10 無名さん
テツくん、なんて言ってるの!?私の事!」

ずいっと身を乗り出して尋ねる桃井の姿に六花は笑みを溢す。

「おしえて、芽原さん!」

「六花でいいよ。んとね、真面目で優しくて、一生懸命にバスケ部を支えてくれる素敵な人だってよく言ってるよ」

「やだっそんなっ!」

嬉しそうに頬を染め、両手で顔を覆う桃井。その様子を微笑まし気に見守る六花。

「桃井さんはテッちゃんが好きなんだね」

「えっ!や、やだ!私、そんなに分かりやすい……?」

「私だからかもね?」

「え?」

意味深な発言にキョトリとしている桃井に、六花は困ったような笑みを向ける。

「そろそろ戻らないと……。ごめんね、桃井さん」

「あっこっちこそ部活中にごめんね。……あのね!今は時間がないけど、良かったら日曜日、遊びませんか?」

「特に予定はないし、いいよ」

私だからかもってどんだけ自分に自信あるんだよ
桃井が誘うのも無理ありすぎ