私は姉が羨ましい。4つ上の、今年二十歳を迎える姉。

私から見ても自由奔放な姉なのだが、気ままに行動しても何とかなっている。E判定の大学に、センター試験で受かってしまうほどだ。

そんな姉は今、健康の面で大学を中退し、彼氏と半ば駆け落ち状態で地元に引っ越し、アパートで同棲している。

姉がまだ実家に居たころの話。

午後5時になると、私の部屋でチリンチリンと鈴が鳴る、不思議な現象が起きていた。まだ明るい時間帯だったが、気味が悪い為、姉に部屋に一緒にいて貰うよう頼んだ。

数日間は、姉が雑誌やマンガを読んで、私が勉強する。そんな生活だった。相変わらず鈴は鳴っていた。

しかし、姉は何も言わず、そんなことがあっても一人で二階で寝ていた(私と姉の部屋は2階だったが、私は下の部屋で寝ていた)。

5日目。だんだん鈴の音が大きくなってきたなあ、と思っていたら、姉が急に掃除をしようと言い出した。

「お姉ちゃん、私、中間テストあるんだけど」
「急がないと危ないかもよ」

「何?鈴の話?」
「そう。急ぐよ、たぶん母さんのドレッサーだから」

私の部屋には母のドレッサーが置いてあり、物が山積みになっている。

早速、捜索を始めると、若いころに使ったのだろう、イヤリングやらネックレスが丁寧に箱に入って置かれていた。そんな中、汚い紙袋に入ったものが出てきた。

「これ、何だろ?」

私が手にすると、プツンとコンポの電源が切れ、耳鳴りがしだした。

「さわんないで」

姉が紙袋を取り上げると、チリンチリンチリンチリンチリンチリンチリンチリンチリンチリンチリンチリンとけたたましく鈴が鳴り出した。