>>24

よじのぼるBの尻を私とDでぐいぐい押し上げました。
何がなんだか訳が分かりませんでした。

後ろでは誰かが

「いーーー、いーーー」

と声を出しています。
きっとAです。祟られたのです。恐ろしくて振り返ることもできませんでした。

無我夢中でよじのぼって、反対側の部屋に飛び降りました。
Dも出てきて、部屋側から鈍いCを引っ張り出そうとすると、「イタイタ」とCが叫びます。

「引っ張んな足!」

部屋の向こうではAらしき声がわんわん変な音で呻いています。
Cはよほどすごい勢いでもがいているのか、Cの足がこっちの壁を蹴る音がずんずんしました。

「B! かんぬっさん連れて来い!」

後ろ向きにDが叫びました。

「なんかAに憑いとる、裏行って神社のかんぬっさん連れて来いて!」

Bが縁側から裸足でダッシュしていき、私たちは窓からCを引き抜きました。

「足! 足!」

「痛いか?」

「痛うはないけどなんか噛まれた」

見るとCの靴下のかかとの部分は、丸ごと何かに食いつかれたように丸く歯形が付いて唾液で濡れています。
相変わらず中からはAの声がしますが、怖くて私たちは窓から中を見る事ができませんでした。

「あいつ俺に祟らんかなぁ」

「祟るてなんやAはまだ生きとるんぞ」

「出てくるときめちゃくちゃ蹴ってきた」

「しらー!」