仕事の同僚から聞いた話です。

その同僚の先輩がある日、友達と一緒に山の中腹にある廃寺に肝試しに向かったそうです。

廃寺に向かう為の山道は山道特有のグネグネ道で、途中少し開けた広い場所にて先輩と友達は乗ってきたバイクを止めて少し休憩していたそうです。

そこへ手の甲を下向きに合わせた農作業をするような格好をした腰の曲がったおばあさんがやって来て、二人に話しかけてきました。

おばあさん「あんた達何しに来たんだね?」

先輩「この上の廃寺に肝試しに来たんです」

おばあさん「ああ、この上の廃寺ね、でも行ったって何もないよ」 

先輩「せっかくここまで来たんだし、覗くだけ覗いてきます」

おばあさん「そうかあ、まあ気を付けて行って来るんよ」

そんな会話をした後、先輩と友達は廃寺への山道を再びバイクで登って行きました。

お目当ての廃寺に到着した二人は二時間程ばかり寺を散策しましたが、特に何も変わった事がなく再びもと来た山道を下って帰ることにしました。

途中行きに寄った開けた場所にて再び休憩していると、

「やっぱり何もなかっただろ?」

と行きに会ったおばあさんから再び話しかけられました。

先輩「何もなかった、やっぱり幽霊とかに会うのってそんな簡単にはいかないもんなんだな」

おばあさん「へっへっへ、まあ気を付けて帰りなさい」

そう話してる間もおばあさんは手の甲を終始下向きに合わせたまんまだったそうです。

その時は何も考えなかったのですが、家までの帰り道で先輩は少し疑問に思った事がありました。