12 無名さん
これが高杉らしいよ

「お、おい名前…てめェいつからそんな高等テク使うようになった」

「え?何が?……高杉顔赤い」

「目の前でごっくんされたら赤くもなるっての。ほら、水」

「ん、ありがと」

ペットボトルの水を本来渡すはずだったティッシュの代わりに渡した後、高杉はハァと溜め息をついた。襲ったのは自分のはずなのに、何故か負けた気がしてならないのだ。

「……名前、やっぱり二回戦…」

と、顔の熱を冷ますため背を向けていた高杉が名前の方を向くと、驚くことに名前はペットボトルを握ったまま仰向けでスヤスヤと寝息を立てていた。一応キャップが閉まっている所から、飲み終わった直後にプツンと糸でも切れたに違いない。

「…寝るの早ッ…」

とはいえ、これは名前が疲れが溜まっていた証拠。いつものツンツンとした態度や言動からは想像も出来ない穏やかな、可愛らしい寝顔に、高杉は"こっちが素なんだ"と改めて認識する。

「…名前…お前は…ーーー」