27 無名さん
>ヘヘッと笑って天子は人差し指を轟の胸から離した。なんのことはない、突然天子が轟の胸をつついたのである。しかし轟にとってはなんのことないわけなかった。な、な、な、何やってんだこいつー!?と轟は瞠目した。好きな女子に触られて喜ばない男はいないが、青春を置き去りにした人生を歩んできた轟には少々刺激が強すぎたのだった。自分の胸に触れていった彼女の細い指先の感触がまだ残っているような、それを思うとなんともこの場に似つかわしくない気持ちになってきて轟の思考は見事に停止した。やめろと言ったきりパッキリ固まってしまった轟を不思議に思い、天子はその顔を覗き込んだ。

「轟くん?」
「そうだなプロテインだな」
「しっかりして轟くん」

これが轟くん…?