54 無名さん
>>53続き
だから僕には気になっている人物がいた。ジェームズたちに媚びることをしない、むしろ嫌悪を丸出しにした同じグリフィンドールの女子生徒であるリリー・エバンズ。それから僕らに興味すら抱いてない、目を伏せたとききらきらとゴールドがかって見えるアンバーの瞳を持ったアリア・ブラッドストーンだった。今日も広場で飽きもせずジェームズたちがスネイプに悪戯を仕掛けていたとき、僕は木の上で本を呼んでいた。こうして他人にちょっかいを出すのはほとんどジェームズとシリウスで、監督生になってからも僕は止めることも加勢することもしない、つまり我関せずを貫くことが多い。スネイプと仲がいいらしいエバンズは彼に悪戯をしているときよくこうして突っかかってきていた。同じく監督生になった今でもそれは変わらない。ジェームズは彼女を気に入っているので、もしかしたらスネイプに手を出すのはそういう下心が働いているのではないかと思う。だけどエバンズが絡んでくるときはいつも一緒にいるはずのブラッドストーンはいない。そういえばエバンズがジェームズに絡むときブラッドストーンを見たことがないなぁとぼんやり思った。なんの気もなしにジェームズとの言い合いに白熱しているエバンズを見る。すると少し先の建物の影に杖を持った彼女を見つけた。何事かと思えば、杖を振る。エバンズを追いかけたジェームズがなにかに足を取られ、シリウスを巻き込んで盛大に転んだ。

「……へぇ、」