>>28

コンコン、コンコン

しかし意表をついて、ポストではなくドアがノックされました。

「K○さ〜ん、郵便で〜す」

ドアの向こうから張りの無い無機質な男の声がしました。

「K○さ〜ん、郵便ですよ〜」

ノックと声は続きます。僕たちは声を潜めて様子を伺いました。

しばらくノックと声が続いた後、ふっと音が止みました。
そして、

カッ、コッ、カッ、コッ

足音が歩き出しました。
そしてそのまま小さくなり消えていったのです。

ほっとして僕らはその場にへたり込んでしまいました。
布団に潜っていたYさんも顔を出し、安堵で泣きじゃくっていました。

「ふう」

僕はため息をつくと、立ち上がりながらなんとはなしに目をドアの方へ向けました。

「……!」

僕は恥ずかしながら腰を抜かしてしまいました。
僕のただならぬ様子にJとYさんもドアの方を向きました。

ドアのポスト。
フタが上がり、ギラギラした2つの目がこちらを睨みつけていました。

「なんだ、いるじゃないかよお」