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父の足元。ちょうど庭側には、窓→廊下→障子→部屋のように、窓と部屋の間に障子があります。
そこから、物干し竿のように細く長い二本の手が、父の足首をしっかりと掴んでいたそうです。

「そこでやめとけばよかったんだけど、見ちゃったんだよ」

と、父はそのときのことを後悔していました。

二本の腕、それだけでも気を失いそうなのに、さらに視界の上に何かがある。
本能が見るなと叫んでいる。

でも気になる、知りたい。
父は好奇心に負けたのです。

「あああああああああああああああ!!!!」

半狂乱になりながら、必死に母(祖母)に助けを求めようとしても声が出ない。

逃げたくても逃げれない。逃げ場がない。
ソレを見てしまったから…。

細く伸びる二本の手。その先にあったものは、障子、壁、天井に張り付く無数の目。
まるでお前もこっちに来いと言わんばかりに、父を見下ろしていたそうです。

父が必死にもがいていると、突然、

「ズッ……ズルズル……」

と、畳を擦るような音がする。