僕はY県のJR某駅近くのテナントビルでカクテルバーを営んでるんだけど、根っからの怪談好きってのもあって、深夜になるとたまに客と怖い話で盛り上がる事がある。

先週も、地元の不動産屋に勤務するAさんの話で店内は大いに盛り上がった。

僕は地元出身じゃないので知らなかったんだけど、平成になりかけの、昭和の後半10年の間に、新聞沙汰になった自殺が三件あるらしい。

その三件が三件ともその方法が特異だった事から、地元で育った客は皆覚えていた。

一人はガソリンスタンドの前で焼身自殺。一人は海辺の林の中に車を乗り入れての排気ガスによる自殺(腐乱した状態で発見)。もう一人は深夜小学校の体育館に忍び込み首を吊った。

A氏によると、その三人は全て、同じ物件の住人だったという。

話を聞いた者全員が(自分も含めて)、その家がどこにあるのか気になったが、Aさんは頑として教えてはくれなかった。 

理由は「手離して現在は他人の持ち物だから」との事だった。客の中にマニアがいて「調べりゃ判る」と言う。すると真剣な顔で「あそこはマジヤバいから止めとけ」と怒っていた。

そこで「絶対に場所を特定しない」との条件で話を聞く事が出来た。