58 無名さん
「もうなまえの傍にはいてやれねぇ」

そう消え入りそうな声言う晋助。
嘘だって言って欲しかった。しょうがない冗談じゃないかって。銀時と手を組んで私を騙そうとしてるんじゃないかって。それでも、彼の睫が泣きそうに震えるてるから。嘘じゃないんだって、その事実はどうしようもなく私に重くのしかかった。

縋るように抱きついて、彼の最後のぬくもりを感じた。
私を連れて行ってくれないの?私はもういらないの?そんなこと聞けるはずもなかった。だって今の晋助は今にも崩れそうで震えていたから。
私はすっと彼から離れて、とびっきりの笑顔でいった。

「私は、大丈夫だから。晋助、行ってらっしゃい」

晋助は項垂れるように頷き、私の元を去っていった。

あれから10年が経つ。
あなたは今、幸せですか。

(あなたの幸せが私の生きる意味だから)