52 無名さん
http://archive.is/MXSBI

「…公安のシャトン。噂にはなっていたが…まさか沙羅君だったとは」
「どういうことですか?」
「…ここ最近、公安内部に出入りしている協力者がいるという噂はかねてよりあった。精鋭の捜査官達が揃って溺愛するとも噂されており、良くない噂も出た。
だが、シャトンなくして助からない者もいたと言われている。何より、少し前の大規模な重役逮捕に国際犯罪組織の壊滅…シャトンはそこでも重要な役を担っていて、シャトンの危機には公安が動き、公安警察の祖と言われた八重桜さえもシャトンの為にパイプを使い国家を動かすとまで言われていてな。……沙羅君だとは思わなかったよ」

目暮が集めた情報をすべてさらけ出すと、蘭は呆然とした。
空手を武器に事件と関わり、犯人を逮捕し、その度に色々うるさい事を言ってくる双子の妹・沙羅が――まさか、そんな立ち位置にいたなんて。

「嘘、でしょ…沙羅がそんなすごい奴だったなんて…」

園子も呆然と呟く。目暮は再度ため息をつき、言った。

「君の空手について、少々見過ごしすぎていたようだ。佐藤、過剰防衛の線がないか調べるんだ」
「…わかりました」

佐藤は、沈黙の後了承した。蘭は肩を落とし俯いており、思いがけない壁に英理も何も言えなかった。その後しばらく、その場に重い空気が漂った。