59 無名さん
>「とど、ろきくん」
「やっぱ器用だなお前、こんなでけぇ氷像も作れんのか」
「...何で此処に?」
「母親に、会ってきた」

再び爆弾を投下されたような衝撃を受ける瑞穂。そんな彼女の腕を引っ張り、轟は「悪ぃ。こいつ借りるな」と子供達に告げると、迷いのない足取りで進み出した。

そしてませた子供とその引率をしていた親達から上がった冷やかしの声を背にして、辿り着いた人目の少ないベンチに2人は腰掛ける。

「今まで、自分の存在が母を追い詰めてしまうから会わなかった」

ポツリと話し始めたのは轟だった。

「でも緑谷にきっかけをもらって、話さねぇとって思ったんだ」

相槌を打ちながら聞き役に徹する瑞穂。
そんな彼女の目を真っ直ぐに見つめ、「それから」と轟は話を続けた。

「お前を救けたかった。お前が似ていると言った母を救うことで、癒治も助けられるんじゃねぇかって」

──君は傷付けた母親の代わりに私を守ろうとすることで、罪悪感を消そうとしてるんだよ。

あんな酷いことを言ってしまったのにと瑞穂は目を見開く。
救けるなんて、お節介も良いところだ。けれど、今日はそれが何だかひどく心地良かった。

「ありがとう、轟くん」
「ああ」
「でも、大丈夫だよ」

轟が緑谷戦で変わったように、瑞穂もまた爆豪との戦いできっかけをもらっていた。
だから今日、こうして祖父に会いに病院に来ることができた。

「私よりずっと凄い人に実力を認めてもらえたの。だから、もう私は救われたよ」

そう言って微笑む彼女はとても綺麗だった。

轟は「良かったな」と声をかける一方で、彼女を救うヒーローが自分でなかったことを少しだけ残念に思った。

「私、憧れのヒーローとか特にいなかったんだけど、彼は───爆豪くんは、きっと凄く格好良いヒーローになると思うんだ」

お母さんに会ってきたばかりのデリケートな轟と病院内で話してる最中の突然の爆豪ageくっそわろた
三角関係にしたいのか?