59 無名さん
「ねぇ」
「…なんだよ」
「せっかくのデートなのに読書するってどうなんですかー?」

お洒落なカフェのオープンテラス。爽やかな日差しを遮る白いパラソルの下。私の前にはキャラメルラテが、ヤマケンの前ではコーヒーが良い香りを漂わせている。ふつうだったらこんなお洒落なシチュエーションにカップルで居合わせたら、イチャつく以外にやることはないと思う。なのに彼は目の前の彼女ほったらかしで読書に耽ている。おかげで彼の容姿につられて集まった女どもが、私の存在を無視して逆ナンしようとしている。ふざけんな、コイツは彼女持ちだ。そして私がその彼女だ。そう叫びたくなるも、説得力がないことに気がついている私は行動に移せない。私は乱暴にキャラメルラテを口にいれる。

「私たち付き合ってるのよね」
「お前が、首を縦に振るまで諦めなかったからだろ」
「それでも!付き合ってるのよね!」
「…うざ」

ため息まじりに吐かれた言葉。彼は私のことを鋼鉄のロボットとでも勘違いしてるのだろうか。自分がどんなに私を傷つけてるか、彼はわかってない。

「(帰ってやろうかな)」

そんなことを考える。怒鳴り散らして、キャラメルラテをぶっかけて、ついでにお会計も擦り付けて、帰ってやりたい。でもそうしたって、彼が私に謝るなんてことない。別れる理由ができたと清々するだけだ。惚れた弱みというけれど、惚れた方は何故こんなにも行動の選択肢が少ないのだ。こんな自分をミジンコ以下にも愛してない男に執着するよりも、私をちゃんと愛してくれる男を探した方がずっと有意義だ。わかってるのに、私は彼から離れられない。どうしょうもなく、好きだから。


原作わからないからあれなんだけど相手キャラは原作で好きな女の子いるってこと?
と言うかわがまま通り越してうざい夢主