>>46

それは気温の低さからではなく、今にして思えば何か神経に来るピリピリした寒さです。

食事を済ませてから会社への報告書を書き上げて風呂に行きましたが、夜11時を回り、かなり遅くなってしまいました。

風呂で温まったはずなのに、部屋に入ると何故か鳥肌が立つのです。

そして、部屋の一点から誰かに見られているような視線を感じ、相当疲れているのと風邪でもひいたかなぁ? と思いながらも、気を紛らわしたくてTVでも見ようと電源を点けた時に、TVの横にある床の間の下にある引き戸を、何の気も無く見たんです。

直感が、この部屋に初めて入った時から感じている(誰かに見られている)視線とが、ピッタリ合ったことを教えました。

視線をそらさず(この引き戸、何か変だと思いながら)引き戸を開けた時のことです。
開けた引き戸の中を、左から右に青白い手がフゥっと移動したのです。

一瞬、何が起こったのか理解出来ず、頭は真っ白になりながらも急いで引き戸を閉めて、ハッと我に返った途端、腰が抜けるほど驚きました。

そう、ここは2階なんだ……。

しかし、あれは間違いなく人の手だった。でもここは2階なんだよ。

考えてもまともに答えが出るはずも無く、恐怖心が全身を包みました。

もう二度と床の間の方を見ないようにし、廊下も部屋も点けられる電灯は全て点灯して、朝が来るのを待ちました。