1 無名さん

適当晒し587

>>>10679
>>100
ぴこっ!
糞スレ
█╗█╗███╗████╗██╗
█║█║█╔█║█╔══╝█╔╝
███║███║█║██╗██╗
█╔█║█╔█║█║╚█║█╔╝
█║█║█║█║████║██╗
╚╝╚╝╚╝╚╝╚═══╝╚═╝。
この前話した[俺は霊?]って実は友達の話なんですよ。

そりゃ最初あんな話されても俺、全然信じなかった。
でも、信じざるを得ない事が起こった。

そいつ女なんだけど其処ら辺の男よりも格好良いんだ。
仮にそいつをAとする。いつもの様に俺はAとつるんでた。

時に後ろの奴[俺は霊? に記載されている奴等]に何かを話しかけられて振り向くんだ。
俺が『何て言ってんの?』って聞くと大抵は水を飲めとか、腹が減ったとか…。

でもその日は違って

『聞くな』

だって。
その頃の俺はAのその話にそこまで興味がなくて、軽く流してた。

その日俺たちは街で軽く遊んだ後、ドライブしようって事で車を走らせてた。
俺が運転して、Aは助手席にいた。

窓から外を眺めて、特に会話をする訳でもなく俺は音楽を流そうとした。
でも、今まで黙ってたAが急に

『やめろっ!』

って俺の手を掴んだ。
俺驚いて、慌ててブレーキ踏んだんだよ。
んで、軽く頭に来たからAに怒鳴った。

『何すんだよっ! 死にてぇのかっ!?』

丁度山ん中入ってて、結構狭い道だった。
俺がブレーキを踏まなかったらガードレールにぶつかってたんだよ。

そりゃ怒るだろ? 普通。
それなのに、Aの奴平然とした顔で俺に言った。

『はぁ? 何言ってんだ、お前』

俺『は? だから、お前が急に俺の手ぇ掴むから危うく事故りかけたんだよっ!』

『事故ってねぇじゃん』

『…もぅいい』

元々、Aはこんな性格。
まぁ、人を寄せ付けない為の作戦でもあるらしいが。

結局、どうでも良くなりまた車を走らせた。
でもやっぱり腹の虫が収まらねぇから、何でさっき音楽を流させなかったのかを聞いた。

『聞くな』

またこれ。

でも、どーしても聞きてぇから近くの駐車場に車を止めた。
全然人の気配もなくて、辺りはもう暗くなりかけだった。
俺が車を止めた事に無関心と言った様にAは煙草に火をつけた。
それがまた頭に来て、俺はまたAに怒鳴った。

『お前が事の詳細を話すまで車は出さねぇからな!』

『…』

Aは免許を持ってないし、ここまで来るのに結構車を走らせてる。
とても歩いて帰れないのを良い事に俺はエンジンを切った。

そんな俺を見たAは一度深いため息をつくと、俺を見てやっと話しだした。

『いいか、俺が何を言っても驚くなよ。それが条件だ』

俺『分かった』

『さっき、またいつもみたいに水飲めって言われたんだよ。だから無視してた訳。そしたらそいつ…腕おとしたんだよ。回りには何もねぇし、自分でおとした訳でもねぇ。ただ急に右腕がおちたんだ。詳細なんか知らねぇけど…。車で音楽を流させなかったのは、話し声が聞こえなくなるからだ。また無視すれば…』

そこでAは口を閉じた。

瞬間だった…。

ゴキッ!!

『うわぁ!!!』

急にAの肩が外れた。
力なく、ぶら下がる腕を見て俺は唖然とした。
Aは悲痛に顔を歪めてる。
どうすれば良いか分からなくなった俺は慌ててAを支えた。

『おいっ! A! シッカリしろよっ!』

焦点があってないAを必死に揺さぶり、俺はAの名を呼び続けた。
そして俺がAに張り手をかました瞬間ハッとしたAは、我にかえった様に俺の腕を掴み叫ぶ。

『荒璽! 水だっ! 水をくれっ!!』

外れた肩を懸命に戻そうとしながら[Aは自分で治せる]俺に水を要求した。
だが、そこに水はなく近くに自動販売機すら無い。

俺はどうしたら良いか分からなくなり、取り合えず車を出た。

『!!』

車を出た俺が見たのは車に大量についた水だった。
もちろん、途中に雨が降った事もなく、その日は一日晴れていた。

そしてAにその事を伝えるとAは車から飛び出した。
まさか舐めるんじゃねぇかと思ったが、Aは車についた水に塩[何故かいつも持ち歩いてる]をかけた。それも大量。

見事俺の車は塩だらけになり、俺は泣きそうだった。
一週間前に買った新車だったからだ。

そしてAは今度、その車の上に乗った。
そして車の上で胡座をかくと、何かを書き始めた。覗いて見たが読めなかった。

そして、それを書き終えるとポケットから携帯を取りだした。
『〇×山で少年が崖から転落しています。年は20〜22。救急車を一台お願いします。…いえ、外傷分かりません。崖の高さは3m程です。はい。では』

何故かAは救急車を呼んだ。

そして携帯を切ったAは車から飛び降りると、安全柵を越えた。

俺『おいっA! 何やってんだ! 危ねぇぞっ!』

『死なねぇとは思うけど、まぁ死んだら御免』

俺『アホかっ! 戻って来い!!』

『俺…ずっと言わなかったけどさ…』

Aは唇を噛み締めながら、俺の顔を見たり、見なかったり…。

そんなAの側まで駆け寄り、俺はAを見た。

『お前…呪われてるぞ。そのままじゃ、俺より死ぬの早ぇかもな』

ヒュンッ…

そんな訳の分からない話を聞かされた後、Aは飛び降りた。


正直、Aの言った言葉には思い当たる節がある。

実は俺…この車を買い換える前に女を轢いた。
そいつ、精神的にヤバい感じだったらしく、何とか訴えられずにすんだ。
でも…相手は死んだ。
それから結構悲惨な目にはあっていたが、この状況で言いやがったAがはがいくて俺は泣いた。

絶対に人に弱味を見せないAが羨ましかったが、その時だけは腹がたった。

もちろん、その後Aは助かった。
右腕も折れていたらしいが、何とかなったらしい。

その後、俺はAの親父さんにAが書いていた文字について聞いたところ次の様な答えが帰って来た。

『あぁ〜そりゃあれだ。あいつについてる、奴等を消滅させたんだよ[消滅とは無理矢理成仏させる事らしい]。まぁ、あいつ等に殺されるぐれぇなら自分で…って感じに思ったんだろ。まぁ、見舞いに行った時、無事に消えてたから安心したがな。あぁ…お前、後ろの女どうかした方がいいぞ。結構怨念こもってるしな』

俺『は、はぁ…。[どうすれば良いかは教えてくれなかった]』

それから、またAに会った。
順調に回復しているらしいが、A曰く、8年もついていたのを消すと何処か寂しいらしい。
まぁ、これだけなんですけど。
俺がこの話で一番怖かったのは、Aの腕が外れた瞬間だったかなぁ。

あと、一番頭に来た話。
俺…Aがずっと言わなかった事って実は俺の事が好きなのかと思った。
もちろん、Aにはその事は言って無い。

今度また違う話を短編で紹介します。
そっちの話の方が怖いかな?

では、有り難うございました。
█╗█╗███╗████╗██╗
█║█║█╔█║█╔══╝█╔╝
███║███║█║██╗██╗
█╔█║█╔█║█║╚█║█╔╝
█║█║█║█║████║██╗
╚╝╚╝╚╝╚╝╚═══╝╚═╝。
友達の鈴木(仮)の家に遊びに行ったときに、酷い目にあった。
ちょっと長いかも、ごめん。

奴は大学受験に成功して、その年から一人暮らしをしていた。
で、実家組の俺は結構それが羨ましかったんだよね。

でもなんか、新生活が始まってからしばらくたって久々に会ったときに、奴にしきりに家に泊まりに来いと誘われた。
今までも奴が実家住まいのときなら何度かお邪魔したことがあるけど、一人暮らしの部屋は初めてだったから、行きたいとは思ってたんだけど、あまりにもしつこく誘うんでなんか不思議に思った。

それで「なんかあるのかよ」と俺が尋ねると、鈴木はちょっと眉をしかめて「来れば分かる。ってかいいから来てくれ、頼む」と言った。
俺の今までの経験的に、こういうのに素直についていかないほうがいいっていうのは分かってる。

でもなんとなく、久々に会ったっていうのもあったし、何より俺は一人暮らしの部屋っていうのを見てみたかった。
で、後日泊まりに行くことにした。

その泊まった日のことなんだけど、奴の部屋は案外普通だった。
汚かったけど、まあ一人暮らしならこんなもんだろうし、狭さも一人なら別に構わない感じ。

壁が薄いのか、しきりに隣の人の水を流したりする生活音が聞こえてたけど、そんなに気にならない程度。
で、行ったのも夕方だったし、なんか馬鹿なことを話したりテレビ見たりしてたらあっという間に夜中になった。

部屋でほぼ雑魚寝状態で寝てたんだけど、そのとき鈴木がすごい不安そうな顔をしてドアのほうを見ていた。
時間は夜中の二時前で、いわゆる何かが出る時間。
それであまりにそういう顔を崩さないもんだから、「どうしたんだよ」って言うと、「そろそろだ」と。
すごい嫌な予感がした。泊まりに来いって言われた理由が分かった気がした。

で、時計の針が二時になった瞬間、玄関のドアノブが回された。
もちろん鍵が閉まっているから開きはしない。でもガチャガチャと明らかになんか開けようとしてる感じ。

布団から身を起こして「何あれ」と聞くと、鈴木は布団にもぐったまま「俺が聞きたい。でも引っ越してから毎日なんだ」と言う。

「……もしかして、あれのせいで俺を呼んだのかよ」

「う……ん、あれだけじゃないんだけどさ、でもあれは実害はないから……」

「はあ?」

ガチャガチャは五分くらいで止んだ。
その後しばらく何も起きなかったし、人間でも人外でも気味が悪かったけど、俺はもう一度布団に潜り込んだ。

奴の言い方から、絶対他にもなんか起きるんだろうなと思ったから無理やり目をつぶって寝ようとした。
俺は怪談とかは好きだけど、自分で体験するのは勘弁願いたいビビリだ。

でもそれでうとうとし始めたくらいのときに、なんか左頬をくすぐられてる感じがした。
髪の毛だと思ったんだけど、鈴木が寝ているのは俺の右隣。で、じゃあ何が、と思って薄目を開けると、なんか、いた。

正直言うと、それがどんなものだったかはよく覚えていない。
多分一瞬見てすぐ目を閉じたからだろうけど、明らかに生きている女じゃなかったってことだけ。あ、でも一応女でした、多分。
その後はどんなに頬をくすぐられようと目をつぶって耐えた。
あと窓をバンバンたたくような音も聞こえてきたけど、もう見るのも嫌だったから寝たふりを続けた。

だってこれ以上変なもん見たら本気でチビりそうだったし。
覆いかぶさるのは美人のお姉さんだけにしてくれ頼むから。


で、次の日の朝鈴木に怒ったら、「あ、やっぱお前にも見えたんだ」と言われた。
結局眠れないまま朝を迎えた俺は奴に切れながら「どういうことだ」みたいなことを喚いたんだけど、奴がひたすら謝るもんだから、だんだん怒りもさめてきた。

で、その後の会話。

「なんかさあ、引っ越したその日からずっとなんだよね。でももし俺にだけ見えるものだったらどうしようとか考えちゃってさ。誰かに相談しようにも、親はそういうの信じない派だし。でもそっか、お前も体験したんだったら俺限定じゃないってことだよな、よかった」

「お前それだけのために俺を呼んだわけ?」

「っつーか、これ以上一人であの部屋で寝るの、正直無理だった。だからお前も同じ体験したら、信じてもらえなくてもお前の名前出して親説得して引越ししようと思ってた」

「だったら最初っから親呼べばいいじゃねーか!」

「いきなりそんなこと言ってもストレスから来る精神病とか疑うぞあの親は! その上親には見えないものとかだったらどうするよ!? 俺檻つきの病院には入りたくない、マジで!」
最初から怪奇が起きることを知ってて、黙って泊めた鈴木には再び怒りがわいたものの、そのあと朝昼兼用食をおごってもらったから許すことにした。
怖かったけど、多分奴もかなり怖かったんだろうから。俺に負けず劣らずのビビリだし。

その後すぐ、鈴木は別のアパートに引っ越した。
「良かったな」と言うと、奴は大きく頷いた後にポツリと言った。

「あそこさ、壁薄かったじゃんか」

「うん」

「で、結構隣の人の生活音が聞こえてきただろ」

「そうだね」

「でさ、一応交流はなかったものの、挨拶くらいはしてったほうがいいと思ったんだよ、出るときに。それで、安いお菓子持って挨拶しに行ったらさ……」

「行ったら?」

奴は気味が悪そうな顔で言った。

「俺の両隣、空き家だったんだよね……」

「……」

同じ階には他の人間が住んでる部屋もあったらしいけど、でもそれであんなに生活音が聞こえるものなのか。
俺が聞いた生活音は、足音だったり水音だったりで確かに人間のものだったはずなんだけど。

とりあえず、俺の一人暮らしへの憧れはなくなった。実家サイコー。
これで終わり。つか長くてごめん。
文字にするとありきたりだしたいしたことないけど、正直すごい怖かった。

こういうこと、実際あるんだなあと……幽霊だったのかなあれ。
人が死んだ部屋とかは言われなかったって言ったけど、アパート自体が相当ボロだったしなあ。

俺が体験した以外にも、その部屋に居る間いろいろ鈴木は体験したらしいけど、怖かったから何が起きたかはほとんど聞かなかった。
█╗█╗███╗████╗██╗
█║█║█╔█║█╔══╝█╔╝
███║███║█║██╗██╗
█╔█║█╔█║█║╚█║█╔╝
█║█║█║█║████║██╗
╚╝╚╝╚╝╚╝╚═══╝╚═╝。
もしかすると長くなるかも知れないが、興味がある者は読んでほしい。

俺の友達の蓮[過去にAと記載した奴]に、『あんなものを書くぐらいならあの話をかけ』と言われたので、書く。

俺には今、付き合っている女がいる。
そいつと付き合う前の話だ。

俺がまだ高校の頃だったか…。
蓮と二人で学校からの帰宅中にコンタクトを落としたらしい女がいた。

蓮は人助けを嫌うタイプだが、俺は違うので蓮を一人そこに残し俺は女に声をかけた。

俺『平気?』

女『え?』

俺の声に気付いた女は顔をあげた。
これがまた、結構な美人で俺生まれて初めての一目惚れ。

結局それから、連絡を取りだして見事付き合うことに。

別にやましい気持ちはないが、蓮には話さずにいた。
いや、あいつの事だから会った人物を絶対霊視すんだよ。

んで、その子と[以後Kとする]付き合い始めてから、俺の身の回りでこんな事が起こった。

親父他界。
死因不明。

なんか心臓発作とかも聞いたけど、俺の親父は確かに年ではあったが健康には自信があると自称し、見た目も至って健康だったんだが…。

そして次に…。

金縛り。
いやね、生まれて初めての事だったわけ。

もう怖くて、怖くて。
冷や汗が流れて、心臓バクバクだし。

真っ暗な中、目だけが何とか動く。
開けたくもないけど、好奇心から目を開けた。

すると何もない。
金縛りにあっているだけ。

それから五分ぐらいたったころかな?
俺のベッドの横に多数の人間? がこっちを向いて座ってるわけ。

何もしてこないんだよ。
逆にそれが怖くて(泣)。

そのまま気を失ったんだけど、次の日流石に怖くて蓮の家にダッシュ。
チャイムを半端なく押して、面倒くさそうに玄関を開けて閉めようとする蓮にしがみついた。

『…何やってんだ、お前』

俺『蓮…ヤバい』

『知ってる』

俺『…はい?』

『待て。家から離れろ』

そのまま蓮の家の近くの公園に行き、話をした所次の様な返事が返ってきた。

『ふぅん。ま、死にたくねぇなら俺ん家につれて来いよ。その代わり家の近くに来たら連絡いれて、そこで待ってろよ。あと、俺の事は何も教えるな。いいな?』

俺『りょ、了解』

こうなったら、蓮の言う通りにするしかない。
もしも、反撃すれば助けてもらえなくなるから…(泣)。
それから俺はKに連絡をいれ、友達に紹介したいとだけ言った。
Kも嬉しいと喜んでくれた。

数日後、蓮の家に向かう途中に喜んでいるKを見て俺は申し訳なくなってしまった。
やっぱり、騙してるうちに入るわけだし。

何度も本当の事を言いそうになったけど、その後に蓮に放置をくらうのも嫌だから黙ってた。

それから蓮の家の近くまで行くと、事前に未送信ボックスに入れていたメールを送った。
前に蓮にKにバレない様に送れと言われていたからだ。

そしてKにここで待ち合わせしていると言って、蓮が来るのを待った。

『荒璽』

背後から、聞きなれた声がして俺は振り返った。

そこには蓮がいたが、蓮は俺じゃなくKを見ていた。
蓮は見た限り女と判断するのは難しい程の容姿をしているから、Kも女とは気付いていないようだ。

『俺ん家近くだからそこで話そうぜ』

一時Kを見ていた蓮が言った。
それに頷き三人で話ながら蓮の家へと向かった。

そして異変は蓮の家の玄関についてから起こった。

K『いや』

俺『は?』

急にKが立ち止まり、蓮の家に入る事を嫌がるんだ。

蓮は未だ何もして来ない。

俺『どうした?』

K『…気分が悪くなったから帰るね』

俺『あ…』

走り出すKを俺は捕まえ損ねて、情けない声を出した。

だが、見事Kを捕まえた蓮は無理矢理家に連れ込んだ。
K『離して! いや! 誰かぁ!!』

回りから見れば俺達はまるで拉致してる様に見えただろう。
しかし、そんな事はお構い無しと蓮はKを連れ家の中へと入る。

俺も中に入ろうとしたが、蓮の奴が俺が入る直前で玄関を閉めやがった。

俺『おいっ! 蓮! 開けろよっ!! 蓮!!』

当然ながら叫ぶ俺を蓮は聞こえているのか、いないのか無視しているようだ。
階段をあがる音が聞こえ、物が割れる音がする。

すると、勢い良く玄関が開き俺の顔を潰した。
鼻にツーンと来て顔を押さえてうずくまる俺を見下ろしているのは、蓮だった。

『手伝え』

自分で閉めといて、それはねぇだろう。と思いつつも放置をくらうのが嫌な俺は蓮に続いて中に入った。

だけど、玄関に一歩足を踏み入れた瞬間俺の目の前が眩み始めた。
ままならない足取りで進む俺に肩を貸してくれた蓮に感謝をしながら階段をあがった。

階段を進むと、俺は驚いた。
まるで強盗が入った後かの様に散らかった廊下。そして並んだ部屋、全ての扉が開かれている。

そして一番奥から唸り声の様な物が聞こえ、蓮の足はそこに向かっていた。
そこの部屋は蓮の部屋で、何もないシンプルな部屋にも関わらずカーテンが裂け、窓ガラスは割れ…と悲惨な事になっていた。

蓮は俺をベッドに横にすると、部屋を出て行った。
K[もうKじゃなかった様な気がしたが]と二人にされた俺は、涎と鼻水と涙で濡れまくった顔のKに話しかけた。
俺『K…どうしたんだよ。俺…何か悪い事したか?』

K『…』

俺『何かしたなら謝るよ。なぁ…Kぇ…』

だんだんと薄れだした意識を何とか保ちながら俺はKに話しかけ続けた。

すると、Kは俺を見た。
そしてゆっくりと俺の方に近づいてくる。

その手には…包丁。

包丁を持った女がいる部屋に一人じゃ歩けない俺を置いて行く蓮の神経を疑いながら俺は失禁しかけた。

俺はガクブルで。
俺は心の中で何度も蓮を呼んだが来る気配がない。

人生の終わりを感じ、蓮を呪ってやろうと心に決め、Kが包丁を振りかざした瞬間に俺の体からダルさが消えた。
急に軽くなった体に身を任せ包丁を避けると部屋を飛び出した。

すると階段に蓮がいた。
部屋に戻ってくる途中だったらしく、蓮は俺を見ると手招きをする。

まだまともに動けない体を必死に動かし、俺は何とか蓮の手を掴んだ。
後ろを振り返ると部屋から出てきたKがゆっくりとこちらに向かってくる。
俺『な、なぁ…蓮。こればっかりはお前でも無理だろ。逃げようぜ、死にたくねぇもん』

情けない声を出す俺を見下ろしている蓮は俺の頭が真っ白になる事を言ってきた。

『安心しろよ。あいつもぅ既に死んだ人間だから。包丁持ってよーが、拳銃持ってよーが、俺たちを殺す事は不可能だ』

俺『…はい?』

思考が停止した俺に蓮が説明したのが次の様なものだ。

俺が初めてKに会った時には既にKは死んでいて、蓮はすぐにそれに気付いたらしいが、俺が浮かれている姿を見て面白くて黙っていたらしい。
だからこそ、俺が泣きついたあの日も蓮はすぐに状況を掴めたらしい。

そして俺が蓮の家に入って体が動かなくなったのは、俺自身に既に他の[Kのお友だちらしい]霊がついていて俺自身の命に関わるからだとか。
だからこそ、Kも今結構ヤバい状態だったらしい。

そして向かってくるKに蓮は何かを呟き始めた。
瞬間Kが止まり体を震わせている。

そして、Kが倒れる瞬間Kが俺たちに向かって包丁を投げた。
しかし、それも途中で消えた。

どうやら、あの包丁は怨念の固まりらしい。
そして倒れたKは5分程の時間をかけて消えた。

その後俺は一人で蓮の家を片付ける羽目になった。


皆さん、ここまで読んでくれて有り難うございます。

しかしですね、これ…前置きに過ぎないんですよ。
まだまだ続きがあるんです。
この話には“呪われる”という表現が含まれています。
以下、自己責任で進んで下さい。
…いいですか?
何があっても責任はとれません。

Kがいなくなった日から一週間。
俺は何の異変も無しに毎日を過ごしていました。

蓮も何も言わず、俺と二人でいてもKの事を口にしませんでした。
しかし、ある日急に…本当に急にKが夢に出て来たんです。

Kは俺の上に股がり…そう俺はKとセック/スをしていました。
付き合っている間でさえ、セック/スなんてしてません。それなのに…。

夢と言っても本当にリアルで。
俺…起きたら本当に服を捲りあげてて…。ズボンも…。

怖くなって俺は蓮に連絡をとりました。
しかし、蓮が電話に出ない。

絶対に出るんですよ!!
俺がかけたら絶対に!!

俺、絶望を感じたんです。
これは一人で戦うしかないと思った俺は蓮にメールを送り、携帯を部屋に投げ捨てて初めてKと会った場所に行ったんですね。

そしたらKが丁度座っていた場所に紙が落ちてるんですよ。
見てみると住所が書いてあって。

俺、ダメもとでそこに行ったんですよ。
そこから電車に乗ってって移動で。

ついた家にはKと同じ名字の表札。
でもそこ誰も住んでない…いや、誰も住めない家になってたんです。

玄関が壊れていて…本当に悲惨な事に。
家の中に入ろうにもどうにも出来なくて。
俺、その日は諦めて家に帰ったんですよね。

そしたら、携帯にメールが入ってて。
蓮かな〜と思ったら、そこにはアドレス張から消したはずのKの名前が!!

内容は『今日は遊びに来てくれてありがとう。でもすぐに帰っちゃったね。私寂しいから今から荒璽くんの家に行くね』…と。

無理です。
無理でしょう!!

俺、慌てて携帯の電源切って。
それから玄関から全ての鍵を閉めましたよ。窓にはカーテンをかけて。

すると、俺ん家一軒家の二階建てで二階にいたんです[その頃から既に独り暮らし]。
そしたら下からピンポーン…って鳴るんですよ。

布団に潜ってると、段々荒々しくなってきて…。

ピンポン、ピンポン、ピンポン…

って。

それすら無視してたらテレビの電源が勝手につくわ、時計が意味も無しに鳴り出すわ、カーテンが風も吹いてないのに全開になるわ、電源を切ったはずの携帯が鳴り出すわで。

携帯は慌てて取りました。
中を見ると、一回しか鳴ってないはずなのにメール17件。着信8件と。

もう全部Kの名前が。
メールには全て開けて開けて開けて開けて…と延々と書かれていました。

逃げたくなっても何処も開けられず、俺布団に潜っていたんです。

そしたら…。
ガチャッ!

って音がして…

ギィ…

って!!

布団から顔を出すと既に頭の上にKがいて。

はい、見事な金縛り。
しかも見事な直立状態。

見事直立状態の俺の横に来ると俺から布団を剥ぎ、俺の上に乗って来たんです。

そして俺の身体中を舐め始めたんですよ。
俺は必死に目を瞑りました。

パサ…

何かを下に落とす様な音がしたんです。
だから目を開けてしまったんですよね。

そしたらそこには全裸のKが。
俺の身体中を舐めながら必死に言ってるんです。

K『貴方が好き。もぅ一生離れない。ねぇ…荒璽くん。好き…好き…』

嬉しいんだか、悲しいんだか。
俺の唇にキスをしてきて。もうどうにでもなれ…って思ったんです。

夢の通りのセッ/クス。
最初に記した通りKは最高に美人で。正直男なら皆惚れちゃうんじゃないかな?

俺段々思い出して来たんですよ。
Kの事が好きだった日の事。

そしたら悲しくなって…涙が出てきたんですよね。
もう悲しくて…止まらない涙のせいでまともにKの顔も見れなくて。

俺…言っちゃったんですよ。

俺『K…好きだ…好きだよ…K…』

って。

そしたら、Kが凄く満面の笑みを浮かべて。
俺…もうKが側にいるなら死んでもいいと思ったんですよ。
俺『K…ごめんな…ごめん。あの時…酷い事してごめん。俺…Kと一緒にいるから』

K『荒璽くん…分かってくれたんだ』

Kが俺に手を伸ばしてきて。
俺…Kの手に触れたんですよ。

んで、ふとベランダを見たんですよ。
そしたら煙草を吸っている蓮の姿が。

二階なんですよ!? ここ!!
なのにこっちに背を向けて呑気に煙草吸ってんですよ。

んで、俺の視線に気付いたのか蓮がこっち向いたんですよね。
その瞬間俺、目が覚めました。

泣いてるんですよ、蓮が。
んで口パクで『助けられなくてごめんな』って言ったんです。

俺、蓮とは幼馴染みなんですが蓮が自分をあれだけ助けようとしてくれてた事を思い出して俺『蓮…』って呟いたんですよ。
そしたら、Kが蓮に気付いて蓮に近づいていったんですよね。

俺慌てて止めようとしたんだけど、Kは簡単に俺の手から抜けて。
蓮は『は?』みたいな顔してポケットから数珠取り出して何か唱えだしたんですよ。

そしたらKが苦しみだして。
んで、蓮を見たら鍵を開けろって合図するんですよ。

俺慌てて、Kの前を通り過ぎて鍵を開けたんです。
そしたら、蓮が家にあがってきて俺をKに向かせたんです。
『こうゆう奴等は部外者が何を言ってもダメなんだ。お前とこいつの問題だ。お前が決着つけろ。フォローぐれぇはしてやるさ』

蓮のフォローすると言う言葉を盾に俺はKに言った。

俺『やっぱりダメだ。Kは死んでるし、俺は生きてる。俺はまだKの所にはいけないよ。ごめん。でも…』

好きだよと言おうとした俺の口を蓮が塞いだ。

『そうゆう事だ。どうしても荒璽が好きなら生まれ変わるぐれぇの準備をしたらどうだ。そのまんまじゃ、いつまでたっても荒璽に気味悪がられるぜ?』

そう言った蓮にKは掴みかかる事はせず、頷いた。

そして消えた。

俺の心に虚しさが残り俺は泣いた。

すると蓮は俺にこう言った。

『もしもあの時お前がKに好きだと言ったらKは絶対に成仏しねぇんだ。望みを持たせちゃいけねぇ。絶望を感じさせちゃいけねぇ。難しいんだよ、あいつ等も』

と。

辛いのは俺よりもKだったんだと言われ、俺は蓮に手伝ってもらい何とかKの墓を調べ手を合わせた。

その時俺はKに手を合わせていない。
合わせたのは蓮だけだった。

望みを持たせてはいけないから。


そして、過去にこのサイトで見た『死んだストーカー』に関してですが、蓮が言う通りだとすれば決して謝らない方が良いと思います。
過去に謝ったと書いてあったので、もう二度と謝らない方が良いかと。

希望を持たせず、絶望を感じさせず。らしいです。
そしてこれを読んだ方に気をつけてほしいのですが。

もしも夢の中で凄く美人の女とセッ/クスをしている夢を見たら[男性の方のみ]気をつけてください。
彼女に飲み込まれず、ちゃんと希望を持たせず、絶望を感じさせない様にしてください。

俺は蓮がいたから助かりましたが、貴方の側には蓮のような人がいますか?
いないのなら、決して好きだと言ってはいけませんよ。

絶対にです。

では失礼します。そしてこれを読んだ方に気をつけてほしいのですが。

もしも夢の中で凄く美人の女とセッ/クスをしている夢を見たら[男性の方のみ]気をつけてください。
彼女に飲み込まれず、ちゃんと希望を持たせず、絶望を感じさせない様にしてください。

俺は蓮がいたから助かりましたが、貴方の側には蓮のような人がいますか?
いないのなら、決して好きだと言ってはいけませんよ。

絶対にです。

では失礼します。
█╗█╗███╗████╗██╗
█║█║█╔█║█╔══╝█╔╝
███║███║█║██╗██╗
█╔█║█╔█║█║╚█║█╔╝
█║█║█║█║████║██╗
╚╝╚╝╚╝╚╝╚═══╝╚═╝。
大爺ちゃんから聞いた話。

事の始まりは大爺ちゃんの爺ちゃん、江戸末期…。

当時は年貢逃れのため、国には秘密で山中に自分の畑を作ってしまう農民もいた。
地元先祖も例外ではなく、数人で協力して山中に畑をつくっていたらしい。

ある時事件が起きた。山中の畑が荒らされていた。
見ただけで獣ではなく人の犯行だとわかるものだった。

彼らは頭を痛めた、秘密の畑であるため役人には言えない…かと言って黙っていたらまた荒らされるだろう。
相談の結果…犯人を捕まえて亡き者にしてしまうということにした。

荒らされていたのは畑の一角だったので犯人は必ずまた来ると考え、手に農具を携えて毎夜張り込んでいた。

そしてその時は来た、二人の男が張っていたその夜…闇に蠢く小さな影。背丈は子供だと思わせた…刀も何も持っていない。
二人は一斉に飛び出した、農具を握り締め振りかぶろうとしたが…その手が止まった。

影が振り返った、雲間から漏れるわずかな月明かりがその姿を照らした。
ボサボサに伸びた頭、薄汚い布を腰に巻いただけのこじきのようだが……その顔が人間のそれではなかった。

耳元まであるような大きな口、本来あるはずの鼻はなく小さな穴が二つ。
目はひとつで、それも縦に切れた大きな目。
異臭がする……吐く息が白く、それにすら毒素があるように思えてくる。
こいつを殺せば被害はなくなるのだろうか? むしろ祟りがあるのではないか…そう思うと振りかぶった農具がおろせない。

そしてその化け物をみすみす取り逃がしてしまった。
化け物の後ろ姿を呆然と見つめる二人、そしてこのことをきっかけに悲劇が起きる…。

村の畑にまで被害が出始めた、領主に相談しても相手にされず、村全体の問題となった。
そして悲劇が起こった…。

大人達が祟りや妖怪の恐怖のあまり行動できない時、退治を決意した子供たちがいた。
彼らは大人達と同様二人一組となり見張りをしていた。

ある晩、二人の子供は畑を荒らす黒い影を見つけた。
…自分達と対して変わらない背丈。こんな奴に俺たちの作物が…。

怒りが先立ち石を投げはじめた。一石が化け物に当たり、化け物がこちらを見る。
子供たちは凍り付いた。しかし頭の中はパニックになり、次にどうするべきだったかを忘れた。

怒り狂った化け物が奇声を発しながらかけてくる。
一人は恐怖のあまり持っていた包丁を捨て逃げ出した。もう一人はとるはずだった行動を思い出し農具を構えた。

翌日、村に戦慄が奔った。逃げなかった子供が畑に倒れていた。
喉元を食い千切られ、体のあちこちの肉がなくなり、腹からは臓物が飛び出している。
大人達はこれ以上目を瞑ることができない。として、明日の昼に化け物の捜索をすることを決意した。
しかし…その夜、またしても悲劇が起きた。

気付いたのは朝方だった、ある家族が起きてこない…心配し近隣の者が見に行くと、一家3人皆殺しにされていた。
父と母は喉元を切られ、子供はそのうえ腹を引き裂かれていた。

もはや一刻の猶予もないとした大人達はその日の畑仕事が終わりしだい捜索に出掛けた。

実にあっけなく問題は片付いた。

化け物は山中の池にて人の腸を振り回し甲高い声で笑っていた。
そこを取り囲み、農具で滅多うちにした後首を刈り取った。


その首をどうするべきか、大人達は神社の神主に相談した。
しかし、神主の答えは意外なものだった。

「体と一緒に埋葬なさい、それからそのものは妖怪の類ではありません」

神主曰く、それは領主の息子なのだという。

一体なぜ?

「呪いですよ…領主の先輩に、いえ、家系にかけられたね」

神主はすべてを語らなかった。
すべてを話したのは明治以降となる。

そして、化け物は確かに人間であり、領主によって地下でしばらく幽閉された後、山に放たれたそうだ。

呪いについてはまたの機会にお話します。
█╗█╗███╗████╗██╗
█║█║█╔█║█╔══╝█╔╝
███║███║█║██╗██╗
█╔█║█╔█║█║╚█║█╔╝
█║█║█║█║████║██╗
╚╝╚╝╚╝╚╝╚═══╝╚═╝。
皆さん、こんばんわ。

今回話す内容はもしかするとあまり怖くないかも知れません。
実際体験した俺は相当怖かったですけど。

俺が大学に行く為に引っ越しをしたんですよ。
そしたら幼馴染みの蓮が急に遊んでくれなくなりまして。

あいつが遊んでくれなくなると、凄く怖いんですよ。
しかも引っ越した瞬間から。

最後にあったのも引っ越しの前日でしたし。
だから俺、勇気を出して蓮に電話したんですよ、遊ばないか? って。

そしたら…

『お前ん家に行かねぇなら良い』

これですもん。

怖いじゃないですか、やっぱり。
だから俺、蓮の家に行って俺の家で遊んで下さいって頭さげたんです。

まぁ、物凄く情けない気持ちになりましたが…。
それでやっと、次の日家に来てくれる事になりまして。

俺家に帰って、着替えてたんですよ。

そしたら…

ゴロッ…

ドンッ!

って。

何かが転げ落ちる様な音がするんですよ。
ん? と思って音のした方を見ても何もなくて。
気のせいかな…とか思ってたんですよ。その時は。

んで、風呂に入って上がって、さて寝るかってなった時にまたゴロ…ドンッ! って。

俺、また確認したけど何もない。
でも、さっきと違ってその音はずっと鳴り続けてるんですよ。

なんだ? どこだ?

って探してたら、その音が押し入れから聞こえてる事に気付いて。
俺、好奇心から開けちゃったんですよ。

そしたら目の前に顔があるんです。

本当に目の前!!
もう鼻と鼻が当たるんじゃないかってくらいの距離(泣)!

そしたらその顔、何故か前後に小さく揺れてるんです。

ん?
って思ったのも束の間。

一段大きく後ろに揺れたかと思ったらその顔は俺にチューする勢いで向かってきて。

慌てて避けましたよっ!
男ですもん! 白目向いてますもん!! 鼻血やら何やら出てますもん!!

そしたら、その顔…体がなくて。

浮いてたのかな? 何て思ったけど、違って。
そこには[絶対にあるはずのない!]昔の曝し首を乗せる台があって。
そこから落ちた首は見事俺の足元まで転がって来た。
避けようと後ろに下がると首もついて来る。

えぇ!? って思ったらその首、俺のズボンの裾噛んでて。
俺、滅茶苦茶足を振り回して。

『離せっ! 離せよっ! お願い、離してっ!!』

何て情けない声を出しながら叫んではいたが、中々離してはくれない。

こうなれば、俺は蓮以外頭に浮かばない。
足に首をつけて、絶対に流行らないファッションで蓮の家までダッシュ。

車はあるけど、こんなんじゃブレーキ所か、アクセルすら踏めない。
結構遠い蓮の家に一時間かけて。その間、もちろん休憩なんてしない。

自分の足を見るのも嫌だし、デカイ男が泣きながら走ってる姿を人に曝してる訳だから恥ずかしさも手伝って俺は走ってた。

蓮の家につくなり、チャイム連打。
面倒臭そうに玄関を開けて、閉める蓮を止めしがみつく。

流石の蓮も俺の足を見て驚いた。

『お前なにつけてんだ! 気持ち悪ぃ!!』

俺『そんな事、俺が一番よく知ってるから!! 助けて! 外して!!』

蓮は俺の足に噛みついている首の髪を掴むと持ち上げ家の中に入った。

その後を追って俺も家に入ると…

『親父』

寝ている親父さんを起こす蓮がいた。
親父さん『うわぁ! 何じゃ、気持ち悪い!!』

目を開けるなり、飛び起きて部屋の隅に逃げる親父さんに俺は心の中で何度も頭を下げた。

『やる』

親父さん『いらんっ!』

『受けとれ』

親父さん『勘弁してくれ(泣)!!』

体を両手で抱き締める様にして、必死に抵抗する親父さんの顔の近くに首を近づける蓮を俺は黙って見る事しかできなかった。
そして、その後嫌々受け取った親父さんが何とか消滅させてくれて俺の家には平和が帰ってきた。

…あんまり怖くなかったかも知れません。でもまだ、山の様に話はあります。
どんどん送らせて戴くので、気長に見守ってやってください(泣)。
█╗█╗███╗████╗██╗
█║█║█╔█║█╔══╝█╔╝
███║███║█║██╗██╗
█╔█║█╔█║█║╚█║█╔╝
█║█║█║█║████║██╗
╚╝╚╝╚╝╚╝╚═══╝╚═╝。
母方の祖父母の金婚式の年、親族揃って熱海のホテルでお祝いをやった。

宴会場での夕食の後、俺は二人の従弟、智宏と郁と一緒に部屋に戻った。
智宏は酔っ払って寝ており、下戸の俺とまだ中学生だった郁はTVを見ながら、腹がこなれたらもう一度温泉に浸かっておこうなんて話してた。

そこへ、用事があって郁のオフクロさんがやって来た。
叔母さんはあれこれ郁に言い、話が終わると、ふっと足元の俺達の鞄を見た。

「直ちゃん、これあんたの鞄?」

言われて俺が「そうです」と答えると、叔母は開いていたスポーツバッグのファスナーを、さっと閉めた。

叔母は長く勤めた看護師で、きっちりした人だ。俺のだらしなさが気になったのだろう。

寝ている智宏を残し別棟にある大浴場に行くと、郁はその道すがら、以前にも自分の友人が母に鞄を閉められたと言った。

「几帳面だと思うでしょう?」

俺が頷くと、郁はアメニティの入っていたホテルのビニール巾着をぶらぶらさせた。

「あれ、違うんです。母はね、怖いんですよ」

郁の話はこうだった。
叔母が若い頃、秋口に八人ばかりのグループで長野に行ったそうだ。
旅館では四人ずつ、二つの部屋に分けて通された。

叔母が荷物を開けていると、そこへ隣の部屋の四人がやって来た。

「あっちの部屋、何か暗い感じ」

叔母らが見に行くと、仲間の荷物が入口の側の壁際にちんまりとまとまっている。
確かにそこは妙な空気で、部屋の奥まで入りたくない雰囲気だと全員が思った。

「…空気が淀んでるんじゃないの?」

叔母と同室でグループのリーダー的な子がそう言って、ずかずかと部屋に入る。
窓を開けると、重たい気配が少しだけ和らいだ気がした。

「なんなら部屋逆にしようか。いいよね?」

リーダーに問われて皆同意したが、叔母は嫌で厭で仕方なかった。
彼女も何故か部屋の壁際を歩いて、窓との間を往復したのだ。

見えていないのに。気が付いていないのに。
叔母には見えた。

部屋の中央に、大きな異形の男が座っていた。
鬼、だと思った。そうとしか表現のしようがない。

叔母達とその部屋の子達は部屋を交換して、荷物をそれぞれの部屋に移した。
異常のなかった部屋の方で夜明かしして、隣室で休んだ者はない。何事もなく会はお開きになり、叔母も家へ帰った。

住んでいたアパートに帰り着いたのは夜も更けた頃で、叔母は寝室の入口の、開いたままの襖の際に鞄を放ったらかしてベッドに入った。
一泊旅行で大した洗濯物もないし、明日起きてから荷解きすればいい。若い頃の叔母は、俺と大差なかった様だ。
しかしいざ寝ようとしたら、気になる事を思い出した。
ウォークマンどうしたっけ…?

当時はまだ結構いい値段だったらしいそれを、旅行に持って行ったのだ。
MDやCDですらなく、中身はカセットテープ。

集合場所までの電車では聴いた憶えがあったが、帰路では鞄から出していない。
まさか忘れて来たのではないかと不安になって、叔母は鞄の方へ向かった。

オレンジ色の豆球の明かりの中、叔母は旅行鞄のファスナーを開ける。
大した荷物も入っていない、クタクタのバッグ。

開いた鞄の口を覗いたら目が合った。
鞄の中の目と。

人とは思えない顔、鬼としか思えない異形の男の首が。
首が鞄に入っている!!

叔母は咄嗟に鞄を払い除けた。
横倒しになった鞄から、ごろりと首が転げ出る。

「××××××××!」

首は判別不能な叫び声を上げて、襖の向こう、暗い台所へと転がって行った。
ごつんとどこかに当たる音。

叔母は恐る恐る暗がりを覗いた。
しかし、そこにもう鬼はいなかった。
家中の明かりを点けて確かめたが、台所には勿論、鞄の中にも首はない。

電灯の光の下の鞄には、衣類と洗面道具、ウォークマンが入っているだけだった。


脱衣所に着いてからも続いた話が終わって、郁は巾着袋からタオルやら何やらを引っぱり出しながら笑っていた。

「…だから母は鞄をきちんと閉めないと怖いんです。旅館のその部屋で、母は鞄を開けっ放しで置いていたんですよねぇ」

そう言いながら、郁は袋に通された紐を左右にぎゅうと引いた。

俺はその話を聞いて以来、鞄の口は必ず閉める事にしている。
█╗█╗███╗████╗██╗
█║█║█╔█║█╔══╝█╔╝
███║███║█║██╗██╗
█╔█║█╔█║█║╚█║█╔╝
█║█║█║█║████║██╗
╚╝╚╝╚╝╚╝╚═══╝╚═╝。
前回投稿した『物置で見た地獄』を採用していただき、ありがとうございます。
今回は、さらに前の体験を紹介したいと思います。

皆さんの出身校、または在籍する学校に七不思議はありますか?
これは私が小学校三年生の時の、七不思議に纏わる話です。

当時私が通っていた小学校には『七不思議』がありました。
その七不思議とは

1、トイレの花子さん
2、幽霊が映る体育館の鏡
3、美術室の首吊り死体
4、夜ひとりでに鳴るピアノ
5、目が動く肖像画
6、歩く人体模型
7、人食いロッカー

以上の七つです。

別に『七つ全部知ったら死ぬ』などと言う事はなく、七不思議自体も見間違いや作り話でした。
あるひとつを除いて...

私は放課後、よく学校で友人とかくれんぼや鬼ごっこをしていました。
その日もいつものように、私を含め五人でかくれんぼをすることになりました。

じゃんけんをし、友人の一人(Eとします)が鬼になりました。
皆散り散りになり、私も隠れ場所を探していると、突然別の友人(Bとします)に腕を引っ張られました。

B「いい隠れ場所があるんだ。お前もこいよ」

そうして連れてこられたのは私のクラスから少し離れた、物置として使われている教室でした。

私「え...? ここはちょっと...」

正直私は入りたくありませんでした。
..そう、この教室にこそ、例の『人食いロッカー』があるのです。
これは後で知ったことなのですが、私が入学する二年ほど前、一人の児童がふざけてこのロッカーに入った直後に、煙のように消えてしまったことがあったそうです。
それからというもの、このロッカーは『人食いロッカー』と噂されるようになったようです。

この教室にはよく使うものもいろいろと置いてあるので鍵はかかっていませんが、『人食いロッカー』があるため放課後はもちろん、日中ですら誰も入りたがりません。
しかし怖いもの知らずのBは普通に入っていきました。

こうなっては私も引くに引かれず、Bに続いて入りました。

B「どうだ? ここなら怖がりのEは探しにこれないだろう」

Bは全く怖くないようでした。
私はというと、この教室に入った瞬間から妙に寒い感じがしました。

私「..何だかこの教室寒くない?」

B「そうか? ...あ、お前びびってるのか? しょうがねーな、俺がロッカーを調べてやる!」

そう言って、Bはロッカーを開け、なんと中に入っていきました。

私「何してるの!? そ、それは人食いロッカー...」

B「お前も臆病だな。箒とちりとりが入ってるだけの普通のロッカーだぞ。じゃあ俺はここに隠れてるからな」
戸を閉めてしまいました。
彼は言い出したらきかないので、私も衝立(?)の後ろに隠れました。

五分ほど経ちました。
誰も探しに来ないので、いったん教室を出ようと思ったときです。

ガタ..ガタガタガタ...ガタンゴトン...

ロッカーが十秒くらい揺れたと思うと、また教室はシーン、と静まり返りました。

気味が悪くなってきた私は、中にいるであろうBに出てくるよう呼び掛けました。

私「B君、いいかげん出てきたら...?」

返事はありません。
少し怖くなりましたが、Bがふざけているんだと思い、ロッカーを開けて見ました。

ギイイィィー

中を見て心臓が止まりそうになりました。Bは姿を消していたのです。

恐ろしくなり教室を飛び出した私は、半泣きになりながら皆のところに行き、事情を話しました。
それを聞いた友人たちは青くなりましたが、私を含め誰一人『あの教室を探そう』とは言いませんでした。

結局その日は、『Bは先に帰った』と結論づけ、皆帰りました。

次の日...Bは学校に来ませんでした。
先生は『Bが昨日から家に帰っていない』と言いました。
怖くなった私たちは、先生に泣きながら昨日のことを話しました。
先生は少し青ざめたようでしたが、私たちにあのロッカーのことを教えてくれました。

先生の話によると昔、あのロッカーの中で児童が死んでいたそうです。
その児童はいじめられっ子で、それを苦にして自殺したらしいです。

もしかすると、Bはその子の霊に連れて行かれてしまったのでしょうか...そう考えると怖さと悲しさで涙が溢れてきました。

それから三日後...私はあの日一緒に遊んだ友人三人と、まだ見つかっていないBを探すことにしました。
しかしあの教室の前に来ると皆、足が竦んでしまい、暫く固まっていました。

意を決して中に入ると、あの時のように妙に寒い感じがしました。
恐る恐るロッカーの前まで来ると、正面に何か落ちていました。

...それは名札...しかもBの名前が書かれていました...。
全員の顔に恐怖が浮かんだ、その時でした。

ガタ...ガタ..ガタガタガタガタガタン!!

ロッカーがひとりでに揺れたのです...!
私たちは泣きながら家まで逃げ帰りました。

その後、私も三人の友人たちも二度とその教室には近付きませんでした。
あの時ロッカーが揺れたのも、『きっと誰かが中に入ってて俺たちを脅かしたんだ』ということになりました。
しかし私にはそう思えません。
あんなことがあったばかりのときに、ロッカーに入ろうなどと思う人がいるとは思えませんし、なにより私は見てしまったのです。

...あの時、いつも入口から見て横を向いているロッカーが入口のほう...つまり逃げる私たちのほうを向いていたのを...
そして....ロッカーの奥に、無数に光る目があったのを.....

結局Bは行方不明のまま、現在も見つかったという知らせは届いていません。
私は、もうBは生きてはいないだろうと思います。

あの時見た、無数に光る目...
どれかがBだったのかもしれません。
█╗█╗███╗████╗██╗
█║█║█╔█║█╔══╝█╔╝
███║███║█║██╗██╗
█╔█║█╔█║█║╚█║█╔╝
█║█║█║█║████║██╗
╚╝╚╝╚╝╚╝╚═══╝╚═╝。
さて、今年のお雛祭りも無事終わったし、数年前に起こった祟り騒ぎでも投下してみる。

事の始まりは雛祭りも近いある夜の事。
突然、近所に住む若い母親Aが訪ねてきた。

彼女は開口一番

「お雛様貸してください」

何でも、義母にお雛様(と娘)の写メを送れと言われたらしい。
冗談じゃない。でも、相手は玄関の中にいる。

「私」の雛人形を「他人」になんて貸し出せない。他をあたってくれとかなり冷たくあしらった。
するとAはたまたま玄関に飾ってあった古い雛を見て

「じゃあ、コレをちょうだい!」

さらに冗談じゃない。
そのお雛様は大正の逸品で、元持ち主さんに日参して礼を尽くして譲り受けた家宝だぞ!

お宅のはどうしたんですか、娘さんもう3歳位ですよね? と聞き返したら、初節句の時に義母からお雛代をもらっていたけど使い込んじゃって…結局ずるずる買ってなくて…だからお願いします、お人形集めててたくさん持ってるのなら、1セット位!

その家は、旦那さんが海外赴任・義父母はかなり遠方、Aさん両親は既に他界。要するに、監視の目が無いことをいい事に、好き放題していたらしい。
で、それを察知したのか今日になって急に義母が「どんな雛人形か見せろ」と言ってきたそうだ。

あまりの自己中に、こっちも怒り心頭。この母親、決して生活に困っているのではない。
むしろ、しょっちゅう近所に子供預けて遊び歩いている困った人。やや乱暴に無理矢理玄関から押し出してお引取願った。

その翌日ぐらい。これは別の母親Bから聞いた話(騒動のかなり後になってBから聞いた)。
Aは公園で、私がいかにケチクサい行かず後家かを愚痴っていたらしい。

最初は私への個人攻撃から始まって、話題はだんだんと雛人形非難へと流れていった。
古くてかび臭い人形なんてこっちからお断り、とか祟りそうで嫌、とか。
なんだか、Aが雛人形の悪口を言い始めた頃から公園には変な風が吹き始めたらしい。
風がわざわざA達の周りで回転してゆくような…。

B以外にも数人のお母さんたちがいたらしいけど、皆何となく妙な空気を感じてそわそわしだした。
その時Aが

「あんなシミだらけの顔の雛人形、ブスすぎてウチのコには似あわないわ!」

言い放った。

その瞬間、どこかで「キョンっ!」という大きな金属音がしたそうだ。
その場にいたA以外全員がその音を聞き、子供たちも(Aの娘も含む)驚いて各母親に抱きついた。

それで皆逃げるように帰宅。
状況が理解できていなかったAもフラフラ帰っていったそうだ。

雛祭りも終わり、私の家もすっかりお雛様の片付けが終わったある日、事もあろうに高齢の尼さんが訪ねてきた。
これは誰だと目が点になっていたら、ものすごく丁寧に

「Aの義祖母だが、孫が貴い方に大変な失礼をしたようなので、謝らせていただきたい」

というような事を言われた。

貴い? 私じゃないよな? と思いつつ

「貴い方ってどなたの事ですか? まさかお雛様ですか?」

答えは案の定「お雛様です」。

片しちゃったから、出しなおすまでA宅で待っててくれととりあえずお引取願い、小一時間後にお雛様2対を出し(両方親王飾りでよかったw)A宅に向かった。
A宅には当然Aがいたんだけど…Aの顔ははれ上がり、赤い斑が浮かんでいた。私を見て露骨に不機嫌そうな顔。
ビックリしていると、奥から顔を出しているA娘も似たような状況なのに気がついた。

A義祖母は何事も無いように奥の部屋から現われると、まだ固まっている私を促して、私の家へ。
私の家で義祖母さんはお雛様の前にとても高価そうな和菓子と白酒を供え、よくわからないお経を30分以上あげてから帰っていった(このセットは後から母と美味しく頂きました。本当にものすごく美味しかったw)。

後になってから知ったのは、A義祖母はいわゆる拝み屋さん。
遠方にA義父母と共に暮らしていたんだけど、ある日突然「このままじゃひ孫まで取り殺される!」と叫んで駆けつけたそう。

翌年Aは旦那の帰国と共に旦那実家に引っ越していきましたけど…今頃どうしているのやら。


<追記>

でも、非常に気にかかるのがAの義祖母さん。
本当にそういうのが見える人っているんだとびっくりしたのと、万が一義祖母さんのような人がいなかったら…AとA娘さんの命が危なかったって事かと…。

他人様の家の「守護神」を軽々しくおとしめちゃいけないって事ですね。
█╗█╗███╗████╗██╗
█║█║█╔█║█╔══╝█╔╝
███║███║█║██╗██╗
█╔█║█╔█║█║╚█║█╔╝
█║█║█║█║████║██╗
╚╝╚╝╚╝╚╝╚═══╝╚═╝。
ある日、普段はあまり遊ばない友達からメールが来た。

「今から肝試し行くんだけど一緒に行かない? A君とB子C君が一緒なんだけど、どうかな?」

そんな内容だった。

私は既にお風呂に入ってくつろぎ中の夜8時頃、ちょっと気にはなったけど久しぶりのゆったりした時間が勿体なくて断った。

「残念〜。あっ!! せっかくだから実況メールしてあげるよ〜。目的地は〇〇病院だし」

〇〇病院と言えば地元では結構知られたスポット、『週末だし他にもいるんだろうなぁ』なんて思いつつ適当にメールの相手をしながらのんびりした週末の夜を過ごしていた。
この後に、あれ程の事が起こるなんて思いもせずに…。

結局彼女達は更に二人の友達を加え、六人の団体でその病院に向かっているようだった。
メールはとめどなく続く、興奮する気持ちを抑えられないのが手に取るようにわかる。たまに、車内で撮したと思われる画像や動画等が添付されていた。

運転手のA君と予備運転手のD美以外はビールも呑んだりして騒いでいるようだ。
楽しそうなメールを見る度にちょっぴり後悔してた、結局メールで付き合わされるなら行った方が良かったなぁなんて思ってた。

程なく、車は現場の病院に辿り着いた様だ。

「それでは、A突撃部隊、出撃します!」

なんて張り切ったメールと共に病院の入り口の写メ。
いやぁ〜な雰囲気漂う写メだった。何となく霞がかかった様に見えなくもない。

『心霊スポットなんだからそんな感じがして当然よね』
なんて思いながら。私は、既にこの実況を楽しみ始めていた。
夏に良くある特番みたいに。

「先ずは一階、診察室〜。大したことないね〜。A君が机あさってま〜す。何にもめぼしいものはないみたい」

写メがあったので見てみる。

『赤い光? 街灯かな?』

「街灯はないよ〜? ライトが反射してるんじゃない? とりあえず病棟に移動するみたいだから行くね〜」

ライトの反射? あんな高い位置でしかも反射する様なものないみたいなんだけど…。
何だかドキドキしてきた、嫌な予感もしてくる。

「二階到着だよ〜何だかこわぁ〜い(笑)」

今度は動画だ、ワイワイガヤガヤと騒ぐ声、暗闇に交差するライト。レポーターちっくなB子の声。??

見終わった後に何となく違和感があった。もう一度見てみる…あれっ?

一瞬写るベット…更に繰り返し見ていくと、私は青ざめてしまった。
キャプってみると、間違いなく写ってる。

慌てて、その画像をつけてメール返信。

『足! 写ってる! ヤバいよ、逃げて』

A君から電話が来た、驚きながら出る。

「お前画像になんかしただろ? 止めろよ全く!」

後ろが何となく騒がしい。みんな動揺してるみたい。

『私、何もしてない! 本当に写ってたの! 早くそこからでた方がいいよ!』

叫ぶように告げたその時
【ウフフ】

『え?』

「何だよ、どうしたんだよ。脅かすようなこと止めろよ」

【逃がさないわよ】

『イヤ! 何これ?』

「お前だろ! お前だと言ってくれ!」

[キャーッ!!]

電話の後ろから叫び声が聞こえた。
私はパニックになりながら必死に電話に叫んでた。

『逃げてー!!』

「何だよあれ! おい!! みんな一階まで走れ!」

電話を切ることも忘れたように少し遠くからA君の声。

何が起こってるのかわからない。叫び声や走る足音に混ざり、耳障りな笑い声。
私は身動きも出来ず、携帯に耳を傾けながら祈り続けていた。

誰かの名前を鳴きながら叫んでいる声、断末魔の様な絶叫。悲鳴、笑い声、悲鳴、笑い声…。

頭がおかしくなりそうだった。
どうしたらいいかもわからず、携帯から耳を離す事も出来ずただただ泣いていた。

暫くすると、まるで嘘の様に静まり返る携帯…私は意を決して、警察に電話をする。
怒られた…が、一応現場に行ってくれるらしい。一安心…とはいかず、不安に苛まれる。

私は車のキーを握りしめ、玄関を飛び出していた。
警察も来てくれるなら大丈夫! なんて甘いこと考えながら、現場に向かった。
現場に向かう途中何度か電話がメール着信は通常着信を知らせていたが、気づかないまま現場に到着した。
怖くて車から降りるのを躊躇する。警察はまだ来ていないようだった。

ふと、携帯の着信に気付き、慌てて見てみる。
A君からの着信とB子からのメールだった。

「助けて」
「ここだよ」
「早く来て」
「警察」

その後本文なしメールが三通…何か添付されている…。

意を決して開けてみる…。
息を飲んだ。言葉にならない。

画像には参加者達を掴み笑う見知らぬ女。
女の目。
最後は動画で何かを呟き笑う女。

真っ青になって逃げ出そうとした…。
その時、後ろから赤色灯が近付いてきた。一瞬の安堵の後慌ててパトカーに向かう。

二人の警察官に事情を話し、携帯画像を見せると、一人の警察官が応援を要請していた。
静まり返った病院に警察官二人が向かい、私は後発隊を待つように言われた。

程なく、後発隊も到着し、全員で病院の中に向かう。
暗くジメジメしていて、恐怖を纏う病院の中へ。

暫くすると無線から声がした、二階にて人を発見したようだ。
慌てて私達は向かった。
204号室…にベットが6つ…そこに全員寝かされていた。
警察官達が近寄り声をかけるが反応がない。

救急車の要請…運び出し…呆然とする私の前でどんどん救出されていく。
全員が運び出され、私は事情を話すために警察に向かう。

警察署につく頃には朝になっていた。

警察官には信じてもらえなかったが、画像や映像を見せて話していく。
だが、画像も映像も一切怪しい所はなく。更にはA君の携帯には発信記録さえない。

その後何度か警察署に呼ばれ事情を説明した。
あの時の六人は二人は未だ意識不明…二人は精神を病んで入院…二人は不可解な自殺という、激しく鬱になる結末だった。

私は必死にこの出来事を忘れようと努力した。
携帯は勿論新規に買い換え、古い携帯は怖かったのでお寺に預けた。


あれから1ヶ月がたち、私はあの出来事はあまり思い出さなくなっていた。

そんなある日…自宅で寛いでいると携帯が鳴る。
携帯を見る…違う…どこから…クローゼット…恐る恐る開けてみる…古い携帯…あぁ…私は逃げられないんだ。

鳴り続ける電話を見つめ…何かを諦めた。

続く
鳴り続ける携帯…間違いなくお寺に預けたものだ。

何が起きてるのかわからない。
無意識のうちに携帯を掴み画面を開いた。

メール着信…。
自殺したB子から…。

「お久しぶり、やっと見つけた。待っててね」

画像は…あの病院の近くで首吊りしたB子…そして…不気味に笑う女。
一瞬気が遠のいた。が、辛うじて冷静さを取り戻そうと踏ん張る。

私が頼れるのは既にお寺の住職しかいない。
お寺に向かう事にして、古い携帯と新しい携帯を持ち、家を飛び出した。

車に飛び乗り、エンジンをかけようとするけど、震えが酷くなかなかキーを差せない。
古い携帯が着信を知らせる、怖くて見たいとも思わないのに、何故か体が勝手に動き携帯を掴んだ。

「早く逢いたいね〜。めっちゃ楽しみ」

B子から、画像もなにも添付されてないのに笑い声が聞こえる。

『ごめんなさい! ごめんなさい! 許して下さい、もう私に構わないでよ!』

訳もわからず、絶叫しながら。やっとキーを差し込み、急いでエンジンをかける…かからない!?
焦りながら何度もセルを回す…。

ふと泳いだ目線がバックミラーを捉えた瞬間、何かが写った…。
思わず目を凝らすと…いた…あの女…。
その瞬間、気を失った様だ。

気付いた時には、何故かあの病院の前。
怖くて恐ろしくて、どうしたらいいかわからず、泣き崩れた。

静まり返った病院。あの事件の後、お祓いをしたと聞いている。
窓や扉は板で全て塞がれ、誰も立ち入ることが出来なくなっていた。

『どうして私なの! 私は何もしてないじゃない!』

兎に角わめきちらした。
顔をぐちゃぐちゃにして叫ぶ姿は、誰かが見ていたらきっと狂人だと思ったに違いない。

ただひたすら叫ぶ事で、心は少し落ち着いてきた。
ここまで連れてきといて何もしてこない彼女達の事を考えたりした。

『そう言えば、B子が亡くなってから、一度も線香あげてないや』

変に醒めた頭でそんな事を考えた、車には、いつかこようと思って線香を積んであった。

何故か恐怖心が飛んでしまった私は、線香を持つとB子の亡くなった場所へ。
そして、大きな木の根元に線香を手向けた。

ん? 車の音?
緊張しつつ、見ていると、一台の車が現れ。
何と、先日古い携帯を預けたお寺の住職が現れた。

驚いたような、安堵したような顔をして、近付いて来た住職に全てを話した。
頷きながら聞いていた住職は、ここに来た経緯を話してきた。

携帯には邪気がまとわりついていたこと、浄化の準備中に携帯が無くなった事。何故か廃病院に行かねばと思った事。

等を話してくれた、その話を聞きながら何気なく病院を見ていると…二階の一室に何故か明かりが灯っている。

??
理解できない、既に電気も来ていない、入り口もどこにもない病院に明かり…微かに携帯の着信音…

ハッ! として確認すると、確かに握っていたはずの古い携帯が無い!

『行くしか無いでしょうな、携帯がなければ、浄化も叶わない。供養を任された私としては、中途半端にはしたくないですから』

歩み出す住職。

「私も行きます。一人でいるのは耐えられません。それに、知りたいんです」

『ならば…どこか入り口を作りましょうか』

私達は病院の周りを見て回り、比較的壊しやすそうな窓に当たりをつけ、車から工具を下ろしてきて、窓についていた板を外し始めた。
携帯は相変わらず着信音を奏でている。
何とか、人が通れる程に穴を広げ、ライトを持ち、先に住職が入っていった。
私も直ぐ後を追った。

明かりがついていたのは二階、着信音も二階から聞こえる。
再び湧き上がる恐怖を必死に堪えながら、住職と共に二階へ…。

明かりがついていたのは…204号室…やっぱり…重い足を必死に動かして、その部屋に向かう。
そして…意を決して、部屋を覗く…ベットが2つ、向かい合わせにある…

「嘘でしょう?!」

ベットに、寝ていたのは…未だに意識の戻らない二人…。

「有り得ないって! なんなのこれ!」

既にパニックになり始めていると

『うわっ!』

後ろにいた住職の声。

「どうしたんですか?」

声をかけつつ振り返ると…住職の姿はなく…変わりに…虚ろな目をした、精神を病んだ二人…。

「あああああああ!」

すっかりパニックになる私の左耳に…
【あははははは〜】

あの女の声が響く、慌てて左を振り返ると、今度は右から。
更に部屋全体に…。


ここでまたもや気を失った様だ。

気が付くと、お寺の本堂に寝かされていた。
目の前では、台の上に古い携帯を置き、住職が一心不乱に読経していた。

「あの…」

私が声をかけると、住職はゆっくり振り返った。

住職の話によると、あの部屋を覗いた時、廊下の奥から着信音が聞こえたらしい。
住職は直ぐにそちらに気を取られ凝視していると、私の叫び声が聞こえ、慌てて目を戻すと、ベットの上に携帯があったので、その携帯を数珠で縛ると、倒れた私を抱えて、寺まで来て、それからずっと、携帯を取り巻く邪気を祓い続けたらしい。

あの時私が見た四人は、幻覚だと告げられた。

『さて、これで携帯についていた邪気は祓いました』

ゆっくりと静かに、住職に告げられた。

「ありがとうございます」

丁寧にお礼を言い、住職のお弟子さんが取ってきてくれた、私の車に乗り込み、帰宅した。

やっと解放されたのだ。理不尽な霊障に悩まされることはもうないのだ。
そう思うと、とめどなく涙が流れた。
そして現在…私は未だに、あの日になると来るメールに悩まされている。
何度携帯を変えようとも、あの日が来る度に…。

私はいつかこの恐怖から解放されるのだろうか…。
それとも………

【ウフフ】

そんな笑い声が聞こえたような気がした…。
█╗█╗███╗████╗██╗
█║█║█╔█║█╔══╝█╔╝
███║███║█║██╗██╗
█╔█║█╔█║█║╚█║█╔╝
█║█║█║█║████║██╗
╚╝╚╝╚╝╚╝╚═══╝╚═╝。
時代はわかりませんが、都も町というべきものも無い、畑ばかりの田舎の村…。
その村の領主は代々とても心やさしい人でした。

信じられない話かもしれませんが、昔の飢饉といえばおびただしいまでの餓死者がでたものです。
ですが、領主は屋敷の蔵を開放し、食物を農民に与え餓死者を出さなかったという記録もあります。

脱線しましたので話を戻します。

村でも評判のそれは綺麗な娘がいました。その娘こそ他ならぬ領主の娘です。
一族始まって以来の美人とまで言われ、領主はどの名家に嫁がせるかを早くから悩んでいました。

とはいえ娘は、姫という身分でもないので自由に村の中を歩き回ることができました。
そしてありがちですが、やがて一人の農民と恋に落ちてしまいます。しかし二人もわかっていました、結ばれることのない運命だと…。

やがて領主から「もう会うな」と警告が入りました。
しかし、それでも愛し合う二人は会うことをやめることが出来ませんでした。

らちが明かないと考えた領主は男を屋敷の地下牢へ閉じ込めました。
なぜ殺さないのか? という点ですが、ものすごく人口の少ない田舎の農村では、働き盛りの男一人の労力は大きいものなんです。

…娘は男が幽閉されていることを知りません。村へ捜しに行きますが、見つかるわけがなく…やがて領主である父親から縁談を勧められます。
そのことで娘は勘違いをしてしまいます…きっとあの人は殺されてしまったのだと…。

絶望した娘はある日、現在のK浜の岬から身を投げました。
その報せを受けた領主の怒りと悲しみは…男へとぶつけられます。
ただ殺すだけでは飽き足らなかったのでしょう、日々続く拷問…。

体の至る所に火箸をあてられ、水攻めにあい、全ての指に釘を打たれ…もう立ち上がることすらできなくなった男に、領主は話しました。

「6日後にお前を殺す、言い残したことがあるなら今のうちに言え」

すると…

「もう一度だけ会いたい、あの娘に」

それを聞いた領主は、

「あの馬鹿者は貴様が死んだと思い、自ら命を断った」

領主の娘に対する愛情はすべて男への憎しみに変わっていたのか、その顔は悪意に満ちた笑みを浮かべていました。

そしてまた、男も憎しみに身を委ねてしまいます。
その後領主は5日間かけ、男の口を裂き、両耳を落とし、鼻を削ぎ、両目を潰しました。

最後の日…領主は男をK浜の岬へと連れていきました。
そして娘がこの場所で死んだことを伝え、生きたまま五体をばらばらにし、海へと投げ捨てました。

ここから…呪いが始まります。
始めに起こったのは領主の孫が生まれた時でした。奇形児です、人とは思えない程の…。
その後、生まれてくる子はほぼ4人に1人は奇形だったそうです。
以前の話の代はたまたま息子を殺せなかった心の持ち主であっただけで、ほとんどの奇形児は殺されたそうです。

現代においても呪いが続いているかどうかはわかりませんが…。
その二人の怨念はいまだ続いているようです。

…K浜と岬です。

夜その海に入ると、男なら女の霊に憑かれ海の底に引きずり込まれ…女ならば男の霊により、これもまた帰らぬ人となってしまいます。

岬には以前話したように他の曰くもあります、地元の人間はまず行きません。何が起こるかはわかりませんが…。
真実かどうかはわかりませんが、夏に水死体があがることがよくあるので実話だと思っています。

この話を聞いたとき…何よりも人間の憎悪というものが一番恐ろしく感じました。