>>35

Kだけが俺の意見に賛成らしく、真っ青な顔をしてブツブツつぶやいています。

「罠や、罠や、これなんかの罠や。俺達連れて行かれてるんや」

Kの真っ青な顔とブツブツ繰り返す言葉に、今度はKのことまで怖くなってきてしまいました。

皆でバンに乗り込みました。
Mがカーステレオをつけようとしても、壊れたのかつきません。

嫌な沈黙が続きましたが、皆口を利きませんでした。
ただ、少女たちの道案内だけが車内に響きます。


着いた場所は、小高い丘の上にある神社でした。

その神社に着くには、その丘を左右対称に包むようについている階段を登るのです。
左右どちらから登っても、多分同じくらいの距離です。

少女達は無言のまま、それぞれ左右に分かれて登り始めました。
車の中でも打合せはしていないし、降りてからも2人は目配せや合図をすることなく、迷わず別の道に向かっていくのです。

もちろんその神社に続く階段はうっそうとした林に囲まれ、普通の女性なら複数でいても行きたがらないような不気味さです。
その階段を、まだ中学生の少女が迷うことなく、恐れることもなくスタスタと歩き出すのです。明らかにおかしいです。

慌てて俺達も3人づつに分かれて、それぞれ少女達の後を追いました。
俺はガマンできず、前の少女に話し掛けます。