これは僕が高校の頃の話です。

「かんひも」に関わって以来、微妙な霊感に目覚めてしまったわけですが、友人たちからその系統の相談を受けるようになっていました。
まあ、霊感といっても僕の場合はただ見えるだけなので、本当に話を聞くだけなんですが。
それでも中には気のせいだったり、話を聞いてあげるだけで解決したりする場合も多く、意外と役に立っていました。

●10月25日●

その日の夕方、僕は友人のJに近所の喫茶店に呼び出されました。
Jはサッカー部に所属しており、そのマネージャーのYさんが奇妙な事で苦しんでいるとの事でした。

喫茶店に着くと、すでにJとYさんは来ていました。
恥ずかしながら帰宅部で自由を謳歌していた僕は、Jの試合の応援などで何度かYさんとは顔を合わせた事がありました。
Yさんは大きな目をした表情豊かな可愛らしい子で、サッカー部のマスコット的な存在でした。
しかし、久しぶりに会うYさんはいつもの明るさは影を潜め、やつれ果てていました。

「すまん、A(僕の事です)」

僕の顔を見ると、Jが心底困り果てた様子で話しかけてきました。

「どうも、本気でやばいらしいんだ……」

「どうしたの?」

僕はJに頷くと、Yさんに話しかけました。
Yさんは泣きそうな顔でゆっくりと話し始めました。

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ここからは分かりやすいようにYさんから聞いた話をYさんの視点でお話しします。
時間軸は今から1ヶ月ほど前にさかのぼります。