Kは基本的にホラーは平気だ。「なんボ怖ェったって作りモンだねな」…とか言いながら「…一寸、な…」と言って「呪○」は避けている。

「なんボ珍しいな。なして(どうして)?」
「…」
「…話せ。話さねば“呪○”ば、無理にも見せる」

―で、仕方なさげに話した内容と言うのが―

当時、Kは某車輌メーカーの下請けで昼夜二交代の期間工をやっていた。通勤は送迎用の車輌に相乗り。

ある昼勤の帰り、近道に使っている未舗装の道路をいつも通りに。
ところがただでさえも狭い其処で対抗車と鉢合わせ、後ろは後続車輌数台でバックはできない。対抗車も譲る気がなさそうな様子。

東名高速を真下に、鉄橋の上で立ち往生。「話、つけて来る」と言って運転手は車を降り対抗車へ。
(…そっち一台きりなんだからさ、下がるだろフツー?)等と思いつつ同乗のオッチャン達と駄弁りながら東名高速を見下ろしていた。

(どうやら向こうも渋滞しているな…)と何の気無しに下を眺めていると…其所へ一台の四駆が猛スピードで突っ込んで来るのが見える。
(おいおい、あのドライバー前が渋滞してるのに無茶だな…)そのまま行けば間違い無く渋滞に派手に突っ込む。事故必至。

…と、ギリギリのところで急ブレーキ。(ナニやってんだありゃあ?)…K、其処で気が付いた。
さっきからルーフに貼り付いている「何か」がなんなのか。