1 無名さん

IPから開示請求を

粘着相手のIPを調べて開示請求を

ネット上での度重なる誹謗中傷は「ネットストーカー」と呼ばれる犯罪行為に当たります。

解析を入れている方、またサーバー独自の解析がある方はそこから相手のIPアドレスを確認出来るかと思います。

そのIPアドレスと誹謗中傷の内容(スクショ)を揃えてプロバイダに連絡すると、プロバイダで精査が行われ、その結果相手方(粘着側のプロバイダ契約者)に発信者情報開示請求照会書が届きます。

内容としては発信者情報を開示していい?という手紙なので、相手側は当然拒否する事も出来ます。となると、これより先は裁判所に持ち込む形になります。

ですがこのプロバイダからの開示請求書は簡易書留でプロバイダの契約者宛に送っておりますので、家族バレは避けられないかと思います。その際プロバイダ側からも誹謗中傷を行っている旨の記載がありますし、無視した場合はプロバイダより回線が凍結されます。

そしてが裁判を起こした場合、誹謗中傷の証拠がありますので、相手方の敗訴は必至でしょう。現に裁判に持ち込まれた方もおりますし、プロバイダ側の書面で家族にバレ、相手方のご両親から念書を貰ったという方もいます。

なのでご利用のサーバーの違反以外で晒されてしまった方はすぐ様解析の導入、及びIPアドレスの取得、証拠となる誹謗中傷の文面を確保される事をお勧め致します。

また、この掲示板自体がサイト運営側のサーバーの威力営業妨害、もしくは電子計算機損壊等業務妨害に当たりますので、それぞれの運営会社にその旨の連絡をされてもいいかもしれません。

刑法第234条(威力業務妨害)
威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。

刑法第234条の2(電子計算機損壊等業務妨害)
人の業務に使用する電子計算機若しくはその用に供する電磁的記録を損壊し、若しくは人の業務に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与え、又はその他の方法により、電子計算機に使用目的に沿うべき動作をさせず、又は使用目的に反する動作をさせて、人の業務を妨害した者は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

近年「荒らし」も度を過ぎると、電子計算機損壊等業務妨害として刑事責任を問われる模様です。


以上、晒されてしまった方の心労を減らせる様にとまとめさせていただきました。

参考になれば幸いです。
2 無名さん
問題は個人による開示請求のリスクはどれだけ金をかけても発信者にたどり着ける訳ではないということですね。
弁護士に支払う金銭的な問題が大きな問題になっているようです。
ただ晒し行為は勿論良くないことですので、晒された方々のご心労お察し致します
3 無名さん
長すぎるやり直し
4 無名さん
うんこ
5 無名さん
気になる人は
「プロバイダ開示請求 方法」
で調べてみるといいよ
6 無名さん
数日前に同じサイトを執拗に晒してたやつ投稿全部消してるんだけど
何があったの?
そんなにカップヌードルネタが気に入らなかったのかなあ
7 無名さん
うわ騒ぐだけ騒いで逃げるって
8 無名さん
またこの話題ぃ?
内容証明と裁判頑張ってね
9 無名さん
請求側の住所バレするお
10 無名さん
晒しに関わった奴ら皆同罪だから
11 無名さん
同じうらるばかり貼ってたから頭に来て5分待たなきゃいけないそばどん兵衛になりたいのかって説教したんだけど
どん兵衛嫌いだったのか…
12 無名さん
>>10お前もな
13 無名さん
>>10
はい(*・∀・*)ノ
独り言書き込むのも駄目ですかー?
14 無名さん
同盟にいる時点でアウトだお
15 無名さん
えー…
ここの独り言楽しいのにぃー
16 無名さん
>>10
はい(*・∀・*)ノ
エージェントの広報活動も駄目ですかー?
17 無名さん
某専スレがお通夜なんだけどw
周りも粘着たんは相手にすんなって言ってたのにね
18 無名さん
19 無名さん
20 無名さん
21 無名さん
>>17
薄桜鬼の晒され管おっつー
この書き込みも開示請求されちゃうかなー?
22 無名さん
開示請求開示請求言ってるけど
何回かプロバイダー所在地で裁判して相手の個人情報がわかるじゃん
そしたらその本人相手に裁判するとしたら開示請求求めた方の個人情報も筒抜けになるんだけど怖くね
しかもめっちゃ苦労して裁判までこぎつけたのに
もうアクセスしちゃだめ!め!って口頭での厳重注意程度だったらやりきれんわ
相手に経費請求したって取れるかわからんのに
23 無名さん
>>21
つうか晒され管達にも相手にされてないスレだからw
馬鹿にしてるつもりだろうが実際馬鹿にされてるのはお前ら晒し住人だよ
24 無名さん
>>23
じゃあいいじゃん
晒され管はスルーで住人はヲチる
どこにも問題ない
25 無名さん
あーこの流れ前に同盟板ごと消えた時のこと思い出すわ
26 無名さん
>>25
ん?いつの話だろ
三世のこと言ってるなら消えてないよ
27 無名さん
私あんまり詳しくないんだけどz-zが海外の鯖に移ったって誰か言ってなかったっけ?
そしたら日本の法律が適用にならないとかなんとかじやなかったっけ?
誰か詳しい人よろしく
28 無名さん
>>25
間違えて恥ずかちいでちゅねぇ〜
29 無名さん
どっちにしろ荒らされ管はやるだけやってみたら?
freeWi-Fiだったら特定はほぼ不可能だと思うけど防犯カメラに映ってるかどうかの調査の裁判まで起こせば姿位はわかるかもしれないよ
30 無名さん
31 無名さん
32 無名さん
33 無名さん
34 無名さん
35 無名さん
>>29
情弱
36 無名さん
37 削除済
38 無名さん
裁判ってお金かかるんだよ
そんなことするなら閉鎖するなり移転するなりのがいいに決まってんじゃん

とマジレスしてみるお
きみがすきだぁーとさけびぃーたぁいー
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もしかすっとーじぃーんせいじたいなんせんすなのかもしんないようぉううぉうー
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いつもいつでもっうまくゆくなんてぇーほしょうはどこにもないけどぉー
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たのしいこぉーとぉーさがしぃーにまちをーあるいてみてぇーもぉーあげぞこさぁーれたぁーにゅーすがぁーれーすしてるぅー
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ひさかたぶりぃーのぉーせぇーいーきまぁーつぅー
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きょーかぁらいーちぃーばぁーんーかぁーこいーいーのだぁー
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きもちにぃーうそつくようなことはやぁーめてぇーいえすぅのいいこはぁそつぎょうしよぉー
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きぃみぃがぁーいるからぁーまもりつづけたぁいあしたがあるぅーあぁーなぁーたのぉーあのことばはぁーあるきだすためのろざりおぉー
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ゆぅぐれぇのぉーかなぁたからしんきろうぉー
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ねぇーどうしてぇーどうしてぇおしえてぇーみぎぃとひだぁりはぱぱままぁー
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かみをおどらせてぇーこころはためかせてぇーあなたはかけてくぅー
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ぬぅーれぇーたぁーこぉうまのたてがみをーなぁでりゃりょうてにあさのつゆぅー
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たのしいーことなぁらーいーっぱいーゆめみることならぁーめいっぱぁーい
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あぁーぼぉーくぅはぁーどぉーしてぇーおとなになるんだろぉー
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すぅーぱぁーもぉーでるからぁーあついめーるぅがぁーとぉーどいたらぁーじゅーもんをとぉなえよぉーちぐりすぅーあんどっゆーふらてすー
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たぁーこたこたぁーこたぁこたこたぁこーたぁーこたこたこやきまんとまんっー
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 ノ/ ¶/\_\ |ロo‖
 ノ ̄ゝ\/_/ |冂‖
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せぇかいがーひとつになぁーるまでぇー
  _‖_   ―◇
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  ∧∧ 〜
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 ノ/ ¶/\_\ |ロo‖
 ノ ̄ゝ\/_/ |冂‖
 | ̄ ̄| _||_ |凵‖
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ふぅ…
57 削除済
〇 赤い傘

ぽつり、と雨粒が落ちてきた。雨が降り始めた。

雨の匂いがする。アスファルトの埃っぽい乾いた匂いと混ざりあう、湿った匂い。

ぽつり、ぽつり、と真っ直ぐに空から落ちる雨粒。鈍く、重く、薄暗くなってゆく空。

これから約束があるのに、服を濡らす訳には行かない。何処かコンビニはないか、とあたりを見回す。道向かいにあった。

道を渡ろうとすれば、道の向こう、女が一人、信号待ちをしているのが目に入った。赤い傘。赤いレインコート。

まだ雨の降りはじめだと言うのに完全防備、随分と準備の良い人だ。

女はこちらをじっと見ている。何故だろう。気持ちが悪い。暗い、暗い、まなざし。

信号が変わったのに、女が歩きだす気配が無い。気にはなるが、自分は仕方なく渡り始めた。

信号を渡りきり、すれ違いざまに、女がけたたましく笑いだした。思わず女をの方を見た刹那、強くなってきた雨に、溶けるように消えた。

信号機の根元に、赤い花が供えてあるのに気付いた時、わっ、と叫んでコンビニに駆け込んだ。

待ち合わせていた友人達にその話をしたら、

「あー、あそこ、雨降ってる時に通っちゃったんだ」

「レインコート、もともとは赤じゃなかったらしいね。白だったって」

などと、口々に話し始めた。自分だけが知らなかったらしい。

そのまま他愛ない話になだれ込み、さて次の店に、などという流れになった。

わいわいと店を出る。その時、店の傘立ての中に、コンビニで買った自分のビニール傘の隣、雨露をつけた真っ赤な傘を見た。

雨粒が背を伝うように、つい、と背筋が冷たくなる。

その時間、店には自分達だけしか居なかった筈。

雨はすっかり本降りになってきた。雨音が自分と世界を遮断する。
〇 雨の朝

朝のリビングで、カタン、カタン、と物音がする。眠っていても、おぼろげに感じる、人の気配。

誰か目覚めたかも、そう思うが、どうも家族ではないようだ。

雨の土曜日。折角、朝寝坊をするつもりだったのに。

もしや泥棒? 

慌ててリビングを覗く。

水槽の金魚達が、朝ご飯よぅ、とすがるような目で、いっせいにこちらを見た。

それ以外は特に変わった事は無い。

「お前達うるさいよ」

水槽の金魚に声をかけた。いや、金魚のせいでは無い、それは分かっているけれど――

リビングの空気は、水槽の中の水のように、すうっ、と冷たい。

リビングすべてが水槽の底になったような、雨の朝。
〇 雨のかたち

朝からいちにち、雨が降っている。

もうすっかり体の中まで、湿って重い。ずしり、と頭が鈍く痛む。

傘をさしてはいるが、どんどん私の中の湿度は増していく気がする。

泥はねをする足下も気持ちが悪い。

気持ちまで湿気てゆく、雨の夕暮れ。

人通りの少ない、薄暗い道。ざあざあと降る雨の向こうから、傘もささずに、ずぶ濡れの人が歩いてくる。今日は朝から雨なのに。

いや、ずぶ濡れ、ではないようだ。雨そのものだった。人の形をした、透明な水の塊が、そこに居る。

それが、細かく打つ雨粒に体の表面を波立たせながら。たぷん、たぷん、と歩いてくる。

思わず足が竦む。しかし向こうはお構いなしで、たぷん、たぷん、ざばざば、とやって来る。

逃げたくても足が言う事をきかない。人の形をした水は、もう、間近。

真っ直ぐと目の前に来た時に、それは、ざばぁ、と形を失い、弾けて流れていった。水飛沫が体にかかる。

水が形を失うと、ようやく体の自由がきいたので、転がるように家まで走って帰った。

びしょ濡れの服の事は家族に、信号待ちで大型車に水はねされた、と説明した。災難だったね、そう言われたが、本当に災難だ。

あれが、何者かなんて私には分からないが、雨がますます嫌いになってしまったのは確かだ。
〇 雨の音

しとしと、さあさあ、雨の音が聞こえる。

ポタリ、ポタリ、と窓の上、雨垂れの音も規則正しく響く。

雨の奏でる音楽は、とろりと眠りにつこうとする枕の側まで、忍び寄る。

しとしと、さあさあ、ぽたりぽたり。

夢の中まで雨模様になりそうだ。

そんな事を思いながら、じっと雨音に耳を澄ますと……

雨音に混ざり、啜り泣く声が聞こえる。

しとしと、さあさあ、しくしく、と。

こちらまで悲しくなるような声。

声は近いのに、窓の側まで行っても、人の姿は見えない。

隣近所の家かと思えど、すべて寝静まっている。

泣いているのは空だろうか、6月は何故か悲しくなるのだ。

そう、自分に言い聞かせて、再び布団に潜り込んだ。

泣き声は夜半まで続き、それを聞きながら、いつしか眠りに落ちた。

夢の中まで雨模様だったかは、覚えていない。
〇 雨あがりの月

降り続いた雨は、夜半にようやくやんだ。

雨にさっぱりと洗われた夜空は澄み渡り、銀色の月が明るく灯る。

程よく冷えた空気は、気持ちが良い。

向こうの街路樹に何か赤い物が見える。近寄って見ると、赤い傘が木の枝に、閉じられた状態で引っ掛かっている。誰かの忘れ物だろうか。

その傘の横を通り過ぎる時。

「ああ、やっとやんだね」

「雨宿り出来て、傘、助かったよね」

「いい月夜になったね」

などと、小さな小さな声が、こそこそと聞こえて来た。しかし、あたりには何も見えない。

(雨宿り? この傘で?)

そう訝しんでいると、木の陰から、小さな影が走り出した。

大きさからいって野ウサギだ、そう思うことにした。ここは田舎町だからおかしな話では無い。声は、空耳に違いない。

そう、野ウサギ。たとえその黒い影が、ぐにゃぐにゃと、真っ当な生き物らしい形、動きをしていないとしても……

月の光はしんしんと降り注ぐ。こんな夜にはそんな事もあるさ、と、しっとりと濡れ銀色にちらちらと光る道を又、歩きだした。
残業で遅くなり飛び乗った田舎の終電は、かなり空いていてガラガラだった。

二両編成の車両には中年の親父が一人、中年の女が一人、そして自分の三人だけだった。

中年の親父は酒でも飲んできたのだろう。だらしなく寝そべってイビキをかいていた。

それはそれで迷惑だったが、俺には向かいの席の中年女の方が不気味だった。イビキはかなりうるさいのに、俯いて微動だにしないから。

寝ているのだろうと思ったが、本当に動かない。三人座れる席の真ん中に座っているのに、どんなに揺れてもふらつかずに座っていた。

更に気持ち悪かったのは前髪の長さ。どう見てもお腹ぐらいまであり、俯いていたから表情は全く見えなくて気持ち悪かった。

いくつかの駅を過ぎて停車した駅。準急の通過待ちの静かな時間。そこで俺は女から目を逸らした。

全く動かない女の方から小さく

『見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな見るな』

と聞こえて来たから。

(次の駅で降りてタクシーで帰ろう)

そう決めた。怖いなんてモンじゃなかった。

電車は静かに発車し、次の駅に着いた。俺は女を見ない様にしながら、女の座席の真横のドアから早足で降りた。

そして何気なく振り向いたら、窓越しに女と目があった。

女はアゴを突き上げ、俺を見下ろすようにジィっと見ていた。
霊は色々な姿勢をしているが、地面に近いほどヤバいという。
今回は、かなりヤバいという、引きずりものの話を。

引きずりもの、といっても、何かを引きずってるわけじゃあない。
生きてる人間の腰や足にしがみついて引きずられていく霊の事だ。


ある日。

「最近、膝が痛いのよ」と知り合いの女性、緑さん(仮名)。
「左の足が痺れない?腰も重くない?」と私。

さすが商売だと緑さんは言ったが、彼女の腰にも左の足にも何体もの霊がしがみついているのが見えていた。
腰には、あばら骨が浮いた、寝間着の着物をはだけた、頭に白髪がわずかに残る老人。足には子供や赤ちゃんが5人ほど。時代はバラバラだ。

引きずりものは、単なる浮遊霊がたまたまというよりも、なにかしらの理由を持って憑いてるのが多い。
その分、厄介。

ところが彼女、
「次は霊がっていうんでしょ?でもね、これは教会で教祖様が先祖因縁で修行すればとれるって昨日言ってたわ。だから、犬神さんの出番はないの」と言う。

どうも最近、そういうとこに通っているらしい。
不浄霊の供養とか、修行したり、教祖に付いて実践したりしているという。

その時は、それで話は終わった。
困ったら、という私の言葉に、彼女は笑いながら大丈夫と言っていた。


それが去年。
数日前に街で彼女を見かけた。

ひどく老け込んで、まだ40代なのに背中も曲がり白髪が目立つ。

「どうしたの?」
思わず駆け寄って声をかけた。

彼女によると、これは一過性のもので、もうすぐ先祖因縁は全部とれると教祖様が言っている。
「だから大丈夫だし、もうすぐ、幸せになれるのよ」と、彼女は言った。

本当に大丈夫?何か力になろうか?と言う私に、修行の時間だからと彼女は去っていった。

残念ながら、たぶん、ダメだろう。

彼女の身につけている物が、以前よりも格段に値段が安い物になっているし、時計も指輪も安物だ。
この手の新興宗教で財産を失う人の典型だ。

それよりも何よりも、引きずりものが増えている。ざっと30人あまり。
しがみついた霊に、さらに霊がしがみついて長く引きずり、長く長く………
〇 コンビニの棚

コンビニのジュース棚の向こうの店員と、目が合ってしまった。

コンビニのジュース棚の後ろは、バックヤードになっていて、在庫が置いてある。

ジュースは後ろから補充をするから、まぁ、不思議な話ではないのだが。

問題はその店員が、凄い目でこちらを睨んでいる事だ。

え? 自分は何かしたろうか?

ジュースを取ろうとした手が止まる。

いや、何か変だ。

目だけしか分からない。黒い黒い、もやもやした影の中、血走った目だけが、ギョロリ、と動く。これは、本当に店員か?

思わず、ジュースは戻して、レジに走った。

レジ横のフレンチドックを買って、店を出ようとした時。

「今日は暑いのに、ドリンクが売れないなぁ」

という店員同士の声を聞いた。いや、暑さは飛んだ。涼ませていただいた、もう、寒いくらいに。

ジュースは……自販機で買う事にした。
〇 自動販売機

夜の道にぽつんと灯る、自動販売機のあかり。

なんとなく心強い気持ちで、そのあかりを目指して歩く。

缶コーヒーでも、と、小銭を落とす。

何故か、オレンジジュースが出て来た。

あれ? 押し間違い? でも、ふたつのボタンは離れている。間違いやすいのは、隣り合うボタンの気もする。

もう一度、小銭を落としてみた。しっかりとボタンを確認しつつ。

今度は、レモンスカッシュ。

これは、どうも機械がおかしいようだ。

「なんなんだよ、いったい、この馬鹿販売機」

仕方なく、オレンジジュースとレモンスカッシュを手に毒づくいた。

「寝る前のカフェインは、良くないよ。眠れなくなるからね」

いきなり、頭の上から声がした。

田舎の親みたいな事を言うじゃないか。

それからも時折、この自販機を利用する。

「野菜もとりなさい」

コーヒーを押して、野菜ジュースが出て来る日もある。

先日、野菜ジュースを片手に、自販機前でしんみり泣いている人を見た。

故郷に、誰かを置いて来た人間の、小さな都会のオアシスってやつなのかもしれない。

さて、小銭はあったかな……
〇 湿度と文具店

毎日、じっとりと湿度が高い。

鈍色の雲は、やはり夕から泣き出すのだろうか。頭痛が雨を教えている。

ああ、嫌だ、そう思う気持ちは、全身を包む繭になる。さながらそれは、湿度を帯びた、憂鬱のかたまり。

そんな、どんよりとした塊を身に纏い、買い物に行く。

そうだ、文具店に立ち寄ろう。便箋が欲しかったのだ。

便箋やら封筒やらが並ぶ棚の前。なるべく何も飾りの無いものを、と便箋を探す。

しいて選ぶなら、これか、そう思える物に目星をつけて、手を伸ばしたら……

向こう側から誰かが同じ便箋を掴んだ。すいません、そう言って便箋から手を離す。

けれど、違和感を覚える。そう、この棚は背板があるから、向こう側から手が出る筈はない。

棚の反対側の通路を覗くが、誰も居ない。

それを見るや、ますます憂鬱の繭が、湿度を帯びる。

ああ、嫌だ、嫌だ、すべてが、湿気てるから、こんな事が起きるのだ。

それでも、梅雨はまだまだ続く。

湿った小さな溜め息をひとつついて、便箋を手にとり、会計をすませ、店を出た。

雨粒が一滴、ぽつり、と体を打った。
〇 ホームにて

さっきから電車は来ない、駅のホームでうんざりしながら待っている。

今にも降りそうな、重く湿った空気に、人々の苛立ちは更に増す。

アナウンスは、近くの踏み切りで起きた、人身事故を伝えている。

(またか……)

この駅を利用すると、実によく事故に出会う。

「いい加減にして欲しいよな」

「こっちは急いでるんだよ」

ひそひそと、口々に言い合う声がする。

(酷い言い分だが、みんな、苛々しているんだ)

汗をひとつ拭う。

その時、背後で女の声がする。

「酷いわね、死にたくて死んだ訳ではないのよ。引き摺り込まれたのよ、あの踏み切りに……」

何故だろう、声は自分に話しかけている。さらに近く、耳元で、

「片腕、探しているところみたいよ。でも、もうすぐ見つかる。あと暫くの我慢」

何故、駅に居ながら現場に居るような事が分かるのだろう。

思わず振り返れば、不思議そうな顔をした中年男性が居るばかり。

近くには女は居ない。

また一筋、汗が流れた。暑い、というよりも、むしろ逆の……
〇 傍迷惑な日常

誰かが呼んでいるような気がしてならないから、Aさんは庭に出た。

(まただ……)

庭木の枝に、人間の右腕が引っ掛かっている。人々の騒ぐ声が聞こえてくる。

(踏み切りの側とはいえ、事故が多過ぎないだろうか)

Aさんの家は踏み切りのすぐ近くにある。この踏み切りが何故か、事故、自殺が多い。そして時折、この庭に、千切れた体の一部が飛んでくる。

向こうではまだ事故の処理を行っている。

(ああ、処理する人に教えないと、全く、毎度、毎度……)

溜め息をついて、Aさんは外に出て行った。

主の居ない庭で、ぷらん、と枝に下がった腕の、その指が、もそり、と動いた。
〇 踏まれる

痛い。

家に帰る電車の中。思い切りハイヒールの踵で足を踏まれる。

ふふふ、と耳元で女の笑い声。

(酷いな。ハイヒールのヒールなんて、ほとんど武器なのに、謝るどころか笑うなんて)

あたりを見回した。しかし、そんな女は近くに居ない。

そもそも、この時間までになると、電車もそこまでの混雑ではない。座れなくとも、足を踏まれる程に他人と密着する事もあまり無い。

これが、終電になると又少し増えるのだが。

でも誰か、確かに、そう思いながら、ふと窓を見る。

夜の車窓に映る自分の姿の横に、女が立っていて、にいっ、と笑った。

慌てて横を見ても、誰も居ない。

この電車は、冷房がきき過ぎているのだろうか、さっきから背中がすうすうする。

自分の降りる駅までを頭の中で数える。いつもより、とてつもなくそれが遠く感じた。
〇 謎のメモ

飲み会で散々騒いで、上機嫌で帰って、布団に倒れ込むように眠る。

夜明けに目が覚める。酔いも覚めている。

水を飲もうと立てば、テーブルの上に、ケータイや鍵などとともに、一枚の紙切れが置いてある。

割り箸の袋を開いたのに、赤い文字で、

『ヨアケ二イクヨ』

とある。

(夜明けに行くよ?)

自分のものでは無い、見知らぬ文字。まぁ、酔っ払いの戯れだろう。

グラスに水を注ぎ、飲み終えたところで、玄関のチャイムが鳴る。こんな時間なのに?

(夜明けに行くよ?)

ならば、友達だろう。別かれた後もダラダラ飲んでいたのだろう。始発まで寝かせろという事か?

玄関のドアスコープを覗くが、誰も居ない。

それでも又、チャイムは鳴る。いくら覗いても、誰も居ないのに。

念のため、ドアチェーンをしたまま、そっとドアを開ける。ぞっとするような冷気がドアの隙間から入り込んだ。

人は誰も居ない。ドアを閉める。

しかし、もうすでに……

けたたましい笑い声が、先程まで自分が居た、台所から聞こえてきた。

部屋は冷えているのに、背中に汗が滲んだ。
〇 夢の中の場所

いつも夢に出てくる、建物がある。

大きくて複雑な造りのマンション。自分はそのマンションの、景色の良い上の方に住んでいるようだ。

夢の中でよくその建物をさ迷う。エレベータや階段で、上がったり下がったり。

とにかく巨大で迷宮のような建物で、方向音痴な自分は目的地に中々に辿り着く事が出来ない。

いつかの夢では、鍵のかかっていない他人の家を自分の家と間違えて開けて、いきなりのインテリアの違いに驚いていた。部屋の細部がやけにリアルだった。

最初に出てきたのは子供の頃。はじめは住人ではなく親に連れられて、訪れるところから始まっている。

長い年月がたち、大人になって、いつの間にやら、住人になっていた。

長きに渡り見るその夢の、建物が微妙に老朽化していっているのも、味わい深い。

建物だけではない、その周辺の街も、いつも見る同じ街。

いったい何故、度々夢に現れるのだろう?

どこかにある、知らず知らずのうちに、自分の魂が遊び戯れている場所なのだろうか。例えて言うならば、魂のふるさと。

どこか懐かしい、夢の中のあの場所。

眠れば又、そこへ帰り着く事が出来るだろうか?

いや、もしかしたら、今住んでいるこの街の方が、夢の中かもしれない。

ほら、この街の夜が明ける。そう、『この街の夢』の終わりだ。

家に、帰ろう。
〇 朝の光に

薄闇の部屋でけたたましく笑う、この世のものではない女は、朝の光に薄れていった。

薄れていくのは女だけでないようだ。この部屋のすべてが、滲むようにぼやける。

消える間際女は、

「スベテハ、ダレカノ、ユメノナカ……」

そんな事を言った。夢の中? 何の話だろう?

眩い光だ。すべてが輪郭を無くしてゆく。そして、自分もまた……
先週中学時代からの友人Hにばったり会った。しかし、なんか話が噛みあわない。

「この前の同窓会は楽しかったよな」

と友人は言うのだが、俺はそんなものに参加した覚えはない。それどころか同窓会があったことさえ知らない。

しかしHは俺と昔話をしたし、4次会まで一緒に飲み明かしたと言い張る。

そこまで言い張るのなら、他の友人にも聞いてみよう、と言うことになり片っ端から中学時代の友人に電話をかけた。これでHも勘違いに気が付くだろう。そう思ったのだが…

信じがたいことに、電話をかけた友人たちは口を揃えて俺は同窓会に出席していたと証言した。そんなバカな。

大体その同窓会があったって日は、期初の処理に追われて遅くまで仕事だったんだ。参加できるわけがないだろう。

極めつけはHのケータイに保存された画像だ。そこには中学時代の友人たちと肩を組み、満面の笑みを浮かべる俺が確かに写っていた。

「なんならもう一回みんなに確認を取るか?」

明らかに狼狽する俺を気遣ったのかHが自分のケータイを俺に手渡す。

そこで強烈な違和感を覚えた。Hのケータイに俺の名前で登録されている番号とアドレスが、俺の物ではない。

H曰く、同窓会の日に番号とアドレスが変わったから、と俺(と思しき人物)が教えてくれたらしい。

気味が悪いやらわけが分からないやらで混乱しながらHと分かれた俺は、帰宅すると同時にケータイを手に取った。俺(と思しき人物)の番号に電話をするためだ。

数回のコール音を経て、応答があった。

『はい、○○(俺の苗字ね)ですけど』

自分の声を鼓膜から聞いたことはないが、ここまでの流れを考慮するにこれは俺の声なんだろうな。

「○○は俺だ」

意を決してそう言ってみる。相手からの反応はない。

「お前は誰なんだ?」

続けて聞いてみる。

『○○って言ってるでしょう? ホントに何度もしつこいようだと手段を考えないといけませんよね?』

急に早口でまくし立てられた。それも普通の早口ではなく、テープを倍速再生したような音声で、だ。

>>74

一気に背筋に鳥肌が立った。即電話を切って、落ち着く為に滅多に吸わないタバコに火をつけた。

なんなんだよ、アレ。友人たちが口裏を合わせて俺を驚かそうとしてたのか? あぁ、それなら合点がいくな。

画像にしたって、今時簡単にコラージュくらい作れるしな。としたら、今電話に出たのは誰かな? 流れ的にはHが怪しい。

と、一人で納得していると耳元で

「だから! ○○って言ってるでしょ!?」

と、あの倍速再生が聞こえた。ビックリして振り返るも、そこには誰もおらず…

その後は特に何も変わったことはない。Hや中学時代の友人たちにもしつこく確認したのだが、悪戯ではないようだ。

あの番号はまだ覚えているが、流石にもう一度かける勇気は・・・ないな。
この話は僕が中学生の春の話。


両親が亡くなり、親戚の家に引越して新しい環境に慣れない頃、とても優しくしてくれた猫屋敷に住んでいる片目がない婆さんがいた。

僕はよく婆さんの家に行って御飯を食べさせてもらったりしてて、婆さんの家に行く度に「綺麗な目をしているねぇ、羨ましいねぇ」と、いつもの優しい口調で言う。褒められたと思い素直に喜んでた。

新しい環境にも慣れ、学校にも友達が出来た。何気なく新しく出来た友達に片目の婆さんの話しをしたら、友達は一気に顔色を変え「あんまし、あの家に行くな」と強く言われた。

僕は何故こいつはこんな言い方するんか?と疑問に思ったが友達の反応と空気の重さに聞けなかった。友達に忠告された後で若干行きにくかったが、婆さんの家に行ったんだ。

時刻は夕方。庭に顔出す。婆さんの膝の上、猫の目がキラキラとして僕を見つめる。

婆さんは「〇〇かい?」と死角から入ったにも関わらず分かったようで、よくわかりますね、て言ったら「猫が見てくれるのよ」と優しい声で言う。

やけに猫の目がキラキラしてる。友達の言葉が過ぎる。今日は家で御飯を食べますね、と言い僕は猫の視線から逃げた。

思い込みに過ぎないとは思ったが、なかなか行く気にはならなかった。行かない日が続いて夏が来た。

そういえば最近猫を見てない、この前まで一日に数匹は見かけていたのに。取り留めもない事なのに今でもあの時の不自然さを思い出す。

ちょっとした胸騒ぎ。婆さんの家に行こうと思った。

玄関で声をかける。静かだった。猫屋敷のくせに、猫一匹も出てこない。嫌な感じ。

庭に回り込むと酷い臭いがした。猫のフンの臭いは前々からあったが、もっともっと嫌な臭い。

肉の腐った臭い。大体は予想がついた。半分開いた窓から覗き込む。中にあったのは、大量の猫の死骸と婆さんの姿。

生きてるか死んでるか分からなかった。大人を呼ぼうと走ろうと思ったが転んだ。

>>76

転んだ先に猫の死骸。片目が濁ってもなお、光をキラキラと反射している。片目は暗く穴が続いている。

「猫が見てくれるのよ」

頭の中に声が響く。ズキンズキンと響く。目が焼けるように熱くなった。

「綺麗な目をしているねぇ、羨ましぃ…」

片目に熱が集まる。押される。潰される。ミチャミチャと熱が与えられる。

視界がなくなり、視界が燃えた。


僕は病院のベッドで目を覚ました。半分の視界。僕は理解した。

いろいろな人に話を聞かれた。警察とか。

婆さんの胃袋には猫の目ん球。僕の目は猫の胃袋で発見された。

半分の視界の外で両目で優しく微笑む婆さんの姿。

僕は片目を失った。
@『まぶたの裏』

目をつむると、じいちゃんの姿がまぶたに浮かぶ。これは、慣用句ではない。

いつからか私は、目を閉じた暗闇の中に、じいちゃんの姿をはっきりと見るようになった。

知らないじいちゃんである。じいちゃんはまぶたの裏に住み着いたかのように、そこで暮らし、飯を食い、眠り、歯を磨き、笑っていた。

どこかの土地の誰かを、なにかの拍子に目覚めた超能力などによって、見ているのかと思ったが、どうも違うらしい。

じいちゃんはまぶたの裏にいつも一人だった。日本の住人ではなく、まぶたの裏の住人らしい。

ほんの一瞬のまばたたきによっても、サブリミナルのようにじいちゃんの姿は見えるので、始めは欝陶しかった。しかし、これがなかなか愛嬌のあるじいちゃんで、私が落ち込んだ時などは、ひょうきんな動きで私を励まそうとしてくれることもあったのだ。

言葉は交わせず、ただ見ているのみの関係だったが、なんとはなしに通じ合っているように感じていた。


異変は起こった。その日、じいちゃんの顔色は妙に青く、額には汗が浮かんでいた。

心配していると、その夜、じいちゃんは胸を押さえて苦しみ、もがき、やがて、動かなくなった。

死体はまぶたの裏、徐々に腐敗していった。腐れたじいちゃんに、私も食欲を無くし、眠れず、じいちゃんを恨み、どうにか慣れるまで、沈んだ日々を過ごした。

今ではじいちゃんは、完全な骨になって、まぶたの裏に転がっている。

墓の一つでも造ってやりたいが、これに関して、私は目をつむることしかできない。これは、慣用句ではない。
A『夕暮れ』

夕暮れの、薄ぐらい部屋。

開け放たれた扉の隙間から、なにかナメクジのような、白いのっぺりとしたものが、床を這うようにしてうごめいていた。

私は畳に寝転び、眠い目をこすりながらじっと観察する。

白いものは変形し、細長い胴体の一部から、枝のようなものを突き出してそれは揺れていた。見ると、それは腕で、先端は手の形になっていてこちらを手招きしているのだ。

私は理解した。あの白いものは、影だ。白い影。扉の向こうには、手招きするもの。

私はそれだけ解ると安心し、眠りに落ちた。

目覚めると、私の上着になにかヘドのようなものが、べっちょりとついていた。
B『無言電話』

電話が苦手である。

相手の顔が見えない。声だけが感情を直に伝えてくる。それだけではなく、私の声は暗く、低いため、しばしば相手を怯えさせてしまうことがあるのだ。


二年前のことだ。その頃の私は、ひどく鬱屈していた。人に言う訳にもいかない事情を抱え、ただ一人、悶々と日々を過ごしていた。

ある夜のこと。仕事に疲れて布団に寝転び、苛立ちを持て余していると、電話が鳴った。出ようか、迷った。電話に対して、私はいつも迷うのだ。

プルル、プルルと、二回鳴り、三回鳴り、四回目、観念して、私は受話器を取った。

「もしもし……」

呟く。この声も相手には不機嫌そうに聞こえるのだろう。

陰欝な気分で耳を澄ます。相手は何も言わず数分、電話は、切れた。

無言電話。

間違い電話かイタズラか。こういうことには寛容な私は、しかしなんとも言えない気分で、ただ受話器を見つめるだけだった。

それからである。毎夜、同時刻、あの無言電話はかかってくるようになった。

奇妙なことに私は、それが無言電話だと確かめるためだけに受話器をとるようになっていった。

寛容ということは、つまりは負けたくないということである。相手の思う通りには、動きたくなかった。

面食らわせてやれと、最初に無言電話を受け取ってから十日後、私は、無言電話の主に、日常の愚痴を呟くようになった。

誰にも言えないだろうと感じていた当時の事情をさえ、私は話した。

相手の顔が見えないことが良かった。それでいて、抱え切れないものを誰かに話しているという開放感。

いつしか私は、自分のために、その無言電話を待ち侘びるようになっていった。


一ヶ月程、経った。いつものように私は愚痴を話し、その日もそれで終わるものと思っていた。だが、変化があった。

電話は切れず、無感情だった受話器の向こうの相手から、今なにか決意の気配が伝わってきた。

ポツリと、「……頑張ってください」

それだけ言って、電話は切れた。


私は、ひどく興覚め、白けた気持ちになっていた。電話の向こうには、当たり前だが、人がいた。

それからも、無言電話らしき電話がかかってきたが、私は受話器を取らず、あの電話もいつしかかかってくることはなくなっていた。
C『生首』

青空を背景にして、生首が飛んでいた。

まだ朝早い時刻。

なに、驚くことはない。古今東西の妖怪潭、幽霊潭において、生首が飛ぶ話などそう珍しくもないだろう。今、目の前においてそれが展開されていようと、どうして恐怖に震えることができようか。

見ると、もう一方から、別の、女の生首が飛んで来て、元いた男の首と熱烈にまぐわりはじめた。

生首のみという制限が、かえって奥義を開発せしめるものらしい。とにかくの熱烈さに、私は、えれぇ驚いた。


ラブホテル上空での光景である。
D『染み』

小学生の頃である。

その時分から私は遅刻魔であって、いつものように遅れて学校へ向かうと、とっくに一時間目の授業が始まっているという時間であるのに、なにやら校門が騒がしい。児童達は一かたまりとなって騒ぎ、教師達は必死に教室に連れ戻そうと苦闘している。

見ると、校門に大きな赤い染みのようなものが付着している。それは人の形をしていて、顔に当たる部分は、明らかに人の表情をしており、苦痛と恐怖にひきゆがんでいた。

この赤い染みが騒動の原因であるらしい。時期に騒ぎは納まり、放課後の教師の説明によるとこの件はただのイタズラであり赤い染みも数日中に消す予定だという。

聞きながら私は、あるろくでもない計画を思いついた。

翌朝、いつもより早めに、つまり普通の児童の普通の登校時間通りに登校すると、またも校門の前に人だかり。

思い通り。

今度は新たに、子供の赤い手形がついたという。思わずニヤついた。

その手形は前日、私が家の赤ペンキを持ち出してこっそりと付け足したものであった。ささやかながら企みは大成功である。


それから数日後、二つの赤い染みは消された。そのはずであった。

染みの消された二日後、私が登校すると校門に人だかり。校門には子供の赤い手形の染みが付いていた。浮き出てきたらしい。私は、何もしていない。

その赤い手形はその後何度も消され、そのたびに浮き出てくるので、やがて放置された。

今では手形は我が小学校七不思議の一つに数えられており、虐められて自殺した子供の怨念であるとか言われているらしい。
E『トイレ』

『吸殻・紙屑・ガム等を捨てさせないでください』

小便器の上、目の前に張り紙。見間違いではない。

『捨てさせないでください』

確かにそう書いてある。

首を捻っていると、背後の個室からギィッと扉の軋む音。なんとはなしに振り向くと、デブで禿げ散らかした上半身ハダカの男が、ニヤつきながら出てくるではないか。

デブ男はダラダラと二、三歩歩いて私の隣の小便器につく。パンパンに膨らんだズボンの前ポケットからタバコを取り出すと火をつけ、うまそうに一服すると、一瞬私を見てニヤっと笑い、吸殻を便器に投げ捨てた。小便器から煙が立ち上る。

次にデブ男は前ポケットからティッシュを取り出し、一枚一枚取り出しては小便器にハラリと落としていく。デブ男はもうハッキリと私に顔を向け、挑発的な目で見つめていたが、ティッシュにタバコの火がついたので慌てて水を流して消火する。

今度はガムを取り出し、口に放り込んだ。馬鹿にした目でクッチャクッチャとガムを噛む。私は、私が次にどのような行動を取るべきか迷う。
F『我が友』

私には竹馬の友がいる。人間ではない。ぬいぐるみである。くまのPさんである。Pさんでマズければセリヌンティウスと仮名しよう。長いので以下セリーヌとする。

セリーヌは幼き時から私と共にあった。私が退屈すれば遊び、悲しめば癒し、私と共に時を過ごし私と共に薄汚れていった。

数年前の話である。

当時私は疲れていた。先の見えない日々、くだらない仕事、煩わしい人間関係、糞ったれでインチキまみれの自分。

全てが嫌になり、孤独であり、逃げ出したかった。あるいはセリーヌに丸投げしたのかもしれない。

その頃から、私は道を歩けばセリーヌが隣を歩き、愚痴を吐けばセリーヌが慰め、仕事場ではセリーヌが遠くの壁から顔を出して見守っている幻覚を、幻聴を、はっきりと見、はっきりと聞いていた。

頭がおかしいと思う者がいるかもしれない。本当におかしくなるのはその後であった。

ある日、仕事場の壁から私を見守っていたセリーヌが、私に背を向けて、トコトコ出口に向かう幻を見た。飽きたので早めに家に帰ろうとしたのであろうか。そんなことを普通に思っていた。

いつもなら幻は私の視界や聴覚の範囲で認識できる。しかしその日は、家路を行くセリーヌの姿が脳裏にはっきりと浮かび上がった。セリーヌだけでなく街角から人の通りまで、いやに現実感を持って鮮明に浮かんでくる。

セリーヌは家に着いた。玄関ドアには鍵がかかっている。どうするのかなと思い見ていると、セリーヌはぴょんとジャンプしてドアノブに飛びつき、体が小さいので苦労しながらノブを回してドアを開けようとする。ドアは普通に開いた。ドアが閉じないよう滑り込むように家に入ると、疲れたのかセリーヌは靴置場でコテっと倒れ込んだ。妄想はそこで終わった。

仕事が終わり、玄関ドアの前、恐る恐るノブを回すと、ドアは開いた。鍵が、かかっていない。暗い玄関、スイッチを入れると、明るい電球の下、あの妄想と同じ位置、同じ姿勢で、セリーヌは横たわっていた。

>>84

それからである。目をつむると事あるごとにあの鮮明な妄想が頭に浮かび、セリーヌはその妄想通りの場所、妄想通りの姿勢でいることが多くなった。トイレに行く妄想を見ればセリーヌは便器にはまっており、掃除する妄想を見ればセリーヌは埃にまみれているという調子である。

私は自分の頭がおかしくなったと思ったが、特に気にせず、むしろ妄想をコントロールしてセリーヌを自由自在に操る試みに夢中になっていた。

そうして、徐々にではあるが、自分の意思で見たい妄想を見、セリーヌを自分の意図通りに操ることができるようになっていった。

その限界に挑む日々。悲劇は訪れた。

目を閉じて、セリーヌにバック転をさせる妄想、目を開けて、セリーヌの位置がちょうど妄想バック転の着地位置ほどへズレていることを確認し、満悦した後、ふと思いついてしまった。酷い思いつきであった。しかし、止められなかった。

映画『エクソシスト』に、少女の首が180度一回転するシーンがある。あれを試したら、どうなるか。

無論、セリーヌの首はねじ切れるだろう。あれは悪魔だからねじ切れないのであって、ただのぬいぐるみであるセリーヌの首はきっとねじ切れてしまうだろう。しかし、妄想をうまくコントロールし、首のねじ切れない妄想をしたらどうか。

居ても立ってもいられなくなった。ぜひ試したい。

そうして、妄想はうまくいった。セリーヌの首はねじ切れず首は一回転した。目を開けると、首のねじ切れたセリーヌがそこに転がっていた。

それ以来、あの妄想を見ることは無くなった。


教訓:友を弄んではいけない。
G『困る』

コンビニからアパートに帰る。

階段を上がっていると、踊り場に黒いコブのようなものが見えた。

それは、眉毛から上だけ突き出した頭の一部であった。正直気持ち悪い。

困って立ちすくんでいると、突き出た頭の凛々しい眉が、ハの字になった。頭もこの状況に困っているらしい。

だからといって、私にも何もできない。
H『視線』

ガリッ、と、何かを噛んだ。

汗くさくて、酸っぱく、鉄のような味が、口内に広がる。茶を飲んでいた時である。

私は思わず湯飲みの中を覗いた。

最初は虫かと思った。が、違う。茶の水面を、こちらに背を向けて漂う、小さな人の上半身、腸のようなものが垂れて――

そこまで認めると、湯飲みごと思いきり窓から投げ捨て、ショックのあまり近所の公園の周囲を無意味に何周も走り回った。


それからである。妙に視線を感じるようになった。それも、なぜか二つの視線とわかるのである。

ある日の朝、腕に痛みを感じ、見ると、腕が小さく食いちぎられていた。1センチほどの円として痕に残った。

その痕は、並んで二つあった。

そういえば、あの日、茶の中を漂う人のようなものは、今思うとその体格から、子供の体のようにも思えた。

するとあの二つの視線、二つの痕は――?

いや、私は悪くない。人の茶の中に勝手に紛れ込む方が悪いのだ。

視線は日を追って、ねめつくような、執拗な、強烈な、憎しみ、恨み、怒りを強め、纏いながら私に迫ってくる。腕の痕は毎日増える。

私は悪くない……悪くない……悪くない……
I『睨め』

フッと、周囲が暗くなった。見ると、空を覆う巨大な顔。視界の端から端まで、雲も見えない。

驚いて周りを見渡すと、通行人は誰も気にせず、わずかに犬が吠えたのみ。

すると、この巨大な顔は私にしか見えていないのか。

顔は恐ろしい顔で私を睨んでくる。私も睨み返した。

数分が経過した。突如、巨大顔が大笑いし、消えてしまった。

私はなんとはなしに勝った気がした。
高校生の頃、インフルエンザで高熱を出した。意識が朦朧として、救急車で病院へ。

肺炎と分かり三日ほど寝込んだが、なかなか体力が回復せず、そのまま半月ほど入院した。

定時に看護師が点滴を交換したり、配膳したりで訪れたが、時々30代半ばくらいの看護師がたいした用事もないのにふらりとやってきて、こちらの顔を窺うことがあった。

やっと食事が取れるまで回復して、看護師とも会話できるくらいになった。そこで、時々見回りに来る看護師について聞いてみた。

「あの人は何をしに来るんですか」と言うと、そんな暇がある職員はいない、名前は?と聞かれ、白衣ではなく、薄緑色のナース服だったと答えると、一瞬こわばった表情になってこちらを見た。

あきらかに動揺して、最近も来たの?と小声で話しかけられ、この三日は来ていないと答えた。何回来たか覚えているかと聞かれ、五・六回かなと返すと、パートで頼んだ人だったかも、などと曖昧に口を濁し、それきり部屋を出て行った。

その病院を退院して一年後、足の指を骨折して再び訪れると、偶然に謎の看護師の女性と出くわした。女性は急患受付の廊下にいて、運ばれてきた老人の担架を無表情に覗き込んでいた。

その様子が変だと感じると、ぱっと全身に鳥肌がたった。視線を逸らすのが遅れた瞬間、彼女はこちらに気づいて、スウーと近づいてきた。そして、「あんた、私が見えるの?」と話しかけた。

思わず両手で顔を覆い、心の中で消えろ、消えろとつぶやいた。五分ほどそうして顔を上げると、もう彼女の姿はなかった。

幽霊を見たのはそれっきりだが、死神だったのかもしれない。
何年か前、山一つこえたとこにある母方の祖父の持ち山での話。

祖父は小さな山を持ってて、そこには栗の木も何本か生えてる。

ある日曜朝、無性に栗ご飯が食いたくなって、祖父に電話を入れて栗を拾いに行かせてくれないかと頼んでみた。祖父は快諾してくれたが、西側の斜面だけは危ないから行かないようにと釘を刺された。

早速車を走らせ、山近くの空き地に駐車して山に入った。天気もよく、初秋の山の空気が気持ち良かった。

一番近くの木へと向かうと、山栗にしては大粒のぷっくりしたヤツがいくつも落ちていた。だが、数は案外少なかった。時季が少し早かったのかもしれないが、どの木も同じように落ちている実は少ない。

で、沢山とれると思って大見栄切ってきてしまった俺は、ちょっと引っ込みつかないのもあって行くなと言われていた西側の斜面へと行ってみた。

今まで祖父や他の大人たちと来たときも西側の斜面へは行ったことがなかったが、別の場所から見えるから大体の地形は知ってた。一部崖のようになっていることを除けば至って普通だった。

俺のお目当ての物はすぐに見つかった。枝ぶりのいい栗の木がたくさんの毬を吊して生えていた。下に行くと他より一段と大粒の実が、沢山落ちていた。自作のショルダー式の袋はすぐにずっしり重くなって歩きにくいくらいになった。

昼も近くなったし、もう帰ろうと思いながら、俺は栗拾いに熱中していた。後一つ、後一つと思いながら拾っていた俺は、気が付くと崖のふちにまで来てしまっていた。

ハッとなって数歩後ずさる、10メートルほど下の景色を見たせいか、興が削がれたのと昼近くなって腹が減ったのもあって俺はもう戻ることにした。

それで振り返ったとき、妙なことに気が付いた。栗の木からこの崖まではほとんど真横に50メートル。そんな所へ、栗が転がってくるものだろうか?

>>90


急に、栗で崖まで誘き寄せられたんじゃないかという考えが浮かんできて、怖くなって足早に歩きだした。だが、気が付くとまた崖の前、怖くなって回れ右して走りだすが気が付くとまた崖の前。

もう冷や汗が全身から吹き出しながら膝が笑ってうまく歩けず、なんとか例の栗の木までたどり着くと低い位置に突き出た枝にしがみついた。

それで、祖父が山でおかしな事に遭ったら一休みするか煙草を吸えと言っていたのを思い出した。

一休みなんて出来る状況じゃあ無かったが、落ち着くことも大事だと思い直してシャツの胸ポケットから煙草を取り出してくゆらせた。かなり根元まで吸った後、持ってきた携帯灰皿に入れて適当にもみ消した。

まったく状況が状況だけに吸った気はしなかったけど、少しは落ち着いたし膝もちゃんとした。

恐る恐る歩きだすと、今度は崖の前に引き戻されることもなくすんなり下山できた。
友達から聞いた話。

とある写真家の先輩と後輩が、海の写真を撮影するため、見晴らしが良い所まで車で移動した。撮影現場に着くと、そこには綺麗な海があり、向こうに崖があった。

撮影準備をしていると、向こうの崖にいつの間にか女が立っていた。女は若くて猫背だ。ふらふらと崖を歩いている。

それを見た先輩がこう言った。

『自殺か?!これは面白い!』

そう言うと先輩はカメラの連続シャッターボタンを押した。慌て後輩は止めようとしたが、もう遅かった。

女性は自殺してしまった。写真にその瞬間が全部写ってる。

数日後。先輩からメールが来た。

『写真現像した。今すぐ来てほしい』

後輩は先輩の家に行き、写真を見せてもらった。

当然綺麗に女性の自殺するところが写ってる。崖から海に落ちる瞬間が。

『これ…見ろよ』

先輩が机の上にある沢山の写真の中から一つ指指した。それを見た瞬間後輩は鳥肌が立った。

海のほうに頭を向けて落ちている女性が一枚だけ

こちらを見ている写真があった。
幽霊というものに半信半疑だった私がゾッとした体験です。


私と友人がある神社にお参りしに某県へ行くために高速道路にのりました。天気もよく、霧もなくて見通しも良好です。

幽霊が出るだとか噂がありましたが、私も友人もそういった類の話はまったく信じておらず、またその時までその道で心霊現象にあったことが無かったために当たり前のようにその道を通ります。

暫らくして、私はいつのまにか眠ってしまいました。友人が私の名を呼ぶ声が聞こえて、パッと目を覚ますと、友人が後ろを見ろというのです。

後ろを振り返ると、古い型の今ではあまり見かけないタイプの車が走っています。

「ただの車じゃん。何がおかしいの?」
「違う!顔をよく見て!」
「顔?」

私は再度、顔を見ました。さっき見たときと運転手の顔が変わっています。男性や女性の顔に見る度に変わっているような気がするのです。

私たちをじっと見ています。トンネルに入り、私は更にゾッとしました。トンネルに入ると、顔ってよく見えませんよね?なのに、その運転手の顔はハッキリ見えるのです。色白の顔が。

じわじわと車がこちらに近づいてきます。幽霊というものをまったく信じてない私は初めての現象にぞっとしました。

このまま追い掛けられれば、いつか追い越されて、殺されてしまうのではないかと思うくらい不気味で、私は友人に追い越し禁止車線をこえたら、前の車を追い越すように言いました。

車を追い越そうとした後、一本道で避ける場所が無かったのに関わらず、その車は消えました。


私たちが行った神社は悪霊払いで有名な神社だそうです。お祓いの札をいただいて無事に帰宅しました。

すでに私はとり憑かれていて、払われるのを嫌った者が私たちを追い掛けていたのでしょうか…。

友人はよほど怖かったらしく、夜にその時の話をしようとすると嫌がります。

今でも、思い出すと寒気がしますが、これよりも怖い目にあったことがあります…その話はまた今度、お話させていただきます。
友人とたわいもない会話をしていたときに、突然、視界に車が入ってきました。何故か鳥肌がたってきて、何でだろう?と思ってました。

違和感を感じながら、そちらに向いたら、その車、線路を走ってた。

「(えぇー?!車反射してるのかな?)」

が、対向車線もないし後ろも前も車がいない。その事実にもゾッとしました。
 
友人が「え?えっ?!何あれ気持ち悪い!」と騒ぎだします。その車の窓を見ると、複数の人がぎゅうぎゅう詰めになってるように見えました。視線を感じます。

友人とあれは何なんだ?!通報したほうがいいか?と騒いでたら、突然、その車が消えました。
 
幽霊類は基本的に半信半疑なので…正体確かめてやろうって、帰り道に車がいた方を覗きこんだけど、もっと嫌なことに気付きました。

確かに線路はありますが…線路、道より高さが低いから、平行に見えないはずなのです。なのに、あの時は車は私が乗っている車と同じ高さで走ってました。こちらよりも少し前を。


車が消えて、道も混んできて、徐々に怖さが消えた後、嫌なもの見ちゃったねーとか言いながら友人と話してたら、急にありえない馬鹿馬鹿しい怖い話がしたくなり、その怖い話をしていたら…それと同じ場面に遭遇しました。

ガードマンが車の上にいたって話をしていたのですが、隣の車線に止まっていた車の上にいたのです。その車を通り過ぎるときにそのガードマンが私たちを無表情で覗き込んでました。

さすがに立て続けに怖い目に遭い、家に帰るまで、無言になってしまいました。友人がぽつりと「アンタがいなかったら、事故して連れてかれてたかも。連れていかれなくて良かったよね」と。

あのとき、友人には言いませんでした。帰り道、また車が私たちだけになった時に大勢の人?らしきものがユラユラと歩道で揺れていたことを。

目が合うとニヤリと笑っていました…。泣きだしたいくらい怖かったです…
ちょっと仕事帰りに、一杯引っ掛けて帰った。

その日は、妻はパートに出ていて、夜10時位までは帰ってこない。
早めに仕事も片付き、帰途に就いたが、家で独りで帰りを待っているのもつまらないと、会社の近くの呑み屋に寄ったのだ。

家に着いたのは、だいたい夜9時半頃だった。

玄関の鍵を開ける。自宅の玄関のドアは二重ロックで、普通の鍵の上に、ピッキングでは開錠不能の外国製の鍵がついている。
因みに、国内では、合い鍵の製造も不可能だ。

二つの鍵を開け、ドアを引く。程なく、ガツンと手応を感じた。ドアが開かない。
よく見ると、ドアチェーンがかかっている。

おかしいな。奥さん、先に帰ってるのかな?
と、インターホンを鳴らす。

ぴーんぽ〜ん…ぴんぽ〜ん…。返事はない。
もう一度。ぴんぽ〜ん…ぴんぽ〜ん…。やっぱり返事はない。部屋も暗いままだ。

じゃあもう電話だい!と携帯を取りだそうと、スラックスのポケットをまさぐった時。
何かが玄関のドアと壁の隙間から、こちらを見ていることに気づいた。

床に頬を擦り付けるように、白っぽい子供が、こちらを見上げている。
一瞬、部屋を間違えたかと思ったが、それなら鍵が開くはずもない。

その子に何か尋ねようと、口を開きかけた瞬間、ドアや壁の端に手をかけるように、たくさんの手が、ぺたぺたぺたぺたっと、現れた。
その手は一様に白かったが、老若男女、混じっていたように思う。

僕が一歩後ずさると、その子は真っ赤な口でけたたましく笑い、すぐにドアがガンッ!と凄まじい勢いで閉じられ、二つの鍵がガチンガチンッと音を立てて閉まった。

……。…何これ。だった。

質の悪い冗談なら、小一時間説教してやるんだが、相手はこの世のモノではなさそうだ。
大人しく妻と自宅近くのバーで待ち合わせ、少し呑み、再度帰宅した。

酔ったふりをして、妻にドアを開けてもらったが、すんなり開いた。
室内もいたって普通。手狭な、都会のマンションの一室だ。

挙動不審な僕を見て、妻がニヤリとしたように思えた。
まるで、自分が仕掛けた悪戯に、まんまと嵌った人間を見るように。

それ以降、こんな出来事はないが、何となく気にかかる。
僕の妻は霊感が半端じゃないほど強い(らしい)。僕に内緒で何か人外の者でも飼い慣らしてなければいいのだが。
僕には、付き合って5年の彼女が居ます。とにかく、いたずらが大好きな彼女に何度もやられたので、今度は自分が仕掛けてやろうと思い…

昔、社会現象を巻き起こした“リング”を観ながら、呪いのビデオを見終わると、かかってくる電話を再現して脅かしてやろうと思い、会社の同僚に頼みました。

まぁ、すぐにバレる事を前提にですけどね。


しばらくして、リングの、あのシーンになりました。

ピリピリ…

僕の携帯じゃなく、彼女の携帯が、鳴りました。

非通知? 慌ててDVDを止め、相変わらず鳴り続ける携帯。

「ねぇ、私、非通知拒否してるのに何で鳴ってるん?」

微妙な空気が流れ、

ピリピリ…

僕の携帯も鳴りました。

「あ、鈴木からだ」

頼んでいた同僚からなので、彼女にネタばらししようと思い出ました。

「もしもし…」

「……………… あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛…
ごごぉ…う゛う゛う゛う゛…」

ああ、演技してるのかと思い同僚に言いました。

「もういいよ。彼女にバレたから。悪いね。それにしても迫力の演技だわ。凄いな」

僕は言いました。

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛…
う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛…
たすけ… て
ギギギギ…
コ、ロ、ス …」

なんだか同僚の声とは違い慌てて電話を切りました。

その間も、彼女の携帯は鳴りやまず。僕らは、二人で顔を見合わせました。

すると、彼女が、真っ青な顔して指を指します。

「どうした?」

「クローゼット… なんか動いた」

隙間が、少し開いているクローゼットで何か動きました。

目をこらして見ると、長い髪の毛のようなのが、スルスルとクローゼットから出て来て。

僕らは、そこで意識を失いました。


次の日、同僚に電話をすると、僕の携帯はずっと話し中で、繋がらず、昨日は寝たそうです。

>>96

携帯の着信を見ると、ゾッとしました。同僚からかと思っていた着信は、非通知でした。

ちなみに僕も彼女と同じ非通知拒否設定しています。電話が、繋がるはずがないのです。

あれから彼女は、極度にホラーが苦手になり、今は鬱になってしまい睡眠薬を飲むようになりました。


彼女には言えませんが、あれ以来、たまに僕は、彼女の横に重なるようにしてたたずむ髪の毛の長い女性が見えるようになりました。

そして、彼女の耳元で何か囁いているようです。真っ赤な口紅が、印象的で、目は白目を向いています。

近いうちにお祓いに行ってこようと思います。なぜなら、あの女が何か囁く度に決まって、彼女の手首の傷が増えているからです。
私は人より少しだけ霊感が強い体質。

街の中 走ってる車 あらゆる所で見てしまう。そして目が合うたびに家に連れて帰ってしまう。そうして連れて帰る霊は大概 自ずと元の場所に戻っていくのか知らずに消えてゆく。

しかし、帰らない霊が一つ。性別は不明。何か悪さする訳でもなく静かに私の左後ろにいる。


そんな霊との居候生活が始まり2年くらいして、深夜1時。そろそろ寝ようと思い、電気を消し布団の中へ。

うとうとしかけた時、今まで嗅いだ事もない変な匂い。そして遠くから聞こえてくる何かを引きずるような金属が擦れ合うような音。

その瞬間、部屋の中が闇に。何が起きたかは察しはついた。又、何処かで連れて帰ってきたんだなと思って目を閉じた。

そして その 匂いと音は近づいてくる。どんどんと私の近くに…いつもとは違う恐怖が身体中を走る。

その霊は私の周りを取り囲んだ。その数、半端な数ではないのが目を閉じていても私の脳裏に…

脳裏に写し出されてくる映像を、よく見てみると、それは無数の落武者。ざわめきあい 異臭を放ち 擦れ合う金属音。

一瞬にして ざわめき擦れ合う金属音は消え無音に。気味悪い静寂に包まれた。そして、私は何人もの落武者に押さえつけられた。

無数の落武者の中から一つの落武者が静かに ゆっくり私の方に近づいてくる。そして私の顔に近づき眺め匂いを嗅いでいるかのよう。

又、別の落武者が刀を持って私の傍にいる落武者に差しだしている。落武者は私に顔を近づけ ゆっくりゆっくり確かめるように匂いを…そして刀をとると思いっきり振りかざした瞬間、

それこそ闇とは全く正反対の真っ白でいて金色に輝く光が部屋中を照らした。無数の落武者は一瞬にして消え、光も消え、元の変わりない自分の部屋に。

私は深い溜め息をついた時、左の方から「間に合った」って声が…。


今でも まだ その居候の霊と同棲中! 多分 助けてくれたんだと…もし間に合わなかったら私は?

それより「間に合って良かった」って! 居候の霊は一体 何処へ何をしに行ってた?
とある歴史上でも有名な人(名前を出すと一発で場所も分かってしまうから出せません)が、《これより先には絶対進んではならない》と手記にも残した洞窟が某県にあるのを耳にした。

あの歴史上の人物が?なぜ?

結婚して子供もいるオッサソな俺だがその洞窟が気になってしまい ある休みの日、遠出のドライブに1人で向かってみた。

その洞窟、昔から水が湧き出ていて飲み水としても使われていたため観光地としても紹介されていた。

目的地にすんなり着いて少し徒歩で山道を歩くと 水くみに来た人や観光客が数人、洞窟は水を湛えながら口を開けていた。

柵がしてあるから中には当然入れないし水もあるから入るつもりは無かったから ジッと洞窟の奥を見つめていた。

凄く気になるというか・・・目が離せないというか・・・5分くらい微動だにしないでいたら 水くみに来ていたおっちゃんに声をかけられた。

「たまに兄ちゃんみたいにジッとしてしまう人がいるが魅入られちゃいかんよ」

ハッとその言葉に気付いた。

聞けば昔から洞窟周辺で人が居なくなる神隠しがあったらしい。

その話を聞いた瞬間、物凄い寒気を感じた。そして洞窟内から数十人単位の視線を感じた。そして脳裏に浮かんでくるのは

「冷たい」「帰りたい」「助けて」・・・そして「笑い声」。かなり下品で悪意のある笑い声。

しかし笑い声が途絶え、洞窟内に目をやると男女の首だけが浮いてあった。俺を無表情で見つめている。

「うわっ・・・」

男女の生首(?)は暗闇に消えていった。

「あんちゃん、大丈夫か?」

おっちゃんが心配そうに声をかけてくれた。

「あ、大丈夫です・・・それよりこの洞窟で男女が関わったような話はありませんでした?」

おっちゃんはキョトンとしながら

「ああ、それならあそこの看板見てみ、男女の話があるから」

そう、この洞窟と男女は実は由来があった・・・あまりこれも詳しく書くと特定されるから割愛させていただく、ただし神隠しはその男女が原因であろうと思った。

長年、引きずり込んで・・・歴史的に有名なあの人はコイツラを見たからでは?

ちなみに洞窟内は危険である事などで調査する予定はないらしい。

個人的にはここは観光地として解放しないで人を近づけさせない方がいいと思う場所だった。
携帯に内蔵されている"自動点灯機能"。節電モード的な機能で、携帯画面の明るさを設定出来るあの機能あるよね。

手動で明るさを固定したり、周りの明るさを感知して、それに合わせて調整してくれたり。あたしは後者の設定をしてる。

携帯の内側に明るさを感知するセンサーがあって、あたしの携帯だと画面の右下に付いてる。

周りが明るいと明るく、暗いと暗くなる。たまに指で触っちゃったりすると、センサーがそれを感知して、画面が暗くなっちゃうんだ。

だけどたまに、触ってないのに暗くなることがあるんだよね。いや、まあ誤作動かもしれない。

でもそれが起こるのが、だいたいベッドで俯せになって、ヒジをついてるときなんだよね。わかるかなあ。

ちなみに言うと、そのときあたしは体を動かしてないし、周りに光を遮る物はない。つまり

ダ レ か が 上 か ら 覗 き 込 ん で る っ て コ ト。

あたしの上から覆いかぶさってね。

画面は30秒で消える設定。あたしは絶対30秒以内にどっかしらのボタンを押すようにしてる。

少なくともその現象が起きたときは。だって

"ダレ"かが映り込んだら怖いでしょ?