私が小学生の頃の話です。

仲間内では、近所の河川敷で『警泥』と言う遊びをするのが流行ってました。
その時は、私・A・Bの3人が警察役(鬼ごっこで言う鬼役)、泥棒役(逃げる役)がC〜Fの4人でした。

季節は秋、時刻は暗くなりかけた夕方。
舞台の河川敷には葦のような背の高い草が群生しており、泥棒はそこに隠れるのがセオリーとなっていました。

いつも通り警察3人で葦の群生地帯に入り泥棒を探します、小学生程度なら立っていても頭まで隠れてしまいます。
何とか2人まで見つける事が出来ました、その後1人を見つけ「まて〜」と言いながら追いかけます(仲間内のローカルルールで、警察が追いかけてる最中は「まて〜」と言わなくてはいけない)。

5分ほどの取り物劇で何とか捕まえ、最後の1人を探していた時です。

「マテェ〜〜」「マテェ〜〜」

群生地帯の奥の方から声が聞こえました。

しかし、おかしいのです。
私の隣にはA君、そしてB君は泥棒の見張りをしていました。

誰が「マテー」と言ってるのか、A君は「多分待ちくたびれてんだよ、捕まえに行こう」と言います。

「マテェ〜」「マテェ〜」
「マテェ〜」「マテェ〜」

ちょっと近づいてきた、何か変だ…、ヘリウムを吸った時みたいな声で、左右からも聞こえてくる…、A君もおかしいと感じてるみたい。

「マテェ〜〜〜」

近くでガサガサ音がする、私とA君は「うわッ!」と言いながら逃げようとしたが、「マテェ〜」は私たちを囲むように聞こえる。
助けて助けてと念じながらA君を見たら、その向こうに何とも形容し難いモノがいました。