を響かせながら廊下を移動しています。

「こんな時間に誰かな?」

時刻は深夜0時を少し過ぎた頃、会社には警備員などはおらず、小さな三階建てのビル内全フロアは会社のもので、社員は自分以外全て退社したはずです。
仮に誰か残っていたにしても、今まで気付かなかったはずはありません。

誰かが用事を足す為に訪ねたにしても時間的にかなり無理があります。
しかも足音は何処かの部屋に入るでもなく、廊下を行ったり来たり。

「何か気味が悪いな…」

少し恐怖を感じた彼は、デスクに置いた鞄に手を掛けたままじっと息を潜めていました。

数十分程経って、気付くと足音は聞こえなくなっていたそうです。

ずっと耳を澄ませていたのに、不思議だ…。
居なくなったのか? 何処かの部屋に入ったか? 下の階に行ったのか?
あれこれ考察するも、部屋の外の見えない光景に答えを求めることなど無意味だと悟り、また何より時間が時間です。
流石に残業疲れもピークに達し、早々に帰って床に就きたいと思っていた彼は、意を決して廊下に出る為のドアを開けました。

ガチャ…!! ニィィイ…

何のことはありませんでした。
目の前には暗く不気味な静寂に包まれている以外は、いつも通りの見慣れた廊下が伸びているだけでした。

彼の会社は古い三階建ての鉄筋ビルで、彼が居るフロアは三階。
どの階も廊下の造りは同じエの字型をしていました。
平行に並ぶ直線廊下を結ぶ廊下の先にはエレベーターがあり、そのエレベーターの対角線上には大きな窓が一つ付いていました。

その唯一の窓から差し込む外の光がエレベーターに向かう彼の足元を薄暗く照らします。
彼は自身の足元だけを見ながらエレベーターに向かい歩いていました。

すると、彼の前に伸びる自身の影に、何者かの影が重なったのです。彼は反射的に振り向きました。

彼の目の前、数メートル先に女が立っていました。
白いシャツに白いスカートを着ていて、頭と両手は脱力したようにうなだれ、長い黒髪が顔を覆い隠していました。

それが「コツ…コツ…」と、ゆっくりとこちらに向かってきたそうです。

まさか、〇〇さん…?
異質な光景に、内心走ってエレベーターに駆け込みたい気持ちを抑え、変に驚いては失礼になるかもしれないと、律儀にも彼は問掛けました。

「どうか…しましたか?」

女はその問掛けには答えませんでしたが、次の瞬間、数メートル先に居たはずの女は消えて居なくなったそうです。

それは本当に一瞬で、彼は驚くと言うより、今何が起こったのかすら全く理解出来なかったそうです。

すると、

コツ…コツ…コツ…

廊下の向こう側からまたあの足音が聞こえてきました。

その瞬間、理解するよりも恐怖を先に感じた彼は急いでエレベーターのボタンを押し、中に入ると一階へのボタンを押し扉を閉めました。

なんなんだよ…。

全フロアには自分以外誰も居ません。
当然エレベーターはそのまま一階へ行くはずなのに、エレベーターは何故か二階で止まったのです。

おいぃぃ…!!

困惑と恐怖の連鎖で泣き出しそうになる彼に対し、目の前のエレベーターのドアは、あまりにも無慈悲にその口を開きました。

目の前には上の階と同じように廊下が伸び、その先には大きな窓が付いています。

大きな窓が。
いや、違う…!!

彼は恐怖で声も出ず、全身の力が抜けたように床に腰を落としたそうです。

大きな窓があるはずのそこには、大きな女の顔があったそうです。
廊下の床から天井一面に薄気味笑いを浮かべた、白く大きな女の顔があったのです。

やめてくれやめてくれ…

声も出ず、金縛りにあったように顔を背けることも出来ず、彼はその大きな女の顔を見ていました。

エレベーターのドアが、ゆっくり閉まり始めます。
すると、廊下の女が薄気味笑いを浮かべたまま、笑い声をあげて彼を見送ったそうです。

そのままエレベーターは一階へ着き、ドアが開くとそこには玄関ロビーと外へ通じる扉がありました。
彼は力の抜けた体を起こし、駆け足で扉に向かい外へ出ました。


それから一月後、彼はこのことをきっかけに会社を辞めたそうです。

「引き継ぎの関係上仕方なかったけど本当は早く辞めたかった」

と彼は苦笑いして言ってました。

あの女のことはそれっきりで、結局今でも何だったのか分からず仕舞いだそうです。
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昔、警備員をしていた時の事。

俺は警備会社に入社早々、ある区域の機械警備の担当をする事となった。
その日、昼間は先輩社員と警備対象となる数十もの建物の場所を車で巡回確認し、夜間は待機所で警報信号に備える事になった。

その区域には機械警備と別に、夜間巡回警備をする物件も3ケ所あり、物件の一つにAという元病院だった建物があった。
先輩曰くそこは「出る」病院らしく、霊感に強い人は絶対近づきたくないと言う場所だったらしい。

俺は確かにそれまで何度か幽霊を見たことはあるが、普段は霊感なんて別に感じない人間だったので、ありがちな話だ位にしか思わなかったし、実際新入社員で覚える事が多くそれどころでも無かった。

その病院の巡回は夜間2回、午後11時ごろと午前3時ごろの予定。
他の2件の物件の巡回を終え、病院の1回目の巡回を予定通り行うこととなった。

深い山中にあるその地域の中心に、比較的大きな川が流れておりその川沿いに病院はあった。
以前、水は霊を呼び込むと言う話(リングの井戸みたいな)を聞いた事があり、妙に納得できる部分があった。

新病院への移転の為、80年代後半に廃墟となった病院。地上2階地下1階、長さ約100m×30m。
解体しない理由はその解体費用に問題があったそうだが、以前解体しようとしたときに何か問題があったという、これまた在りがちな噂があると先輩は言っていた。
病院は高さ3m位のバリケードで囲まれており、入り口はアコーディオン式で南京錠を開けて敷地内に入る。
例によって落書きや割れた窓ガラス、自分の身長とかわらない生い茂る雑草…病院内の巡回経路が決まっていて、斜面に面した建物であることから屋外にある螺旋階段を上り、2階入口から内部へ入ることになっていた。

2階の古びた南京錠を開け中へと入ると、懐中電灯で照らす細長い建物の内部に無数の病室が確認できる。
建物内部は生暖かいような、寒気がするような言葉では言い表しにくい空間…当然ベットなどは無いにせよ、1986年の週刊少年ジャンプがあったり今だにまだ生活感が残っている。

先輩によれば、そうやって夜中に懐中電灯で巡回警備する事自体が事情を知らない人からすると、建物で妙な光を見たとかいう怪談になってるらしく、そういう意味では笑える。

巡回経路順に、スロープ(車椅子や足の不自由な人用の坂道)を通って1階へ降り、同じように病室やナースセンターを確認していく。何も異常は無い。

地下に降りるには階段を使わないといけないので、病院に入る前に建物配置図で確認した階段のほうに行こうとするが、「地下はいいよ、どうせ何も無いし…」と言うので、内部巡回は切り上げ。
本来は当然回らないといけないが、この先輩かなりビビリだったらしくて。

で、内部を出て外周も確認。異常なく巡回終了。
そこから待機所へと移動し、車中で遅い夕飯をとり緊急警報と2回目の病院巡回に備えることになった。

午前1時ごろ、先輩は一日中俺を指導していた事もあり疲れて寝てしまった。
俺も最初は配置図で物件内部の確認をしていたのだが、やはり疲れてうとうとしてきた。
待機中とはいえ仮眠は許されている事もあり、1時間位ならと思い目覚しを2時30分にかけて寝る事にした…。


……。
…薄暗い…。

場所が良く分からない…。
何か、階段の前にいるようだ…階段…?

どこかの建物の階段の一番下らしいが、階段の踊り場にある窓からかすかに光がさしている…。
その場所から別の部屋につながってる様だが、なぜか行く気がしない…。

とにかく登らないと、ここにいてはいけない、そんな気がした…。
足を踏み出し階段を上ろうとした、が出来ない…?

何故だろう、足が重い…よく見ると足元にツタのようなものが絡んでいる…それが徐々に自分の体へと絡んでいく…。

ツタを取り払おうとする…が、今度は階段の方から大きなベニヤ板らしいものが自分の体に倒れかかってくる…薄いのでこれも払おうとするが、何か次々板が階段の上から倒れてくるようだ…。

板のせいでかすかな光も見えなくなりつつある…。
とうとう幾重にも重なるベニヤ板と絡まるツタのせいで、仰向けに倒れてしまった…。

…苦しい…重い…呼吸が出来ない…暗い…。

…ここで死ぬんだ、そんな気がした。

…あぁ、階段を…階段を、登りたかったのに…。
ここで目が覚めた。夢だった。

9月中旬とはいえ肌寒い山間での深夜、車内で汗だくになっていた…。

午前2時20分、先輩はよく寝ている。

あの夢は何なのかというよりほぼ確証がその時点で、あった。

怖い、とは当然思った。
が、行かなくてはという気になった。

先輩をそっと起こし、次の巡回は自分一人でするのでと告げ、待機所から車を走らせ病院へと向かった。


病院の外観は先ほどと変わりなかった…順路どおり内部へ入館。

2階の確認を終えた。
ここで順路通りではない、階段を探してみる。

配置図通り、階段はあった。そのまま降りていく。
幅2mもない狭い階段。足元を懐中電灯で照らす。踊り場がある。窓から川が見える。

1階に着いた。
ここで1階を巡回しなければならない。が、そのまま地下へ降りてみる。

1階と地下の間の踊り場…窓ガラスがベニヤ板らしいもので外から封じられている…(本来地下に窓があるはずはないが、後で外から確認したがここは斜面にある建物なので窓があり、すぐその下は地面になっていた)。
日が昇ると光がさすのだろうか…。

そして、地下へと降りて階段を見上げて懐中電灯を照らす…。

…光はさしてないが、夢と全く同じ光景…。
…その後の事はよく覚えていない。

それから、俺は一人立ちして機械警備に当る日々を送る事となった。
が、ことごとく、俺には事故と事件が付きまとった。

強盗、殺傷、暴力、交通事故、機械の故障…。
こんな仕事だから当たり前と言えばそれまでだが、その起こる頻度が並ではなかった。

次第に自分と同じ勤務になるのを避けようとする同僚も多くなり、仕事はうまくいかなくなった。
結局、1年しないで俺は仕事を辞める事になった。

呆然とした日々を過ごしながらも、俺はこの1年余りで起こった事が何だったのか知りたくなった。
確かに自分の不注意などの事故もあったが、何か釈然としない…俺はある占い師を尋ねてみた。

占い師にこの1年の事、夢のことも話した。
占い師はかなり躊躇ったが、言った。

「何か…行ってはいけない場所に行ってしまいましたね。あなたの人生、今後も不幸が重なってくるよ。その夢は、あなたの今後の人生を暗示してたんだよ…」

占い師から、今の境遇を変えるという方法は教わった…。毎日それを実行している。

が、変わらず他の仕事に就いても俺の身の回りには、次から次に不可解な事故や事件が起こる…。

正直、もう生きる気力がない…。
何故俺がこうならなければならなかったのだろうか…?
<後日談>

その後、食品工場に勤めたのですが、自分の周囲でシャモジとか、調理器具が紛失する事故が何度もありました。

ご存じの方もいるかもしれませんが、食品工場で物が紛失すると言う事は生産品への混入を即意味します。
つまり、紛失時に生産していた製品は全て検品、理由がわからなければ全て廃棄。被害額は数千万円単位。

かなり色んな内部調査が行われたにもかかわらず、原因は不明。
ただ、その紛失時全てに自分が関わっていたので、まるで何度も尋問をうけました。

その後、原因不明の高熱が続き、結局退社せざるを得なくなりました。
今も平熱で37度以上ある体質に変わってしまいました…。
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長文と駄文だがつきあってほしい。あまり怖いとは思わないかもしれないが。

お盆といえば墓参り、先祖の供養はかかさない。
ウチは神道系だが寺ではないから墓地はないのだが、たまに知り合いから読経を頼むと言われるんよ。

その時期になると家の中にはたまに見ず知らずの人っていうか霊が階段に座っていたり風呂を覗いたりする。
もう見慣れている家族は無視。

そんなウチに今年、久々に従姉(仮名で美咲とする)がウチに泊まりにきた。
俺の一つ上で親父の姉の長女でまだ未婚、本人は

「理想の男が今の世の中いない」

なんて負け惜しみ。
まあそれはともかく、その美咲がウチに来るなんてとにかく珍しい事だった。

だが家に来た美咲をみて俺は驚いた。
美咲の背中に背広姿の三十路少し越えたくらいの身長は目算だが170くらいのメガネをかけた男がいた。

顔は目がうつろだが口元はつり上がったように気味悪い笑い顔のヤツ。
無論コイツは生きている人間ではない。

親父はいつも通りだがお袋は少し驚いたような顔をしている、俺の奥さんは霊感がないので普通に挨拶していた。

美咲自身、ウチの家系なためか霊感は強いと思っていた、俺が美咲にその話をしようとしたが親父に

「余計なことは言うな」

と言われた。
俺はそれ以上はなにもいうのを止めた。

夕食の買い出しにお袋と俺の奥さん、美咲もついていった。
というよりお袋が美咲を半ば強引に誘ったんだ。

んで親父から

「ありゃおまえの手に負えるモノじゃねえ、ウチの結界をものともせず入りやがった、そこらのヤツなら玄関前で逃げる結界なんだがなぁ」

親父が珍しく驚いているような顔で俺に言ったんだが親父は続けて

「あの霊は美咲に憑いているから浄霊すっからおまえも手伝え」

親父が俺に神道系の手伝いをさせるなんて珍しいと思った、裏を返せばそれだけ厄介なんだろうなと思った。

それからウチはお堂はないので祝詞をあげるときの部屋があってそこで準備していると三人が買い物から帰ってきた。

夕飯の時に俺は美咲に

「最近、調子はどうだい?」

美咲「う〜ん、イマイチかな、何だか最近何やっても体がすぐ疲れちゃってさぁ…なんていうか動くのがめんどくさいってゆーの?」

俺「ふ〜ん、いつくらいから?」

美咲「え? そうね〜…友達と行った旅行後からかな? まだ疲れがとれてないのかもね、もう2ヶ月経つのに」

親父「母さん、線香つけてくれ、あと適当でいいからお供え物、それらを美咲の後ろから少し離して置いてくれ」

お袋は察知して線香、お供え物(リンゴとバナナ)を美咲の座っている後ろから少し離して置いた。

俺の奥さんも霊感は無いけど何があったか気づいたようだ。
美咲は何だか分からないような顔をしてたけど。

すると美咲に憑いていた霊はお供え物の方へ寄っていった。
親父「美咲、体はどうだ?」

美咲「あ、あれ? 何か体が楽になった」

親父「すばる、飯食ったらやるぞ」

んで夕食を終えて親父と俺と美咲で部屋に行き美咲を真ん中の座布団に座らせた。

美咲「な…何? まさか?」

俺「そ、そのまさか…どこで拾ってきたんだか」

美咲「え〜〜〜! マジ!?」

親父「二人ともうるさい!! 静かにしてろ!」

親父の一喝で俺と美咲は黙った。

親父の読経が始まった、すると即座に美咲は糸の切れた操り人形のようにグニャリとうつぶせに倒れた。

尚も親父の読経は続く。

するとかすれた声で

「うぉぉ〜〜…」

親父の読経は続く。

「お前ら殺す」

今度はハッキリとした口調で美咲の口から男の低い声で発した。

尚も親父の読経は続く。

「聞き飽きたんだよ」

完全に美咲の人格は無くなっていた。

美咲の顔なんだが、違和感がある、口はやはりあの霊と同じつり上がるような笑いの口。

それでも冷静な顔で親父は

「すばる、この棒で軽くでいいから美咲の背中を叩け」

親父が俺に渡した棒はただの棒きれにしか見えなかったが言われるまま美咲の背中を叩いた。
「がぼぼっ」

美咲は急に嘔吐して気を失った。

親父は、

「もう大丈夫だ、さて俺は風呂に入ってくるから後片付け頼むぞ」

俺は何だったんだ?
後片付け要員なだけじゃねえのか!?

結局、お袋が片付けてくれたけど。


美咲を布団に寝かせてから俺は親父に呼ばれた。

風呂上がりのビールを飲みながらこう言った。

「ありゃあよ、世間で言う悪霊だな、それもタチ悪いヤツ」

俺「やっぱり、見た目からしてそんな気がしてた、しかし美咲も嘔吐しちまうくらいだからなぁ」

親父「ったく甘いな、ありゃあ吐かせたんだよ。あの霊は生前美咲と知り合いか何かだな、詳しくはわからんが美咲を連れて行こうとしたんだ」

俺「え? 何でだ!? なんかやらかしたのか?」

親父「いや違うな…まああの霊は生前、美咲に呪いをかけていたのは間違いないな」

俺「呪い? 牛の刻参り?」

親父「それも違うな、もっと効率的な方法だな…あの嘔吐物で分かったよ、かなり邪道な方法だ、禁法の類」

俺「禁法? なんだそりゃ?」

親父「跡を継がないヤツには教えんよ、まあ禁じられた方法って言っておく」
俺「あの霊は成仏したん?」

親父「いや、美咲からひっぺがえしただけ、また美咲に憑こうとするだろうな…とりあえず一週間はウチから出ないよう美咲に言っておけ、アイツ(霊)たぶん家の周りをうろついているからよ」


そして次の日に美咲に俺から全部説明した。

美咲には心当たりがあったようだ、今勤務している会社で以前、ストーカーされたそうだ、同じ会社の先輩に。

そして警察沙汰になり男は会社をクビ、その一ヶ月後にアパートの自室で首吊り。
完全な逆恨みなだけ、好きだけど人生を狂わさせた人間と位置づけていたんだろう。

まあ一週間はウチの犬は吠えてばかりだったし家の前にはあの霊が突っ立ってるし最悪。
結局成仏したけど…まあ人間の感情は死しても消えないんだろうな。

あ、久々に美咲がウチに来た理由を美咲に聞いたら「何となく行かなくてはならない気がした」そうで親父に言わせると美咲の守護霊が導いたという。

美咲は今は新しい彼氏が出来て幸せらしい。
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この時期…お盆になると必ず思い出す実際にあった恐怖体験です。

今から5〜6年前なんですが、お盆休みをかねて友達と釣りに行きました。
北海道の道北にある某ダムなんですが、そこは穴場でよく釣れるという情報を聞いてました。

出発して3時間程で現場に着いたのですが、入り口手前で立ち入り禁止の看板があり、せっかくの釣りが台無しになり友達とガックリ落ち込みました。

「どうする? このまま引き返すのも寂しいよな…」

と言うと友達が、

「さっき〇〇〇の滝入り口ってのあったじゃない? ちょっと見に行かない?」

釣りの予定が観光気分になり、看板の矢印に沿ってその「〇〇〇の滝」を車で目指しました。

しばらく車を走らせたのですが、行けども行けども滝は見当たらなく、それどころか悪道が続き引き返そうか迷ってたところ、

「あっ、向こうから誰か来る!」

と友達が指差しました。

向こうから来るその集団はどうやら自転車に乗って、こちらに近付いて来ます。

オレは「よし、あの人方に聞いてみよう。もしかしたら〇〇〇の滝知ってるかもしれない!」。
道の端に車を停め、その集団が来るのを待ってました。
友達が窓をあけ「すいませーん! ちょっと聞きたいコトあるんですが、すいませーん!」。
しかしその自転車に乗った集団は下を向いたままボクらを無視するように走り去ってしまいました。

その時、なにかタイムスリップというか…この世の時間じゃないというか…いままで体験したコトのない妙な感覚を抱いたのを覚えてます。
言葉をかけたのに無視されたのにも腹が立ちましたが、それとは違う嫌な気分が。

しかし友達は「頭くるよな! ちょっとくらい停まって話聞いてくれてもイイじゃん!」と。
「まっ、そのうち走ってたら見つかるよ」とオレは友達をなだめたりしました。

しかし行けどもその〇〇〇の滝は見付かりません。
どこかで道を間違えたのか? とも思いましたが、どう考えても一本道なので迷うコトなんてありませんでした。

さらに突き進むと山の奥へどんどんと登ってるじゃないですか。
このまま引き返そうにもいまさら面倒なのと、この先に何があるのか? という好奇心があり車をさらに走らせました。車は山奥の中をひたすら突き進みました。

『〇〇〇の滝入り口』という看板を見付けてから30分走ったと思います。
行けども行けども曲がりくねった砂道をひたすら脱輪しないように、友達は慎重に運転してました。

「さっきの集団が来たってコトは、どこかに抜け道があるんじゃない? それかキャンプ場とか?」。
友達がそう言うと、「たしかに…オレもそう思ってたんだ」。
さらに「さっきの集団ってサイクリング部かな? みんな同じような服装してたよね。きっと夏休みを利用した合宿なんだよ」と友達が言いました。
それは分かるのですが、オレには何か引っ掛かる部分…それが何かその時はハッキリ分かりませんでした。

さっきのサイクリング部の集団とすれちがってから10分くらい経った時です。

「あっ! また自転車発見!」

今度は一台だけの自転車に乗った人を500メートル先くらいに見つけました。

オレは友達に、

「今度は絶対停まってもらおう! どこから来たのか、この先に何があるのか、ちゃんと抜け道があるのか聞いてみよ!」

友達にそう言うと「うん、分かった。まかせておいて!」と頷きました。

さっきと同じように自転車一台通れるようにギリギリ横に避け(その時点で車一台分の道幅)、自転車が来るのを待ってました。

「すいませーん! すいませーん!」

自転車が見える100メートル程手前から大きな声で「すいませーん! すいませーん!」。
それでも自転車は下を向いたままひたすら走ってきます。

「すいませーん!!」
その瞬間、自転車は車の横でピタッと止まりました。ちょっと唖然とした空気が流れました。

「すいません…この先って抜け道ありますか?」

ボクがそう尋ねると、自転車に乗った少年は下を俯いたまま「あの…あの…」。
何を言ってるのか分からず「はい?」とオレは聞き返しました。

「あの…水…水ありますか?」

えっ? とは思ったけど、車にミネラルウォータのペットボトルがあったので「これ飲んでいいですよ」と少年に差し出しました。
真っ黒に日焼けしたその顔の少年は脇目も気にせず「ゴク! ゴク! ゴク…」と一気に飲み干すと、

「サイクリング部の集団とすれちがいましたか?」

と聞いてきました。

「あっ、その集団ならかなり先に行ったと思うよ? もしかしてキミも同じ…」

そう言い伝えると少年は「ありがとうございます…」と言って自転車に跨り、また走り去ってしまいました。
ボクらは呆気にとられポカーンとその少年を見てるだけでした。

でも、その時…さっき感じた「何かおかしい」が納得できました。
それは着ている服、自転車、ヘルメット、全て古いのです。
今の時代には違和感を感じてしまう程の古い装備をした少年。さっきの集団もそうでした。

オレは友達に「ねぇ…さっきの集団といい、あの少年といい何か古くない?」と言うと、「オレもそれ思った。なんか一昔前のサイクリング部だよね」と。

少年は立ち去ってしまい抜け道のコトも何も聞けずにボクらはさらに車を進めました。
行けども行けども曲がりくねった道を進めると、オレも友達もその辺りから何か異様なフインキを感じてました。

「まさかと思うけど…まさかね!」

オレが笑って答えると友達が、

「でもさっきの奴の顔見た? 汗ダラダラで目かっぴらいて、今日は暑いから分からなくないけど尋常じゃないよ?」

たしかにそう思いましたが、こんな真っ昼間からお化けなんて…しかも話もしたし。

いつの間にか車は山の頂上付近まで辿り着きました。
頂上付近に差し掛かると車一台分をないくらいの細い道幅になってました。

「これ以上先進むのマズくない? ちょっと車停めよう!」
オレがそう言うと友達も、

「うん、こんな所で脱輪したら大変だからね。ちょっとこの先どうなってるか車降りて見てみよ!」

二人は車を降り、砂道を歩いて道の先を歩いてみました。

しばらく歩くと曲がり角にぶつかりました。
曲がり角を曲がると…なんと道が無いのです。

正確に言うと車が通れる程の道幅が無いのです。
そこには一本の細い道があり、その先には階段がありました。

「えっ! マジで? なんで? さっきのサイクリング部はどっから来たの?」

二人は混乱してましたが、とりあえず先に見える階段を上ってみました。

そこにあったのは…

そこにあったのは『慰霊碑』と呼ぶにふさわしい高さの塔がポツンと立ってました。

オレは「まさか…」と思いましたが、自分の目で確かめてみたい気がして、その『慰霊碑』の目の前に立ってました。

すると…、

『昭和〇〇年〇〇〇県立〇〇〇サイクリング部 ここに眠る…』

背筋から頭にかけてピーンと寒気を感じました。

「まさか…さっきの…」

オレと友達は目を合わせ「まずい、これはまずい!」と言葉にならない声でお互いを見つめ合いました。

一目散でその場を去り、オレが車を誘導しながらゆっくりとバックで引き返しました。
バックで引き返した途中に見忘れてたのか…農道が横道にあったので、そこをひたすら走りました。

しばらくするとキャンプ場があり、とりあえずそこに車を停めキャンプ場の管理人にこの場所がどこなのか尋ねました。

管理人は「ここは〇〇〇キャンプ場です。本日ご予約したお客様ですか?」と尋ねられると、

「いいえ。ボクらは道に迷い、あの農道からこのキャンプ場にたどり着いたのです」

そう説明すると管理人は、

「えっ? あの道は通行止めになってませんでしたか? 〇〇〇峠ですよね? 向こうからは入れないはずですよ?」

と。今までの経緯を管理人に話すと、

「そうでしたか…ボクも詳しく分からないけど、今から数十年前にこのキャンプ場を出発した〇〇〇県のサイクリング部が落石事故に遭ったみたいで、〇〇〇峠にそういった慰霊塔がある話は聞いたコトがあります」

さらに管理人は、

「今日はお盆ですから…もしかして誰かに自分達の存在を忘れてほしくなかった。それであなた達の前に現れたのではないでしょうか?」

誰も信じようにもないような話だけど、その管理人さんは黙ってボクらの体験を聞いてくれました。

それから友達とその〇〇〇峠の方向に残っていたペットボトルを置き、手を合わせ帰宅しました。
これがある年の暑いお盆に起こった本当の話です。

自分自身、あの世とか霊とか信じない人間でしたが、やはりこういったコトってあるんですよね。みなさんの後ろにもw 

では長々とした文章にお付き合いしてくれた方々ありがとうございました。
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僕が所属している研究室は毎年夏休みゼミ合宿をやる(まぁ、どこでもそうだと思うけど)。

で、その際、隣の研究室と研究内容が似ているということと代々仲が良いってこともあり、合同でゼミ合宿をする。
で、こっち11人、あっち15人、結構な大所帯になる。

そこで今回世話役に先生から指名された僕は、兼ねてからやってみたかった百物語を提案した。
で、結構みんなノリがよく(もちろん怖い話がだめな女の子は除外)一人10話ほど作り話でもいいから話を持ってきて、と頼んだ。

そして、当日の夜。
案の定というか当たり前、というかみんな酒を飲み興も乗じてきた時に、

「それじゃ百物語やりマース」

と言ったら、つぶれてる奴や怖がってこない子もいたけど15、6人集まった。

で、まぁ、その後はろうそくに火をつけ、一人ひとり語りだしていくわけだが、全部で百話あるわけですよ。
言うまでもなく何回か話がかぶる。

語っている本人は酔っていることもあり気付かないが聞いているほうは気付く。
で、話がかぶっていることを注意する。蝋燭の火を手で払って消す前にね。

そして注意されたほうは慌てて違う話をする。
そんな感じで百物語は進んでいった。

もちろん、そんなんでネタがなくなった奴は聞き役に回ることになるが、15×10話は最低あるわけで、そうなったらなったで余裕がある奴がしゃべった。

で、最後の100話目が話し終わり、話し手が蝋燭の火を手で払って消した。

が、消えなかった。
消えなかった、というのは語弊があるな。
よく誕生日ケーキの上の蝋燭を消そうとしても消えないときあるよな。あんな感じだった。

消えたと思ったらまた点いて、そして、手で払って消したと思ったらまた点く、それが4、5回繰り返された。
あんまりにもその様子が滑稽だったから、思わずみんな笑ってしまったんだけど、その時、誰かが

「待てよ」

って言ったんだ。

「今の話かぶってないか?」

ともね。

もちろん、語った奴は

「かぶってねーよ」

って否定したけど、他のみんなは酒も飲んでいたこともあったし、はやし立てる感じで、

「おまえ、かぶんのは股間だけにしとけよ」

とか言ったりしてた。

「でもどうすんだよ、これじゃ99物語だよ」

と誰かが言った。

すると、

「じゃあ、まだネタというか話を持っているから俺が話すわ」

と言って一人が語りだした。

そいつの話は百物語の薀蓄だった。
うろ覚えだが、落語の死神の話から始まっていったと思う。
『百物語を行うと最後の話を終えた時、不可思議なことが起こるという。何でだとおもう? 落語の死神にあるように、蝋燭って言うのは人の魂、寿命の象徴なんだ。怖い話をするたびに一本一本消すというのはあの世へ少しずつ近づいていくということでもあるんだ』

『そして怖い話をする、ということは霊を呼び寄せる効果もあるという。霊の中にはもちろん、現世に満足して普通に成仏する奴もいればそうでないものもいる。そんなのから見ると、蝋燭が一本一本消えていくのはたまらないものなんだよ』

『落語の死神の話の落ちをしっているか? 最後、自分の子供の寿命の蝋燭と自分の蝋燭を交換しようとするんだ。現世に未練のある霊ならここにある蝋燭と自分のを交換しようとするだろうな。残念ながらここに残っている蝋燭はほとんど溶けかかってのこってないがね』

『あ、あとなんで手で払って消すかわかるか? 息というのも魂の象徴なんだよ。息を捕まえれば自分のと交換できるとおもっているんだよ。残念ながら息で火を消す奴はいなかったけど』

と言ってそいつは息で火を消した。真っ暗になった。

そいつの話は大して怖くなかったが、これから起こる事への期待と不安でみな黙っていた。

が、誰かが沈黙に耐えかねたのか、ぷ、と噴き出したのだ。
それにつられてみんな笑い出し、電気をつけた。

何もおきなかったのだ。

で、最後の話に非難が殺到する。
「最後にしちゃあ怖くねえよ」とか、「あれ、タダのウンチクだろ」とか。
そして、非難は幻(?)の100話目を話した奴にも向けられた。
「お前も最後の最後でカブんなよ」とか。

でも100話目を話した奴は「俺は絶対かぶってない」と言い張る。
しょうがないので、もう午前2時を過ぎていたけど、検証することにした。

ネタ本を持ってきている奴はそれを確認。
語った奴も何を語ったか思い出させてノートにあらすじを書かせる。

で、調べた結果、

かぶってなかったんだ。


じゃあ、誰がかぶったとか言い始めたのかが問題になる。でも、誰も言わない。

そして、隣の研究室の奴に「ks研の奴じゃないの」と聞かれた。
僕のほうもあまり聴いたことない声の奴だったから、隣の研究室の奴だと思っていた。

すると、

「いや、あんな老けたというかハスキーボイスな奴うちにいないよ」

と言うのだ。

うちにだっていない。

そして、その最後の話を語った奴もどちらの研究室にもいなかった。

最後の話を語った奴=かぶったと言い始めた奴、かどうかはわからん。
ただ、今思い出せばどっちも似た声な気がする。
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