26 無名さん
>幸せになっていく2人とは反対に私はどんどん部屋から出なくなり食事にも手をつけなくなっていた
診察の時だけは彼は私を見てくれる。私が弱れば隣りにいて私のことだけを考えてくれる。もっと、もっと死なない程度に弱って…などと、おかしな思考に囚われる時間が増えていった
そんなある日、珍しくはとり一人が食事を持って部屋を訪ねてきた
「今日はどうしたの?その食事は何?」
「最近和華の食欲が落ちてきたのが気がかりでな。少し考えてみた」
「これをはとりが?作ったの?」
「あぁ、そんなところだ」
はとりが私のことを考えてくれて私の為に作ってくれたということに嬉しさが込み上げた
やっぱり、はとりだけは今でも私を大切にしてくれているのだと確信できた
だけど、私はまた馬鹿な思い違いをして自分を苦しめた
少し考えれば分かることなのに、考えようとはしなかった
…こんな手料理はとりに作れない事を自分が一番知っていたのに
「…これ」
「どうした?和華が食べられないものは入れてないはずなんだが…」
「誰…これは誰が作ったの」
「和華?」
「はとり…これ貴方は作ってないでしょ!?あの女だ…あの女が作ったんでしょ!」
「! 和華…」
久しぶりに感情を爆発させてはとりに怒鳴って手にしていた箸を床に投げつけた
涙がこみ上げそうになる。なんて…なんて惨めなの、私は…本当に…!
診察の時だけは彼は私を見てくれる。私が弱れば隣りにいて私のことだけを考えてくれる。もっと、もっと死なない程度に弱って…などと、おかしな思考に囚われる時間が増えていった
そんなある日、珍しくはとり一人が食事を持って部屋を訪ねてきた
「今日はどうしたの?その食事は何?」
「最近和華の食欲が落ちてきたのが気がかりでな。少し考えてみた」
「これをはとりが?作ったの?」
「あぁ、そんなところだ」
はとりが私のことを考えてくれて私の為に作ってくれたということに嬉しさが込み上げた
やっぱり、はとりだけは今でも私を大切にしてくれているのだと確信できた
だけど、私はまた馬鹿な思い違いをして自分を苦しめた
少し考えれば分かることなのに、考えようとはしなかった
…こんな手料理はとりに作れない事を自分が一番知っていたのに
「…これ」
「どうした?和華が食べられないものは入れてないはずなんだが…」
「誰…これは誰が作ったの」
「和華?」
「はとり…これ貴方は作ってないでしょ!?あの女だ…あの女が作ったんでしょ!」
「! 和華…」
久しぶりに感情を爆発させてはとりに怒鳴って手にしていた箸を床に投げつけた
涙がこみ上げそうになる。なんて…なんて惨めなの、私は…本当に…!
27 無名さん
>昔から人の感情に敏感な私は、思いを込めて作ったものでもそれを感じることができた
この料理は私のためなんかに作っていない。ただただ、はとりが愛しいという強い想いが込められていた
こんなのあんまりだ…どうして、こんな仕打ちをするの
結局私は草摩佳菜への憎悪を止めることができなかった。もうこれ以上は耐えられない
「…和華、すまなかった。佳菜もお前を心配して…」
「はとり…」
自らはとりを拒絶する言葉を発する時が来るとは思っていなかった
できればこんな事言いたくない。本当は離れたくない。だけど、このままでは私はダメになる。そして、はとりを傷つけてしまう
そんなこと…許さない。私が彼を傷つけてしまう存在ならば消えなければ
「もう…私たち、会うのは今日で最後にしよう」
「和華…?何言って、」
「私はいつだって貴方の幸せを一番に考えてる。だからこそ、もう私に会わないほうがいい」
「どうしてそうなるんだ…!」
「幸せにね、はとり」
そう言って私は弱々しく笑った後、部屋から飛び出て裏庭に向かった
全身の力が抜け落ち、倒れこむように地面に座り込む。ずっと堪えていた涙が溢れ出て、止まらない
声を押し殺そうと必死に唇を噛むと血が滲んだのか鉄の味がした
「和華?」
誰かに見つかった…こんな姿、誰にも見られたくないと、すぐに立ち上がりその場から逃げようとすると腕を掴まれた
無理やり振り向かされ顔を上げると、私の腕を掴んだのは紫呉だった
「! 和華…!?何があった?」
「…なんでも、ない」
「そんなに泣いて、辛そうな顔してるのになんでもないわけないじゃないか」
「…っ」
紫呉は黙って私を抱き寄せた。そんな紫呉の優しさに甘えてしまい彼の胸にすがるように抱きついて泣いた
紫呉は何があったのか薄々気づいていた
「はとりにはもう会わない」と一言だけ伝えると「うん」と頷き、また私を抱きしめた
この料理は私のためなんかに作っていない。ただただ、はとりが愛しいという強い想いが込められていた
こんなのあんまりだ…どうして、こんな仕打ちをするの
結局私は草摩佳菜への憎悪を止めることができなかった。もうこれ以上は耐えられない
「…和華、すまなかった。佳菜もお前を心配して…」
「はとり…」
自らはとりを拒絶する言葉を発する時が来るとは思っていなかった
できればこんな事言いたくない。本当は離れたくない。だけど、このままでは私はダメになる。そして、はとりを傷つけてしまう
そんなこと…許さない。私が彼を傷つけてしまう存在ならば消えなければ
「もう…私たち、会うのは今日で最後にしよう」
「和華…?何言って、」
「私はいつだって貴方の幸せを一番に考えてる。だからこそ、もう私に会わないほうがいい」
「どうしてそうなるんだ…!」
「幸せにね、はとり」
そう言って私は弱々しく笑った後、部屋から飛び出て裏庭に向かった
全身の力が抜け落ち、倒れこむように地面に座り込む。ずっと堪えていた涙が溢れ出て、止まらない
声を押し殺そうと必死に唇を噛むと血が滲んだのか鉄の味がした
「和華?」
誰かに見つかった…こんな姿、誰にも見られたくないと、すぐに立ち上がりその場から逃げようとすると腕を掴まれた
無理やり振り向かされ顔を上げると、私の腕を掴んだのは紫呉だった
「! 和華…!?何があった?」
「…なんでも、ない」
「そんなに泣いて、辛そうな顔してるのになんでもないわけないじゃないか」
「…っ」
紫呉は黙って私を抱き寄せた。そんな紫呉の優しさに甘えてしまい彼の胸にすがるように抱きついて泣いた
紫呉は何があったのか薄々気づいていた
「はとりにはもう会わない」と一言だけ伝えると「うん」と頷き、また私を抱きしめた