私の幼なじみで隣の家に「ゆい」という女の子がいました。

ゆいは人形がすごく好きで、いつも2人で人形遊びをして遊んでいて、どこかに行くにも人形を連れて行く子でした。
ゆいの部屋にはクマのぬいぐるみ、ディ○ニーのぬいぐるみ、西洋の人形などたくさんのぬいぐるみがありました。

その中でも一番のお気に入りの人形があり、いつもその西洋の女の子の人形を抱いていました。
その人形は黒い瞳をして結構リアルな作りでした。ですが古く、ひび割れ、髪の毛も半分近く抜けて服もボロボロでした。

私は子供ながらに「なんか気持ち悪い人形だな〜」と言ってしまいました。
でもゆいはその人形を抱いて大事に大事に撫で、他のぬいぐるみを眺めながら「この子だけで私は充分なの」と言うようになっていました。その時のゆいの顔は何か笑ってるけど、憎らしい表情でした。

後日、私は母に頼まれて粗大ゴミを運ぶのを手伝っていました。
ゴミを出す場所は、私とゆいの家の間の向かいにあるちょっとした広場に出す決まりで時間帯も決まっていたので、ちょうどゆいもゴミを出すところでした。

ゆいは虚ろな表情でダンボールに入った大量のぬいぐるみや人形を何回もわけて捨てている最中でした。
私は「あんなに大切にしてたのに捨てちゃうの?」と驚きながら聞くと、「あの子と相談したの。いらない子はすてないと」

あの子?と私は少し混乱しました。
ゆいは続けて「あの子が待ってるから帰るね。あ、巨乳妻ちゃん、あの子が拗ねちゃうから、もう私には喋りかけないでね。バイバイ」と気持ち悪くニヤニヤしながら言ってきました。

私も子供でしたので、少しだけ怒り、もう友達じゃないもん!!と家に帰ろうとしました。
そういえば、あの子って誰だろうと思い、ゆいの部屋を見上げました。

窓とカーテンが少しだけ開いていて、その隙間からゆいと、気のせいかも知れませんが、あの気持ち悪い人形がこっちを見てニヤニヤと笑っていました。
私は気味が悪くなり走って家に入りました。