1 無名さん

適当晒し852

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>>100
ドピュッ!
荒らしが立てたスレ
友達のHから聞いた話です。

Hが車の合宿免許に行ったとき、一緒の部屋になったKという人が御札の貼ってある枕を持参してきたそうです。
不思議がって聞いてみると、最初は嫌がっていたKが訳を話してくれたそうです。

Kが山中湖に友達数人とコテージを借りて遊びに行ったときのこと。
夜、車でみんなと飲みに行きK1人眠くなって歩いてコテージに帰ったそうです。

そのコテージの部屋で1人で寝ていると、枕元に誰かが座っている気配がし、「僕達、友達だよね?」と声がしたそうです。
Kは友達が帰ってきて酔っ払ってからかわれているんだろうと思い、無視していたがあまりのしつこさに返事をしてしまったそうです。

「そうだよ」

その瞬間、腕を引っ張られ外の林に連れて行かれたそうです。

そのとき、ちょうど車で友達らが通りかかり、誰かに引きずられてわめいているKを見つけみんなでKを捕まえたそうです。
みんな怖くなり荷物をまとめて家に帰ったそうです。

その明くる日の夜、自分の部屋でKが寝ていてぱっと目が覚めたとき、天井一杯に少年の顔が浮かんでいて、いきなり首元を掴まれ天井めがけて持ち上げられそこで気を失ったそうです。

朝、母親のわめき声で目がさめると天井に大きな穴が空いていたそうです。
怖くなり、知り合いの霊媒師に相談すると

「自分の力ではどうすることもできないので、枕にこの御札を貼って寝なさい。貼り忘れた時、あなた、連れて行かれますよ」

と言われ、毎日肌身離さず泊まるときはこの枕を持っているそうです。
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俺は幼いころ四国の某宗派の寺の跡取りになる予定だったらしい。
というのもうちの父方の家系は何代かに一度特異的に霊能力が強い子供が生まれるらしい。

曾祖父以来の霊能力のもちてが俺とのことだ。
しかし何にも見えたことのない親父は当時の住職の話など信じるわけでもなく、寺に入れてたまるかと言い結果俺は俗世間の人間と化したわけです。

そして今俺と親友の前田(仮名)は一緒に様々なひどい霊体験にあってきました。
そのことはわりと先輩達の中でも評判で、俺たちは肝試しという肝試しに幾度となくつれていかれました。

前置きが長すぎましたね。
今日は自分の住む神奈川県の湘南地方で体験した話をさせていただきます。

当時俺は中学二年生。
先輩達の中ではバイクで肝試しに行くことが流行っていました。

例のごとく俺と前田の霊感コンビは有無を言わさず先輩達に借りていたバイクにまたがり、近くの小高い山にある廃園に行きました。

山に近づくにつれてオレの右手に鳥肌があがりだしました。
オレの経験上こいつはやばいと思い併走している前田の方を向くと前田もやっべーなーって顔をしてました。

廃園から100m程はなれた駐車場にバイクをとめると、道路沿いの廃園駐車場前に中年のおっさんがいました。
前田と俺はこの悪寒の原因はあのおっさんだと思いました。

現に先を歩いている先輩達に話しかけてみてもやはり何も見えることはなく、

「えっ!? なんかいんの? 危なくね?」

と笑いながら言う低落振り。
俺からすればあんぐらいも見えないで心霊スポット巡りする方が危ないだろと思いました。

徐々におっさんとの距離も近づいていくと、おっさんはまるで煙のようにすっと消えていきました。


廃園に着くとまずは先輩達から廃園の中に入っていきました。

その時左にいた前田の横に急におっさんが現れ、にやっと笑うとまた煙のように消えていきました。

「なーここ多分本気でやばいよな」

タバコのソフト箱からタバコを取り出しながら前田が苦笑いして言いました。

「多分な。一回ひどい目会えば先輩も懲りるだろ」

とオレの提案に前田も乗り、二人して廃園で何か起こることはないかと見ていました。

すると急に叫び声がして先輩達が中からどんどん走って出てきました。

「やべー変な女のガキに睨まれたー!」

俺と前田にはおっさんしか見えなかったのでそんなわけはないと思いながらも、先輩達4人は凄い剣幕で走って逃げてきたので、これに懲りてもう肝試しに誘われることはないだろう。
とか考えながら、俺は前田と目を合わせて二人で先輩とともに原付まで走っていきました。

すると急に併走している前田の方から無邪気な女の子の笑い声がしました。
隣で走る前田も同じように聞こえたようでお互い気味が悪いと思いましたが、気のせいだと結論付けました。

この声もやはり先輩達には聞こえていなかったようでした。
駐車場まで着くと先輩達も落ち着いたようで、廃園の中で起きた出来事を話してくれました。

「廃園の周りの窓ガラスは割られていたけど、もう直されてたんだわ。で上の窓がひとつ開いてたからみんなで入るべってことになってみんなで入った。携帯のライトで辺りを照らしてみたんだけど一枚の絵があったんだわ。それをA、Bが『気味わりー』とか笑いながら言ってたら、降りた窓の前に女の子がいて、無我夢中で逃げて窓突き破って出てきた」

A先輩は「いやー死ぬかと思ったわ」と満面の笑顔で爽やかに言いました。

俺は本当に死なないとわかんないなと思いました。

「もう疲れたから帰るべ」

との先輩の一言で疲労感満ちた顔でバイクに跨って帰路に着きました。

駐車場を出てすぐに右手の鳥肌が立つと前田が急に叫びだしました。

「B先輩あぶねー!!!」

俺は内心では、は? Bさんはバイク上手いし何言ってんだ? たかが坂道で。

と思いましたが、前を見てみるとB先輩のバイクのケツにおかっぱ頭の青い服を着た女の子が座っていました。

するとB先輩はそのまま減速することも出来ず、縁石に直撃して雑木林につっこみました。
後日その時のことを奇跡的にも右手と左足の骨折で済んだB先輩に聞いてみると、

「あーあん時な。前田とお前が叫びだしてなんだと思ったからバイク止めようとしたけどブレーキ利かないでやんの。まじ死ぬかと思ったわー」


その話を聞いてあの幽霊がなんだったのか気になって仕方なかった俺と前田は、二人で各々で人に聞いたりネットで調べました。
結果としてわかったことはその幼稚園について、いくら調べても女の子の話は聞けませんでした。

しかし、あのおっさんはその幼稚園の死んだ園長で間違いありませんでした。
そこの廃園の卒業アルバムを中学校の教師に見せてもらいましたが、多少ふけているけどあのおっさんが載っていました。
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叔父の仕事場にお邪魔した時の話(長いです)。

新潟に母方の実家がある。
長期休暇があるときには母方の親戚一同がその家に集まる。

実家に住んでいる叔父は一人身で、家から遠くはなれた山奥の養豚場に勤めている。
朝早くから仕事があり、さらに片道最低でも二時間はかかるので、普段は仕事場に泊まりこんでいるらしかった。

七歳くらいの頃だろうか、夏休みのある日、いとこ四人+大人二人で仕事場にお邪魔することになった。
理由は良く覚えていないが、多分山菜を取りに行くとかそんな理由だったと思う。

海のそばにある実家から、車で長いこと揺られてやっと養豚場についた。
山奥だとは聞いていたが、想像していたよりももっと奥にあったので、少し驚いた。

養豚場は臭かった。慣れている人間にはそうでもないらしいが、養豚場なんて来たことのない者にとって、そこに居るのは正直苦痛だった。
そのため、大人が山菜を取っている間、子供たちだけで遊んでいようということになった。

養豚場から少し下ったところに結構な広さの空き地があったので、そこで鬼ごっこ等をしていた。
しかし、七歳やそこらの子供ばかりだったので、流石に長い間は持たなかった。

空き地でやることもなく、ただぼんやりとしていると、いとこのうちの誰かが「探検をしよう」と言い出した。
言うまでも無く、全員がその提案に賛成した。
親に許可を取って、探検に出かけた。
とりあえず空き地の周りを探索することになった。

そしてすぐに見つけたのが、「立ち入り禁止」と書かれた札。
札はロープにつるされており、ロープは林道をふさいでいた。

そんな札は子供にとって「入ってください」と言って好奇心を煽っているようなもので、四人は当然のことのようにロープを越えて林道を奥へと進んでいった。

林道は意外にも綺麗に整備されていた(舗道ではなかったが)。
何軒か、倉庫のような建物もあり、実家の近所にある林道と大した変わりがなかったので少し残念に思いながらも、さらに歩を進めた。

しばらく歩くと、前から人が歩いてくるのが見えた。
立ち入り禁止の場所から人が歩いてくるなんてのは今考えればおかしい事なんだけど、特にその時は気にならなかった。

段々と近づいてくるその人は、麦藁帽子を深くかぶって鍬を持っていた。
タオルを首から提げ、長靴も履いていたと思う。

典型的なお百姓さん、という感じの人だった。
歳は七十から八十といったところだろうか。

その人は俺たちの前までやってくると、地元の言葉で

「なんでこんな奥まで来たのか」

と話しかけてきた(新潟の訛りが強い人は早口なので、生まれてから今まで標準語で育った自分には良く分からなかったため、従兄に訳してもらった)。

俺が答える前に「虫でも捕まえにきたのか」と聞かれ、面倒なので頷いた。
「あんまり奥に行ったらいかんぞ」

そう言って、お百姓さんは俺たちが歩いてきた方へ歩いていった。

「なんか怖いね」

俺がそう言うと、いとこも同じ様に怖がっていた。

それでもまだ好奇心が勝っていたため、俺たちはさらに歩いた。

変化はなかった。倉庫があって、たまに耕運機の様な機械が置いてあるだけだった。

それでも、俺たちは何かに(多分好奇心に)とり憑かれたように歩き続けた。


また、人影が見えた。
麦藁帽子、鍬、タオル、土に汚れた長靴。

「なんでこんなに奥まで」

「虫でも捕まえにきたのか」

「あんまり奥に行ってはいかんぞ」

いとこは先ほどと寸分違わぬ口調で翻訳した。全く同じだ。リピートだ。

それが分かっているのは恐らく俺だけだったと思う。
後の三人にこの現象を怪しんでいる様子は微塵も感じられなかったのだ。

「なんか怖いね」

という言葉を、俺は発しなかった。
これを言うといよいよ俺までおかしくなるんじゃないかと思ったからだ(幼いのによくそんなこと考えたな、と思う)。

三人がまだ先に進もうとする。

「そろそろ戻ろう」

俺はそう提案したが、

「何も見つけてないのに探検から帰れる訳ないだろ」

と、三人のうちの一人が言うと、他の二人も同じ様なことを言った。

俺は渋々、三人についていった。


やはりそうだ。
倉庫はさっきのものと同じだ。耕運機も。

三人はそのことに気付いていない。

「おかしくない? 迷ってるよね」

俺がそう言うと、

「道が一本なのにどうして迷うのさ」

こっちがおかしくなりそうだった。

そんな状況でも、何故か好奇心が恐怖に勝っていた。
怖いもの見たさという感情が、幼い頃から備わっていたのかもしれない。


まただ。麦藁帽子。
もう耐えられなかった。
「ちょっときて!」

いとこの袖を引っ張り、俺は走っていた。

走っている最中に、いきなり走り出した理由を尋ねられたが、答えている余裕は、俺の心になかった。

しばらく必死に走って、気付いたらロープの前にいた。
スピードは緩めずに、ロープを飛び越えた。

そのまま、親のいるところまで駆け抜けた。
もしかしたら泣いていたかもしれないが、そこは良く覚えていない。


落ち着いた後、怪訝そうな顔をしている俺以外の全員に、先ほど起こったことをありのまま話した。
それはもうポルナレフの如く(冗談抜きでポルナレフのように)。

話し終わると、叔父を除く全員が笑っていた。そんなことあるわけない、といった様子で。

叔父は俺に近づいて、

「立ち入り禁止のところに入ったのか。じゃあ、狐か何かにだまされたんだろうな」

そう囁いた。

詳しく聞くと、どうやら立ち入り禁止の林道には結構危険な動物(熊か何かだった気がする)が出るらしく、許可を取っている猟師や林業関係の人のみが、本当に稀に利用する程度だという。
綺麗になっていたのは少し前に木材調達に来た業者がついでに荒れた道を整備していったのが理由らしい。

「狐かなんかが化けたんじゃないかってのは、この辺りにそういった話があるから、きっとお前たちも化かされたんだろうなと思ってね。でもどっちかというと警告だったんじゃないかな。これ以上進むなっていう」

じゃあ何で俺しか気付かなかったんだという疑問が即座に沸いたが、それを聞く気にはなれなかった。
というよりも、わかってしまったのだ。

多分狐(或いはそれ以外のバケモノ)は俺たちをずっと迷わせるつもりだったのだ。
警告ならそのまま帰れと言えば済むことだ。それをしないということは、そういうことである。

俺は誰にも話さないでおくことに決めた。


未だにこのことは話していない。
聞きたいと言われれば話すけど、聞かれもしないのにこんな話をして恐怖心を煽るのは気が引けるのだ(当事者たちには特に)。

実は後日談というか、中三の時に再び訪れた際に、またほんのりと怖い経験をしているんだけど、コレはまた別の機会に。

論文の演習ばっかりしてるうえに眠いので文体がおかしいかもしれませんが許してください。

それと、自分で読んでもネタに思えるけど一応実体験です。
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以前、お話しした、鎌を乗せて知らずに運転していた友人と、もう去年? の冬に、地元の海に遊びに行った話を今回投稿したいと思います。

12月も半ば、友人のAからの誘いでドライブへ出掛けました。
何の目的もなく、ブラブラと服を物色し、それからマックで昼食をとり、特に何もする事がないので夕方頃に(冬なので真っ暗)海に行く事にしました。

「何故に海?」

Aの話では、最近TVで騒がれたニュース。ご存じの方も居ると思いますが、僕は四国のその県に住んでいます。
そしてAが向かおうとしていたのが、その三人が置き去りにされた場所でした。

内心、ヤバいなぁと。それとこの話を投稿するのは危ういと思いましたが、直接の関与はない様なので…続けさせて頂きます。

到着した場所は、例の現場よりは少し離れた港。
もうすっかり日の暮れた田舎街の港には数個の建物の灯が光るだけで、波の音一つだけしか聞こえませんでした。

暖房の効いた車の中でAと僕はカーステの音を消して静かに、その波の音を聴いていました。

「こないだの事あったのに、お前はまだこーゆー事すん?」

「…気になるんやから仕方ないやろ」

ちなみにAの車は、新しく買い替えて、中古ですがミニバンに乗っていました。


ザザーッと波が鳴る中で微かに…変な音? 聴いた事の無い様な音。
甲高い音が水の中でうねる様な音。解り辛いですが…υ

「何か聞こえん?」

Aには聞こえないみたいでした。

その『音』をもっと確かに聞こうと窓を開けようとして窓の外にフッと視線をやった。

微かに街の灯が灯る中、遠くの方。
僕らの乗る車から50m程向こうから誰かがコッチに向かって呼んでいた。
両手を口元に添えて、大きく口をあけた姿。
暗くて姿こそ分かりませんでしたが、何となくの感じで女の人の様でした。

「ここ出ろ言よるわ。怒られるけん、早よ車出しなや」

僕は、この近辺の人が車のライトを消しているのにエンジンが鳴る不審な車が停めてるから注意をしに来たのだと思いました。

「あー…分かった」

少し飽きていたAはすぐに車を動かしました。

まずはバックにギアを入れて右へ旋回、そしてライトをつけました。
すると車の正面には、その女の人が真正面に入る位置になった。

「…何処おるん?」

ついさっきまで居た女の人は居なくなっていました。

「あれ…? …どっか行ったんとちゃう?」

ヤベェ…幽霊か!?

っと思う気持ちを殺し僕は助手席で煙草に火をつけました。
そして、少しだけ周りを見回した。

「……おった」

スタスタと歩く女性。

内心ホッとした瞬間に次の『疑問』が生まれ、その次の瞬間には僕はAに向かって叫んでいました。
「見たらアカン!! 逃げぇ!!」

「え? …え?」

どうやらAには全く見えていないらしくて、この『バカ』は『ソイツ』に向かって急発進しました。

「アホ!! 反対側に行かんかボゲ!! 死ぬぞ!!」

最初に『ソイツ』を確認したのは助手席側の窓から。
つまり車を中心とした左側。

  海   
――――― 
●←○(車)

こんな感じです。そして次に見たのは、

  海   
――――― 
  ○   
  ↓   
  ●   

でした。

何故、僕が疑問に思ったか?

彼女が二度目に現れた場所。それは海の上でした。

おかしな話です。
僕らは『いつの間にか』街の方に向けて車を停めていたんです。

車を移動させた事もないし、最初にライトを付けて車を停めた時には海の方へ車は停めていました。
なのに気付けば海の方へ。

そして運転手のアホは『ソイツ』の方へ急発進。

殺してやろうと思いました。正直。
だって正面にはソイツが居る。そしてそこは海。

僕は助手席側からサイドブレーキを入れて、無理矢理止めた。
「何すんやアホ!!」

「アホはお前じゃろ! 見いや!! 前、海じゃ!!」

「…あ?」

Aが事に気付き慌てて車を移動させる。
そして僕は『ソイツ』を見続けた。

ライトに照らされた海の上に立つ女。ライトの光でソイツの姿が明らかに見えた。
真っ黒いワンピース。首周りとスカートの端にレースの様なモノがヒラヒラ揺れていた。見た感じは普通の女性。

ただ一つ『普通じゃない事』。
彼女は顔が中央から真っ二つに『裂けて』いた。

血の跡は見えない。
だけどその『裂け目』のせいでどんな顔なのかは全く分からなかった。

車を急いでバックさせ街中へと車を走らせた。

『感じ』付いて来ては無い様なのですが一応、Aには帰ったらまず塩を体に浴びせて、それから家に盛る様にと注意した。

帰り際に半泣きになっていたAは少し面白かった。


彼女は僕らを招こうとしていたのでしょうか?

奇怪な音、知らずに動いていた車、裂けた女。
今回、僕も油断しっぱなしで何も分かりませんでした。
そしてこの話の更新がいつになるのか、載るのかも分かりませんので…
1月4日。丁度、年明けのすぐの頃からまたある『事』に巻き込まれました。

何も無く事が終わればまた送りたいと思います。ありがとうございました。
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《ノロイ》の映画、俺も何回か観ました。4回ぐらい! 笑。
これは、その《ノロイ》を初めて観た時の話です…。

約2年前ぐらいの寒い夜。
その頃、俺はホラー映画が大好きでその日もツ○ヤでDVDを借りて、彼女と二人でラブホに行き観ました。

俺ってツ○ヤでレンタルする時、いつも悩んだり探したりで10分以上はいるのに、その日は何故か《ノロイ》が目についた途端に体が勝手に《ノロイ》を手に取り、足早に《ノロイ》だけを借りました(いつもは4本ぐらい借りるのに…)。

彼女が、

「選ぶん早ッ!!」

って慌ててついてきて

「それだけ??」

って聞いてきたのを覚えています。

彼女が他にも借りたいのがありそうな素振りをしてるのをわかっていながらレジに並びました。

ラブホについてから、イチャつき終わると、そろそろ《ノロイ》を観ようという事になり、二人は、お酒を飲みながら真っ暗な中、テレビの薄暗い光だけ見つめていました。

俺「ノンフィクションやから、話長く、怖いの少し、って感じやろな?」

って彼女に言いながら真面目に観ていました。

予想通り、話だけの部分は結構あったけど、俺的には、かなり良かった。

でも…観てる最中から、異常に気になってる事が一つあった…。
この映画、母親とその子供が何度も出てくるんやけど、俺、この二人、知ってる!!

ラブホに入る前……いや!! ツ〇ヤに入る時にも母親と男の子が手をつないで歩いてるの見た!
ラブホに入る前、コンビニの中にもいた!
だから最初映画が始まって母親が写ってるの観た時、心臓が止まりそうになって5分ぐらい酒が飲めなかった気がする。
でも最初は似てるだけって思って普通に観てた。

でもやっぱり一緒!
全く同じ!!

でも酔ってるからだんだんどうでも良くなって普通に観てた。

最後、子供が血だらけになるシーンがあるんやけど、そのシーンが始まる前、2.3秒何も映ってない場面がある。

そん時に、俺は

「バリ中途半端やんけ!」

とか愚痴りながらトイレに行ったら、トイレの天井にある換気扇の中から

「まだだよ」

って子供の怒った感じの声がした!!

おしっこする寸前、ビビって我慢して慌ててトイレから出た…。

その瞬間、電気をつけようとしてた彼女が小さい声で

「あれ?!」

って言ったから、テレビを観たら怒り狂った奴が子供を血だらけにしていた!

まさか…とか思ったら予想もつかない展開になって…予想以上に中途半端に終わった…笑。
んで終わったから電気つけた。

電気をつけた途端、風呂場のすりガラスに髪の長い人影と小さい人影が写った…!

彼女は布団にもぐり、俺は慌ててDVDを取り出した!
DVDを取り出す為、一瞬人影から目を離していたから怖さ倍増↓↓

DVD取り出して視線を人影に戻すとそこには何もいなかった。

「ヤバいなぁ」

とか思って彼女の傍に行くと彼女はいつの間にか布団から顔を出していた。

でも何かおかしい!
いつもテンション高いのに今はやけに真面目な顔をして天井を見つめている。

俺「どうしたん?」

返事が無い…。

俺は、彼女が見つめているのは何か気になり天井を見た!

天井はベッドの上だけ鏡になっている。
その鏡には、彼女を中心に男の子が右、彼女が真ん中、女の人が左の川の字で寝ていた!!

その後は、もう慌てまくりで荷物をまとめて彼女を引っ張り部屋を出ました!
イチャついた後だった為、二人はバスローブのみ! 中は裸でした! 笑。

とりあえず慌ててフロントまでもうダッシュ!!!

バスローブの二人組を見たフロントの人は、

「どちらへ!?」

ってビックリしていました。
俺「着替えたいのでそこに入って良いですか?」

と聞き、フロントの中で着替えてチェックアウト!


【後日談】

彼女が言うには川の字で寝てた時、耳元で子供が

「赤ちゃんは? 赤ちゃんは? 死んでる? 死んでる?」

って聞いてきたらしいです!!

少し心配になった俺は半分無理矢理産婦人科に連れて行きました!
妊娠はしてませんでしたが、何故か膀胱炎になっていました!

そして俺も異変に気付き皮膚科へ…生まれて初めて性病になっていました…。性病って辛いですね〜↓↓

怖かったけど何故か性病のせいでかなりムカついて《ノロイ》を何度か観てもう一度あいつらに会ってみたかったけど二度と現れる事はありませんでした。

長文、読んで頂き有り難うございました。
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そう、あれは私が19歳の頃。
季節は秋を迎えて、少し肌寒く感じられた、そんな頃でした。

その日、私は休みを翌日に控えいつもの遊び仲間3人と深夜のドライブに繰り出したときでした。
いつものように、その辺をぐるぐる回り、ファミレスで談笑し帰るはずでした。

ただ違ったのは、給料日後で財布に余裕のあったという事。
私たちは相談し、遠出をしようということになりました。

が、免許を取ってまだ間もない友人は、比較的近場で済まそうという事で、一路S玉県はC山へのドライブとなりました。

高速を使ってしまうと1時間くらいで着いてしまうので、時間も早いということもあり下道でいく事になりました。
まだ、免許を持っていなかった私は後部座席に座っていました。

どれくらい経った事でしょうか。
日ごろの仕事で疲れていた私はいつの間にか眠っていました。

ふと携帯の時計を見ると、午前2時前でした。
そして、すでに山道を走っていました。

辺りは、闇に包まれ光の無いまさに「漆黒」という表現があてはまるそんな景色でした。

車のライトに照らされ、左手には小さな小川が崖下に流れています。
右手は山の斜面がコンクリートで固められた壁となっています。

そんな道を山頂に向かって走っていました。


起きてから30分くらい経った頃、運転していた友人Hが言いました。

『あっ! 事故ってる!!』

あわてて車外を見ると、相当のスピードを出していたのでしょうか?
左の緩いカーブがありまして、曲がりきれなかったんでしょうね……大型のRV車が山の斜面側の縁石を飛び越え横転していました。

車の窓から見ただけでしたが、暗闇の中、男性が2人・女性が2人車の前にボーっと立ち尽くしていました。
何となくですが、私たちの方を見ていたような気がします。
ただ私たちは、若気の至りか面倒な事もあり、笑いながら

『行っちゃえ! 行っちゃえ!!!』

といったノリで横目に彼等を見つつその場をあとにしました。


そして30分ほど経ち、私たちはC山頂上へ到着しました。
時刻はもうすぐ4時を迎えようとしていました。

山頂にはパーキングがありまして、そこからはパラグライダーなんかも出来たりします。
とりあえず昼ごろまで山頂のパーキングで眠り帰ることにしました。

しかし、そのときは誰も先ほどの事故現場の不自然さに気づいていませんでした。
私を除いて誰も……。

その事故現場の不自然さに気づいた人はいるでしょうか?
おかしいとは思いませんか?

深夜で車の通りも無く辺りは真っ暗…。車は横転し自走は不可能。

そんな場所に車のライトが見えたらあなたはどうします?
当然何らかの身振り手振りもしくは声をあげて助けを求めるでしょう?

しかし、そこにいた彼らにはそれがなかった。
ただ、私たちを四人そろって見ていただけ…。

そして、もう一つ。

なぜ私は暗闇の中、一瞬…ほんとうに一瞬通りがかっただけで男性2人、女性2人とわかったのでしょうか…。
思い出すとその時の光景が脳裏に浮かびます。

そう、たしかに大事故を起こしたにも関わらず、怪我も無いようでしたね…。
これもなぜかわかるんですが、年齢は大体20代前半から25歳くらいまででしたね。4人とも…。
あ…ちょっと肩が重くなってきました…。
でも最後まで書きます…。

その後何事もなく、無事に実家まで帰ってきたんですが。

後日、一緒に行った友人に気になってあの事故現場の事を聞いてみましたが、3人とも「覚えていない」そうです。

最初に声をあげた友人Hでさえも……。


…これは後日談なのですが。

その後、車の免許を取得し自分の車を買った私はどうしても気になりましてね…。
行ってきましたよその現場へ。昼間でしたけどね。

でもね……。

同じ道を通って山頂に向かったはずなんですが。
あの場所が見つからないんです。どうしても。

山頂へ向かう道はそこしかないんです。

昔、何かの本で『けっして2度といけない場所』というのを読みましたが…それは異界への門と書いてありました。

まさにそれかと…。


あの時、私たちは車を止めて助けようとしていたならばどうなっていたでしょうか…。

死んでいたのか…。
異界へとひきづられていたのか…。

あるいは…。
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これは俺がまだ大学に通っていたときの話。

俺は霊とかそぅいった類の話が大好きだった。
オカルト好きなのは俺だけじゃなくあと3人。仮にA・B・Cとしよう。

ある日俺達はBが聞いてきた話で、ある山奥にある廃校に行くことになった。
夜の7時に集合する予定だったがCが用事で行けないと言いだしたので3人で行くことになった。

1時間車を走らせてその廃校に着いた。
正直そのときはよくあるデマくらいにしか思ってなかった。

見た感じ雰囲気はある程度ある。
そのとき3階の教室に人影が見えた。

『あれ、なに?』

俺がゆったが他の2人は見えていないようだ。
俺が見たものはいつの間にか消えていた。

まぁ自称オカルト好きとゆうだけあって何度か霊は見たことあるので、そんなにビビってなく、本当にいるということで少し期待しているくらいだった。

とりあえず俺がなにかを見た教室に向かうことにした。

3階に行くまでの階段を登っているとき2階で物音がした。
ルートを変更して2階に行くと人影が見えた。

さすがの俺も近くで霊を見るとビビってしまう。
するとその人影は教室に入って行った。

教室前まで行って見てみると理科室だった。

『じ…人体模型でも動いてんじゃねぇの?』

とBは強がっているがBもビビってるのは明らかだ。

扉を開け、あたりを見回すが誰もいない。
『もぅどこかに行ったのかな?』

Aが言い終わった瞬間、

『ワァッ』

と机の後ろから何かが飛び出してきた。

3人とも情けない声を出してしまった。

よく見るとCだった。
Cは俺達を驚かせるために早くに来て待っていたらしい。

『おまえほんまやめろよー…』

横のAは腰を抜かしていた。

気を取り直して、4人で3階に向かうことに。


そして、問題の教室前。

じゃんけんをしてBが扉を開けることに…

『行くぞ…せーのっ…』

ガラガラ…

全員目を疑った。

その教室はいたるところに血がとびちっていて凄まじい刺激臭がした。
Αはしゃがみこんで吐き出してしまった。

とりあえず教室を出ようと思ったが急にドアが閉まった。
どれだけ叩いても開かない。

『どーなってんだ!! クソッ…』

『おい、こっちに抜け道があるぞ』

Cが地面を指して言った。

抜け道…?
この部屋に入ってまだわずか数分…この部屋を知っている人しかわからないような隠しようだった。

よく考えるとなんでCはここに来れたんだ?
俺達はここを見つけたBの運転でここまで来た。なのになんで…?

『ほんとか?』

Bが駆け寄って行った。

『待て!!』

遅かった。CはBを引っ張り床下へ消えて行った。

もぅダメだ。今はここから逃げ出さないと…。

ドアを叩き続けていると、ガラガラ…ドアが開いた。

俺はAをかついで走った。振り返る余裕もなく、無我夢中で走った。

階段を飛ぶように降りているとき笑い声が聞こえた。小さい女の子だろうか。

『逃がすわけないだろ』

焦りすぎた俺は足をからませ転んでしまった。

階段を降りてくる足音がする。血まみれの女の子がこっちに向かって来る。
終わった…そぅ思った。

『あーぁ…時間だ。またあとでね』

そぅゆうと消えてしまった。

助かった…。


…………ガバッ

『ハァ…ハァ…』

あたりを見回すと見慣れた景色。俺の部屋のベットだった。

『夢…か…』

安心したが最後の、

『またあとでね』

がやけに脳に残っている。

時計を見ると昼の2時だった。

だが別に今日はなんの用もないのでゆっくりしようと思っていたが、メールが一通届いていた。

『ちょっとおもしろいとこ見つけてな。廃校なんだけど今夜行こうぜ。じゃあ夜7時に〇〇駅集合な。あとCはダメみたいだわ。じゃあよろしく』

Bからだった…。
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╚╝╚╝╚╝╚╝╚═══╝╚═╝。
初めて投稿させて頂きます。
長文でかなり駄文、読みにくい箇所もかなりあるとは思いますが良ければお付き合い下さい。

まず、前置きとして、私・母・母の母方の祖母(つまり私のひいおばあちゃん)にはかなりの霊感があり、その霊感的なモノはひいおばあちゃんの家系から代々女に流れ落ちているようです。
私の霊感もかなりのもので、見える時期・見えない時期や感じるだけの時期等波はありますが、よく夢を見たりそこにはいるハズの無いモノ、周りからは認識されないモノがよく見えたり感じたりします。

さて、今回は一番最近に起きた少し怖い話をさせて頂きます。

夏頃の話です。
その日は仕事が休みで、久々に朝寝坊しようと、いつも起きる時間に一度起きてトイレに行き、二度寝をしようと再び布団に潜り込みました。

その二度寝をした際、本当に怖い夢を見ました。

暗い、地下のライブハウスのような、妙にうるさい場所に私はいました。
うるさい、というのが分かるから実際はかなりうるさかったと思いますが、それがなんだかフィルターの掛かったように、私の耳にはぼんやりと騒がしいドラムの音や騒ぎ声、カラオケの室外に漏れるような重低音の振動が響きました。

ここはどこかと辺りを見回していると、どうやら私は暗い一室に横たわっていたらしい事がわかりました。
意識通りに動けず、ただ室内を見回しただけなのですが、そこがライブハウスで、防音設備の整ったであろう、クッション性のあの独特の壁、小さな丸い覗き窓? のある、壁と同じ材質の重そうな、分厚そうな扉。
窓は無く、本当に真っ暗で息の詰まる空間でした。

ふと気が付くと、同年代の男性三人、女性三人がこちらをニヤニヤして眺めています。
六人共私服で、女達は少し前のヤンキーのような、男達もそんな感じと出で立ちです。

同年代、と前述しましたが、その時私は「高校のクラスメイトだ」と認識しました。

夢を見た当時私は高校生ではなく成人しています。
そしてその男女は見覚えがありませんし知ってる人ではありませんが、何故か「そうだ」と認識して、理解出来ていました。

と、同時に、「イジメられている」、と。

そこまで、一連として「意識が流れ込んで来る」と、唐突に女の一人が「私」に近寄って来て、髪を掴みました。

「テメーあんまり調子乗ってんじゃねーぞコラァ!」

その言葉を合図に、女達が次々罵声を浴びせ(生憎と覚えていませんがかなり酷い罵声を浴びせられました)、どこからかハサミやらナイフやらを取り出し、顔の傍にちらつかせてきました。

刃物の恐怖に私はすっかり縮み上がり、目をギュッと瞑った瞬間、ジャキジャキと「自慢だったストレートヘア」を切り落とされました。
このシーンから、「私視点」だったのがそのシーンをまるでテレビカメラがあるかのように、実際にはモニターを通さず直接見ているのですが、絶妙なポジションでその光景を「私」が見ています。

もちろん「私」は伊吹の容姿ではありませんが、第三者的視点からそれを傍観していても、「私が叫んでいる」、「私が今まさに髪を…!」と意識や行動はしっかり自分が行なっているような感じです。
分かり難いかもですが、視点のみどっかに行った感じなんですよね。

叫んでも、騒音にかき消されて届かない。
そうこうしているうちに、私の身体はいいように次々男達に犯されました。

辛くて、苦しくて、叫んでも叫んでも目の前の男も、周りの女達もおかしそうに笑うだけ。
しまいには、「私」を犯す男に思い切り首を絞められた。

そうして「私」の意識は途絶えました。


代わりに私、伊吹はようやく夢から覚めました。

見慣れた天井、見慣れたカーテン、見慣れた寝具。
ただいつもと違うのは、異様に汗は掻いて、涙を流していた。

それを認識した次の瞬間、ある事に気がつきました。

身体が動かない。
金縛り。
そして、息が出来ない。
ハッ、ハッと、荒い息遣いだけが室内に響く。
…夢の時と同じように、聞こえてくる自分の吐息にも何故かフィルターが掛かったようにくぐもってきこえる…。

息が上手く吸えず、気が動転しながらも自分自身の意識の奥底は妙に落ち着いていて、必死に「早九字を切れ!」と自分に命じています。
私は意識の中で早九字を切るイメージを浮かべ(臨兵闘者皆陳烈在前…というヤツ、件の霊感のあるひいおばあちゃんに教わりました)、二、三回九字を切りました。

すると、急にフッ…と身体から何かが抜けるような感覚になり、金縛りが解けました。

その瞬間、目からは熱い涙がボロボロととめどなく零れ落ち、「怖かったね…」と、無意識のうちに呟いていました。
私が、じゃありません。「彼女」の身に起きた事がです。

暫くは(と言ってもほんの一、二分程度ですが)上手く息が出来ず息苦しかったですが、それも暫くすると治まりました。

時刻は午前十時。

母が近所のスーパーの朝の特売から帰宅し(笑)、居間で呼吸を整え涙目でぼんやりと佇む私を見て、すぐに一言。

「ははぁ〜…アンタ、夢見せられたね」
「夢を見せた」彼女は、私と波長が合った上に私が霊感があるものだから、たまたま私に夢を見せて(というか彼女の体験を)、ただ単に「世の中にはこういう事もある」というのを伝えたかった、「私が受けた恐怖」を分かって欲しかった、というだけで実害は無かったそうです(彼女が既に亡くなっているのか生きているのか(生霊?)は定かではありませんが)。


以上が一番最近に私が体験した怖い話です。

あまり怖くは無いかもしれませんし、拙い文章でしたがここまでお付き合い下さり幸いです。

他にもまだ体験談がありますのでまた投稿させて頂きます。
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╚╝╚╝╚╝╚╝╚═══╝╚═╝。
甲府方面にある旅館に泊まった時の話。
長文になりますので長いの嫌いな方スルーしてください。

俺と彼女が付き合い始めて1年ちょっと経った時に、記念にと思い電車で旅行をした時の事。

特に目的地も決めておらず、ぶらり旅気分で泊まる所も適当に確保するという感じの旅行だった。
初日は山梨方面に向かい、なんとなく清里で降りてホテルに泊まった。

次の日、ホテルを出て富士山方面に電車で向かった。
甲府駅で降り、城跡を見たりして夕方近くに再度電車に乗り込み静岡方面へ。

途中で温泉街を見つけたため、その日の宿を探そうと電車を降り、駅においてある案内板で旅館を探し電話をした。
近場の旅館やホテルは満室だった為、温泉街から少し離れた宿に電話をして空室を確認し迎えに来てもらった。

迎えの人は30分過ぎても来ず、1時間後に軽のワゴンで到着した。
この時点で少し嫌な感じ(霊的な意味ではなく、失敗したかなと)がしたが、迎えに来てもらっている手前何も言わずに車に乗る。

車はきれいなホテルや旅館を尻目にずっと進み、山奥の方へ。
周りには川しかない環境で不安は更に増していった。

結局、着いた旅館はボロボロで周りには店も何もない。
既に辺りは暗くなっており、本当に廃墟のようにしか見えない。

旅館に着いたは良いが、女将が迎えるわけでもなく、仲居が来るわけでもない。
運転してきたおじさんが部屋案内をする始末。

食事の時間だけ告げるとそのおじさんも直ぐにどこかへ。

客は一応他にも居るようで、横の2部屋がうまっていた。
食事まで時間があったので先に風呂に入ろうと言うことになった。

でも、風呂場へ着くと風呂は一つしかなく、女性と男性の使用が交互に時間で区切られていた。
その時間帯は女性の使用時間だったため、彼女だけ先に入ることに。

俺は疲れのため部屋で炬燵に入りながらウトウトしてた。
それからしばらくしていきなり金縛りに。

炬燵の中に入れていた足先からゆっくりと何かが這い上がってくる感じがしてるけど、身動きが一切とれない。
ズズズという音が耳元で聞こえ始め、まぶたを開けようにも眼球の上を皮ごしに誰かが押しているような感じで目が開けられない。

耳元のズズズという何かを引きずるような音は近づいてきており、ズズズに混じって人の息遣いが聞こえる。

ズズズ、ハァ

ズズズ、ハァ


という一定のリズムで誰かが何かを運んでるような感じの音と息遣い。

そして「タスケテ。タスケテ」と小さく聞こえる呟き声。
足元からは何かが這い上がってきてるように感じる。

その時、入り口の襖が開き彼女が戻ってきた。それと同時に金縛りも解けた。
かなり汗をかいており息も荒くなっていた。

彼女は心配していたが、あまり心配させたくなかったのと、自分自身も安心したかったので変な夢を見ただけと言い風呂へ行く準備をした。
しかし、男性の使用時間は食事を持ってくる時間と重なっていた為、先に食事を食べる事に。
この食事が不味い事、不味い事…。

食事をした後に風呂場へ向かうと誰もおらず独占状態。
誰も居ないのを良い事に風呂場で泳ごうと思い、足を湯船につけるとぬるい。ぬるすぎる。
その為湯船に入っても全然温まらずに寒くなる一方。

イライラしながら更衣室に向かう途中、窓から「コツコツ」と誰かが叩いた。
ビクッとして窓を見るが外は真っ暗で何も見えない。

先程の金縛りを思い出し、怖さが急に沸いてきて逃げ出すように更衣室のドアを開けようとした。

その瞬間、「コンコン」と再度誰かが窓を叩く。
コンコン、コンコンと2度3度と繰り返し叩いてくる。

何かを確かめようと、窓に目を向けかけた時、

コンコン(ズズズ)コンコン

と何かを引きずる音がまぎれて聞こえた。

そのため、直ぐに更衣室へ行き、体も拭かずに浴衣を着て部屋へ逃げ込んだ。

部屋に戻り彼女に先ほどまでの事を話すと、彼女は

「ここお化け屋敷みたいだもんねー」

と俺を落ち着かせるために、笑いながら「疲れよ、疲れ。暖かい物でも買って来るね」と言って部屋を出た。

俺は怖いのと、彼女にそんな醜態を見られて恥ずかしいのとで複雑な気分で待っていた。

しばらくして彼女がココアを持ってきてくれたのでそれを飲み、押入れの上段から布団を取り出し、敷いて早めに寝ることに(布団も自分で用意する旅館でした)。
二人とも疲れていたため直ぐに眠りについた。
が、夜中にいきなり横の部屋から叫び声が聞こえて目を覚ました。

彼女と二人で顔を見合わせて何があったのか耳を澄ましていると、横の部屋の客が廊下にパタパタと逃げている音が聞こえる。
女性客2人らしく二人でワーワー言いながら廊下で騒いでる。

夜中に何を考えてるんだ、というのと睡眠を邪魔されたのとで、文句を言おうと怒り気味で廊下へ出た。

俺が廊下に出た事に驚いたようで、女性客は大泣きしながら

「キャーーーー」

と叫びだす。

その声に、彼女も何事かと廊下へ出てきた。
彼女達は泣きながらガクガク震えており、一人に至っては発狂状態になっている。

さすがに、怒る事はせずに「どうしたんですか?」と聞くも震えるのみ。
自分達の部屋へ呼ぶも拒否して首を振る。

しばらくその状態が続いたが、彼女らは段々と落ち着いてきた。
しかし「どうしたんですか?」と聞いてもその質問には一切答えない。

ただ、彼女達の部屋に何かあるようでずっとその方向だけを見て「あっ。あっ」という感じ。
何か不審者でも出たのかと思ったため、自分の部屋に戻り、入り口にあった箒を持って彼女達の部屋へ入ろうとすると、「あ、や、やめたほうが」と服を引っ張り止められる。

「あ、いや、大丈夫ですよ。何かあれば直ぐに逃げますから」

と言い、中へ向かった。

中は明かりがついており、入り口から部屋全体を見渡せる。
変わったところは何も無く、誰もいない。

廊下へ戻ろうとしたときに入り口の真横から、

ズズズ、ズズズ

と音がした。

焦って廊下へ逃げ出したところで、誰かが入り口横の押入れに居るんだなと思った。

すぐに部屋のドアの前で身構えて、「おい、出て来い」と叫んだ。
すると横の部屋から男性客が出てきた為、又女性客たちの悲鳴が聞こえた。

男性客に事情を話し、多分部屋の入り口横にある押入れに誰かが隠れてるのではないかと伝えると、男性が従業員を呼びに行くように女性達に指示した。
男性客は、「私が中へ行くから援護してください」と彼の部屋から同じように箒を持ってきて中へ。

まずはドアを開けて部屋を見渡す。誰も居ない。
次に横の押入れのドアの前に立ち、開ける準備をした。

その時、

ドン!! ドン!!

っと押入れから鳴り、

ズズズ、ズズズ

という音と共に襖が少しずつ開き始めた。
襖はゆっくりと開いていき、その襖の間から何かを引きずっている音とともに人の体の一部らしきものが見え始めた。

襖の間から手が出てきた瞬間に男性客は思いっきり襖を閉めて、相手の手をはさんだ。

しかし、その手の主は何も言わない。それどころかズズズとはさまれた手を出してくる。

すかさず、男性客はその出てきている手を思いっきり箒の柄の部分で殴る。

が、相手は何も言わない。

俺は何だか嫌な気分になり箒でおもいきり手を中に押し込めた。

その瞬間、

ガンガン、ガンガン

と後ろの窓が叩かれ、

「ああぁあぉっぁあ」

と変な声が聞こえたので振り向くと、窓ガラスがまるで鏡の様な状態になり(外が真っ暗だった為)、部屋の様子が映っていた。

箒を持って立っている俺。
その横に同じように箒を持って立っている男性客。
部屋の様子は同じ。

ただ違うのは、窓ガラスに映っている押入れは開いており、押入れの上部分に奇形の人間らしきものが、ベタと這い蹲ってこちらを見てる。
一瞬何がなんなのか分からないまま、直ぐに押入れに向き直ると部屋の押入れが開いた状態になっている。
ただそこには誰もいない。男性客も同じものを見たらしくキョトンとしてる。

どちらともなく、再度窓ガラスを見るも窓は部屋の様子を映しているのみ。
そこには先ほどの奇怪な人物は居ない。
それから30秒ぐらいたったあとに、従業員の女性を連れて来た彼女達が戻ってきた。

男性客と俺は何をどう説明すればいいのかわからなかったが、起きたままの事を話す。

女性達は「もう、いやー。帰る。もう、帰る」と泣きながら叫び、従業員は

「そんな事在るわけない、今までそんなことがあったことは一度もない」

の一点張り。

男性客が、

「確かに居た筈なんですけどね。。なんだったんでしょうか」

と俺に聞いてくる。

彼女も「本当に見た? 見間違いじゃなくて?」と不安な様子。
俺も本当に見たのかどうか段々と分からなくなる。

ただ、箒で叩いた時の手の感触などはある。
男性客も同じようで、「見間違いのはずはないですけどね」と言う。

従業員は「この旅館でそのようなことはありません!」とむきになり、部屋へ入り押入れを見渡す。

そこには何も無い。
押入れの下部分には布団が入ってるのみ。
「誰もいないじゃないですか、ただの見間違いです」

と威圧的な態度で言う従業員。

ただ、振り向いた際に「ヒッ」と驚きの声を出し尻餅をつく。
俺は何が起きたのかわからずに従業員が見ていた方向、窓を見るも何も映ってない。

再度、「ひぃーー」と押入れから離れて廊下に逃げ出す従業員。
何が何だかわからない客一同。

「何ですか? どうしたんですか?」

と聞くと、

「下、押入れの下」

と言う。

直ぐに男性客が部屋に入り押入れ下を見るも布団があるのみ。
反対側の襖を開けて確認してもやはり布団があるのみ。

「なんですか? 何も無いですよ?」

と言った瞬間、6人全員がいる状況で窓ガラスが

コンコン、コンコン

と叩かれた。一斉に窓を見る。

窓には部屋が映っている。人数は合わせて6人。

窓には廊下に座ってる従業員も映ってる。
女性達も映ってる。俺も彼女も映ってるし男性客も映ってる。
ただ、布団と布団に挟まれてもう一つ顔がある。
男性なのか女性なのかは分からないが、顔らしきものがある。

男性客が直ぐに押入れから離れて確認する。
その様子も窓には映っている。しかし、俺を含めた他の人たちの目は窓の中の押入れに釘付け。

その顔らしきものは、

ズズズ、ズズズ

と音を出しながら出てこようと顔を引き摺って体を捩ってるように見える。

ズズズ、ズズズ

の間にハァと息遣いも聞こえる。

男性客はそこから逃げるように後ろへ。それを追いかけるようにズズズと顔も出てくる。

そこで彼女は違和感を感じたらしく「そっちじゃだめ!」と男性客に言った。

ちょっと表現するのが難しいが通常、鏡は前後が逆に映る。
つまり男性客が後ろにさがれば男性客の背中が窓に大きくなって写る。同様に顔が近づけば顔も大きくなって写ってくる。

ただ、彼女の一言で気付いたのが、顔は布団から出てきてると言うよりも、窓から出てきてるように見える。
男性の背中は大きくなって写っているが立体感は無いのに対して、顔は出てくれば出てくるほど立体感を増している。
男性客に「こっちへ逃げて!」と言うと直ぐにこちらへ逃げてきた。
顔はどんどん布団から這いずって出てくる。

ズズズ、ズズズ

という音は入り口横の押入れから聞こえるが、窓から顔が立体的に出てくる。
それと同時に段々と顔だったものがはっきり見えだす。

今まで顔と思ってたが、顔で合ってるのかどうかを疑いたくなるような奇怪なモノが窓から出てきた。
それはグチャグチャな薄桃色の塊だった。

体はグチャグチャになっており、それを顔のような塊が引き摺っていた。
その際に出る音が「ズズズ」だった。

人の目の場所に垂れさがった目玉と口の位置に窪みがあるため、人の顔に見えてただけで、実際は布団から何が出てきてるのかわからない。

今まで発狂していた女性客達も、何が起きてるのかわからずただ呆然としている。

その瞬間、

「そっちじゃねぇおぉ」

と後ろから声が聞こえた。

それと同時に顔の様な塊は、

「ああああああああああああああああああああああああああああ」

と動物の鳴き声の様な叫び声を上げて凄い速さで這いずり回り、窓の外に向かってくねくねと動きながら這って行った。
本当に何が起こったのか、何だったのかは分からず仕舞い。
全員が何も声を発せれないし、理解しようにも理解できない状況。

時間がたち寒さを感じ始めてきてから男性客が、

「とりあえずロビーかフロントにでもいきませんか?」

と全員に向かって言い、玄関前のロビーに向かい、他の従業員も駆けつけて暖房を入れてもらった。
毛布やら上に羽織る物やらを用意してもらい暖かいお茶を飲みながら朝まで無言で待った。

他の従業員達には女性従業員から話をするも信じられないと口にしていた。
さすがに大人6人が震えてるので信じるも何もないだろうが。


朝方になり女性客達は荷物を取ってきて欲しいと従業員に告げて、

「なんでこんな目にあうのよ。なんなのこの旅館」

と文句を言い始めた。

男性客と俺と彼女は少し話をして、起こった事を整理しようとした。

「窓の外は墓地か神社でもあるんですか?」

と彼女が従業員に聞くと、

「外は崖になっていて、直ぐ下に川があるだけです」

と答えていた。
そこで風呂場で起こった事を従業員に話すと、風呂の外も川だけとの事だった。

結局何が起こったのかはさっぱりわからず。


外が明るくなってきたので、従業員が朝食を持ってきて、それを食べた。
女性客達は直ぐに帰りたいからと、タクシー呼び、取ってきてもらった荷物を持ってそのまま旅館を後にした。

男性客と俺と彼女は部屋に戻り荷物を纏めようとしたが、やはり恐怖が残っており、他の従業員についてきてもらった。
そして荷物をまとめて車で駅まで送ってもらう事に。

男性客は車で来てたようで、そこで挨拶を交わし別れた。

車に乗り込み、駅へ向かう途中車窓から川の方向を見たときに何かが居る様な気がした。
ただ、何も見えなかった。

駅に着き、運転手が「本当に申し訳ございませんでした。又の機会をお待ちしております」と言い帰っていった。

二度といくか。


彼女と色々考察してみたけど、あの塊が霊だとしたら何なのか。
誰かに憑いていたのか。それともあの旅館にいたのか。
俺が金縛りにあった時に聞こえた「助けて」は誰が言ったのか。

結局わからないままです。
自分が何となく思ったのは、部屋によって異なっているだけなのかもしれませんが、布団の置き場所が上下段が異なっていたのと、女性従業員に聞いた際に自棄にむきになって否定してたので、旅館側は何か知ってるのかな? とも思います。

自分は二度と行く気は無いですが、未だにその旅館はその温泉街で経営を続けています。
場所は言いませんが、その辺りは何か曰くでもあるのかもしれません。

ただ実際変な体験だったので表現するのも難しく、実際のところ何もわかってません。
オエーー!!!! ___
    ___/   ヽ
   /  / /⌒ヽ|
  / (゚)/ / /
  /   ト、/。⌒ヽ。
 彳   \\゚。∴。o
`/    \\。゚。o
/     /⌒\U∴)
     |  ゙U|
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         U
御覧になられている皆様、「戦国無双」というゲームをご存知でしょうか? 
プレイヤーは一人の武将を操作して、迫って来る何百人もの敵兵を時には武器で、時には馬に跨がって弾き飛ばして倒していきます。

この話は先に掲載して頂きました「お棺からモヤ」のAさん姉妹が体験したお話です。

自分がこの話を聞いた時に真っ先に頭に浮かんだのが、タイトルにあります「戦国無双」と言うゲームだったもので長々と説明させて頂きました。
そのことを頭の片隅にでも置いて読み進めて頂ければ幸いです。まぁオチが読めてしまいますが。

Aさんの妹さんが自動車免許を取得いたしました。
妹さんは地方在住ですので、東京や大阪等々都会のように「助手席の花」と言う訳にもいかないのでしょう。それから間も無くしてAさんが帰郷します。

今回は特別な理由も無く、単に休暇を利用した帰郷です。
実家に帰ったところで別段やることも無くダラダラしてたAさんは、妹さんの運転練習も兼ねて山一つ離れた叔母さんに会いに行くことにしました。

二人は実家の軽自動車に乗り込んで一路叔母さんの家へ向かいます。
ルートは二つ。トンネルを通って行く近道と、林道を通って山をグルッと廻って行く道です。

勿論早く着くトンネルルートで行こうとしたものの、運悪く点検の為の通行止めとなっておりました。
仕方なくもう一方の林道から向かうことになりました。

道を軽く戻ってから細い脇道に入ります。
そこから先は未舗装で、道なりにするすると進んで行くとググッと曲がるカーブがありまして、その先は大体200メートル弱の直線になっています。
そこを抜けるとT字路になって舗装道路へと繋がります。
その直線が細くて、Aさん曰く「軽(自動車)がすれ違えるかどうか」ってコトから想像すると、道端は約4メートルだと思います。

妹さんは初めての未舗装道路に緊張している様子で、Aさんは緊張を和らげようと話し掛けたりしていたそうです。
その話に途中までは答えていた妹さん。しかし、直線手前のカーブ直前になって急に黙りこみます。

Aさんは「やっぱり、ちょっと急で未舗装のカーブは恐いよねぇ」って感じで、優しい眼差しで妹さんを見守っていたそうです。
そんなAさんの予想を裏付けるように大幅なスピードダウン。二人を乗せた車はそろそろとカーブを曲がって行きます。

カーブを曲がりきって直線の道が現れます。その数秒後…。

妹さんアクセル全開!!
何を思ったかその直線を物凄いスピードでトバしていきます。

車はガタガタと揺れまくりまして、Aさんは思わずダッシュボードと天井に手をつきます。

「一体何事か!?」

と妹さんの顔を見やると、何だか物凄い必死な形相でハンドルを抱える様に前方を睨んでいます。

この時、なんとかして妹さんを和ませようとしてAさんが放った一言!!

(スッゴい可愛い感じで)「うわぁ(笑)、 スッゴい揺れるねぇ(はぁと)」

…ハイ、無視です…。
スピードと振動に耐えているとT字路にやって来ました。
そこで一気にスピードダウン。そしてすぐに左折すると、何十メートルか走ってから路肩に車を停めました。

そして妹さんは、停車するやいなや速攻で車から飛び出して、道端に座り込んでゼイゼイと息を切らしています。
妹さんの様子にただならぬものを感じたAさん。すぐに車を降りると妹さんの元に駆け寄ります。

「大丈夫?」

と声を掛けようとすると、妹さん突然の一喝。

「いい加減にしてよっ!!!!」

Aさんは唖然とするほかありませんでした。


さて、ここからは妹さんが何を見て何をしたのか、それを解説致します。
話は、車が脇道に入った所まで戻ります。

確かに軽い緊張感を感じていた妹さん。
まぁ緊張感とは言っても『安全運転で行こう』としての、あくまで良い意味での緊張でした。

お姉さんとの会話もしつつ進んで行くと、何だか妙な不安感が募ってきます。
何かしら嫌なコトが起こってしまうような、そんな胸騒ぎとゾクゾクとした悪寒が段々と強くなっていったそうです。
それが直線手前のカーブでMAXに膨れ上がります。

以前掲載して頂いた話で触れました通り、この妹さんには霊感が有ります。

妹さんはこの悪寒に「この先には何か、とてつもなくヤバいモノがある!」と、直感でそう思ったそうです。
しかし道端が狭い為にUターンには自信が無く、バックで元の道に戻ろうにも既に進み過ぎてしまっている現状に『戻る』という選択肢がまず消えます。

ではここで一旦停まろうか。これはシックスセンスが「絶対ダメ!!」と全否定。
気が乗ろうが乗るまいがお構い無しに、消去法により『進む』を採択致します。

恐怖感を抱えてそろそろとカーブを曲がって行くと、続くストレートに物凄い光景が待っていました。

その直線。200メートル掛ける4メートルのその道路一杯に、溢れんばかりに幽霊さんが…。
老若男女入り乱れて、そりゃあもうギッシリと!!

…そんな光景目の当たりにしたら、幸いなるかな一度として心霊体験の無い私なんぞは簡単に失神&失禁です…(下品で失敬)。

さて妹さん、この段階で本当に困ります。

眼前にひしめく亡者の群れ。それがサッパリ見えてない姉とバッチリ見えてる自分。
手の内からはもうすでに『戻る』『停まる』の札は零れ落ちて、残っているのは『前進』のみ…。

「行くしかない!」
気合一発腹をくくった妹さんは、前方を睨み付けつつアクセル全開!!
幽霊の群れに突っ込んで行きます。もう特攻です。バンザイアタックです。

そこから先はもう正に修羅場。
車の回りにびっしりと幽霊さんが貼り付いて、皆様揃って怨めしい顔で睨んできます。

勿論バンバンと車を叩きまくる方もいらっしゃいます。
その中には、車の中にまで入って来る方もいらっしゃいますが、その様な方は妹さんの気合いでもって、丁重にお引き取り願います。

そんな修羅場の途中にもかかわらず、お姉さん(Aさん)が甘ったるい声で話して来ます。

「うわぁ、スッゴい揺れ…」

妹さんの心の声:「ウルッサイわぁ!! 黙っとけ!!!」

迫り来る幽霊の群れを切り裂いて進む軽自動車の前方に、ちらちらとT字路が見えてきます。
どうやら舗装道路には幽霊さんは居ない様子。

しかしそのままのスピードで突っ込むとなると事故確定。
下手をすれば今現在車に貼り付いてらっしゃる方々の仲間入りもあり得ます。

そこで、舗装道路の直前でブレーキを踏みつけます。
ググッとスピードが落ちたところで一気にハンドルを回します。
暫くそのまま走りながら様子を伺うと、どうやら安全な様子。
ここで妹さんの緊張の糸が切れると同時に、今まで抑え込んできた恐怖が溢れてきます。

車をヨロヨロと路肩に停めるやいなや、息苦しい車内から外に飛び出します。
そこで、未だ溢れくる恐怖を断ち切るために一喝します。

「いい加減にしてよっ!!!!」

その後なんとか平静を取り戻した妹さんはお姉さんに起きていたことを話します。

その上で、もし帰りにトンネルが通れなかったら、そのまま叔母さんの家に泊まる事を提案します。勿論Aさんは同意。

ですが、帰りの時間にはトンネルも通行出来るようになってたそうです。 


―後日談―

妹さんが信用している占い師兼霊媒師さんに話したところ、ひとまずは憑いてこられた方はいないとのことで一安心したそうです。

…が、一言忠告されました。
それは「お姉さん(Aさん)とは一緒にいない方が良い」ってことでした。
霊が見える方というのは、力の強弱があるものの『霊を近づけない力』というのが有るそうです。
勿論妹さんもその力を持っており、しかもそれは「やや強い」レベルのものだそうなのです。

本来なら車内などに得体の知れない霊を入れる事など有り得ないのです。
しかし先の事件において、閉めきった車内にまで霊は入って来ました。

それはある特異な存在があった為だそうなんです。

そう! Aさん!!

なんとAさん、霊を引き寄せる力が有るんだそうです。

その力は妹さんとは段違いで、それはそれは強いモノだというのです。
しかしながら当の本人は、自分自身で引っ張って来たモノが全く見えていない。

強い力で霊を引き寄せるものの全く見えない姉&全部見えちゃうものの、それを避けられない妹。

そうです!
この組み合わせでは一方的に妹さんのストレスが増すばかり!

妹さんにとっては、正真正銘の最悪の組み合わせとなるんです。


…以上の話を、自分の部屋にてAさんに直接話していただきました。自分の部屋で…。

心から思いました。

「お土産(れいのやつ)だけは、勘弁して」

って。
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親父に聞いた話。

30年くらい前、親父はまだ自分で炭を焼いていた。

山の中に作った炭窯で、クヌギやスギの炭を焼く。
焼きにかかると、足かけ4日くらいの作業の間、釜の側の小屋で寝泊まりする。

その日は夕方から火を入れたのだが、前回焼いた時からあまり日が経っていないのに、どうしたわけか、なかなか釜の中まで火が回らない。
ここで焦っては元も子もないので、親父は辛抱強く柴や薪をくべ、フイゴを踏んで火の番をしていた。

夜もとっぷり暮れ、辺りを静寂が支配し、薪の爆ぜる音ばかりが聞こえる。

パチ…パチ…パチ…

ザ…ザザザ…

背後の藪で物音がした。
獣か? と思い、振り返るが姿はない。

パチ…パチン…パチ…パチ…

ザザッ……ザザ ザ ザ ザ ザ ァ ァ ァ ァ ―――――――――――

音が藪の中を凄いスピードで移動しはじめた。
この時、親父は(これは、この世のモノではないな)と直感し、振り向かなかった。

ザ ザ ザ ザ ザ ザ ザ ザ ザ ザ ザ ザ ザ

音が炭釜の周囲を回りだした。いよいよ尋常ではない。
親父はジッと耐えて火を見つめていた。
ザ…

「よお…何してるんだ」

音が止んだと思うと、親父の肩越しに誰かが話しかけてきた。
親しげな口調だが、その声に聞き覚えはない。

親父が黙っていると、声は勝手に言葉を継いだ。

「お前、独りか?」

「なぜ火の側にいる?」

「炭を焼いているのだな?」

声は真後ろから聞こえてくる。息が掛かりそうな程の距離だ。
親父は、必死の思いで振り向こうとする衝動と戦った。

声が続けて聞いてきた。

「ここには、電話があるか?」

(なに? 電話?)

奇妙な問いかけに、親父はとまどった。。
携帯電話など無い時代のこと、こんな山中に電話などあるはずがない。

間の抜けたその言葉に、親父は少し気を緩めた。

「そんなもの、あるはずないだろう」

「そうか」

不意に背後から気配が消えた。
時間をおいて怖々振り向いてみると、やはり誰も居ない。
鬱蒼とした林が静まりかえっているばかりだった。

親父は、さっきの出来事を振り返ると同時に、改めて恐怖がぶり返して来るのを感じた。
恐ろしくて仕方が無かったが、火の側を離れる訳にはいかない。

念仏を唱えながら火の番を続けるうちに、ようやく東の空が白んできた。

あたりの様子が判るくらいに明るくなった頃、祖父(親父の父親)が、二人分の弁当を持って山に上がってきた。

「どうだ?」

「いや、昨日の夕方から焼いてるんだが、釜の中へ火が入らないんだ」

親父は昨夜の怪異については口にしなかった。

「どれ、俺が見てやる」

祖父は釜の裏に回って、煙突の煙に手をかざして言った。

「そろそろ温くなっとる」

そのまま、温度を見ようと、釜の上に手をついた。

「ここはまだ冷たいな…」

そう言いながら、炭釜の天井部分に乗り上がった…。

ボゴッ

鈍い音がして、釜の天井が崩れ、祖父が炭釜の中に転落した。
親父は慌てて祖父を助けようとしたが、足場の悪さと、立ちこめる煙と灰が邪魔をする。
親父は、火傷を負いながらも、祖父を救うべく釜の上に足をかけた。

釜の中は地獄の業火のように真っ赤だった。火はとっくに釜の中まで回っていたのだ。
悪戦苦闘の末、ようやく祖父の体を引きずり出した頃には、顔や胸のあたりまでがグチャグチャに焼けただれて、すでに息は無かった。

目の前で起きた惨劇が信じられず、親父はしばし惚けていた。
が、すぐに気を取り直し、下山することにした。

しかし、祖父の死体を背負って、急な山道を下るのは不可能に思えた。
親父は一人、小一時間ほどかけて、祖父の軽トラックが止めてある道端まで山を下った。

村の知り合いを連れて、炭小屋の所まで戻ってみると、祖父の死体に異変が起きていた。
焼けただれた上半身だけが白骨化していたのだ。

まるでしゃぶり尽くしたかのように、白い骨だけが残されている。
対照的に下半身は手つかずで、臓器もそっくり残っていた。

通常、熊や野犬などの獣が獲物の臓物から食らう。
それに、このあたりには、そんな大型の肉食獣などいないはずだった。

その場に居合わせた全員が、死体の様子が異常だということに気付いていた。
にも拘わらず、誰もそのことには触れない。

黙々と祖父の死体を運び始めた。
親父が何か言おうとすると、皆が静かに首を横に振る。
親父は、そこで気付いた。
これはタブーに類することなのだ、と。

昨夜、親父のところへやってきた訪問者が何者なのか?
祖父の死体を荒らしたのは何なのか?

その問いには、誰も答えられない。誰も口に出来ない。

「そういうことになっているんだ」

村の年寄りは、親父にそう言ったそうだ。

今でも、祖父の死因は野犬に襲われたことになっている。
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普段では有り得ない場所や時に意外な者に出くわす事がある。
そんな時は用心した方がいい。

彼の体験した話はこうだ。


その日、都心の職場から自宅のある東京郊外の駅に着いたのは深夜零時を回った頃だった。
タクシーは既に列が出来ており、彼は家まで30分の道のりを歩く事にした。

東京の外れだから、駅から15分も歩けば、自宅までは街灯も少なく、歩いている人もいない。
夏も終わろうとしているちょうど今ぐらいの時期で、道の暗がりのあちこちから虫の声が聞こえる。

バス通りから住宅街に入る少し手前に交番がある、無人ではなくいつも一人は警官がいる。
住宅街の暗い道を入りしばらく行くと小さな公園がある。

一応遊具はあるのだが、誰も乗る者のいない今は少しうらぶれて見える、街灯も少なく暗い。
その暗い公園に、何か白い物がうずくまっている。

彼は目をこらしてよく見てみた、細い腕がある。
彼は一瞬ギョッとした、深夜の公園に子供がいる。

知らず知らずの内に、彼は子供に近付いて行った。
確かに子供だった、肉感のある生身の男の子。

年の頃は小学一年生くらいだろうか。
地面にしゃがんで、木の枝で砂に何かを書いていた。

今の時代、母子、父子家庭も多く、彼の子供達の通う学校にも、そういう家庭が増えていた。
あるいは母親は深夜まで働いているのか。

部屋に一人でいるのが淋しくて、親がこの道を通るのを待っているのだろうか。それにしても…。

彼は話しかけてみた、が返事はない。
子供はちらりと彼を見上げただけで、また地面に何かを書いている。
わかった、じゃねっ。とその場を立ち去る訳にもいかず、辺りを見回す。
住宅街の中にはコンビニも公衆電話もなかった。

当時、まだ携帯電話が出始めたばかりで、彼はまだそれを持っていなかった。
仕方なく、彼は元来た道を引き返し、通りに面した交番へと小走りで向かった。

事情を話すと、警官が自転車を押して付いてきてくれた。

道々、警官に、次回からそういう事があったら無理にも立たせて連れてきてくれと嫌味を言われた。
確かに尤もだと、今さらに気が付いた。

公園に着くと、子供はいなかった。

警官は苦い顔で彼を見ると、割合あっさりと、彼から子供の身なりを聞くと、無線で付近のパトカーに連絡をとってくれた。
無線の会話の中に、例の公園と言う言葉が聞こえた。

今までも同じ事があったのか?


翌朝、彼は昨夜の出来事を、妻に話そうとも思ったが、自分の迂闊な行動をあの警官の嫌味のように非難されるのもバカらしいので言わずにおいた。

それから数日して、彼の妻は変な事を言い出すようになった。
昼間、居間にいると階下の廊下を誰かが歩く音がする、と。

彼の住まいは、テラスハウスと言う、いわば二階建ての三軒長屋みたいなもので、彼等の部屋はその真ん中。
そして台所と居間が二階にある。
彼はまず、玄関の施錠を尋ねた。
すると妻が言うには、ペタペタとした子供のような足音なのだと言う。

他にも、閉めたはずのトイレのドアが開いていたりして、誰かこの家に、もう一人いるような気がして、気味が悪いと。

彼の部屋の両脇とも入居者はいるが、いずれも子供はいない。
彼の家には子供はいるが、昼間は学校に行っている。

彼は、その時はあまり気にしてなかったが、その後妻の方は昼の内に買い物をし、PTAの友達をお茶に誘ったりして、気を紛らしていた。

不思議に、子供達が帰ってくると、それらの事はなくなるのだとも言う。
しかも不審な事や音がするのは階下でだけなのだとも。


それから二週間ばかりして、彼は不注意から駅の階段を五、六段踏み外し、足首を捻挫した。

その日は金曜の夜だったので、土日の内に足首の痛みは軽くなったが、スネの辺りが少しヘコんでいた。
病院に行って、ギプスなぞされるのも避けたかったから、月曜日は休んで、近所の柔道整骨院に行くつもりだった。

施療室に入ると、机に向かって何か書き物をしていた整骨師は、診察台の上に足を出して座った彼の方を振り返ると、足よりも、まず彼の顔を暫く見ていた。
やがて施術も終わり、幸い、足の方はヒビが入ったという事はなく、ギプスも必要ないそうだ。
だが骨が少しヘコんでしまったから、湿布薬とスネにつける小手のようなものを着けてもらった。
暫くは定期的に来るようにと言う。

帰り際、整骨師は再び彼の顔を見ると、ボソッと

「あんた、死相が出ているよ」

と言った。

歳は七十に近いだろう、しかし昔、講道館柔道の高段者だった整骨師は、でっぷりと太った、如何にも貫禄のある体躯をしていた。
昔、人相見も学んだことがあるそうだ。

いきなり死相が出てると言われれば、やはりいい気持ちはしない。
彼は死相とはどんな相なのかを聞いてみた。

彼は試しに聞いてみた、死相とはどんな相かと。
相手の言うに、死相とは顔であり、触覚であり、臭いだそうな。

病気で亡くなる人、起死念慮に憑かれた者、皆、常の人と少し違うものだと。
人の顔色を確認しながら、体を押したり引っ張ったりしていると分かってしまうものだと。

人相見も達者になると、不慮の事故による死すらも当てる事があるという。
そんなような意味の事を言った。

ただ、あんたはそれらと少し違う、とも。
なんだか、実際より、顔が体に比して小さいように見えると。

しかも首が左に曲がっている、何となく、一見、折れているようだよ。
そう言った。
彼は不愉快に思うよりも、急に、この土地で生まれ、そこで開業している、目の前の老整骨師に聞いてみたくなった。
あの公園の事を、あの子供の事を。

そしてあの晩の一部始終を話し始めた。


一通りの話を聞いた後、整骨師が話した内容は以下の通りである。

まず、前にあの公園で子供が遊びの最中の事故で、亡くなっているそうだ。
そんな昔の事ではない、ほんの七、八年前の事だそうである。

そしてさらに話を続けた。

あの辺り一帯、五十年程前までは、所謂、忌み地のようになっていて、公園の先の坂を少し上ると、焼き場があったそうである。
そして更にその上には、結核の隔離病棟があったそうだ。

当時あの公園はなく、一帯は昼でも薄暗い森だったそうだ。
さすがの後の講道館の猛者も、子供の頃は夕暮れ以降、あの辺りを通る事は出来なかったそうである。

整骨師は最後にこうも言った。
霊を信じる、信じないは別として、住む世界が違うものが、あまり長いこと一緒にいるのはよくないと。
気になるのならば、一度お祓いに行くのもいいだろう、とも。

越してきて、まだ三年程の彼には初めて聞く事ばかりだった。

現在はあの辺りには家が建ち、病院は大きな総合病院となっている。
しかし、あの公園はネットで隔たれてはいるが、奥にドブ川が流れていて、更にその奥は林。

越してきたばかりの頃、子供とよく散歩に出かけたが、昼でも少し薄暗く、あまり遊んでいる子を見かけたことがない。


家に戻ると、買い物にでも行ったのか、彼の妻はいなかった。
たまの平日の休み、彼はビールでも飲んで、のんびりと過ごす事にする。

昼近くになった頃、本を読んでいると、階下をペタペタと歩く音がした。
妻の言うとおり、歩幅の狭い子供の歩く音。

彼はソッと階段を降りて行った。

一階は、子供達の部屋、そしてトイレと風呂場。
彼は、トイレ、風呂場、そして子供達の部屋のドアを順々に開けていった。

そして、最後に、これは長男が使っている和室の部屋、その引き戸を開けた。

入って左手に押し入れがある、僅かに開いている隙間に指を掛けた時、以前観たホラー映画を思い出した。
ニャ〜オ゛はやめてほしかった。
思い切って開けると中を覗いた、やはり誰もいない。


彼は二階に戻り、しばらく何をするともなくボーとしていた。

あれから何度か、夜にあの公園の前を通った。
しかし、あの子を再び見かける事はなかったが、今日のあの話を聞いて、あの道を帰るのが少し憂鬱になっていた。

目を閉じて、半世紀前のこの辺りの風景を思い浮かべてみる。
隣の市の、彼の育った所も似たようなものだ、そんな場所は確かにあったことを思い出す。
夕食の後、彼は昼間に聞いた公園の件を話してみた、あの夜の事は伏せたまま。

驚いた事に、妻も子供達も既に知っていた。

妻は近所の主婦から、子供達はクラスの友達から。
学校では既に都市伝説化して受け継がれているらしい。

塾帰り、夕方あの公園の前を通ると、風も無いのにブランコが揺れていた、他愛もないものだ。
だが、あの晩の事を思い出して、彼は少し背中が寒くなった。

続けて、病院の事も尋ねてみようと思ったが、結核と焼き場では少し子供の前では暗すぎる、止めておいた。

しかし、その事故にあった子供の親族は、まだこの土地に住んでいるのだろうか。
その子に兄弟はいるのだろうか、公園の噂は知っているのだろうか。

そういえば、整骨師から、病院と焼き場の話はあまり他言しないように言われていたのを思い出した。
土地に変な噂が立ち、買い手がつかないと、地主が困るそうだ。

元は農村だったこの地域には、大きな地主が幾件かあった。
特に明治から戦前にかけて、外国からの絹の需要の増大に伴い養蚕が盛んであり、かなりの財産を築いた者も多かった。

そういった者に睨まれると、困る人達が出てくるそうだ。
その夜、風呂を出た後、パジャマ代わりのTシャツを被った瞬間、彼は悲鳴をあげた。
背中に電極を押し当てられたような衝撃を感じたから。

足下を見ると、大人の小指くらいの百足が逃げていくところだった。
洗濯物を干している内に入り込んだのだろう。

あんなに小さな百足でも、スズメ蜂二匹くらいに相当するようだと思いながら、彼は百足を罵り詰った。
背中の筋肉が、凝ったようで、真っ直ぐに伸ばせない。

その晩、彼は家の者が寝静まった後も、痛みのために眠れずにいた。
麻酔代わりに、と飲んでいた酒も逆効果だった。

血流が早くなり、かえってズキズキと痛み出す。
それでも飲もうとグラスの縁が、唇に触れた瞬間、不意に、玄関の鈴が鳴る。

客が来たらわかるように、よく喫茶店のドアにあるような細いパイプを幾本かぶら下げた、シャラン、シャランと鳴る風鈴のようなアレだ。
彼は背中を曲げたまま、体を硬くした。

ちょうど尿意も催してきた、彼は階段を降り、廊下に降り立つと灯りをつけた。誰もいない。

そのままトイレに入り用を足す。
あと少しという所で、ペタリ、ペタリと廊下を歩く音がする。

ドアの前で止まった。
彼ノも止まった。

子供達の部屋が開いた様子は無かったが、彼は一応、名前を呼びかけ、尋ねてみた。返事はない。
彼はズボンを整え、ドアを半分だけ開けてみた。
首だけ出して、左右を確かめる。誰もいない。

不意に背後でジャッと水を流す音がする。
いるのか、この中に、俺といっしょに。

途端、彼は外に出てドアをきっちりと閉めた。
急いで玄関に行き、施錠を確かめる。

ふと、下を見ると何か違和感を感じた。

どこが?

だが分からない。

さらに暫く見ていると、自分の靴だけが、左右逆に並べられている。
彼はしゃがみ込んで靴の向きを直した。

灯りというものは、本来、人間の、闇に対する恐怖を和らげてくれる為のものだ。
だが、時として、恐怖を増大させる事もある。

靴を直す彼の手に、影が差した。
まるで、ダルマさんがコロんだ。のように、その影は一歩大きく、彼の背後に近付いていった。

彼の真後ろまで来たと思われた時、その影の、小さな頭を支える首の部分が、不自然なくらいにガタりと右に倒れた。


彼は、あの公園で見た子供の事を思った。
あの老師と、妻と、子供達の話を思い出した。

つまりは、そういう死だったか。
不本意で哀しい死だったか。
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これは俺が14歳の時の話だ。
冬休みに、N県にある叔父(と言ってもまだ当時30代)の別荘に遊びに行く事になった。

本当は彼女と行きたかったらしいが、最近別れたので俺を誘ったらしい。
小さい頃から仲良くしてもらっていたので、俺は喜んで遊びに行く事になった。

叔父も俺と同じ街に住んでおり、早朝に叔父が家まで車で迎えに来てくれて、そのまま車で出発した。

叔父は中々お洒落な人で、昔から色んな遊びやアウトドア、音楽、等等教えてもらっており、尊敬していた。
車で片道8時間はかかる長旅だったが、車内で話をしたり音楽を聞いたり、途中で休憩がてら寄り道したり、本当に楽しかった。

やがて目的地近辺に到着し、スーパーで夕食の食材を買った。
そして、かなりの山道を登り、別荘へ。

それほど大きくはないが、木造ロッジのお洒落な隠れ家的な印象だった。
少し下がった土地の所に、2〜3他の別荘が見える。人は来ていない様子だった。

夕食は庭でバーベキューだった。普通に安い肉だったが、やっぱり炭火で焼くと美味く感じる。
ホルモンとか魚介類・野菜も焼き、ホントにたらふく食べた。白飯も飯盒で炊き、最高の夕食だった。

食後は、暖炉のある部屋に行き、TVを見たりプレステ・スーファミ・ファミコンで遊んだり。
裏ビデオなんかも見せてもらって、当時童貞だったので衝撃を受けたもんだった。

深夜になると、怖い話でも盛り上がった。
叔父はこういう方面も得意で、本当に怖かった。機会があればその話も書きたいが…。
ふと、叔父が思い出した様に「裏山には絶対に入るなよ」と呟いた。
何でも、地元の人でも滅多に入らないらしい。マツタケとか取れるらしいが。

関係ないかもしれないが、近くの別荘の社長も、昔、裏山で首吊ってる、と言った。
いや、そんな気味悪い事聞いたら絶対入らないし、とその時は思った。

そんなこんなで、早朝の5時ごろまで遊び倒して、やっとそれぞれ寝ることになった。


部屋に差し込む日光で目が覚めた。時刻はもう12時を回っている。

喉の渇きを覚え、1階に水を飲みに行く。
途中で叔父の部屋を覗くと、イビキをかいてまだ寝ている。

寒いが、本当に気持ちの良い朝だ。やはり山の空気は都会と全然違う。
自分の部屋に戻り、ベランダに出て、椅子に座る。

景色は、丁度裏山に面していた。別になんて事はない普通の山に見えた。

ふと、部屋の中に望遠鏡がある事を思い出した。自然の景色が見たくなり、望遠鏡をベランダに持ってくる。
高性能で高い物だけあって、ホントに遠くの景色でも綺麗に見える。町ははるか遠くに見えるが、周囲の山は木に留ってる鳥まで見えて感動した。

30分くらい夢中で覗いていただろうか? 丁度裏山の木々を見ている時、視界に動くものが入った。

人? の様に見えた。背中が見える。頭はツルツルだ。
しきりに全身を揺らしている。地元の人? 踊り?
手には鎌を持っている。
だが異様なのは、この真冬なのに真っ裸と言う事。

そういう祭り? だが、1人しかいない。
思考が混乱して、様々な事が頭に浮かんだ。

背中をこちらに向けているので、顔は見えない。
その動きを見て、何故か山海塾を思い出した。

「これ以上見てはいけない」

と本能的にそう感じた。

人間だろうけど、ちょっとオカシな人だろう。気持ち悪い。

だが、好奇心が勝ってしまった。
望遠鏡のズームを最大にする。ツルツルの後頭部。色が白い。

ゾクッ、としたその時、ソイツが踊りながらゆっくりと振り向いた。

恐らくは、人間と思える顔の造形はしていた。鼻も口もある。
ただ、眉毛がなく、目が眉間の所に1つだけついている。縦に。

体が震えた。1つ目。異形のアブナイ人。
ソイツと、望遠鏡のレンズ越しに目が合った。口を歪ませている。笑っている。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

目が合った瞬間、叫んでいた。涙が止まらない。
とにかく、死にたい。異常なまでの鬱の様な感情が襲ってきた。
死にたい死にたい…半狂乱で部屋を駆け回っていると、叔父が飛び込んで来た。

「どうした!?」

「バケモン!!」

「は?」

「望遠鏡!! 裏山!!」

叔父が望遠鏡を覗きこむ。

「〜〜〜〜〜〜ッ」

声にならない唸りを上げ、頭を抱え込む。鼻水を垂らしながら泣いている。

さっきよりは、少し気持ちの落ち着いた俺が聞いた。

「アレ何だよ!!」

「○○子〜 ○○子〜」

別れた彼女の名前を叫びながら、泣きじゃくる叔父。

流石にヤバイと思い、生まれて初めて平手で思いっきり、人の顔をはたいた。
体を小刻みに揺らす叔父。10秒、20秒…叔父が俺を見つめてきた。

「邪視」

「じゃし?」

「いいか、俺の部屋の机の引き出しに、サングラスがあるから持ってこい。お前の分も」

「なんで(ry」

「いいから持ってこい!!」

俺は言われるままに、サングラスを叔父に渡した。

震える手で叔父はサングラスをかけ、望遠鏡を覗く。しばらく、望遠鏡を動かしている。
「ウッ」と呻き、俺に手招きをする。
「グラサンかけて見てみろ」

恐る恐る、サングラスをかけ、覗き込む。

グラサン越しにぼやけてはいるが、木々の中のソイツと目が合った。
言い様の無い不安がまた襲ってきたが、さっきほどでは無い。だが心臓の鼓動が異常に早い。

と言うか、さっきの場所では無い…ソイツはふにゃふにゃと奇妙な踊り? をしながら動いている。
目線だけはしっかりこちらに向けたまま…山を降りている!? まさかこっちに来ている…!?

「○○、お前しょんべん出るか?」

「は? こんな時に何を…」

「出るなら、食堂に空きのペットボトルあるから、それにしょんべん入れて来い」

そう言うと、叔父は1階に降りていった。

こんな時に出るわけないので、呆然としていたら、数分後、叔父がペットボトルに黄色のしょんべんを入れて戻ってきた。

「したくなったら、これに入れろ」

と言い、叔父がもう1つの空のペットボトルを俺に差し出した。

「いや、だからアイツ何?」

「山の物…山子…分からん。ただ、俺がガキの頃、よく親父と山にキャンプとか行ってたが、あぁ、あそこの裏山じゃないぞ? 山は色んな奇妙な事が起こるからな…夜でも、テントの外で人の話し声がするが、誰もいない。そんな時に、しょんべんとか撒いたら、不思議にピタッと止んだもんさ…」
そう言うと叔父は、もう一度望遠鏡を覗き込んだ。
「グウッ」と苦しそうに呻きながらも、アイツを観察している様子だ。

「アイツな。時速何kmか知らんが、本当にゆっくりゆっくり移動している。途中で見えなくなったが…間違いなく、このロッジに向かってるんじゃないのか」

「じゃあ、早く車で戻ろうよ」

「多分、無駄だ…アイツの興味を俺たちから逸らさない限りは…多分どこまでも追ってくる。これは一種の呪いだ。邪悪な視線、と書いて邪視と読むんだが…」

「さっき言ってたヤツか…でも何でそんなに詳しいの?」

「俺が仕事で北欧のある街に一時滞在してた時…イヤ、俺らが助かったら話そう」

「助かったらって…アイツが来るまでここにいるの?」

「いいや、迎え撃つんだよ」

俺は絶対にここに篭っていた方が良いと思ったが、叔父の意見はロッジに来られる前に、どうにかした方が良い、と言う物だった。

あんな恐ろしいヤツの所にいくなら、よっぽど逃げた方がマシだと思ったが、叔父さんは昔からいつだって頼りになる人だった。
俺は叔父を尊敬しているし、従う事に決めた。

それぞれ、グラサン・ペットボトル・軽目の食料が入ったリュック・手持ちの双眼鏡・木製のバット・懐中電灯等を持って、裏山に入っていった。
暗くなる前にどうにかしたい、と言う叔父の考えだった。
果たしてアイツの視線に耐えられるのか? 望遠鏡越しではなく、グラサンがあるとはいえ、間近でアイツに耐えられるのか?
様々な不安が頭の中を駆け巡った。

裏山と言っても、結構広大だ。双眼鏡を駆使しながら、アイツを探しまわった。
叔父いわく、アイツは俺らを目標に移動しているはずだから、いつか鉢合わせになると言う考えだ。

あまり深入りして日が暮れるのは危険なので、ロッジから500mほど進んだ、やや開けた場所で待ち伏せする事になった。

「興味さえ逸らせば良いんだよ。興味さえ…」

「どうやって?」

「俺の考えでは、まずどうしてもアイツに近づかなければならない。だが直視は絶対にするな。斜めに見ろ。言ってる事分かるな? 目線を外し、視線の外で場所を捉えろ。そして、溜めたしょんべんをぶっかける。それでもダメなら…良いか? 真面目な話だぞ? 俺らのチンコを見せる」

「はぁ?」

「邪視ってのはな、不浄な物を嫌うんだよ。糞尿だったり、性器だったり…だから、殺せはしないが、それでアイツを逃げさせる事が出来たのなら、俺らは助かると思う」

「…それでもダメなら?」

「…逃げるしかない。とっとと車で」

俺と叔父さんは、言い様のない恐怖と不安の中、ジッと岩に座って待っていた。

交代で双眼鏡を見ながら。時刻は4時を回っていた。
「兄ちゃん、起きろ」

俺が10歳の時に事故で亡くなった、1歳下の弟の声が聞こえる。

「兄ちゃん、起きろ。学校遅刻するぞ」

うるさい。あと3分寝かせろ。

「兄ちゃん、起きないと 死  ん  じ  ゃ  う  ぞ  !  !」

ハッ、とした。寝てた??
あり得ない、あの恐怖と緊張感の中で。眠らされた??

横の叔父を見る。寝ている。急いで起こす。叔父、飛び起きる。
腕時計を見る、5時半。辺りはほとんど闇になりかけている。冷汗が流れる。

「○○、聴こえるか?」

「え?」

「声…歌?」

神経を集中させて耳をすますと、右前方数m? の茂みから、声が聞こえる。

だんだんこっちに近づいて来る。民謡の様な歌い回し、何言ってるかは分からないが不気味で高い声。

恐怖感で頭がどうにかなりそうだった。声を聞いただけで世の中の、何もかもが嫌になってくる。

「いいか! 足元だけを照らせ!!」

叔父が叫び、俺はヤツが出てこようとする、茂みの下方を懐中電灯で照らした。
足が見えた。毛一つ無く、異様に白い。体全体をくねらせながら、近づいてくる。

その歌のなんと不気味な事!! 一瞬、思考が途切れた。

「あぁぁっ!!」

「ひっ!!」

ヤツが腰を落とし、四つんばいになり、足を照らす懐中電灯の明かりの位置に、顔を持ってきた。直視してしまった。

昼間と同じ感情が襲ってきた。死にたい死にたい死にたい! こんな顔を見るくらいなら、死んだ方がマシ!!
叔父もペットボトルをひっくり返し、号泣している。

落ちたライトがヤツの体を照らす。
意味の分からないおぞましい歌を歌いながら、四つんばいで、生まれたての子馬の様な動きで近づいてくる。右手には錆びた鎌。

よっぽど舌でも噛んで死のうか、と思ったその時、

「プルルルルッ」

叔父の携帯が鳴った。

号泣していた叔父は、何故か放心状態の様になり、ダウンのポケットから携帯を取り出し、見る。
こんな時に何してんだ…もうすぐ死ぬのに…と思い、薄闇の中、呆然と叔父を見つめていた。
まだ携帯は鳴っている。プルルッ。叔父は携帯を見つめたまま。
ヤツが俺の方に来た。恐怖で失禁していた。死ぬ。

その時、叔父が凄まじい咆哮をあげて、地面に落ちた懐中電灯を取り上げ、素早く俺の元にかけより、俺のペットボトルを手に取った。

「こっちを見るなよ!! ヤツの顔を照らすから目を瞑れ!!」

俺は夢中で地面を転がり、グラサンもずり落ち、頭をかかえて目をつぶった。

ここからは後で叔父に聞いた話。

まずヤツの顔を照らし、視線の外で位置を見る。
少々汚い話だが、俺のペットボトルに口をつけ、しょんべんを口に含み、ライトでヤツの顔を照らしたまま、しゃがんでヤツの顔にしょんべんを吹きかける瞬間、目を瞑る。霧の様に吹く。ヤツの馬の嘶きの様な悲鳴が聞こえた。

さらに口に含み、吹く。吹く。ヤツの目に。目に。
さっきのとはまた一段と高い、ヤツの悲鳴が聞こえる。だが、まだそこにいる!!

焦った叔父は、ズボンも下着も脱ぎ、自分の股間をライトで照らしたらしい。
恐らく、ヤツはそれを見たのだろう。言葉は分からないが、凄まじい呪詛の様な恨みの言葉を吐き、くるっと背中を向けたのだ。

俺は、そこから顔を上げていた。叔父のライトがヤツの背中を照らす。

何が恐ろしかったかと言うと、ヤツは退散する時までも、不気味な歌を歌い、体をくねらせ、ゆっくりゆっくりと移動していた!!
それこそ杖をついた、高齢の老人の歩行速度の如く!!
俺たちは、ヤツが見えなくなるまでじっとライトで背中を照らし、見つめていた。いつ振り返るか分からない恐怖に耐えながら…。

永遠とも思える苦痛と恐怖の時間が過ぎ、やがてヤツの姿は闇に消えた。


俺たちはロッジに戻るまで何も会話を交わさず、黙々と歩いた。

中に入ると、叔父は全てのドアの戸締りを確認し、コーヒーを入れた。飲みながら、やっと口を開く。

「あれで叔父さんの言う、興味はそれた、って事?」

「うぅん…恐らくな。さすがに、チンコは惨めなほど縮み上がってたけどな」

苦笑する叔父。やがて、ぽつりぽつりと、邪視の事について語り始めてくれた…。


叔父は、仕事柄、船で海外に行く事が多い。詳しい事は言えないが、いわゆる技術士だ。

叔父が北欧のとある街に滞在していた、ある日の事。
現地で仲良くなった、通訳も出来る技術仲間の男が、面白い物を見せてくれると言う。

叔父は人気の無い路地に連れて行かれた。
ストリップとかの類かな、と思っていると、路地裏の薄汚い、小さな家に通された。
叔父は中に入って驚いた。外見はみすぼらしいが、家の中はまるで違った。
一目で高級品と分かる絨毯。壺。貴金属の類…香の良い香りも漂っている。

わけが分からないまま、叔父が目を奪われていると、奥の小部屋に通された。
そこには、蝋燭が灯る中、見た目は60代くらいの男が座っていた。

ただ異様なのは、夜で家の中なのにサングラスをかけていた。
現地の男によれば「邪視」の持ち主だと言う。

邪視(じゃし)とは、世界の広範囲に分布する民間伝承、迷信の一つで、悪意を持って相手を睨みつける事によって、対象となった被害者に呪いを掛ける事が出来るという。
イビルアイ(evil eye)、邪眼(じゃがん)、魔眼(まがん)とも言われる。
邪視の力によっては、人が病気になり衰弱していき、ついには死に至る事さえあるという。

叔父は、からかい半分で説明を聞いていた。
この男も、そういう奇術・手品師の類であろうと。

座っていた男が、現地の男に耳打ちした。
男曰く、信じていない様子だから、少しだけ力を体験させてあげよう、と。

叔父は、これも一興、と思い、承諾した。
また男が現地の男に耳打ちする。男曰く、
「今から貴方を縛りあげる。誤解しないでもらいたいのは、それだけ私の力が強いからである。貴方は暴れ回るだろう。私は、ほんの一瞬だけ、私の目で貴方の目を見つめる。やる事は、ただそれだけだ」

叔父は、恐らく何か目に恐ろしげな細工でもしているのだろう、と思ったという。

本当に目が醜く潰れているのかもしれないし、カラーコンタクトかもしれない。
もしくは、香に何か幻惑剤の様な効果が…と。

縛られるのは抵抗があったが、友人の現地の男も、本当に信頼出来る人物だったので、応じた。

椅子に縛られた叔父に、男が近づく。友人は後ろを向いている。
静かに、サングラスを外す。叔父を見下ろす。


「ホントにな、今日のアイツを見た時の様になったんだ」

コーヒーをテーブルに置いて、叔父は呟いた。

「見た瞬間、死にたくなるんだよ。瞳はなんてことない普通の瞳なのにな。とにかく、世の中の全てが嫌になる。見つめられたのはほんの、1〜2秒だったけどな。何かの暗示とか、催眠とか、そういうレベルの話じゃないと思う」
友人が言うには、その邪視の男は、金さえ積まれれば殺しもやるという。
現地のマフィア達の抗争にも利用されている、とも聞いた。

叔父が帰国する事になった1週間ほど前、邪視の男が死んだ、という。
所属する組織のメンツを潰して仕事をしたとかで、抹殺されたのだという。

男は娼婦小屋で椅子に縛りつけられて死んでいた。床には糞尿がバラ巻かれていたと言う。
男は、凄まじい力で縄を引きちぎり、自分の両眼球をくり抜いて死んでいたという。

「さっきも言った様に、邪視は不浄な物を嫌う。汚物にまみれながら、ストリップか性行為でも見せられたのかね」

俺は、一言も発する気力もなく、話を聞いていた。
さっきの化け物も、邪視の持ち主だったという事だろうか。

俺の考えを読み取ったかのように、叔父は続けた。

「アイツが本当に化け物だったのか、ああいう風に育てられた人間なのかは分からない。ただ、アイツは逃げるだけじゃダメな気がしてな…だから死ぬ気で立ち向かった。カッパも、人間の唾が嫌いとか言うじゃないか。案外、お経やお守りなんかよりも、人間の体の方がああいうモノに有効なのかもしれないな」

俺は、話を聞きながら弟の夢の事を思い出して、話した。
弟が助けてくれたんじゃないだろうか…と。

俺は泣いていた。
叔父は神妙に聞き、1分くらい無言のまま、やがて口を開いた。

「そういう事もあるかもしれないな…○○はお前よりしっかりしてたしな。俺の鳴った携帯の事、覚えてるか? あれな、別れた彼女からなんだよ。でもな、この山の周辺で、携帯通じるわけねぇんだよ。見ろよ。今、アンテナ一本も立ってないだろ? だから、そういう事もあるのかも知れないな…今すぐ、山下りて帰ろう。このロッジも売るわ。早く彼女にも電話したいしな」

叔父は照れくさそうに笑うと、コーヒーを飲み干し立ち上がった。
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糞スレ