海難法師自体は有名な話だが伊豆だけの話ではないようだ。

これは俺が厨房の時、夏に家族である県に旅行で行った時の話。

元来、俺と親父はベッドが好きじゃなく布団で寝たかったから旅館か民宿で節約のため民宿へ。
昼間は厨房とは言え海でテンション大、夜は民宿で海の幸を食べまくり。

民宿に泊まり来ていた子供(とは行っても高校一年、俺とタメ、小学五年生二人)と仲良くなり、花火も持ってきてたから海で花火をやろうという話になったが、民宿の人が

「今日の夜は海に近づかないでくれん? くだり様っちゅう海の化け物が出る時期だからな」

と言っていた。

親父に聞いてみたら

「海難法師いるだろ? あの類だろう、昼間、岬近くに祠があったが本物みたいだしな、ま、地元の人が言うんだから行かないで大人しくしてろ」

でも俺達ガキんちょはお構いなしに行ったわけよ。

海は漆黒の闇、釣り人もおらず波の音だけ、俺達はハイテンションになり花火を始めた。
花火持って腕をグルグル回したり走ったりした。