>>23

壁の上部に、学校の音楽室や体育館の放送室のような感じの小さな窓が2つ付いているのです。

「こっちも部屋か」

よく見ると壁のこちら側にはドアがあって、ドアはこちら側からは本棚で塞がれていました。
肩車すると、左上の方の窓は手で開きました。

今思うと、その窓から若干悪臭が漂っている事に、その時疑問を持つべきでした。
それでもその時の、こっそり酒を飲みたいという願望には勝てず、無理矢理窓から部屋に入りました。
部屋はカビホコリと饐えたような臭いが漂っています。雨漏りしているのかじめっとしていました。

部屋は音楽室と言えるようなものではありませんでしたが、壁に手作りで防音材のようなものが貼ってあり、その上から壁紙が貼ってある事は分かりました。湿気で壁紙はカピカピになっていました。
また部屋の中はとりたてて調度品もなく質素なつくりでしたが、小さな机が隅に置かれており、その上に真っ黒に塗りつぶされた写真が、大きな枠の写真入れに入ってました。

「なんやこれ、気持ち悪い」

と言って友人Aが写真入れを手に取って持ち上げた瞬間、額裏から1枚の紙が落ち、その中から束になった髪の毛がバサバサ出てきました。
紙は御札でした。

みんなヤバイと思って声も出せませんでした。
顔面蒼白のAを見てBが急いで出ようと言い、逃げるようにBが窓によじ登った時、そっちの壁紙全部がフワッとはがれました。

写真の裏から出てきたのと同じ御札が、壁一面に貼ってありました。

「何やこれ」

酒に弱いCはその場でウッと反吐しそうになりました。

「やばいてやばいて」

「吐いてる場合か急げ」