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とうとう目的地の神社に着きました。

初めて来る所です。
さっきの場所より何倍も不気味な所です。

高い杉の林に囲まれた小さな神社でしたが、彼女達はその神社のさらに奥の杉林に入っていきます。早足で。

Kがつぶやきました。

「あの子達って、あのおじいさんに聞いて今日はじめてくるはずやんな。なのになんであんなにスタスタ進むんや。2人とも車の中で一言も相談してないのに、迷いもせず同じ方向に進んでいってるで」

ぞっとしました。

しかし、ここで2人を置いて逃げるわけにはいきません。
慌てて後を追いかけますが、その足の速いこと。大人の俺達が小走りになるほどです。

いきなり2人が立ち止まりました。
黙って目上の高みを指差しています。

見ると、指差した先の杉の木に、釘を刺したような穴が無数に空いています。
いえ、よく見回すと、その辺りの木のほとんどに穴が空いています。

そして、とうとうわら人形も見つかりました。
絶句する俺達をよそに、彼女達は相変わらず無表情で何も言いません。

「もう帰ろうぜ、つかれただろ、おまえらも送ってやるから」

Mが恐怖を隠すように言いました。しかし、彼女達はこう言ったのです。

「ここじゃダメだね。もっといいところがあるから行こう」

絶句しました。

「もうやめようや」

とうとう俺は言ってしまいました。
しかし皆、大の男が中学生に言われて怖がるわけにはいかないようです。

「分かった、行こうや」

その一言で、少女達はきびすを返すように今来た道を引き返しました。
慌てて俺達は後を追います。