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「ここ、無縁仏の墓や。そこに卒塔婆がたおれとるやろ」

と言いました。

そして又少女達と言葉を交わすと、俺達の方を振り向きもせずに去っていきました。

唖然とする俺達の所に少女達がやってきて、初めて口を利きました。

「いまおじいさんに聞いたんやけど、この先にもっと怖い場所があんねんて。のろいのわら人形がぎょうさん見つかる所。行ってみいへん?」

正直俺は行きたくなかったけど、中学生の女の子が行くというのに「いや、おっかねえからやめとく」とは言えません。
結局女の子達をバンに乗せ、行ってみることにしました。

その間、俺達は色々話し掛けました。なぜあんな所から出てきたのか。
当時、女の子をナンパして乱暴し、山の中腹で置き去りにするという「六甲おろし」が流行りだした頃でした。

「もしそんな目にあっているなら、協力できることがあるならするぞ」

Mが一生懸命話し掛けても、彼女達は無表情に前を向きながら首を振るだけで、道を案内する以外は口を利きません。

とても乱暴されたようには見えませんでした。
でも、何か理由があって欲しかったのです。あんな山中からこんな子供が出てきた理由を。

しかし、彼女達はお互いも話さず、淡々と道を案内するだけです。