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そして深夜3時を過ぎた頃、部屋の周りを、

コツーン、コツーン

とゆっくり歩くような音がしました。
それは、まるでアスファルトの道路を靴で歩く時のような音。

でも何故? 建物の中なのに……。

靴音はゆっくり、ゆっくり、しかし止まらずに部屋の周りを歩き続けます。
さっきの「手」を見たこともあり、恐怖心は高まるばかりでした。

情けないですが、恐怖から来る失神か、キレる寸前だったように思います。
その間も、

コツーン、コツーン、コツーン

部屋の周りを歩き続けているような靴音は止みません。

もう恐怖心が絶頂に達したと思われた時に、私は「ふざけんなぁ!」と叫んでいました。

その途端に靴音が止み、ガシャン! と何か金属系が床に落ちたような音がしたんです。

必死の思いか何だったのか、無意識の内に私の口から念仏が繰り返し唱え出されています。
変な表現ですが、意識して唱えているのではない、そんな感覚です。

部屋の外から何者かが、こちらを見据えているかのような感じがありましたが、暫くしてフッと気配が無くなりました。

しかし恐怖から明るくなるまで念仏を唱えつづけてましたよ。