36 無名さん
そして何故だか料理教室みたいになっている。ナタリーさん、料理は下手ではないけれど、どうやら下拵えというものが苦手らしい。だからいつも味は美味しいけど肉が固いとか、ちょっと味が薄いとか、そういう現象が起こるらしい。

「本読めば書いてあるよ……?」
「……紗夜ちゃん。本を読んだだけで出来るようになるなら、世の中に料理の下手な人なんていないわよ」
「そんな真顔で言われても……」

 手は出せないけど口は出す。今の私はそんな状況だ。横から文句だけ言う人みたいな。これって怪我人じゃなかったらすごく腹立つやつじゃない? 私がナタリーさんだったら「じゃあアンタ代わりにやってよ!!」って言いたくなるやつ。

「あのね、紗夜ちゃん」
「今度はなに?」
「キュウリって、ちょっと青臭くない?」
「気になるなら茹でればいいんだよ」
「キュウリを?」
「うん」

 お湯を沸騰させて、そこにキュウリをぶっこむ。ゆで時間は10秒くらい。まぁ、別に1分でもいいけど。そうすると臭みも無くなるし色も鮮やかで綺麗になる。
 と、教えればナタリーさんはキラキラした表情で「なるほど!」と喜んだ。

「え、ちょっと待ってお湯の量はどれくらい?」
「そんなの適当でいいんだよ。いちいち量ってたら大変でしょ?」
「待って待ってメモる」
「お湯が沸くの待ってる時にメモって」
「あ、そっか。お水お水……」
「待ってナタリーさんその鍋でかすぎ」

 毎日作ってんじゃないの? ナタリーさん毎日何を作ってるの? って聞きたくなるくらいワタワタしながら料理をしていったナタリーさん。

「なんだか最近この包丁切れなくて……」
「研げばいいじゃん」
「え、どうやって?」
「研石くらいその辺で売ってるよ?」
「………………明日買いに行きましょう。ね? 付き合って? ねっ?」
「分かった分かった」

この夢主は聡明な設定のはずなのに察し悪いし言葉はくどいし
雪たん書きたい詰め込みタイプっぽいから読む人を疲れさせるね