私はA県在住でサービス業をしてるのですが、これは職場の先輩のHさんから聞いた話です。

Hさんの友人のKさんという方が居るのですが、ある日HさんのもとにKさんから一本の電話が来ました。

お祖母様が老衰で亡くなられたとのことで遺品整理をするけれど、生前から物を捨てられない人だったそうで大分部屋が汚いから一緒に掃除をしに来てくれとのことでした。

Hさんは仕事がとても忙しく一度は断わったそうですが、あまりにKさんがしつこいので仕方なく付き合ったそうです。

数日後、約束通りHさんはKさんのおうちに行きましたが…それはもう壮絶に汚かったそうです(笑)

床いっぱいに何かの形に切り抜いた後の和紙がバラバラにちらばり、破れた本、ベタベタした丸いもの(新聞紙か何か?)、アンモニア臭漂う布団などなど…

HさんはKさんに頼まれてタンスの中の衣類をまとめてダンボールに詰めていたそうです。

タンスは二つあり、一つは茶色い大きな立派なもの、もう一つは黄土色で小さく古ぼけた淡い緑の汚れがこびりついたものでした。

Hさんは大きなタンスの衣類をすべて片付け、次に小さな汚いタンスを片付けようとした時でした。

ふと、タンスの一番下の棚に茶色いくしゃくしゃの和紙がくっついていました(というより棚の隙間に挟まっていた)。

構わず引き出そうとしても一向にビクともしません。和紙がかんでいるのかと思いそれを隙間から抜き取り棚を引っ張ると、驚く程に軽く引き出せました。

中は空っぽでした。いや、よくよく見ると奥のほうに肌色のセーターが見えました。

Hさんは軽く手を突っ込みセーターを取ろうとしました。しかし、セーターには触れられません……手を抜いて見るとセーターは棚の一番奥にありました。

「柔らかい繊維でできてるから、感触に気付かずに奥までやっちゃったのかな?」と思い、Hさんはさらに奥に手を突っ込みセーターを取ろうとしました。