13 無名さん
「スネイプ教授、などではなく、きちんと名を呼べば解放してやろう」
「遊んでる?ねえ、遊んでるでしょ」
「どうした、呼ぶのか呼ばぬのかどちらだ。そうでなければずっとこのままだが構わんのか。私は構わないが」
「どっちに転んでも私が微妙に恥ずかしいんですが…」
「…最近あまり名を呼ばんだろう」

ぼそりと呟かれた言葉にリンはハッとした。
そういえばそうかもしれない。愛称で呼ぶことはあっても、それも頻度は確実に減っている。
なんせ呼ばなくても会話は成立してしまうのだから困ったもので。

「あ、う…ごめん…なさい……セ、セブルス、」
「−お前は…まったく…」
「ど、どうしたの?なんか変だった?」

改めて”言わされる”羞恥に抗いながら名前を呼べば、当の本人はうなだれたように俯き細く長い溜息を吐いた。