15 無名さん
これで終わり

「貴女に惹かれて仕方ないんです…っ」
「…」
「貴女が初めに麗日さんと教室に入って来た時からかわいらしい子だと思って話してみたくて、蛙吹さんや芦戸さんと楽しそうにお着換えをしてる時も、いつも貴女と仲良くなりたいと思ってました」

私はでも、っとえづく八百万さんを何も考えずに抱きしめた。

「八百万さんはいつも正しくて、かっこいい女の子」
「っ…そんな慰め…いりませんわ、っ」
「慰めじゃない!私は正しい事をできるわけじゃないからいつもすごいと思ってる!」

びっくりして大きく見開かれた目がきらきら澄んでいて綺麗だ。

「成績だって私よりずっといいじゃん!何言ってるの?!私勝ててることなんてほっとんどない!」

体を離して、手を掴んでおでこをくっつけてその目をまっすぐに覗き込む。

「それと、私は意地っ張りな女の子、かわいくって大好き」

いたずらっぽく笑えば彼女はまたぽろぽろと涙をこぼした。

「八百万さん、私とお友達になってくれる?」
「わたし…ったくさん、いやなこと、言ったのに、っ」
「えぇ?なにか言われたかなぁ〜忘れちゃった」
「貴女のそ…っ、ういうところ、大嫌いですっ」
「あはは」
「でも同時に、…すごく好きで…っ」

わかったわかったと背中をさすってあげたら八百万さんは深呼吸を何回かして、私の目を見る。