1 無名さん

ぴぴぴぴ

ぴぴぴぴ
2 無名さん
3 無名さん
6 無名さん
あげ
○ /
。∠________/
  < \      |
 / \ \   / ̄\
゚/ / \ \  |  |
/ /∧∧\ \ \_/
\/(・ω・) >、\  |
\\∪⊂/ \ \ |
 \\/ ○ \ \|
\ \\   _\/|
○\ \\二○___|/
  \ \\/>
゚ ○ 。\ \/ o ○
。 o  ̄ ̄
皆さんは写真に写るはずが無い物と言ったら何を思い浮かべるでしょうか?

心霊写真とかは別に写ってもおかしい物ではないと思います。
私は心霊写真が写らない方がおかしいと思います。
理由は心霊はこの世にいるからです。本題に入ります。

10月3日の夜8時頃、私は彼女と2人で家で食事をしていました。
私の家には子猫が2匹いて、彼女が

「上京している姉に子猫の写真を送ってあげたい」

と言うことで、私がカメラを持ち彼女が子猫を抱いている写真を数枚撮りました。
その写真を撮った時は心霊? が写っている事に気づきませんでした。
ポラロイドカメラって霊が写りやすいって言いますよね。

そして、その日は家に彼女を置いて私1人で夜遊びに行きました。
夜遊びから帰って来た時の事です。
彼女が「変な物が写真に写ってるから怖かった」と言ってきました。
私は心霊系は好きなのでウキウキして例の写真を見ようとしたら、彼女が一言。

「ヒロ(私)が写ってるんだよね」

私はゾッとしました。
理由は、私が写真を撮ったのに私が写るはずが無いからです。

おそるおそる写真を覗いてみると、そこには予想もしなかった紛れも無い私の姿が写ってました。
顔が紫色でねじれており、首のあたりに火のような物が付いて叫んでいるような私の顔でした。
私が高校生のときの話です。

ある日、私のもとに見知らぬ人から手紙が送られてきました。
住所を見るとかなり遠くに住んでいる人です。
その中身は奇妙なもので、私に1年ほど前に助けられたと書いてあります。

ずっとお礼が言いたかったが、名前も住んでいる場所もわからなかった。やっとそれらがわかったので手紙を送ります。
直接会ってお礼をしたいのだが、遠くに住んでいるし体が弱く遠出ができないので手紙で失礼をします、云々というようなことが書いてありました。

家族の誰かと誤解しているのかと思い聞いてみましたが、ちょっとした日常的な人助けならあるがそこまでして礼を言われるほどの人助けは記憶にない、と言われました。
その手紙には具体的な内容が書いてなかったので、こちらはそれほど礼を言われるような人助けをした記憶がないので人違いではないか、よければ具体的にその内容を教えてもらえないか、といった内容の返事を書きました。

そもそも、もともと名前すら知らなかった相手の住所まで調べ上げるとはいったいどのようにしたのでしょうか。
お礼を言うためとはいえ、少し不気味な感じもしました。

やがてまたその相手から手紙が来て、その具体的な内容が書かれていましたが、私も私の家族もまったく覚えがないことでした。
それゆえ、その旨を書いた手紙を相手に送りました。

すると、また手紙が来ました。
どうやら人違いのようで騒がせて申し訳なかったというような内容が書かれた後、自己紹介が書かれていました。
私と同い年の女性だそうです。
はじめの手紙にも書いたように、自分は体が弱く学校にもあまり行っていないので友人が少ない、どうやらあなたは私と同い年のようなので、これを縁にもしよければ文通をしてもらえないか、というようなことも書かれていました。
そして、本が好きで特にこれこれこのような本が好きだというようなことも書いてありました。

なんだか妙なことになったなと思いながらも、私も本は好きですし文章を書くのも好きでしたから(それに同い年の女性ですし)返事を書きました。

こうして半年ほどその文通は続いたのですが、ある日彼女からの手紙の封を開けようとすると、ふとした拍子に貼ってある切手がはがれて落ちてしまいました。
私はそれを拾い上げ、なんとはなしに裏返して見てみました。

すると、その裏の白い部分に小さな字で

「貴様が憎い。貴様を殺してやる。呪ってやる。死ね、死ね、死ね」

などといった呪詛の言葉がぎっしりと書かれていたのでした……。
この話には“呪われる”という表現が含まれています。
以下、自己責任で進んで下さい。
雨がシトシト降るある明け方、徹夜でレポートを書いてた俺は目を覚まそうと風呂に入ったんだ。

いつものようにシャンプーをしてコンディショナーをつけて洗い流してたんだけど、なぜかいつまでたってもヌルヌルが取れない。
おかしいなって思いながらもそのまま流し続けてたんだけど、いきなり手に異常な程の毛量を感じて目を開けたんだ。

そしたらシャワーから真っ赤な血が噴出してて、手には長い真っ黒の髪の毛。
びっくりして後ろに飛びのいたら何かにぶつかった。
恐る恐る後ろを振り向くと、そこには白い着物を着て顔をしわくちゃにしながら笑いかける女が。


この話を聞いた人は注意しなければならないことがあります。

お風呂に入って頭を洗っている時、「だるまさんがころんだ」と口にしてはいけません。
頭の中で考えることも絶対にヤバイです。

何故なら、前かがみで目を閉じて頭を洗っている姿が「だるまさんがころんだ」で遊んでいるように見えるのに併せて、水場は霊を呼び易く、家の中でもキッチンやお風呂場などは霊が集まる格好の場となるからです。

さて、洗髪中に1度ならず、頭の中で何度か「だるまさんがころんだ」を反芻してしまったあなたは気付くでしょう。
青白い顔の女が、背後から肩越しにあなたの横顔を血走った目でじっとみつめていることに……。

さて、あなたは今からお風呂タイムですか?
何度も言いますが、いけませんよ、「だるまさんがころんだ」だけは。
今から10年前、高校を卒業した頃の話です。
以前から憧れていた400ccのバイクを買い、当時付き合っていた彼女と2人で犬鳴峠に肝試しがてらドライブに行きました。

すると途中、迷うはずがない道なのにいつまでたっても山道を行ったり来たりしているような感覚に襲われていたのです。
彼女も私の様子に気づいていたのか、いつの間にか会話は無くなっていました。

霧も濃くなってきて20メートル位先からほとんど見えない状態でした。
コーナーの曲がり角に1本のコーナーミラーが立っています。
それを目印にさらに先へと進むと、さっき見たはずのコーナーミラーがまた立っているのです。

恐怖と早く逃げ出したいという思いから、更にアクセルを吹かし無我夢中で運転しました。
すると、目の前にトンネルらしきものが現れました。
これが犬鳴の旧トンネルかと思い一瞬ためらいましたが、一気に加速してトンネルを抜けようとしました。

すると……。
天井に、下半身が壁に埋まった女が逆さでぶら下がっていたのです。
みなさんは色情霊ってご存知でしょうか。
これは友人のNちゃんの話です。

専門学校に進んだNちゃんは、就職も決まり一人暮しを始めました。
Nちゃんの実家は大きい神社でした(お父さんはそこの宮司さんをされてました)。
Nちゃんはお父さんに似て霊とかには敏感でした。

そこで一人暮しをするにあたり、お父さんがお札をくれたそうです(私も見たことがありますが、木で出来たお札でした)。
Nちゃんはそのお札を玄関に貼っていました。

ある夜のことです。
Nちゃんが床に入り眠りについてしばらく経ったころ、アパートの外を人が歩く足音で目が覚めました。

ベランダの向こうに誰か立っています。
でもおかしい、Nちゃんの部屋は2階です。
誰もいるわけないんです。
もちろん人間ではありません。

そんなことが3〜4日続きました。

「お札を貼ってるし、大丈夫」

Nちゃんはそう思っていたそうです。
ところが、とうとうその人影は Nちゃんの部屋へと入ってきました。

男の人でした。
気づくと足元に立っています。
Nちゃんは動けませんでした。金縛りです。

「こわい!」

でも体は動きません。するとその男の霊は、Nちゃんの布団をはぎパジャマを脱がせ体中を触ったかと思うと、最後にはとうとう犯されてしまったそうです。
怖いのと感触があまりにもリアルなのとで、その時は泣きながら失神してしまいました。

翌日会社を休んで実家に帰り、お父さんにそのことを話しました。
するとお父さんが

「お札は? どこに貼った?」

と聞くので、

「玄関の内側に貼った」

と答えました。

「外側に貼りなさい。それは魔よけだから、外側に貼らないと意味がない」

そう言われました。

『蘇民将来』と書かれているお札を、Nちゃんは玄関の内側に貼ってしまっていたのです。
慌ててNちゃんは玄関の外側に貼り替えたそうです。
それからは何もないと言っていました。

そのことを聞いた時は、

「うっそー、ほんとに誰か入って来たんやない?」

と思いました。でもNちゃんが続けて言いました。

「色情霊っていうんてー、そうゆうの。それに朝起きたら布団もかぶってたし、パジャマもちゃんと着てた」
一昨年の夏ごろ、夜中に突然電話がかかってきた。
相手は意味不明に話したり、ゲラゲラ一人で笑うだけ。

いたずら電話かと思って電話を切ろうとした途端、そいつの悲鳴が聞こえて電話口の相手が代わった。
代わった相手はどうやら女性らしい。
キツい口調でこっちが喋る間もなく畳み掛けてきた。

「もしもし? こちら○○養護院の田中(仮名)と申します。うちの『生徒』が色々ご迷惑をお掛けいたしまして、誠に申し訳ございませんでした。今後はこのようなことが無いよう厳しく指導しておきますので、どうかご容赦いただきますようお願いいたします。では失礼いたします」

そう言うと一方的に電話を切られてしまった。

その田中という女が電話口で一人喋っている間中、後ろからは最初の電話相手の悲鳴と激しく叱責する声、そして誰かを(恐らくその最初の電話相手を)殴打する音が聞こえ続けていた……。

ちょっと気になったので、翌日その『○○養護院』なる施設のことを色々調べてみた。
だが判ったのは、その『○○養護院』は十年も前に閉鎖されていたってことだけだった。
大学生活と新しい下宿にも慣れた頃の出来事。
週末の夜、暇なんでネット繋げて遊んでいた。
時間がたつのも忘れてやってたんで、気が付いたら2時をまわっていた。

「そろそろ寝ようかな」とぼんやり考えていると、何か気配がする…。
自分一人しか居ない部屋なのに?と思い振り返ると、いつもの殺風景な自分の部屋があるだけだった。

その日はそれだけで終わったが、次の週末の夜もまたその次の週末の夜も同じ時間に気配が…。
しかも人が歩くようにゆっくり近づいてくる感じ。

怖いと思ったが彼は「正体を確かめてやろう」と考え、自分を中心に部屋全体を撮れる位置にビデオカメラを設置。
そして夜2時過ぎ、机とパソコンにむかう自分の姿を撮影し「何か映ってないかな」とテレビにビデオカメラを繋ぎ、見始めた。

画面に映し出されたのはいつもの部屋と自分の姿。
ささいな変化も逃すまいと目を凝らし見ていたけど、何もおかしいものは映っていなかった。

「やっぱり何も映ってなかったか」

とがっかりし、ビデオカメラを取り外しテレビの電源を切って画面を見ると、暗転したテレビに自分の姿が映っていた。

そしてそのすぐ後ろ、息もかかりそうな距離に、うらめしそうににらむ男の顔があった。
友人の知人のそのまた友人が体験した怖い話なので、はっきりとしたことは解らないのですが、その話をしようと思います。

友人の知人の友人(以後Aさん)が小学校高学年の頃、彼らの間で近所の工場地帯の空き地にある丘陵で、戦争ごっこのような遊びが一時期はやったらしい。
それは単純に同級生5、6人でチームに分かれ、エアガンで打ち合いをする遊びなのだが、その遊びに熱中していた彼らは気づかぬうちに、近くにあった廃工場の敷地に無断で入りこみ室内戦を始めてしまった。

もう使われてないだろうと思われた工場の中を、彼らははしゃぎまわり所々にプラスチックの弾丸を撒き散らし、しだいにエスカレートして、工場の機械に工具をぶつけたり窓ガラスを破壊したりやりたい放題。
そんな彼らも次の瞬間に凍りついていました。

彼らに近くにあった機械の影から、浮浪者のような身なりのオヤジが踊り出たのです。
みなこれには度肝を抜かれましたが、あらぬことかメンバーの一人は咄嗟にそのオヤジをエアガンで射撃してしまったそうです。それ以外のメンバーも、無意識の内にこれに続いてオヤジに連射を浴びせていました。

しかし、オヤジはビクともしないのです。

そして先頭にいたメンバーの一人がオヤジに襲いかかられ、羽交い締めにされてしまったそうです。
他のメンバーは、非情なことに泣き叫ぶメンバーの一人を尻目に工場から逃げ出してしまったのです。
他のメンバーはすぐに近くのプレハブ小屋に助けを求め、警察に電話して工場に警官がかけつけました。
しかし、工場の中にはすでにメンバーの一人とオヤジの姿はなかったのです。
これは大事になったと大勢の警官が工場に詰めかけ、メンバーの一人を捜索しました。

しばらくすると、メンバーの一人が隣の丘陵の隅っこに倒れているのが発見されました。
すぐに病院に運ばれましたが、すぐに意識を取り戻しました。

その友人は、オヤジにおもいきり口をふさがれて恐怖のあまりに気絶してしまい、その後のことは覚えていないと言いました。
特に目だった外傷の見うけられない彼は、何事もなかったかのように淡々と警官の事情聴取のようなものに答えていきましたが、すぐに体調の異変を訴えはじめました。

詳しい検査の結果、彼の胃の中から10数本に及ぶ釘が入っていることが確認されました。
緊急の手術が行われ大事には至らなかったのですが、オヤジの正体は未だに不明。
高校に入学して、始めての冬を迎えようとしていた頃だった。

もともと人見知りする性格も手伝ってか、入学〜夏休み間のいわゆる「友達作り期間」に何もできなかった俺は、学校が終るとすぐに一人で帰る毎日を送っていた。
昼メシを教室の机で一人で食べ、残りの時間を寝たフリをして過ごす事にもようやく慣れはじめた頃でもあった。
いつものように学校が終り、もう随分寒くなってきたな、と帰り道を急いだ。

その途中、…コツン、と頭に何かが落ちてきた。
ミッキーマウスのキーホルダーだった。

…このビルの窓から落ちてきたのか?でもこのビルは廃ビルの筈じゃあ…?
見上げてみると、5階の窓がかすかに空いている。

未だに、何故その時そのビルに入ってみようと思ったのか分からない。
そして未だに、何故そんなものがそこに散乱していたのか分からない。

がらんとした5階のフロアにはもの凄い臭気が蔓延していた。
腹を裂かれて死んだ猫、猫、猫、猫、猫…

それぞれの腹の中にぎっしりつまっていた。ミッキーマウスのキーホルダーと携帯電話が。

唖然と立ち尽くしていると、突然どこからか「エリーゼの為に」の着メロが流れ出した。
俺は気が狂いそうな恐怖に駆り立てられ必死でそこから逃げた。

結局今になっても分からない。
あれが一体何だったのか、そしてあの部屋の隅にあった白い箱は何だったのか…
以前、俺が友達を自分の家に招いて泊まらせた時の話。友達は二人いて両方とも男。
その頃、俺の家の周りでは「死神」ってのがはやってた。

死神ってのは中学校の屋上や○○台(←ちょっと名前出せません)の上とかでよく目撃される、黒いコートを被った人のことなんだけどね。
で、俺と友達二人は最初は俺の家でゲームやってたんだけど、途中で飽きてしまった。
11時ごろかなぁ、だれがいったわけでもなく死神を探しに逝こうという話になった。

最初のほうは死神ってただの浮浪者じゃねーの?とか茶化したりしながら話してたんだけど、死神が屋上に現れるという中学校にの門に付いたあたりで、凄くつめたい強い風が吹いたの。
そしたら、どこから出てきたかわからん猫が喧嘩しはじめたりして、俺たちはすっかり肝を潰してしまった。

だけどせっかく来たんだから一応屋上だけでも除いてみようぜって話になったの。
中学校の屋上にはがんばればよじのぼっていけるんだけど、流石に屋上で鉢合わせしたらみんな恐かったので校庭から除くことにした。

やはり死神は居なかった。
俺たちは高校の入学式を明日に控えていたので、今日はそろそろ帰って寝ないか?という話になりぼちぼち帰る雰囲気になってた。

せっかく外にでたんだしコンビ二いって食料を調達しようという話になって、みんなで中学の近くのコンビ二いったんだが、一人の奴(仮にAとしよう)そいつだけジュース一本かって「外で待ってる」といってコンビ二からでていった。

俺たちはそれから10分後ぐらいにコンビ二からでて「おーいAいるかぁ」といったんだがいない。
そしたらAが超ダッシュで中学校の塀をよじ登って、こっちにきた「あ、Aだ!」とか俺たちはいったとおもう。

だけどAの様子はおかしかった。顔は真っ青で冷や汗みたいなのをだらだらかいてた。

「どうしたの」ってこえかけたんだと思う。そしたらAはいった「屋上に死神が・・・・」
「まじかよ!」俺ともう一人のやつのテンションはあがりまくったが、Aの様子をみてたら演技にしてはちょっとオーバーだなぁという気がした。

Aは携帯持ってるかって俺たちに聞いてきた。どうやら警察に通報するつもりらしい。
俺たちは携帯をもってきてなかった。Aはあわてて今から交番いってくる!といってチャリにのってロケットみたいにどっかいってしまった。
俺ともう一人の奴には帰ってていいよっといった。俺たちは心配だったけど家に帰った。

そしたら一時ごろ俺の家に「Aが事故にあった」というAのお母さんからの電話がきた。
俺たちは本当にびっくりしてAのいる病院にむかった。
幸いAは殆ど怪我をしなかったが、俺たちが色々聞いても何も言わずに何かに怯えたように無口だった。

それ以来Aとは高校も違う事もあり疎遠になったが、俺の中ではこの事はとても思い出になってます。
リサイクルショップを歩いて回るのが好きなとある人が、仕事の出張先でたまたま掘り出し物の高級ギターが格安で売られているのを発見した。

男は仕事中でしたが、帰りにこっそり買って帰ってもバレないだろうと、すぐにそのギターを買った。
男が家に帰って実際に音を鳴らしてみると、安物では味わえない高級感の漂う音色が響いた。

弦が錆びてるけど張り返れば外で使っても全然いける、これまた良い買い物をした。
恐らくモノの価値を知らない店員が適当な値段をつけて売り出して、そのまま気がつかなかったのだろう。

でも、なにかがおかしい。

全体の妙な重みが気になった男がホールを覗くと、何やら奥のほうに黒い塊が。
男がなんだこれは、とペンライトで照らした瞬間、その正体が生首だとわかりギョッとした。

男はすぐにそれをケースにしまうと、近所の中古楽器屋に売り払った。
しかし、そうしたことを今では後悔しているという。

何も知らない楽器屋のあんちゃんが弦を張り替えて、その夜すぐに事故で死んでしまったと聞かされたからだ。
これは働き始めた頃の話です。
同時期に就職を決めた友人に頼まれ、新しく越した部屋に行った。

「ここに越してから怖い夢ばかり見るんだよ。何かいるのかもしれないから、一晩すごして見てくれ」
彼の家は、今時都内に珍しい平屋の一軒家で、築40年と古かったが、入った感じで嫌な感覚はなかった。

しばらく二人で呑んでいても、何ら感じるものはなかった。
「気のせいだろ。むしろ良い家じゃん。仕事のストレスじゃね?」
彼も仕事で苦労をしていたので、俺の言葉で家については安心した様だった。

夜中になり、普段から酒に弱い彼は先に眠った。
「彼女か俺は…?」
すやすや眠る彼をうらめしく思いながら、台所に片付けに向かった。
その時、今まで眠っていた彼が急に大声でうなされ始めた。

その瞬間、今まで平穏だった家の雰囲気が急変した。
一気に温度が下がり、そこに大勢の人間がいる様な、衣擦れの音がザワザワしている。
あまりの変化に呆然としつつも、急な腹痛に襲われ、トイレに駆け込んだ。

用を済ませてもまだ痛みは取れず、便座で悶えている時だった。
ドアの下から何か黒いものが入り込み、一瞬で背後に周った。

「うあっ…!」

驚いて立ち上がろうとした時、何かが俺の両肩を後ろから掴んだ。
…小さい手だった。歳にすれば3〜4歳の子供の大きさ。なのに関わらず、指は節くれ立ち、無数の静脈とシミが浮いていて、爪には真っ赤なマニュキュア…。服の上からでも感じる程の冷たい手だった。そして、下水の様なむせかえる異臭が漂っていた。

「……な。……るな」
その時、喉がつまった様な、苦しげな声が耳元で聞こえた。俺の体は一切動かなかった。

「…離せ、何なんだお前はっ!」
ようやく声が出た時、つぶやく様だった声が、急にどなった。

「余計な事はするなああぁぁぁっ! 出て行けぇぇ…」

喉の肉が震える音が聞こえる、ふり絞った様な声…。
ようやく開放されても、家の雰囲気は最悪だった。
何とか友人のもとへ行き、彼を叩き起こすと、彼はやはり悪夢を見ている最中だったらしい。彼が目を覚ますと気配もなくなっていた。

彼には引っ越しを勧めた。なぜかは分からないが、あれは土地のものだと感じていたからだ。
引っ越してからは夢も見なくなったらしい。
しかし、なぜあれは彼の夢に憑依したのだろう? 彼をどうするつもりだったのかはわからなかった…。
 
 
地元で有名な伊勢神トンネルって言うトンネルがあるんだけど、そのトンネルは、山を削った新伊勢神トンネル、墓地の下を削った旧伊勢神トンネル、封鎖されて入れない旧々伊勢神トンネルがあります。

その話を教えてくれた友達をAとします。
Aは、先輩達と五人で旧伊勢神トンネルに行きました。
先輩達の車は四人乗りなので、Aはバイクで後に付いて行きました。

この旧伊勢神トンネルは、有名な心霊スポットなんです。
トンネルに付いたA君と先輩達は、携帯のカメラなどを使って色々写真を撮ってみたんですけど何も写りません。
入り口から出口の調度中間位に、花束とお菓子が置いてありました。

先輩達の一人が「なんだこれ?」
と言って足でお菓子を踏んでしまいました。
A君も先輩も半笑いでケラケラ笑っていたそうです。
何も起きないので帰る事にしたそうです。

当然帰りもA君はバイクで一人で帰ります。
先輩達に付いて行くA君なんですが、先輩達の車はどんどんスピードを上げていきます。
必死で付いて行くA君。

コンビニに差し掛かった所で先輩達の車が止まりました。
車から降りてきた先輩達は顔色が良くありません。

A君は「なんであんなにスピード出したんですか?」と聞きました。

あのトンネルでお菓子を踏んだ先輩が、
「お前のバイクの後に手足がない女の子が乗っていたんだよ」

それを聞いて怖くなったA君は、コンビニにバイクを置いて親に向かいに来てもらったそうです。
高校に居た時に、先輩から聞いた数年前の出来事です。

数年前、一人の病弱な生徒は、何を思ったのか、山岳部に入部しました。
山岳部は部員が5人と少なく、皆彼と同じ2年生でした。
そんな彼らは、進入部員が入ってきたことにとても喜び6人は、親友になりました。
彼らはとても仲が良くいつも一緒に居て、休みともなると全員で近くの山に行きました。

しかし、彼はある日容体が急変し、病院に運び込まれました。5人は、すぐに病院に駆けつけ彼の病室へ。
病室からは、ちょうど彼の両親が出てきたところで、父親の方から「息子にあってやって下さい、息子も喜ぶでしょう」母親のほうも涙ながらに頭を下げて頼みました。

重苦しい雰囲気の中、ゆっくりと中に入り、5人は彼の枕元に寄り添って、
「いつでも皆一緒だ」そう囁きました。
彼は、その言葉を聴きうなずきました。

彼はそれからすぐに亡くなり、あんなに仲の良かった5人も会うことが少なくなりました。
3年にもなると、受験勉強で忙しくなったせいか、皆彼のことを忘れてしまいました。

夏も終わりに近づいたころ、皆に手紙が届きました。
内容は、山岳部で戸隠という山に登ろう、というものでした。
彼らの住んでいるところからは、少し遠かったのですが、卒業間近だという事もあり、皆参加することになりました。

道という道は無く、途中で少し暗くなってきたことから、彼らは登頂を止め野宿をして、朝に下山することにしました。
大量に持ってきたビールなどを飲みながら、皆で談話をしたりしながら、最後の夏をすごしていました。

辺りがすっかり暗くなった時のこと、最後の思い出にと、1人が使い捨てのカメラを持ち出した。
周りが見えないので声を出し、カメラでその方向をフラッシュで写す、このような手順だった。
皆で回しながら写真を撮っていると、肩を組んで写真を撮る事になった。

次の日の下山途中彼らは、全員崖から転落し命を失った。

数日後、捜索隊が彼らを見つけたが、遺体を持ち帰ることが大変なため、遺品だけを持ち帰ってきた。
もちろんその中に使い捨てのカメラもあった。現像した写真には、日付と5人が腕を組んでいる集合写真があった。
奇しくもその日付は、ある病弱な生徒の一周忌であった。

さてこの話は、どこ恐いかというと。
お察しの通り5人だけで写真を取ると、5人が写真に写ることはまずむ無理なんです。
先生の彼女の話で、名前をA子とする。A子は友人の引越し祝いに呼ばれた。

その引っ越し祝いにはA子のほかに、2名(引っ越した本人含めて)きていた。
元々、A子は霊感が強く、友人もそれを知っていた。

新居に着いて早々、A子は凄く嫌な感じがしていたが、引っ越したばかりの友人には言えず黙っていた。
そのうち、料理をつくることになり、友人らが材料の買出しにいくことになった。
A子はその新居で1人留守番をしていた。嫌な感じは的中した。

いきなり壁から真っ白な手が出てきて、A子の髪を掴んだ。そしてぐいぐい引っ張るのだ。
A子は必死に抵抗したが、恐ろしく力が強く頭を壁に引きずり込まれそうになった。

ちょうどそのとき、友人らが帰ってきたと思うと、その手は消えていた。
予想以上にやばいので、今あったことを友人らに話した。

「この家やばいから引っ越したほうがいい!」

「え? どういうこと?」

「今あんたらが買い物行ってる間、壁から白い手が出てきて壁の中に引き込まれそうだったんだから!」

「まーた得意の怖い話? こんなときにやめてよー」

「ホントなんだって! ここ!!」

と指をさした先、壁の中に髪の毛がめり込んでいた。
5年ほど前の話だが、俺は免許を持っておらず、移動にバスをよく利用していたんだ。

その日も俺はバスに乗るためにバス停で待っていた。
バスが来る時間まで10分ほど早くバスが来たのだが、その日は道路も空いていたので、早く来たのだと思って乗り込んだんだ。

乗り込んで俺は読みかけの文庫本を開いた。バスで約30分ほどのところなので、それまでの暇つぶしにといつも持ち歩いている。俺は本に夢中になって一気に読み終えた。
そして窓の外の景色を見て驚いた。

全く見覚えのない場所を走っている。
いつもは目的地付近でアナウンスがなるので、どんなに本に夢中になっていても乗り過ごすことはなかったが、アナウンスが聞こえないほど夢中になってしまったかと反省して、降りるためにボタンを押したんだ。

だけどバスが止まる気配は無く、俺はもう一度ボタンを押したがバスは止まらず走り続けている。
俺は運転手に抗議するために、運転席に近づいて驚いた。

運転席には誰も座っていないのだ。
ハンドルだけが勝手に動いてカーブを曲がっていく。
俺は何とかバスを止めようとブレーキをかけるが全く止まる気配が無い。
コレはマジでヤバイと思い、他の乗客に状況を説明し協力を仰ごうとした。

だけど、誰もこちらに関心が無いかのようにうつむいたままだ。
嫌な予感がしつつも俺は乗客の一人に近づいて声をかける。
反応が無いので肩をつかんで揺さぶってみた。
その乗客はガクガクと揺すられるままで動かない。俺は怖くなって必死で揺すった。
すると、その乗客の首がずれて皮一枚で繋がっている状態になった。
俺はあまりのことに叫び声を上げしりもちをついた。
その時、他の乗客もゆっくりと動き出した。
恐る恐る見ると、乗客はみな他殺体のような姿をしていた。
あるものは頭蓋骨が砕け中のものを露出し、あるものは全身が焦げていた。

死体(幽霊?)達はゆっくりと俺に近づいてきた。
俺はあまりの恐怖に腰を抜かしていた。
もう一度ブレーキをかけるために運転席に這っていく。
何とか運転席にたどり着いた俺だが、もうダメなのだと悟った。

さっきは誰も居なかったはずの運転席に、制服を着た運転手がハンドルを握り座っていたのだ。
運転手は俺に気付くとにこりと笑みを浮かべる。
ハンドルを放し立ち上がり、こちらへ向かってくる。
この運転手は他の乗客と違い、生きた人間と変わりない姿をしている。
この運転手が他の乗客たちを殺したのだと俺は悟った。

俺は気力を振り絞り窓を叩き割って逃げようとした。
だが幾ら叩いても窓は割れず死体たちに組み敷かれる。
ゆっくりと運転手はこちらに近づいてきて、ナイフを取り出すとはじめて口を開いた。

「このバスの行き先は地獄です、ご乗車ありがとうございました」

刺されると思ったが、なかなか痛みがやってこない。
恐る恐る上を見ると、運転手は俺から後ずさっている。
周りの死体たちの力も緩み、解放された俺は力の限り窓を叩いた。

先ほどまではびくともしなかった窓があっけなく割れる。
俺は猛スピードで走るバスから戸惑うことなく飛び降り、擦り傷などを作ったが脱出することが出来た。

あの時刺されなかったのかは、しおりとして使っていた護符のおかげだと思う。
家に帰った後本を開いてみると。挟んでいた護符はどこにもなかった。
あの護符のおかげで俺は助かったんだと思う。
3年くらい前、携帯を持つようになった。
俺は嬉しくてメールやカメラを一日中と言っていいほど使っていた。

ある日、ムービー機能で猫と自分を撮ろうとしたんだ。
だけどうちの猫も落ち着きがないものなんで、抑えてもすぐ動いてうまくいかなかった。

俺は腹が立ってこう言ったんだ。
「おうコラ!!言うこと聞けや」
猫は叫び声を上げて逃げてしまった。

ふと携帯を見ると、いつの間にかスタートボタンを押してたみたいで、ムービーが撮られていた。
画面にはうちの猫のいやそうな顔が映っていた。

なんとなく俺は再生を押して見たんだよ。
猫を抑えつけようと俺の手が猫をつかんでいる。

「おうコラ!!言うこと聞けや」

………ん?

もう一度見た。
何度も。何度も。確かめる為に見た。

俺は猫を抑える時、確かに胴体に手を当てていた。もう片方の手は携帯を握り締めていた。

なのに………

動画の俺の手は、猫の首を両手で握り締めていた。

その動画の入った携帯は今もある。
と言っても、機種変して以来充電器も捨ててしまって、もう見ることはできなくなった。

ただ、それ以来俺はムービー機能を使うことはなくなった。
呪いのわら人形をご存知ですか?それに関する話です。
私は仕事がら転勤が多く、各地を転々としていました。

私が山口の萩というところに転勤になったときの話です。
安く家を貸してもらえるというので、しばらくの間家を借りることになりました。
ただ問題だったのがかなりの山奥で、大きい家なのですが、かなり古いものだということでした。

住み始めてから1ヶ月がたとうとするある日、私の娘が庭で妙な箱を見つけてきました。
家の中も庭も、家に住み始めてから最初の連休のときくまなく見て回ったはずでしたが、庭に箱などありませんでした。
そう思ったのは何よりその箱が特徴がある箱で、見て解りそうな目立つものだったからです。

私には霊感はほとんどないのですが、その箱が異常に不吉な感じがしていました。
この時私の選択が正しければ、恐怖を体験しなかったと思います。
私はこの不吉な箱を燃やしてしまったのです。

数日して、悲惨なことが起こりました。
私の友人の一人が車で事故を起こしたのです。
車は炎上、友人が病院に運ばれたときは全身火傷で、すでに息がなかったということでした。

その数日後、またも別の友人が家で焚き火をしている際火が服に移り、右腕と右顔半分を火傷する大怪我をおいました。
病院に入院した友人に会い、事情を聞きました。
友人の話では、事故が起きる数日前、体が焼かれる夢を見たとのことでした。

私は迷信など信じない性格でしたが、このときひょっとしたら…と思いました。
それから家に帰りすぐ庭を調べました。
ごみを焼却するごみ穴を調べました。
あの箱は焼け残っていました。
箱を調べようと手を伸ばしたとき、ものすごい寒気が体を襲ったのを覚えています。
箱の中からは人形が出てきました。全部で3体。
そのうち一体は丸焦げ、一体は半分が焼けた状態でした。
一体はまったく焼けていません。

人形はごく普通の日本人形で、着物を着た女の人形です。
焦げかけた人形を手に取ったとき、焦げた人形の和服がぼろぼろと落ちました。
その人形の裏をみたとき、恐怖のあまり腰を抜かしてしまいました。
そこには、さきほどの友人の名前が書いてあるのです。

クロ焦げの人形のほうは名前が見えませんでしたが、大体解りました。
焼けなかった人形に私の名前が書いてあったからです。
何もかもが不思議でした。
誰がなぜこんな事を、私と友人もこれといって共通点はありません。
他にも友人はいるのですから。
誰かに恨まれる覚えはありません。

なぜこの家にそんなものがあるのか…家に私を恨んでいた誰かが住んでいたのか…
しかし私の知っている人間には山口に住む人はいません。
何もかもが不思議でした。私はそれからすぐその家を出ました。
あの人形は寺に預けました。寺の人の言葉が今でも心に残っています。

「供養しようと思った、でも供養できるものではない。この人形についた怨念は、人間のものではない」
先日、御昼ごはんでご一緒した男性添乗員Kさんの話です。
Kさんは、その場所、ホテルについては言葉を濁してましたけど、近くに円形の石門で有名な弘法大使が開いた寺があって、川沿いにある旅館との事。

さて、その日彼が通された部屋は純和室で、「へぇー、いいじゃん、今日はゆっくり眠れるなぁ」と感心する程のナカナカの部屋だったそうです。

深夜、何時ごろでしょうか、彼は口の中の何ともいえないに違和感に目を覚ましました。

「な、なんだ。口の中に何か……」

手にとって見ると、それは髪の毛。
でも、明らかに自分のものとは違う女性のものの様な長い髪。

「何やこれ? 前の人が使った後、枕とシーツ変えてないんか? いくら乗務員部屋でも衛生には気をつけてほしいよな!!」

彼はそうつぶやくとまた眠りに入ったそうです。

……しばらくして、彼、また口の中に違和感を感じて目を覚ましました。
そう、女性の長い髪。

「ふぅ〜、明日は絶対文句を言ってやろぉ」

彼は枕をひっくり返して、また眠りに。
そしてちょうどウトウトしかけた時、今度は口の周りに違和感が。

「いい加減にしてくれよぉ」

彼が口元に手をやると、手から溢れ出るほどの髪の量です。

「なっ……何?」

ビックリして目を開けると、何とKさんの顔を髪の長い女性が覗き込んでいたんです。
そしてその長い髪が彼の口元に垂れていたんです。

彼が「うわー」と声にならない悲鳴をあげると、その女性は自分の髪の毛を一本抜いて彼の口の中にすっと入れたんだそうです。

彼は恐怖のあまり硬直して口を閉じる事が出来なかったといいます。
その女性は一本、そしてまた一本と自分の髪を抜いて彼の口の中に次々と入れていきます。

やがて、口の中が髪の毛で一杯になり……。
あまりの事に彼はそのまま気を失ってしまったそうです。

翌朝、彼が目覚めると女性の姿はなく、口から溢れていた髪の毛も姿を消していたそうです。
その代わり、彼の首に長い髪の毛が5、6本巻きついていたそうです。
そして髪の毛が巻きていた部分は赤黒く内出血していたそうです。

出発前、彼がフロントにクレームを入れようとすると、ホテル側は「それが何か」を知っている様子で話をそらし続け、彼は、最後までこの件についてホテル側へ問いただすことが出来なかったそうです。
その日、私は手配した団体旅行の出迎えのために国際空港にいました。
毎年ご利用いただいてる旅慣れた方々で、添乗はいらないけど空港への送迎は……ということで、この日のお迎えとなったんです。

私が到着ロビーで待っていると、たくさんの10代後半〜20代位の女の子たちがワイワイ騒ぎながら出てきます。
話の様子ではサイパンに行ってみたい。

その彼女たちが私の真横を通ったその瞬間、急に背筋が凍りつくような悪寒を感じて振り向きました。
彼女たちを見ると、背中に血だらけの旧日本軍の兵士を1人ずつ背負っているんです。

(あの子達、マ○○○○島で……)

そのまま呆然として彼女たちの背中の日本兵を見ていると、1人の日本兵が振り向いたんです。
満ち足りたような笑顔を見せて……。

「あー、兵隊さん達、日本に帰りたかったんだ」

彼女たちには悪いけど、遠い島で亡くなった日本兵が帰国できたのは良かったのかも……。
少し切ない気持ちになりました。
どこかで聞いた話なんだけど、Aさんが大学に合格したので大学の付近に越した時の話らしいのですが。
いわゆるいわく付き物件ってとこに入居したんです。

大家さんからはどんな事件があったのかを聞かない約束で。
かなりの格安で借りれたそうで、Aさんはとても喜んでいたのです。

そして引越し当日、友達のBさんとCさんに手伝ってもらい、そのアパートへ行ったのです。
部屋の間取り図しかみていなかったので不安だったのですが、リフォーム済みなのか、やけに小奇麗な部屋で安心したようです。

しかし、その部屋には似つかない三面鏡がおいてあったのです。
前住んでいた人が置いていったものなのかな? と思って気にせずに捨てることにしました。

3人で抱え外に出し部屋に戻った時、ギョッとしました。
壁には白いワンピースの女が書かれていたのです。
とても綺麗な絵だったのですが、彼女には足がかかれていないのです……。

B「気味が悪いね……」

A「なんで足を書いていないんだろう」

C「気持ち悪いけど壁塗り替えるわけにもいかないし、ポスターでもはっとけ」

Cさんの意見に賛同し、そのワンピースの女に見合う大きさのポスターを貼り付け、また淡々と片付けをはじめました。

そして夜、やっと片付けが終わって引越し祝いをし、気づけば深夜。
Bさんは帰っていきましたが、Cさんは酔いつぶれてしまいました。
二人はすぐ横になり眠りについたのですが……。

Cさんが足に激痛がはしり飛び起きたのです。

C「いってぇ、なんなんだよ」

A「どうした? おい、足」
Cさんの足首には赤い跡がついていたのです。

C「なんかいるよ、この部屋……」

A「まっさかぁ幽霊でもでるっての? とりあえず寝ようぜ。明日朝早いしさ」

C「……おれ、かえる」

びびったCさんは帰ってしまいました。
その日は何事も無く、そして数日たっても何もなかったのです。

後日、Cさんがびびってただけだとからかったりしていました。
そしてしばらくしてこのアパートでの生活になれた頃、Cさんが突然の死を迎えたのです。

死因は事故死だと言うのですがどうも不自然な死に方で、両足がなくなっているというのです。
違和感が残るもののAさんの葬式も終わり、ひさしぶりに部屋に帰ってみると、なにか空気が違っていました。

部屋を見渡すと、

(ポスターが破れかかっている? いったい誰が……)

そしてその切れ端から、だらりと赤い何かがすじ状に垂れていました。

(そんな、まさか……)

Aさんは覚悟を決めポスターをはがしました。

そこにはワンピースの女が微笑んでいました。
無かったはずの足と、真っ赤に染まったワンピースの中で……。
女生徒が、大切なものを学校に忘れてしまった事があったそうです。
どうしても今夜中に必要なものだったので、少女は意を決して真夜中の学校に忍び込みました。

夜中の学校はひっそりとして怖かったのですが、少女は勇気を振り絞って教室にたどり着き、お目当てのものを手に入れることができました。

ひと安心した少女が帰ろうとすると、どこからともなくピアノの旋律が流れてくるではありませんか。
どうやらピアノは音楽室から聞こえてくるようです。
こんな時間に誰が演奏しているのだろう?
気になった少女は、音楽室を覗いてみることにしました。

するとどうしたことでしょう…
音はすれども、ピアノの演奏者の姿は見えません。
注意深く見てみると、血にまみれた真っ赤な手だけが、鍵盤を狂ったように叩き続けていたのです。

少女は知りませんでした。
昔ピアノコンクール会場に向かう途中で交通事故に逢い、不慮の死を遂げた女生徒がいたということを。
その少女の無念が血まみれの手となって音楽室に現れたのです。
まるで行けなかったコンクールに参加しているかのように……。

少女はただ呆然とその血にまみれた手を眺め続けていたといいます。
翌日から、少女の様子がおかしくなりました。
顔は青白くなり、生気がまったくなくなってしまったのです。

何を聞いても返事をせず、まるで人形のようだったといいます。
そして、夜になるたび、毎日のようにどこかへ出かけていくのです。
心配した両親は、真夜中、出て行く娘の後をつけていくことにしました。

たどり着いたは学校。
少女は音楽室に入り、狂ったように鍵盤を叩いていました。
両親は驚きました。
少女は幼い頃から一度もピアノなどを弾いたことはなかったのですから……。

にもかかわらず、もの悲しげな旋律を激しく弾き続ける少女の姿を見て両親は青くなりました。
少女の手は血にまみれていたのです。

少女は両親がいくら止めてもピアノを弾き続け、爪が剥がれ、指の骨が折れても、ひたすら鍵盤を叩き続けたということです……。
いつ頃だったかはっきり覚えてないけど10年も前じゃない。まあ4、5年前って感じ。

不景気でリストラによる首切りが横行してた時代に、リーマンでも年配層がこぞってパソコンを習い始めてた。
無理矢理にでも資格取らないといつ辞職に追い込まれるかわかんないから。
苦戦しながらも簡単なHP作成ならできるようになった一人のおじさんの話。

なんとか職場にはしがみつくこともできたので、個人的にもスキルを活かそうと、よくある同窓生のコミュニティサイトを作ろうとした。
振〜り〜向くなよ〜♪振り向くなよ〜♪という歌詞の歌が流行ってた頃に青春時代をすごした年代。

リクエストもあってサイト名は「振り向くなよ」とした。
むずかしいことは後回しにしてまずTOPページの作成に取り掛かった。

いつもコツコツと深夜にパソコンの勉強してたツケが回ってきたのか、タイトルバナーを設置しただけの段階で急な脳梗塞で亡くなったらしい。
乱雑になったパソコンデスクに突っ伏した状態で死んでるのを翌朝奥さんが発見したそうな。

作りかけのHP。残ってるんだよ、今も。
礼儀知らずなヤツが勝手に別のとこへ移植しちゃったんだよ。

てゆうような話は一気に広まるもので「死者が作ったHP」として一部で有名になった。
けれど、いくら探してもなかなか見つからないらしい。

深夜にネットサーフィンしてるとたまたま行き着くことがあるだけ。
暗い中、ディスプレイには「振り向くなよ」とだけ。

よく覚えておいてほしい。
そこにたどりついても、その時絶対振り向いちゃいけない。
振り向いたら……
ここは山奥の廃病院。
まあ、心霊スポットとか肝試しとかで必ず出てくるような場所。
そこに、これまたいかにもバカッぽい金髪の3人組が肝試しに来ていた。

A「夜だとやっぱ雰囲気あるなー」

B「だからいいんじゃん、ヘッヘッヘ」

C「ま、いこうぜ」

懐中電灯を照らしながら奥に進む。
途中まではふざけて脅かしあうくらいの余裕で3人とも進んでいった。

大広間に出た。
休憩所か待合室だろうか? テーブルを中心にソファーが4個並んでいる。
3人ともとりあえずそこで休憩することにした。

A「なーんだ、なんもねえじゃん」

B「ま、霊なんているわけねえしな」

C「酒のつまみでも買ってくるか? ハハ」

3分くらい経っただろうか、Cがやたらと酒のつまみを買いにいこうと皆をせかす。
AとBが変な顔をしてると、Cは1人で帰り道にいこうとする。
2人はなんでだよ? って雰囲気で慌てて追いかけた。するとCは言った。

C「お前ら気づかねえのかよ! 後ろに女が立ってただろうが!」

瞬間AとBは振り向く。
すると、異常に長い髪の毛の女がこちらを見ている。
目の部分が空洞のような闇になっていてわからない。

それを皮切りに3人は逃げ出した。

「なんだよアレ?」

「知らねえよ!!」

後ろからはあの女がゆっくりとついてくる。

階段を下りて、両側が大きな窓になっている長い廊下に出た。

「ここを抜ければ出口だ!」

そこを走り抜けようとしたら、ダン! と音がした。
ふと見ると自分の横の窓に手形がついている。

3人はもう無言になって全速力で駆け出した。
それについてくるように廊下の両側の窓には、

ダン、ダンダンダンダンダン!

と無数の手形がついていく。

なんとか出口を抜けて、全員で病院に振り向いた時だった。
ありとあらゆる窓から、青白い人がうめき声をあげながら手を出していた。
今から半年ぐらい前、友達の家に泊まりに行ったんだよ。

泊まりに行ったのが俺、お寺の息子A、葬儀屋の息子B、その日泊まりに行く家のC。

家柄かAとBは霊感があった。とくにBはかなり強い。
Cの家は9階建てのマンションで、何年か前に女の子が事故で落ちてしまって亡くなっていた。

怖いもの知らずのAとBは、その事故現場に足を運んだ。
俺とCは霊感なんて皆無で、特に俺はかなりの怖がりだ。

事故現場に近づくにつれ、Bが、
「その落ちた子って、この辺通学路だったでしょ?」
「この周りに友達いっぱいすんでる?」
とか、初めてきたはずなのにバシバシ的中させた。

このとき既に、俺はガクガク。早くCの家に行こうと急かした。

マンションの入り口に入る途中にまたBが、
「あの木の陰、女の人の顔に見えない?」とか言い出した。
・・・たしかに言われてみれば、見える。
AとCはそれをみてふざけあっていた。

Cの家は9階にある。
9階にのぼってCの家に入ろうとしたとき、Aが下の駐車場を指差して、
「あそこに男の子がいる」とか言い出した。
Bも下をみて「ほんとだ」
もう俺は泣き出しそうだったので、AとBの背中を押してCの家に押し込んだ。

それからは至って普通だった。俺もさっきのことを忘れてふざけあっていた。
12時ごろビデオ屋で借りてきた「呪いのビデオ」を見ることにした。
ベットを背にして床にみんなで座りながら見た。

ドア│CAB俺│壁
こんな感じに。
見てる最中、Bが「○○(俺)、足つんつんすんなよ」とか言い出した。
もちろん俺はそんなことしていない。知らずにあたってしまったのだと思い、Bと少し距離を開けた。

が、まだ「つんつんすんなって」と言い出した。
テンパった俺は、このことをみんなに話した。
AとCがはやしたてる。
俺はBのとなりは嫌になったので、Cのとなりに移動した。

ドア│俺CAB│壁

そしてまた見ていたら、今度はテレビの音量が上がった。
リモコンはベットの上。次にテレビが消える。
つけてもつけても。しょうがないので、テレビをいったん消す。
次に壁をたたく音。壁にかかっていた、Cの子どもの頃の写真が落ちる。

今度は窓からコツン、、と音がした。
カーテンをどかし窓を見ると、水蒸気で曇ったガラスに、小さな手形と小さな人の顔のようなものが外側からついていた。9階なのに。

AもCもさすがにテンパってきていた。
Bは落ち着いて、
「静かにしよう、気にしないでもう寝たほうがいい」
といって、数分後寝てしまった。続いてAもCも。

こんなことを目のあたりにして、寝れるはずがない俺。
結局一睡もできず朝を迎えた。Bが寝てからはおかしなことは起きなかった。
これもA先生にまつわる話。
俺の小6の時の担任(仮にBとしよう)が大学生だった時の話。

Bは夏休みに実家に帰省したとき、かつての恩師だったA先生の自宅を、高校の時の友人二人(男女それぞれ一人)とともに訪れた。

Bとその友人はしばらくA先生と昔話をしたり酒を飲んだりして時を過ごした。
夜も更け、話題が尽きてくると、Bが突然こんなことを提案し始めた。

「そうだ!樹海行きません?幽霊みましょうよ!」

Bの地元は山梨県ということもあって、樹海までは車で行ける距離。
残り二人の友人も妙に乗り気だったということもあって、A先生一行は樹海に向かうことになった。

「今思うとバカなことを言ったもんだよ」

と、この話をしたときにBが苦情交じりに俺たちにこぼしていたことを覚えている。

とにもかくにも、車で樹海に向かったA先生たちは、しばらく、樹海の中の(?)道を車で走行していた。
街頭も少なく、あたりに民家もない。

樹海の奥に進むにしたがって、ハンドルを握っていたA先生の様子がだんだんと変わってきたのをBは感じとっていた。
やがて、真っ青な顔色になり、震える声でBにこう言った。

「B・・もしかしたら今日本当に会えるかもしれないぞ・・」

後ろのふたりもA先生の様子を感じ取ったのか、段々無言になっていった。

A先生は沈黙したまましばらく車を走らせていたかと思うと突然、キキキーーーッ!
A先生が車を急停止させた。

「おい・・あそこ・・」

A先生が樹海の森の中を指差す。車道に沿って続く森の中、それもあまり森の中に分け入らない
場所を指差している。

「あそこに女に人がいる」

Bとその友人たちはその指差す方向を見るが何も見えない。
しかし、冷や汗をかき、表情をこわばらせたA先生をみてとても冗談とは思えない。
見えないことで感じる恐怖というものを感じた。

すると突然A先生は「ちょっと見てくる」と言って車から出て行ってしまった。
残されたBとその友人は恐怖と不安でどうすることもできず、女の子の友人はついに泣き出してしまった。

待っているとすぐにA先生は引き返してきた。しかし様子がおかしい。
かなり慌てた様子だ。A先生は急いで運転席に座ると、無言のまま車を発進させた。
かなりのスピードをだして樹海を疾走する。
その間ずっとA先生は「うしろをふりむくなよ!絶対にふりむくなよ!」と皆に言い聞かせ、チラチラとミラーに目をやる。
助手席にいたBは恐怖でとてもミラーをみることができず、ただ固まっていた。

後ろの女の子はただ泣くばかりで、もう一人の男も女の子を抱いてこれもまた固まっている。
しかしやがて樹海が切れ、道の先にコンビニが見えてくる。

コンビニの明かりを見てA先生はようやく安心した顔で「もう大丈夫だぞ」と言い、車をコンビニの駐車場に止めた。
Bと男の友人は気を落ち着かせるためになにか食べ物でも買おうかと車を降りた。

そのとき、Bの目に信じられない光景が飛び込んでくる。
「おい・・お前の背中に・・!」
みると、男の友人の背中には

女の長い髪がびっしりと張り付いていた。

「うああああ!!」
Bは驚いて腰を抜かした。

そのあとA先生はすぐに警察に連絡を入れて、その女の人の霊を見たというところを捜索してもらったんだって。

そしたら、ちょうど女の人が立ってたあたりに、白骨化した死体が埋まっていたそうだ。

後日、A先生がこんなことを言ったらしい。

「人間の体で一番腐りにくいところってどこだと思う?『髪の毛』なんだ。あの女の人の霊は自分がここにいることを教えたくて、背中に一本一本自分の髪の毛を貼り付けていたんだろうな」
ハンマービデオ

とあるビデオ屋でワゴンセールで100円のビデオを見つけた。
タイトルは「ハンマー」
ケースも無い為内容などは一切分からないいが、興味を持ち買ってみることにした。

その夜、早速ビデオを再生すると、いきなり本編が始まった。
どうやらどこかの道を走っているらしい。
カメラは走っている者の視点で、ただひたすらどこかの街を走りながら写し出だしている。

「なんだ、100円でも高そうだ」と思いながら、流しっぱなしにしてパソコンを始めてしまった。
画面は、上下に小刻みに動き「はあはあ」と走っている者の息遣いが聞こえ進んでゆく。
その時画面を見ながら俺は妙な違和感を感じ始めていた。

「俺、ココの道見たことあるかも」
ロケ地が知ってる街なら、楽しめそうだとパソコンを止め見ていると、どうやら場面は住宅街に入ってきたようだ。

「え?…ここって」
そう思ったところで画面が止まった。どこかのアパートの前のようだ。
そして画面はまた動き出し、一番奥の部屋の前で止まった。
表札には見慣れた名前が書いてあり、ドアの横には、さっき乗ってた自転車が置いてある。

「俺のアパートじゃないか!」
『ドカ!!!』
そう叫ぶと同時に部屋のドアが激しく音を立てた。

画面を見ると何者かがハンマーでドアを激しく叩いている。
音と画面は完全にシンクロして、画面のドアが叩かれれば俺の部屋のドアも激しく音を立てる。
パニックで動けないで居ると、玄関のドアに穴があいて向こうが少し見えた。
血走った目で、こちらを覗いている男が居るではないか。
また画面を見るとテレビを見てる俺が写ってる。

「ひっ!」
その時、思わず飛びのいた俺はリモコンに触れてしまったようで、ビデオのスイッチが切れてしまった。

しん、と静まり返る俺の部屋。ドアからは、もう音はしない。
恐る恐るドアをあけるが、誰も居ない。

俺は隣の人に事の状況を説明し無理やり俺の部屋の前に連れて来たが、確かに穴のあいたはずのドアが、今は何も無かったかのように元に戻っている。
隣人は「夢でも見たんだろ」と言い、さっさと部屋に戻ってしまった。

俺も自分の部屋に入り、ビデオを取り出してみる。
タイトルは「ハンマー」
ちゃんとある。しかも中ほどまでテープは進んでいる。夢ではない。

俺はソレを持って部屋を出るとビデオ屋に行きテープを返してきた。
店員が「代金は?」と聞いてきたが、「いりません!」とだけ言い、その足で友達の家に転がり込んだ。

それ以来俺は、ビデオは見ない事にしている。
僕がまだ浪人生だった頃。
親から都内にアパートを借りてもらい、予備校に通いながら受験勉強する事になった。

「静かな環境ですよ」と言われ決めたアパートだったが、越して来てすぐに気になったのは隣りに住む女性の部屋からの子供の夜泣きだった。

一月程は我慢したものの、毎晩の様に聞こえて来る火のついた様な子供の泣き声。
まぁ子供の夜泣きだけなら仕方ないとしても、なにより我慢ならなかったのは子供を怒鳴りつけるヒステリックな女性の叫び声。
僕はとうとう大家さんに相談に行った。

しかし大家さんは「彼女には子供なんて居ないはずだよ」と取り合ってくれない。
仕方なく彼女に直接注意に行った。
当初玄関先まで出て来てくれたものの、彼女は僕の話しを聞くと急に青ざめて逃げるように部屋の扉を閉めて出て来ようとはしなかった。
その晩は諦めて僕は部屋に帰った。

そんな翌日。僕は予備校から帰るとアパートが何やら騒がしい。
パトカーも数台来て何か事件があった様子だった。
人込みのなかに大家さんを見つけて尋ねると、なんと彼女が自殺していたらしく、死体で見つかったとのこと。
僕はびっくりしたものの子供の安否が気になり近くにいた警察官に尋ねると、子供など居ないと言う。

僕は気になりながらも警察も引き上げ騒ぎは一段落した。
しかしその晩遅くに僕の部屋に私服の刑事が訪ねて来た。

「彼女とは以前からのお知り合いですか」
僕は否定すると、「先ほど警察官に彼女子供の事を尋ねましたよね?」

僕はこの一ヶ月間のことと昨晩の事を話した。
不思議そうな顔をする刑事が言うには、彼女の遺留品の中のトランクに死後半年程経過した幼児の死体が発見されたとの事だった。

僕があの一ヶ月間聞いていた子供の泣き声は何だったんだろう?
自殺した彼女は誰に怒鳴っていたのだろう。
水場ってのは幽霊が集まりやすい状況を作り出すらしい。
特に流水じゃなく、溜まった水。

普段生活している中だと、風呂場やトイレなんかがそれに当たる。
霊道直下らしいマンションに住んでいるせいか、俺はよくそういう現象に出くわす。
その中で一つ、かなりインパクトの強かった水場の話がある。

その日は友人達と遊んで、部屋に帰ってきたのが深夜2時を少し回った頃だった。
煙草の臭いが全身に染み付いて、気持ちが悪い。
ひとっ風呂浴びよう。
そう思って、俺は風呂場に向かった。

寒い季節だったから、浴室は冷え切っている。
少しでも浴室を温めるために、俺はシャワーの栓を捻った。
キュッと小気味いい音がして、勢いよく水が流れ出す。
服に水がかからないようにシャワーをフックにかけて、俺は浴室を出た。
シャワーは入り口とは反対側、浴槽の方に向けて、勢いよくお湯を出している。

その状態にしたまま服を脱ぎ始める。
脱ぎ終わって入る頃には、ちょうどいい温度のお湯が浴びれるだろう。
上半身を脱ぎ終えた時、ふと浴室の方に目をやった。
湯気で浴室全体を温めるために、浴室の扉はしっかりと閉じている。

その扉、曇りガラスの向こう、人の影があった。
ゆるゆると手で顔を覆い、ストンと電池の切れた人形みたいに脱力する。
それを繰り返していた。

お湯が浴槽を叩く音に混じって、パシャッ、パシャッ、と何かが落ちるような音がする。
俺はゆっくりと扉に手を伸ばした。
扉に手がかかった瞬間、一気に扉を押し開ける。

湯気がもうもうと立ち込める浴室の中、勢いよく流れ出るお湯を浴びながら、女が立っていた。
着ている服が水に濡れて、ぴったりと張り付いている。

俺は扉を思い切り閉めて、上着を掴んで部屋を飛び出した。
今までだって結構な数の幽霊を見ている。
でも、あの女はヤバイ。纏っている空気が違う。
多くを見てきたからこそ、ヤバさが分かった。
走りながら、上着を着る。近くのファミレスに逃げ込んで、やっと人心地がついた。

落ち着いてきたところで、あの女を思い出してみる。
身体の向きから考えると、あいつはこっちを見ていた。
でも、目は合わなかった。
纏っている空気から考えて、あいつは何かを強く恨んでいた。
でも、表情は分からなかった。

だって、そうだろ。
あの女は、自分で顔をえぐり取っていたんだから。
うちの母が小学校低学年の時に、当時では珍しい英会話教室に通っていた。
教室と言っても平屋の家の居間を教室にしていて、結構いい加減な感じだったらしい。

ある日のこと、母が英会話教室の帰りに友達と別れた後、知らない男に後ろから口を押さえられて危うく連れ去られそうなったそうだ(たまたま通行人が通りかかって助かったそうな)。

そしてしばらく母は怖くて習い事には行かなかった。

数日後、母と一緒に帰っていた友達が行方不明になった。
その友達は殺された状態で見つかり、犯人は英会話教室の講師だった。

んで今年の正月、母が年賀状を燃やしていた。
殺された友達の名前で年賀状が来たと言っていた。
・12月4日
この雪山に遭難して約24時間。
古い山小屋ではロクに暖も取れず、少々寒いが外で過ごす事は出来ない。
助けはすぐに来るに違いないだろう。

・12月6日
助けはまだ来ない。
この吹雪だから捜索が難航しているのだろう。
落ち着いて待つ事にする。

・?
時計が壊れてしまったので、日にちが分からない。
食料が少しずつ減ってきた。
水は雪を何とかして得られるが、空腹は辛いだろう。
吹雪はまだ止まない。

・?
ドアからかぜがはいってくる。
防寒ふくを多めに着ていてよかた。
てがふるるえて上手く文字をかけないが、しかし私はあきらめない。
あきらめたら終わりだ。

・?
何という事だろう。
あれほど吹いていた吹雪が嘘のように止み、私は救出隊に発見された。
彼らに聞くと、12月12日だという。

少し長い遭難体験だったが、もう終わりだ。この日記は、ここに置いていこうと思う。
もし、ここで遭難してこれを読んだ者がいるなら、私は言いたい。
決して諦めるな。助けは必ず来るのだから!

12月12日○○○○
−−−−−−−−

日記の文字は時間を重ねるごとに筆圧が弱くなっていたが、最後のメッセージだけは希望に溢れたようにしっかりしていた。
尚、連日に渡る猛吹雪のため、捜索が再開されたのは、それが少し弱まった12月14日の明朝の事である。

この日記の書き手、彼の遭難者の行方は、現在も行方不明、とのこと。
僕の大学の噂話なんですが、僕たちの友達のK君のアパートで起きた話です。

そのK君のアパートは毎晩溜まり場になっていて、たいていの日には、K君の友人5〜6人は必ず溜まっているという状態でした。
K君が嫌がっていても、みんな気にせずに溜まっているという状態でした。

K君の友人は、K君と遊ぶというよりもK君の部屋を借りているという感じでした。
日に日にだんだんとエスカレートしていき、部屋に落書きをしたり、K君のバイクを勝手に使ったりしてみんな好き勝手するようになったのです。

K君が鍵をかけていても、窓からはいったり、鍵をこじ開けたりして、意味のない状態でした。
一応友達なので、警察にも言えなくてかなりノイローゼになっていたようです。

そんな矢先ある日、K君の友達5人がいつものようにK君の家に来て、ノックをしても返事がなかったので、いつものように鍵をこじ開けて部屋で遊んでいると、電話がなりました。
みんな無視していると、留守電にかわった。すると、K君でした。

「お・ま・え・ら・またはいったな・・・・語ろうぜ・・・」
か細い声でした。いつもと違う感じでした。しかし、友達5人は、気にせず笑っていました。

そして・・・
「な・に・が・おかしい・・・」

今度は怒った口調でした。
そしてすぐに、外から、ヒューという音がして、みんな一斉に窓のところを見ました。

すると、逆さまになったK君が、気が狂ったような顔で目を大きく開け微笑しながら、一瞬通ったのです。
K君はアパートの屋上から飛び降りたのです。そう、自殺したんです。

それ以来、友達4人は次々に変死しました。
1人目は、スピード出し過ぎによる交通事故死。
2人目は、食い過ぎによる胃袋破裂死。
3人目は、飲み過ぎによる肝硬変。
4人目は、トイレで謎の死。

5人目は・・・・・・・・・・・・・・・・
僕の番です。一体どのように死ぬのでしょうか?
1990年の10月、私がアメリカの大学で経験した話。

アメリカの学生はとにかく課題レポートを書かされる。
もちろんパソコンを使って仕上げるわけで、私の大学には50台程度のコンピューターが整備されているラボがいくつもあった。
学生はここで夜通しレポートをタイピングするわけだ。

その日も私は相変わらずレポート作成に忙しかった。
夕食を済ませ、寮から荷物を抱えてコンピューターラボに入り、パソコンの前に座った。
当時は来る日も来る日も同じような生活で、うんざりだった。

ここのパソコンはインターネットに接続されていた。
まだウェブブラウザが「モザイク」メインだった頃だ。
ウェブコンテンツも研究者の研究成果発表などばかりで、さほど面白いものではなかった。
おまけに検索エンジンなどは進化しておらず、URLはもっぱらページ制作者本人から口頭で教えてもらうことが多かった。
 その夜、私はいつものようにレポートをしばらく書いていた。
その時、何気なく目をやったパソコンデスクに、鉛筆でURLが書かれていた。
学生がメモ代わりにしたんだろう。

気分転換にはなるだろうと思い、私はそのURLをブラウザに入力してみた。
しばらくすると画面にはページが現れた。信じられないページだった。

そこには薄暗い部屋で床に血だらけで倒れている男性の写真があった。
(今ではよく見るこのような画像ではあるが)私はこのような残酷な写真に戦慄し、吐き気を催した。

よく見ると、画像の下にはこんな一文が添えられていた。
"A guy in Michigan, aged around 30, Killed by me today"

間違いない、殺人者が自らの犯罪を自慢するサイトだ。

私は何かとんでもないものを知ってしまったのではと思い、すぐにラボを飛び出して寮に帰った。
翌日まで誰とも話すことが出来なかった。

次の日の朝。私は再度ラボに出向いた。
そして、昨日のウェブサイトが気のせいであることを信じてURLを開く。

現れたのは同じく薄暗い部屋の画像だった。
しかし、今回は床に倒れているのが丸裸で仰向けになっている女性だ。
左乳房に大きなナイフが刺さっている。口、鼻、耳から血が流れている。

写真の下にはまたも一文が添えられていた。
"A bitch in Michigan, aged around 30, Killed by me today"

すぐに私は大学警察に行き、警官に相談した。
しかし、まだウェブがまったくメジャーでなかった頃だ。
「ウェブで殺人者が犠牲者の画像ファイルを掲載している」といっても、うまく理解してもらえない。
それに恥ずかしい話だが私の稚拙な語学力も足かせになり、取り合ってもらえなかった。

恐怖と好奇心が一緒になった独特の心境で再度ラボに戻り、そのウェブサイトのURLを入力してみた。
すると、その日数時間前まであった画像はすでになくなっていた。
その代わりに、なぜか私の住所と電話番号が書かれていた。その後にメッセージが一文。

「You are the next star on my Web.」

私は持ち物のほぼ全てを友人に譲り、2日後に帰国した。ミシガン大学で経験した実話です。
私は夜寝ながら音楽を聴くのが習慣になっていた。
ヘッドホンをしたまま朝を迎えることも少なくない。

うっすら記憶はあるのだが昨日は珍しく寝付きが悪かった。
いつもならベッドにダイブし10分もあればアッチへ逝けた。

なかなか眠れない時ってなんかドキドキするのね。
何でだかわからないけど心臓が叩いてくるのが感じられる。
音楽でも聴くか!今日は気分を変えてロックにしよっと。
って、眠れるかぃ!!まぁいっか朝まで起きるのも。

オーディオにランダムをかけ好きな歌手の歌をいつもと違う気分で聴く。
でも気に入らない歌は早送り。これでは意味がない。。

しばらく聴いていると寝つきの良い私はすでにアッチに逝きかけていた。
気づけば何曲か過ぎていたり、あぁ、もうメンドクサイこのまま寝よう。
曲をかけたまま寝てると、たまにその歌手の夢を見ることがある。
夢じゃなければいいのにね……。

ランダムで曲が選ばれる――――。長い静寂。止まった?
私はディスプレイを確認したけど、曲は1分55、56と確かに演奏が続けられていた。
こんな曲あったっけな?

しばらくすると微かに音が聞こえてきた。
広い草原を想像させるような心地よい風の音。誰か歩いてくる。

「こんばんは」
女の子の声。かわいらしい女の子だなぁ。声で姿を確認できたような感じがした。

「こんばんは?お姉さん」
その声は私に問いかけているのか。私も挨拶を心の中で返してみた。

「こんばんは、君いくつかな?」
答えが返ってくる。
「17歳です。友達が出来てよかった」
「じゃあ私5歳年上だ!君の名前教えてくれない?あ、私久美子よろしく」
友達という響きが嬉しかった。

「温海、温かい海ってかいてあつみ。久美子お姉ちゃんって呼んでいい?」
「OK!じゃあ温海ちゃんはアッちゃんね」
私達はいろいろな話をしていた。アッちゃんのこと。私のこと…。
アッちゃんの相談にも乗った。アッちゃんはお父さんとうまくいっていないようだ。

私はふと質問した。
「アッちゃん ここで何してるの?」
「あぁああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

耳の奥にまで響いてくる、嫌。嫌だ。嫌だ。
断末魔のような悲鳴に恐怖を感じ私は現実に戻された。
ヘッドホンをと――取れない。悲鳴が私を壊していく――

――ああ私はヘッドホンが好き。あぁいつも耳にはヘッドホン。ああ何が面白いのかわからないけど笑みがこぼれてくる。周りの人は私が変になったとか。暗い人だったから精神的にイッタんじゃない?とか、あああ私は気にしない。だってアッちゃんが居てくれるもん。あああああここは心地いいあああああああああああああああ
赤い鞘の刀

俺の小さい頃、俺には幼なじみが三人いた。

みんな女の子で、一人は小さく元気な子で、一人は態度の大きい子、最後に大人しい子。
そんな中で遊んでいた俺は、女の子と間違えられるくらい泣き虫で、いつも泣いてた。

強気な子に叩かれて泣いたり、元気な子に連れ回されて泣いたり、大人しい子は慰めてくれてた。
いつ頃だったか、強気な子は言った。

「近くに小屋があってね…出るんだよ」
「何が?」
「おばけ」
「やだよ…おばけ怖い…」

元気な子と強気な子は行く気満々といった感じで、俺はぐずってた。

「大丈夫、○○は私と一緒にいるから」

大人しい子がそう言うから、俺たちはその小屋にいった。
ボロボロな小屋は竹藪の中にあった。
中はまだ綺麗で、それでも気持ち悪い感じがしてた。

小屋に入るとすぐそばの部屋に遺影みたいなのがあって、その前に刀が置かれていた。
赤い鞘の綺麗な刀で強気な子がかっこいい!とか言いながら触ろうとした。

「それに触るな!!」

大人しい子が俺の手を握ったまま凄い顔で怒鳴ったような声をあげた。
元気な子と強気な子は驚いてすぐに戻ってきた。

「危ないよ」

大人しい子は何もなかったかのようにいつもの顔になった。

「それに、○○は見えてるでしょ」

何が言いたかったのかその時はわからなかったが、言われて気がついた。
天井にびっしりと血の跡のようなのがこびりつき、人の顔をつくっていた。
俺たちは怖くなって一斉に逃げ出した。

その後、しばらくすると小屋が大きな地震で潰れた。
潰れた小屋を業者の人が片付けたらしくて、俺は何となく気になって恐る恐る見に行った。
学校の帰りだったからもう夕方で少し暗かった気がした。
小屋の近くに行くといつもの三人にばったり出くわし、一緒にいこうと言うことになった。
壊れた小屋の半分は解体され、ほとんどなくなっていた。

「刀、まだあるかなぁ」

強気な子が言うと元気な子が「宝探ししよ!」と言い出す。

「危ないよ」

大人しい子は自信なさそうにそう言って歩いて近寄っていく。

「あ!写真みつけた!」

元気な子が遺影を指差しながら叫んだ。

みんなでそれを覗くと笑顔が歪み、絶叫したような顔をしてその遺影が真っ黒に染まった。

それと同時にどこからか「刀を持たなくてよかった。刀はどこ?刀を持たなくてよかった」と繰り返し聞こえて、俺たちは泣きながら走って帰った。

それからしばらくして俺たちは怪我をした。
強気な子は右腕に刃物で斬られたかのような跡が、元気な子は左の人差し指から肩までをバッサリ、大人しい子は背中に、俺は両足を縦に斬られたような傷ができた。

それ以来肝試しはしなくなった。
いつだったかは忘れたけど風呂に入った時、死ぬ思いをしたことがあります。
あまり思い出したくないので簡潔に書きます。

私は一人暮らしで、高級でもないがボロでもない普通なマンションに住んでいました。
その日の仕事が終わり家に帰ると、すぐ風呂に入り、1日の疲れを癒そうとシャワーを浴びていました。
なぜかその日の仕事はやたら疲れたのを覚えています。

湯船を入れ、頭を洗ってた時、突然シャワーの温度が下がり始めました。
2年ぐらいそこに住んでいたんですが、そんなことは今まで一度もなかったので、ものすごく嫌な感じがしました。

それでも気にせずシャワーを浴びてると、丁度人間の体温ぐらいのところで、温度が下がるのが止まったんです。
あつくもないしぬるくもない、一番嫌な温度で。

それで、シャワーを止め、湯船に入りました。
そしたらなんだか妙な違和感がするんです。

ついさっきまで湯気まで立ってたはずのお湯がなぜかぬるいんです。
血に浸かってるような感じがしました。

それで、いくらなんでも怖くなって出ようとしたんです。

その瞬間電気が消えました。
もう動けない。動けるわけがない。全身ガチガチに固まってました。

その時、窓をノックするような音がしたんです。
でもここは7階、ノックなんてできるわけがないんです。不覚にも小便チビりました。

いつまでも止まないノック音に、必死で『風だ風だ…』と自分に言い聞かせて、逃げるように風呂をでました。

その時、なんでかはわからないんですが、絶対に鏡を見てはいけない気がして、着替え中は鏡と目を合わさないようにして、パンツだけはいて髪も乾かさずに浴場をでました。

その日から一人で風呂に入るのが怖くなって、いつも銭湯にいっています。
もうずっと前の話だけど、中学の時の夏休みの時の話。

その日も野球部の帰り道に、夕暮れ時の河川敷を一人で自転車で走ってたんだ。
野球仲間達とは家の方角が途中で違っちゃうから、いつも帰りは一人だったんだよね。

そしたら、幼稚園くらいの男の子が泣きながらシャベルで何かを埋めてた。

死んだペットでも埋めてんのかな?って思ってさ、昔俺も死んだハムスターあんなふうに泣きながら埋めたなぁって妙に感情移入しちゃってさ、気になって声かけたの。

「どうしたの?」

その時には埋めるのが終わってたみたいで、男の子泣きながらさ、鼻すすりながら

「ジローが死んじゃったの……一緒に遊んでたら……踏んじゃって……」

あぁ、俺も似たようなかんじで飼ってたハムスターが死んじゃったんだよな。
籠から出して遊ばせてたらさ、親父がうっかりして踏んじゃってペペ(飼ってたハムスターの名前)死んじまったんだよ。
もう、なんか完全に感情移入しちゃってさ。

「お花でもあげようか?」

とか涙ぐみながら言っちゃったりしたわけw
それから、一緒にそこらへんに生えてる野花ひっこ抜いていくつかお墓に添えてやってさ、お祈りしてやったりした。

で、家に帰ってからの話。
家族で食卓囲んで夕飯食ってたら、母親が思い出したように父親に言うわけ。

母「そういえば、○○さん家の息子さんが行方不明だそうよ?」

父「太郎君がか?」

母「いえ、弟さんのほうが」

父「あぁ、最近生まれた弟さんか」

母「無事だと良いけどねぇ…」

その時、俺の頭に嫌な考えが生まれた。
そういえば、ジローって、あの子は何を埋めてたんだろう?

ちなみに、それから行方不明の子供は見つかってない。
会社帰りのバスでの出来事。
私は乗車中にウォークマンを聴いているとそのまま寝てしまい、降車するバス停を乗り過ごしてしまうことがたまにある。

その日も起きているつもりが、いつの間にか寝てしまった。
しかし唐突に、まるで人に起こされるかのようにガバッっととび起きた。
金縛り状態から無理矢理脱出するようなあの感じ。

瞬間我に返り、あ!また乗り過ごしたか?って思ったら、幸いまだ降りるバス停の2つ手前だった。

次のバス停では、けっこう人が降りていく。
俺はその背中をボンヤリ眺めながら、ああ次降りなきゃって眠いのを我慢していた。

バスが走り出した途端、真後ろの席で女性(声の様子で)が喋りだした。

「・・で・・・おねがい・・ね・・でね・・・ね・・おねがいしますね・・ね・」

携帯か・・って思った。
私は携帯のお喋りが聞こえるのが余り好きではない。
ただ俺の住んでいるところは東京の田舎だから、バス停からさらに遠い人は、降りるバス停が近づくと携帯で家に迎えの要請をすることが多い。

次が降りるバス停だから、私は降車ブザーが鳴るのを待った。
いつも降車ブザーを自分で押さないタチなのだ。
でも誰も降りないらしく、いっこうにブザーが鳴らない。

後ろの女性は相変わらず喋っている。
声のトーンはますます下がり何を言っているかはわからない。
俺は少しだけムッとしていた。

仕方がないので自分で降車ブザーを押そうと手を伸ばしたその瞬間、ハッキリと、

「お前にだよ」

と言って声が止んだ・・・・。

ん?と思って振返ると、乗客は私だけだった。
昔、家の近所の山に粗末な山小屋があって、そこにオナガさんって人が住んでいた。

めったに山から降りてこなくて、なんの仕事をしていたのか分からない。
オナガっていうのもどんな字か知らないし、もしかしたらオオナガだったかもしれない。

俺と友だちで、オナガさんの山小屋に遊びに行ったことがある。

その時、俺は「どうしてこんなところに住んでいるのか?」って意味のことを聞いた。
その時の話がスゲエ怖くて、しばらくは夜一人で寝れなかった。

オナガさんは、ちょっと前まで普通の家に住んでた。
家はちょっとした山持ちで、代々受け継いだ山がいくつかある。
そのうちの一つに、妙な言い伝えがあった。

「その山で鏡を見てはいけない」

いかにも、いわくありげな口伝だったが、オナガさんは親父さんや山守をしている飯橋のじいさんに聞いたらしい。

ある時、その山の奥で木を切ることになって、飯橋じいさんの孫でトシカズって人が、そこまで道を通すことになった。
土建屋で借りて来たパワーショベルで山を切り開いて道にしていく。

その日、オナガさんは作業の様子を見に行った。
ちょうど例の山に差し掛かっていたらしい。
パワーショベルに乗っていたトシカズさんが、急に作業の手を止めた。
怪訝な顔でバックミラーを覗いている。

「…どないした?」

オナガさんが近付くと、トシカズさんはミラーを指差して言った。

「や、ここにね、何か変なモンが写っとるんですよ」

オナガさんがミラーを見ると、自分とトシカズさんの背後にポツンと白い点があった。
ジッと見つめいていると、僅かに動いている。
振り向いたが、近くにそんなモノは見当たらない。

「さっきから、ちょっとずつ近付いとるみたいなんですわ…」

気味が悪かったので、その日はそこで作業を切り上げ、二人で飲みに行った。

その日から、トシカズさんの様子がおかしくなった。
あきらかに何かに怯えている。
オナガさんも気付いていた。
家でも外でも、鏡を覗くたびに背後に見える白い点。

「あいつどんどん近付いてくるんですわ」

近付くにつれ、オナガさんにもソイツの姿がハッキリと見えてきた。
胎児のように白い皮膚、短い手足。
丸い頭には、切り裂いたかのように大きな口だけがついている。
見ためは人の口。まったく血の気のない白い唇がしっかりと閉じられている。

トシカズさんは、もう作業ができないくらい精神的に参っていた。

「もう、すぐ後ろにおる…」

数日後、トシカズさんが閉じ篭った自宅の部屋で死んでいるのが見つかった。
後頭部に一口大の穴が開いていて、脳みそが全部無くなっていた。

「トシカズはあいつにやられたんや。あいつがおるのは鏡の中だけやない。ガラスや光る物にも写る。見るたびにどんどん近付いてくる…」

「せやから、俺はこんな山小屋に住んでいるんや」

山小屋には、ガラスや光沢のある金物など、何かが写り込むようなものは何もなかった。

「…それでも、時々水面とかを見てしまうことがある。俺、もう半分食われとるんや。こないだ、とうとう口を開けよった。米粒みたいな歯がびっしり並んどったわ」

そう言ってオナガさんは腕まくりをして見せた。
手首の辺りに、細かい点の並んだ歯型があった。

それからしばらくして、オナガさんが死んだ、と聞いた。
死に様は分からなかった。

寝れない夜が、またしばらく続いた。
88:無名さん
リオンたん乙www
三世って何だよルパンか草生えるわwwww
1/5 18:15
[削除]