25 無名さん
夜に笑うは狂人者
夜遅く。誰もが寝静まっている時間。
私は一人路地裏にいた。
いや、一人というのは語弊だ。
正確には人だったものが私の足元に散乱している。
「あー……つまんないや」
私は、何人もの命を刈り取った愛用のナイフを手のなかで弄びながら端に置いてあった箱に腰かける。
「どいつもこいつもこーんなに簡単にやられちゃってさ。ヒーローなら楽しめるかと思ったらとんだ期待外れだよ」
最初はその辺のチンピラだった。
それが本物のヴィランになり、遊びの対象がヒーローになるまでそう時間はかからなかった。
さっきまで遊んでいたものにも既に興味を失い、もう帰ろうと立ち上がると一つの気配がして上を見上げる。
「__私が!きた!!」
"彼"の存在を告げるその言葉が聞こえると同時に、突風を携えてオールマイトがこの場に現れる。
「………あっは!」
その存在を認識すると、私は自分の頬が勝手につり上がるのがわかる。
「君は、今世間を騒がしている通り魔、いや、ヴィランの『遊び人』であっているね?」
「『遊び人』?そんなもの名乗った覚えなんてないけど、この場を作り出したのは紛れもない私だよ」
『遊び人』。それは最近世間を騒がしているヴィランのことだ。
一般人も。ヴィランも。ヒーローも。何一つ関係なくたた己の快楽のを求めるヴィラン。そして、自分の欲求を満たすためならば他の凶悪ヴィランにも平気で手を貸す。
まあ私のことなんだけどの!