これは夢。
わたしは夜の学校を歩いている。
わたしの前には黒い髪の少女。
わたしは少女の後ろを歩いている。
少女はささやく。
「ねえ、知ってる?」
なにを。
「この学校の七不思議」
知らない。
「一ツ目は屋上へ続く13階段。
昔、あの階段を上がったところは教師の目もあまり届かなくて不良たちのたまり場になってたの。そこである男子生徒が隠れてタバコを吸っていた。
そこへ教師がやってきた。あわてた生徒は逃げようとして階段で足を滑らせてしまった。彼は階段を一番下まで転がり落ち、首の骨を折って死んでしまった。
その日からよ。その階段は全部で12段。だけど上から降りながら数えるとなぜだか13段ある。よく見ると踏み締めた13段目は階段なんかじゃない。
そして言うの。
『13段目は俺だよ』
ほら、ちょうどあの階段」
少女の指した階段からムクリと起き上がる彼は、折れて後ろに垂らした首でこちらを見ながら少女の後ろを歩いていく。少女は気づいていないのか。
音楽室が見えてくる。
「ある音楽教師がいた。彼女はピアノが大好きでピアニストにはなれなかったけど、生徒たちと一緒にピアノを弾くのが生き甲斐だった。
ある日、一部の生徒がとても悪質ないたずらを仕掛けた。音楽室のピアノの鍵盤に剃刀の刃を挟んでおいたの。
そんなことは知らない彼女はその日も鍵盤に指をすべらせた。ピアノは血に染まり、彼女の指は動かなくなった。そして彼女は自殺してしまった。
そのピアノは血が染み込んだせいか音がならなくなってしまった。それなのに今でも夜になると音楽室からはピアノの音色が聞こえてくるらしいわ。あの音楽教師が弾いているのかしら。鍵盤を真っ赤に濡らしてね」
そうみたいね。だってさっきから音楽室からピアノの音が聞こえてくるから。
音が止まる。
ガラリ
音楽室の扉が開き、指から血を滴らせた女が出てくる。音楽教師は廊下に跡を残しながら少女についていく。
「トイレに現れる少女―」
三ツ目
「体育館を跳ねる生首―」
四ツ目
「動く肖像画―」
→
わたしは夜の学校を歩いている。
わたしの前には黒い髪の少女。
わたしは少女の後ろを歩いている。
少女はささやく。
「ねえ、知ってる?」
なにを。
「この学校の七不思議」
知らない。
「一ツ目は屋上へ続く13階段。
昔、あの階段を上がったところは教師の目もあまり届かなくて不良たちのたまり場になってたの。そこである男子生徒が隠れてタバコを吸っていた。
そこへ教師がやってきた。あわてた生徒は逃げようとして階段で足を滑らせてしまった。彼は階段を一番下まで転がり落ち、首の骨を折って死んでしまった。
その日からよ。その階段は全部で12段。だけど上から降りながら数えるとなぜだか13段ある。よく見ると踏み締めた13段目は階段なんかじゃない。
そして言うの。
『13段目は俺だよ』
ほら、ちょうどあの階段」
少女の指した階段からムクリと起き上がる彼は、折れて後ろに垂らした首でこちらを見ながら少女の後ろを歩いていく。少女は気づいていないのか。
音楽室が見えてくる。
「ある音楽教師がいた。彼女はピアノが大好きでピアニストにはなれなかったけど、生徒たちと一緒にピアノを弾くのが生き甲斐だった。
ある日、一部の生徒がとても悪質ないたずらを仕掛けた。音楽室のピアノの鍵盤に剃刀の刃を挟んでおいたの。
そんなことは知らない彼女はその日も鍵盤に指をすべらせた。ピアノは血に染まり、彼女の指は動かなくなった。そして彼女は自殺してしまった。
そのピアノは血が染み込んだせいか音がならなくなってしまった。それなのに今でも夜になると音楽室からはピアノの音色が聞こえてくるらしいわ。あの音楽教師が弾いているのかしら。鍵盤を真っ赤に濡らしてね」
そうみたいね。だってさっきから音楽室からピアノの音が聞こえてくるから。
音が止まる。
ガラリ
音楽室の扉が開き、指から血を滴らせた女が出てくる。音楽教師は廊下に跡を残しながら少女についていく。
「トイレに現れる少女―」
三ツ目
「体育館を跳ねる生首―」
四ツ目
「動く肖像画―」
→