あの日は晴天で絶好のキャンプ日和だった。

遠足だなんだとわいわいがやがや、子供だった俺達は、先生の指示に従ってバスに乗り、現地に着いて山を登った。

登ってる途中にはやけに急斜面な岩肌があって、そこには数本の鉄の鎖が上から垂れ下がっていた。
先生の指示で、僕たちは順番にその鎖を手に取ってそこを登ることになった。

登っている途中には花が活けてある瓶が置いてあって、ここで誰かが死んだんだ……そんなことを思った。

今思うと、子供だったから余計に急斜面に見えたんだと思う。
先生達は普通に登ってたから、実際はそれほど大したもんでもないと今では思ってる。

そんなこんなで、俺達は鎖の垂れた斜面を登り終えると、そこから少し先にあった開けた場所で、持ってきていたお弁当を皆で食べた。

でも山登りはまだ続くらしく、先生の「まだまだ登るよー」という声に俺達は不満の声をもらした。疲れてたし、なにより子供だった。
でも先生達はそれを予想してたんだろう。用意していた苺の飴玉を皆に配って「頑張ろうねー」とかそんなことを言って、俺達もはーい! って元気に答えた。子供だったからな、皆してすごく素直だった。

それから少し経って、白い建物が見えてきた。

やっと目的地に着いたんだ。そう俺が思ったときに、何故か先生は「ここで整列してー」と綺麗に整地された開けた場所で言った。