56 無名さん
「名前ちゃんと付き合いたい俺。ツンツンしてばっかでデレ3割位だけど、最強に可愛いし俺と唯一釣り合える子だよ。オマケにスタイル抜群とキタ!もー及川さん名前ちゃん落とす為ならどんな手段でも使うよ」
「とりあえず#name1#さん逃げて」


このお昼の休み時間を有効活用するために、わざと大きな声で窓側の席で友達とご飯食べている名前ちゃんに聞こえるように岩ちゃんと話す。これも作戦のうち。なぜかよくわからないんだけど、実は同じクラスで話したことないの唯一名前ちゃんだけなんだよね。というより、話しても無視されるんだよね。なんでだろ、回りの女子はみんな自分から話してくるよ?俺に。全然意味分からないよねー。だからもう完全に落としたくなっちゃってさ。もちろん先週のクラス替えで名前ちゃんに一目惚れしたってのももちろんあるよ?でも全然なびいてくれなくて。そしたらこここから本領発揮するしかないデショ。


「ほんとグズ川」
「あれ?聞こえてた?」
「聞こえてたっつーの!」


グズ川はひどいよ岩ちゃん!と泣きつくと、さっき教室を出てった名前ちゃんが戻ってきた。そのままこっちまでくると俺の席のまえで止まる。表情一つ変えずに、綺麗な唇を端麗に動かした。


「担任の先生、呼んでるんだけど」
「あ、そうなの。ありがとー」
「…いいえ」


職員室まで。教室からはちょっと距離あるんだよね。岩ちゃんはマッキーに捕まっちゃって、一緒に職員室来てくれないとか言うし(岩泉談・花巻に捕まってなくても俺は一緒にいかない)とか言うし。ひどいよ岩ちゃん。

さて。これもいいチャンスなんだよね。さっきから名前ちゃんは俺の後ろを歩いてる。ってことは同じ職員室に用事がある。ってことは今この瞬間は二人きりなわけだ。まだ昼休み終わるまで時間あるし。


「名前ちゃんって好きな人いないの?」
「…とくには」
「へぇ。ってことは勝算あるよね俺」
「さあ?」
「そういわれると燃えるよね。とことん、どんな手段使っても惚れさせることにしたよ」
「そう」