>>59

結局何もなかったねってことになって、俺達はオリエンテーリングに戻った。
俺は背後に薄気味悪いものを感じていたけど、振り返らずにそのまま皆と一緒に戻った。

明日帰るということもあってか、夜にキャンプファイヤーをした。
木を二段三段重ねただけの小さなやつだけど、すごい! とかそんなことを思ってたような気がする。

それも終わり、部屋に戻ってあとは寝るだけというそんな時にトイレに行きたくなった。

消灯時間が過ぎたらさすがに恐くてトイレには行けない。
だから、俺は消灯時間が来る前にさっさとトイレに行くことにした。

トイレは古ぼけていて蛍光灯の部分は豆電球だった。
やけに古いな、それが俺の感想だった。
薄暗くて端の方が汚れていて個室には傷が多くて、正直沼より気持ち悪かった。

用を足した俺は手を洗うとすぐに部屋に戻った。
そういえば、手洗い場の鏡は斜めにひびが入っていた。それが余計に恐かった。

消灯時間ですよ、と先生達が部屋に知らせに来たあとで、班の一人がトイレに行きたくなったとか言い出した。
一人で行けと皆も俺も言ったが、そいつは恐くて嫌だから誰かついてきてくれと頼みだした。

部屋から廊下を覗いて見てみるとまだ明かりがあった。
だから俺が言ったんだ。

「まだ明るいからさっさと行ってきたほうがいいよ」