>>44

その手のことに詳しかった大河原さんは瞬時にわかった。染谷には芋虫が憑いてる。

(まあわかったところで自分にはどうもできないし、そういうお祓いみたいのができる知り合いもツテもないし何もできないけど無事を祈るよ)

それだけを伝えると、大河原さんは厄介払いをするように面倒ごとはごめんだとばかりに二人分の支払いをすませ、先に用事があるからと喫茶店を出た。

喫茶店の窓からなんとはなく見た染谷さんは、ケーキの皿に手を伸ばしミントの葉っぱを嬉しそうに食べていたという。

それ以来彼のことを聞くことはない。

今はどこでどうしてるかわからないが、自業自得とはいえ、何もしてやれなかったことだけが悔やまれると同時に、知らないふりをした自分が心底情けなかったという。