40 無名さん
>>39
ローが、好き。
「なあ……、」
「なに…?」
ローの小さな声に、耳をかたむける。
「おれは、やっぱり、お前を愛してる」
「………」
「……、…離れたくねェ」
「………、……」
ローの気持ちは痛いほどわかる。
だって、わたしも同じだから。
でも、それでもローの望む答えを口に出来ないのは、やっぱり怖いから。
また…、ローが記憶をなくして、わたしだけを忘れて、他の女に目を向けるようなことがあれば……。
今度は、正気を保っていられなくなるかもしれない。
そう思って、彼の背中から離れようとした時、ローが言った。
「おれは、もう二度と、お前を忘れたくねェ。だから、……協力してくれねェか?」
「……きょう…りょく…?」
頭の中に、クエスチョンマークが飛び交う。
だって、ローがわたしを忘れないために、何ができるの?
わたしにできることが……あるの?
「なあ」
「………何…?」
「お前の目を見て話したい。いいか?」
それは、ローが振り返るということ。
わざわざ許可を取るなんて、気を使い過ぎだと思う。
でも、たぶん、それだけわたしを大切に思ってくれている証であり、もう無理強いはしないという意思の表れなんだろう。
――――ほら。やっぱりローはやさしい。