62 無名さん
>>61続き
寮に戻って階段を駆け上がり、部屋に滑り込んで僕は忍びの地図を乱暴に広げた。この地図を使うのは少し気が進まないが、緊急事態なら仕方ないだろう。僕は目を皿にしてホグワーツ中からブラッドストーンを探した。僕はジェームズたちがスネイプにちょっかいを出す場所を探したが彼女は見つからない。(どこだ、ブラッドストーン。)そうだ、ジェームズたちは人目につくところでスネイプをからかうが、レイブンクローの生徒がそんなことをするだろうか。(人目につかない、ところ。)的を絞ると存外あっさり彼女を見つけることができた。そして僕は再び走り出す。時間もかからずたどり着いたのは女子トイレで、僕はどうしたものかと思案した。このまま入って行くべきか。(それじゃただの変態だ。)エバンズを呼んできた方がいいのでは。僕が踵を返そうとすると、僕の耳は女子トイレからの声を拾った。


「どうしてあなたなのよ!」


その瞬間女子トイレだろうと構うものかと僕は駆け込んで、ほとんど無意識に杖を振っていた。1人の女子生徒が腕を振り上げた状態で固まっている。静止呪文はさすがにやりすぎたかもと思ったけれど、ブラッドストーンに怪我がないならいいと思い直した。


「監督生だから仲裁させてもらったけど、なんの騒ぎかな?」


心臓がばくばくして冷や汗が止まらないが、僕はなるべく冷静を装い、にこやかにそう言った。全員が全員驚いた顔をしていたが、ブラッドストーンを囲むようにして立っていたレイブンクローの女子生徒は気まづそうに視線を迷わせ始める。


「こ、この子がわたしたちをバカにしてきたのよ!」

「わたしたちが純血じゃないからって……!」

「ほんとう?ブラッドストーン」