>>56

朝食も自分達で作った。
何を作ったのかは憶えていない。だけど材料は用意されたものだった気がする。

朝食を食べ終わると、先生達は昼過ぎに行なうオリエンテーリングの準備をしに行った。
つまり、僕たちは自由時間を得たことになる。

施設に置いてあった竹馬やタイヤを使ったブランコのようなもので遊ぶ人達。
俺もそれに加わろうとしたとき、一つのグループから小さな悲鳴や驚きの声があがった。

きゃあ、うわ、とかそんな感じの声。その中心には二人の女の子の姿があった。
興味があったので、俺もそのグループに加わる。どうやら、昨日の夜に先生達から聞いた話をしていたらしい。

件の女の子二人組は、一つの部屋が空いてたことを知っていて、というよりこれは皆が知っていた。
だって、建物に入って何組一班はここ、二班はここ、と一つ一つ確認していって、最後に一つだけ部屋が余ってたからだ。

それで、女の子達は部屋一つ私たちのものだ。みたいなことになるのではないかと期待してたらしい。
それで先生達に聞いた。たしかこんな感じの会話。

「どうしてあの部屋を使っちゃダメなんですか?」

先生達は答えた。

「二人っきりだと危ないでしょ?」

そんな感じ。

今思うとおかしい会話だ。なんで皆も泊まっているのに二人っきりだと危ないのか。