19 無名さん
>>17
血のゼリーの中は快適だ。息苦しくない。すっぽり覆われているというのに、視界はいつもより良好だ。いつもはもっと白くて、どんよりしていて、その上見たくないものは鮮明に見えてしまうんだもの。耳には時々、ぷくぷくっと泡の音が聞こえるだけ。騒音や、嫌な人の声なんて一切聞こえない。体も気持ちも軽い。身に纏っているものはこんなにもおどろおどろしいというのに。不思議なものだ。
「うおっと、」
「…諏訪さん」
「その声は名字か?」
お前すげーもん着けてんな、と落ちそうになった煙草を咥え直して私が身に纏っているゼリーをベタベタ触る諏訪さん。そうか、埋もれてしまってるから私の顔が見えないのか。でも声は聞こえるんだな。なるほどなるほど。本当に便利だ。私のゼリーは。顔を見せなくて済むなんて。笑顔を作るのはとても苦手で、でもニコニコしたり空気を読んだ表情をしないと人間たちは不服らしいから。うまく笑えないからあの人にだって嫌われて、怒られて、いつだって沈んでしまいたくなって……
血のゼリーってなに?
血のゼリーの中は快適だ。息苦しくない。すっぽり覆われているというのに、視界はいつもより良好だ。いつもはもっと白くて、どんよりしていて、その上見たくないものは鮮明に見えてしまうんだもの。耳には時々、ぷくぷくっと泡の音が聞こえるだけ。騒音や、嫌な人の声なんて一切聞こえない。体も気持ちも軽い。身に纏っているものはこんなにもおどろおどろしいというのに。不思議なものだ。
「うおっと、」
「…諏訪さん」
「その声は名字か?」
お前すげーもん着けてんな、と落ちそうになった煙草を咥え直して私が身に纏っているゼリーをベタベタ触る諏訪さん。そうか、埋もれてしまってるから私の顔が見えないのか。でも声は聞こえるんだな。なるほどなるほど。本当に便利だ。私のゼリーは。顔を見せなくて済むなんて。笑顔を作るのはとても苦手で、でもニコニコしたり空気を読んだ表情をしないと人間たちは不服らしいから。うまく笑えないからあの人にだって嫌われて、怒られて、いつだって沈んでしまいたくなって……
血のゼリーってなに?