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「お客さんをなだめて、話を聞いてると毎晩一階のキッチンに出るらしいんですよ」

「うつむいて、床の一点を指差してる幽霊が」

「だから俺も見に行ったんですよ。お客さんの形相がマジだったんで、さすがに怖かったんですが、原因を確かめようと床下を開けたんですよ」

「そしたら暗くてよく見えなかったんですが、一面池みたいになってて、何だこの水。ヤバイじゃんって思って触ったんですよ」

「そしたらそれ、生ぬるくて、ぬめり気があって、明るいところで見ると『血』だったんですよ。床下が血の海だったんですよ。あのときは確かに。でも、次の瞬間それは消えて、血の池も消えて、土だけの地面になったんですよ」

「俺、頭おかしくなったかと思って、でも、隣でお客さんは腰抜かしてるし」

「だから、上司に相談して、床下を掘ってみる事にしたんですよ。業者も呼んで」

「で、出てきたんですよ、半分腐った死体が、幾つも幾つも」

「すぐに警察に通報して、大事件になりました」

「あのときはマジでビビりましたよ。二十歳過ぎてから初めて泣きましたw」

「まーその物件売り付けた業者に全額お客さんに返金させて、事なきを得たんですが、流石にこの仕事ちょっと嫌になりましたね」