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H『いや…。とりあえず、お前これ聞いてみてくれないか?』

そういうとHさんは、Sさんがバイト中に吹き込んだであろうテープレコーダーを取出し、Sさんに聞かせました。

最初は、いつもどおりのくだらない話をするHさんの声が聞こえてきました。
Sさんはいつも通りのくだらない話に聞き入っていました。

しばらく聞いていると、突然、Hさんがテープレコーダーを止めました。

H『…問題はこっからなんだよ』

Sさんは何のことだかさっぱり分からず、Hさんの曇った表情を不思議に感じました。

するとHさんは、再びテープレコーダーを再生しました。

相変わらず聞こえてくるのはHさんの声。
しかし、その時

『ばーか』

それはHさんの声に重なるように、しかしはっきりと聞こえてきました。

Hさん以外、誰もいるはずのない部屋。
Sさんのアパートにはテレビはありませんでした。隣に住んでいた人もいませんでした。