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2日後、その人と話したが信じ難い内容だった。

あの黒装束は、代々地主一家に取り憑く幽霊の類だそうだ。
そいつが単体で何かをするわけでは無いが、ある条件の人に取り憑き、ある条件の人に、ある事をするらしい、その条件は聞けなかったが、想像に難くなかった。

幽霊は、『脱落者』に取り憑くのだ。
そして『脱落者』の候補に『脱落者の烙印』を押すのだと。

脱落の条件は成績等が芳しくない一族の者だろう、烙印は黒装束が持っていた物だろう。
これで地主一家の優秀さが分かった、彼らは必死になって努力したのだろう。

報われた者は秀才として家を出て行き、報われない者は家に留まる。
言い換えれば、家から逃げ出せた者と、烙印を押されたが為に逃げ出せない者。
脱落者は家の中に隠され存在する事だけ、他人と話すことが無いから、周りの人は優秀な人しかいないと感じる。

友人は「村の年寄りは全部知ってるらしい」と付け加える。
私は「その事他人に話しても大丈夫なの?」と聞いた。

友人は「話してもアレを見て無い人は信じないだろ? それに地主一家はいろんなとこにパイプを持ってる。選挙なんて地主が入れた人が確実に当選するらしいしな」と言う。

友人「ちなみに俺が見た時『脱落』した奴がこの前死んだよ、若かったし多分発狂したんじゃないかな。話してくれた人も顔が傷だらけだったし、俺でもエリートから脱落して引きこもりを強いられたら狂っちまうよ。それにあの家の東側は誰も行けないようになってるんだが偶に小さな悲鳴が聞こえるからな。あれの存在で全てが繋がったよ、俺のクラスに3男がいたんだがマラソン大会でゴールした後ぶっ倒れて救急車に運ばれてったんだよ、俺はそこまで必死になるのが理解出来なかったんだけど、今なら分かる」