この国に来て、日本語をまだ覚えたての幼かった頃、私は日本人である祖父に怖い話をしてーとせがんだことがある。

日本の怖い話に興味があったからだ。祖父はふと手を止め、読んでいた新聞を置くと、話始めた。

祖父が配達の仕事をしている時、いつも通る道の近くに家があり、その家のよく見える場所に井戸があった。

祖父はバイクを走らせながら、いつもの道にさしかかった時、なぜか井戸の上に何かが見えた。

女が出てきて、井戸の前を立っている。驚いたが、あまり見て良いものではないと判断して、そのまま通りすぎた。

その家は古くからあった家らしいが、家を取り壊しても、何故か井戸はその場所にずっとあった。

ある時、井戸を撤去するという話が持ち上がった。業者が入ったものの、怪我をしたり、最悪な場合は変死が相次いだ。

気味悪がり、工事する会社が断り、他の会社が入ったものの、またもや次々と怪我人が出てしまい、挙げ句の果てにはそこの会社がつぶれてしまった。

そこで、井戸を撤去するのは諦めた。井戸は今現在、私が20代になった今でも残ったままだ。

中高生あたりに、某映画で井戸に女が出てくるのを見て、祖父が話してくれた話によく似ていると思った。起こる出来事はまるで違うけども。

そして、私が何故、この話をしたかというと、昨日の3時くらいに目が覚め、そういえばこんな話があったなぁと携帯電話を触っていると、足首を両手で触られたからだ。

驚いて足を見たが何もいない。少し離れた場所に寝ている母も何故か寝苦しかったらしい。

この話をすると、母は井戸に関する怪談映画を観るのはあまり良くないのかもしれないと話していた。


これに似た話で、とある神社に関する話がある。

神社の近くにご神木ではないが、立派な木があり、ある人が譲ってくれないかと管理者に何度も頼み込んだ。

管理者は管理者以外が木を切ると良くない事が起きると、その度に断ったが、あまりにしつこいので、渋々、1本だけならと承諾した。

しかし、彼らは2本切ってしまった。