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大畔の坊さんというのは「かんひも」の時に僕とKを祓ってくれた坊さんです。 
普段は酒飲みで肉も食べるわ嫁がいてバツイチだわ生臭さがプンプンする坊主ですが、霊験はあらたかなようです。
僕が変なモノを見るようになってから、魔よけのお札を書いて送ってくれていました。

僕はお札を取ると、教えられたYさんのアパートへ向かいました。

時刻は夜の8時でした。
部屋に入ると青ざめたJとYさんが待っていました。

僕は爺ちゃんに教えられた通り、部屋中の窓と玄関のドアノブにお札を貼りました。
そして、落ち着かないまま3人で時間を待ちました。

緊張していたせいか時間が経つのはあっという間でした。
時計の針は1時55分を指しています。

「……!」

一番最初に異変に気付いたのはYさんでした。

「来た!」

震えながらYさんは自分のベッドに潜り込みました。

カッ、コッ、カッ、コッ

足音です。
同時に僕の背中に冷たい電流が走りました。ものすごく嫌な感じがします。

カッ、コッ、カッ

足音が部屋の前に止まりました。
そこで僕は重大な事に気が付きました。

なんと間抜けな事でしょう! 一番肝心なポストのフタにお札を貼ってありません!
かといって今から貼る勇気はありません。
僕とJは何が投函されるのかとポストを凝視していました。